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外伝ストーリー第1部:『最終修行!VS遊馬』










属性の波動習得の最後の修行を行っている小鳥、凌牙、カイト、Ⅴ、ドルべ、アンナ、ゴーシュの7人

開始から既に30分。

どこかに隠れている遊馬を探索していた。




小鳥:「遊馬見つけた?」

アンナ:「いや、全こっちにはいなかったぜ」

ゴーシュ:「くそっ、あいつどこに行きやがったんだ!」
遊馬が発見できずに苛立つゴーシュ。


アンナ:「残り1時間半。このままじゃ制限時間が削られるだけだ。早く見つけちまおうぜ」
アンナがやる気満々になって遊馬を探しに行こうとする。


Ⅴ:「待て、神月アンナ」
すると、Ⅴが遊馬を探しに行こうとするアンナを止める。


Ⅴ:「みんな、この修行の目的を忘れていないか?」
Ⅴ、カイト、ドルべ、凌牙が落ち着いた表情をしていた。

小鳥:「修行の目的?」

Ⅴ:「そうだ。最後の修行の目的は、属性波動習得の修行で身に付けた成果を遊馬に見せることだ」

カイト:「遊馬を見つけて、戦うことが目的じゃない。今、この時点でも成果を発揮できる場でもあるということだ」
Ⅴとカイトが、みんなに修行の目的を思い出させる。


ゴーシュ:「なるほどな。俺たちには新しく身につけた属性波動があるんだ。これを使って、自分を見つけてみろと、遊馬は言っているんだな」

ドルべ:「そうだ。つまり、遊馬は、この近くにいると言うことだ」
周りを見渡すドルべ。

今、自分たちがいる場所は、スタート合図した場所だ。

自分たちは遊馬を探すために、この30分間ここを離れたが、遊馬はずっとここにいるのかもしれない。そのことに、みんなが気付く。


凌牙:「さて、どうする?思い切って攻撃してみるか?」
凌牙が、ここにいる皆に聞く。


アンナ:「なら、ここは俺に任せてくれ」
アンナがみんなより前に出る。

”暴走特急ロケット・アロー”の槍タイプデュエルギア”ラーゼン・ゲイボルグ”を構える。


アンナ:「俺の炎で焼き尽くしてやる!」
ラーゼン・ゲイボルグの先端に炎が灯される。


アンナ:「マグマ・エクスプレス!!」
ラーゼン・ゲイボルグを地面に突き刺し、火柱を数本出して、地面を次々と破壊する。


アンナが出した攻撃の影響で、地響きが発生し、周りにいた小鳥やゴーシュ達が驚く。


ゴーシュ:「ま、マジか…」
アンナが出した攻撃に驚くゴーシュが冷や汗を流す。


これが、アンナの修行の成果。炎属性の波動を使用して使う新たな技だ。


そして、遊馬はどんな力を使ったのか身体を透過させる力を使って身を潜めていた。

しかし、アンナの攻撃でそれは破られた。


遊馬:「さ、流石は、No.6怒りのエースのマークを持った奴だ…」
流石の遊馬もこれには度肝抜かれたようだ。



小鳥:「あ!いたー!」
遊馬を指さす小鳥。

遊馬はギクッとする。






映像から現場を見ていたみんなも遊馬が出てきたことに気付く。


未来:「遊馬が出てきたわ」

闇川:「しかし、あれほどの技を出すとは…!」
映像を見ていた人達も驚いていた。


羅夢:『こりゃあ、修行が終わった後の片付けが大変そうだな』
めんどくさそうな表情で羅夢は、心の中で呟いた。








遊馬が、みんなの前に立つ。


遊馬:『”No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク”の限界勢力”ステルス・スター・シート”がこうも簡単に破られるとはな。恐れ入ったぜ』
遊馬は笑みを浮かべながらそう呟く。


ドルべ:「一気に畳みかけるぞ!」
ドルべがホーリー・ライトニング・カトラリーアローを構える。


遊馬:「ホープ!」
遊馬がそう叫ぶと、右腰につけているホープ・カードホルダーから、”No.39希望皇ホープ”のカードが飛び出し、遊馬がキャッチする。

そして、そのカードは銃と剣に可変するデュエルギア”ナディエージダ”へとなった。

遊馬:「それじゃあ、俺もそろそろ攻撃させてもらうぜ!」
銃口を凌牙たちに向ける。


遊馬:「そう言えば、誰かさんが俺の多重属性界の力を見たいって言ってたな。見せてやるよ。水と風で生み出される嵐の力を」
ナディエージダの銃口が輝く。


遊馬:「テンペスト・シーセン」
引き金を引き、銃弾が発射される。

そして、その銃弾は途中で7つに分裂し、みんなに襲いかかる。


Ⅴ:「弾が分裂した…!」
空中で銃弾が分裂したことに驚くⅤたち。

それぞれに銃弾が襲いかかり、避けたり手に持つデュエルギアで受け止めたりする。


みんなが、その銃弾に意識が向いていた一瞬に、遊馬は、みんなの側に接近した。

遊馬:「チェンジ!」
ナディエージダが銃から短剣へと変形し、その刃が近くにいたⅤに向かう。


Ⅴは、”ディープ・スペース・クルーザー・ナイン”の刺突用の剣レイピアの形したデュエルギア”スペース・レイピアザー”で、遊馬の刃を受け止める。


遊馬:「いい反応だな、Ⅴ。流石だぜ」

Ⅴ:「キミも、対したものだ。自分の力を、こうも操るとは。昔の君からは感じられない」

遊馬:「お褒めの言葉として受け止めておくぜ!」
遊馬はスペース・レイピアザーに向かって蹴りを入れた。


Ⅴ:「っ!」
スペース・レイピアザーを持っていたⅤは後ろに押される。






遊馬の戦闘を映像から見る者たち…。


チャーリー:「昔の遊馬からは想像もしない動きだな」

トロン:「ただ前向きに進む彼が、これほど力を身につけているとは…」
遊馬の戦い方に少し驚くトロンたち。



羅夢:「遊馬があれだけ強い理由、それは他の四大神王者の人達のおかげだろう」

春:「ん?どういうことじゃ?」

羅夢:「彼は、他の3人に比べ、力の差がかなりあります。だから時々、自分だけ置かれているのではないかとプレッシャーを感じるときが多々あったみたいですからね」


Ⅳ:「遊馬がNo.4なら遊馬の次に強いNo.3とはどれほど力の差があるんだ?」

羅夢:「真剣に考えたことはないが、5倍以上はあるかもね」
その言葉を聞いて、他の四大神王者が相当強いことに改めて気付かされるⅣたちだった。




ドルべ:「くっ」
ホーリー・ライトニング・カトラリーアローから光の矢を放つドルべ。

しかし、遊馬はそうの矢を軽く躱した。


ゴーシュ:「もらった!」
クサナギブレードを振り下ろし、遊馬に攻撃を仕掛ける。


遊馬:「ヴァッサー・ディフェンス!」
ナディエージダを銃形態にして、銃口から水の弾を上に向けて放った。

そして、放った水の弾が分散し、水のバリアが遊馬を守る。

ナディエージダに水属性の波動を使うことで放てる技だ。

水のバリアが、クサナギブレードを受け止めた。


それだけではない。そのバリアはクサナギブレードを飲み込み、ゴーシュの身動きを封じた。

ゴーシュ:「くそっ」
クサナギブレードを持っていた右手がバリアに飲み込まれ動けないゴーシュ。


遊馬はその間にバリアの中から出る。

だが、その出た瞬間をカイトと凌牙に狙われた。


カイト:「フォトン・シュトゥルムアングリフ!」
ギャラクシー・サーベルから風の波動が放たれ、カイトの身体に纏われる。更に、粒子のようなものも一緒に放たれ風と共に纏い、遊馬に向かって走ってくる。

カイトが風属性の波動を使用して放てる技だ。


遊馬:「おいおい、そんな高等技まで使えるのかよ…!」
遊馬はナディエージダを短剣形態に変化し、更にセカンドステージして長剣へと変えた。


セカンドステージしたナディエージダで、カイトのギャラクシー・サーベルを受け止める。


遊馬:「やるな、カイト。そんな高等技を出せるとは…!」

カイト:「まだ、完成とは言えないがな…!」
カイトは全身に纏った風と粒子の力で遊馬を押していく。

遊馬:「っ!」
遊馬は腰を低くして踏ん張る。



凌牙:「もらったぞ!遊馬!」
ブラックランサーを持って遊馬に接近する凌牙。


遊馬はその場から離れようとしたが、カイトに腕を掴まれ動けない状態になってしまった。








右京:「遊馬君の動きを止めた!」

ロビン:「これで決められる!」
映像を見ていた右京やロビンも凌牙の攻撃が通ると確信した。






そして、凌牙が振り下ろしたブラックランサーは、遊馬の背中にヒットした。


これで遊馬を倒した…!と思ったが、次の瞬間、遊馬の身体が水になってしまった。


凌牙、カイト:「「何!!?」」
水となった遊馬の身体は、その場から消えてしまった。



Ⅴ:「こ、これは…!」
みんなも目を疑った。さっきまでいたはずの、遊馬が水になってしまったことに…。


遊馬:「ヒュドール・インステドゥ。水の分身ってやつだ。忍者みたいだろ?」
いつの間にか樹木の枝に立ち、みんなを見下ろす遊馬。


ドルべ:「い、いつの間に…!」

小鳥:「す、すごい…」
遊馬の動きに関心してしまう小鳥。



遊馬:「関心している場合じゃねえぞ、小鳥」
遊馬が拳に炎を灯す。

このパターン、ダイシャラス王国でも見たことがある…!みんなはそう思った。


遊馬:「炎拳!」
炎が灯った拳から炎の拳を放ってきた遊馬。

亡きライトが使用していた技だ。


Ⅴ:「私が防御する!」
スペース・レイピアザーからとてつもない光が放たれる。

Ⅴ:「オリオン・ジャマー!」
オリオン星座を出して、炎拳を受け止め、みんなを守る。


小鳥:「その隙に!」
フェアリー・アーチャリーを構える小鳥。


小鳥:「フェアリー・ダンス・アロー-ハイリヒ!」
光の矢を放ち、矢が分散して遊馬に襲いかかる。


だが、遊馬はすぐに枝から降りて、矢を躱した。



遊馬:「ヴォルカザウルス!」
遊馬がそう発言すると、ホープ・カードホルダーから”No.61ヴォルカザウルス”のカードが飛び出す。

そして、ヴォルカザウルスのカードが輝き、その輝きが遊馬の身体と一つになる。





遊馬:「火炎乱舞!」
ヴォルカザウルスと限界勢力で一つになったときに遊馬が放てる技。

口から炎を吹き出し、小鳥たちに襲いかかる。


ここにいるほとんどの者たちがやばいと思った。



すると、ドルべが前に出た。


凌牙:「ドルべ!」
いきなり前に出たドルべに驚く凌牙。


ドルべ:「遊馬ほどではないが、私にもできるはずだ」
ホーリー・ライトニング・カトラリーアローの鳥打と大腰の部分が青く光り、ドルべはそれを地面に突き刺す。


ドルべ:「ウォーター・コントラタック!!」
地面に突き刺したすぐ側から水が吹き出し、火炎乱舞とぶつかる。


ドルべ:「このままぶつかり合ってもダメだ!一旦、体勢を立て直すぞ!」
ドルべが、みんなにそう伝える。


そして、両者の攻撃はぶつかり合ったときの影響で、水蒸気を発生させ、周りに霧が舞う。


霧が晴れると、目の前にみんなの姿はなかった。


遊馬:「どこかに隠れたな…」
遊馬は周りを見渡し、みんながいないことを確認する。

遊馬:「残り1時間を切ったか。さて、どう出てくるかな」
ミッションウォッチでタイマーを見た遊馬もその場を離れた。





その頃、7人は樹木の陰に隠れていた。


アンナ:「みんな、大丈夫か?」
アンナが他の6人の安否を心配する。


小鳥:「えぇ、何とか…」

ゴーシュ:「それにしても、この7人でここまで苦戦するとはな」

カイト:「流石になめていたな」

ドルべ:「風、炎、水、3つの属性を巧みに使い、攻撃と防御を使い分けてくるから、簡単に近づくこともできず、攻撃も通らない」

凌牙:「流石は四大神王者のNo.4ってところだな」
改めて遊馬の力に恐れ入ったみんなが言う。


小鳥:「これからどうする?時間まで残り1時間を切ってるわよ」

Ⅴ:「みんなで力を合わせれば、隙は必ず生まれるはずだ」

アンナ:「それに俺たちには、これもあるからな」
アンナが右手の甲を見せた。

すると、No.6のエースのマークが浮かび上がった。

それを見た6人が頷いた。





その頃、遊馬は…。


遊馬:『さて、どう出てくるかな…』
茂みに身を潜めていた。


すると、どこからか無数の光の矢が飛んできた。


遊馬:「おっと!」
遊馬は茂みから脱出し、矢が飛んできた方向を確認する。

すると、そこには、小鳥とドルべの2人が弓タイプのデュエルギアを手に構えていた。

遊馬:『さっきの矢は、あの二人が放ったものか。となると、他の奴らは…』
遊馬が周りを見渡すが、他の5人の姿は見当たらなかった。



ゴーシュ:「後ろだぜ!遊馬!」
遊馬の背後からゴーシュが飛んできた。

ゴーシュ:「セカンドステージ!」
クサナギブレードの刀身が大きくなり進化する。


更に、ゴーシュの右手の甲にNo.8のエースのマークが浮かび上がる。


遊馬:「!」

セカンドステージしたクサナギブレードの刀身が輝く。


ゴーシュ:「クラージュ・メテオ!」
ゴーシュの目の前にブラックホールのようなものが現れ、セカンドステージしたクサナギブレードで、そのブラックホールを断ち切る。


すると、セカンドステージしたクサナギブレードに力が与えられ、ゴーシュはそのまま遊馬に突撃する。



遊馬:「”ゴゴゴゴーレム”!」
遊馬がそう叫ぶと、ゴゴゴゴーレムのカードが飛び出し、遊馬がそのカードをデュエルギアの姿へと変える。


遊馬:「ゴゴゴスクード!」
青と緑の発色をした盾、ゴゴゴゴーレムのデュエルギア”ゴゴゴスクード”が遊馬の手に持たれる。


遊馬はその盾で、ゴーシュの突撃を防ぐ。

だが、予想以上のパワーがあり、遊馬はそのまま後ろに押される。


遊馬:『エースのマークも使いこなせるようになってきたな。だが、この程度じゃ、俺は倒せないぜ』
遊馬はそう言って、足元に風属性の波動を流し込み、空中を蹴って態勢を立て直す。


Ⅴ:「次は私だ。セカンドステージ!」
スペース・レイピアザーがセカンドステージ。ヒルトとグリップが変わったスペース・レイピアザーがⅤの手に握られる。


そして、Ⅴの右手にもNo.5のエースのマークが浮かび上がる。


更に、光属性の波動を流し込み、刀身が点滅するように輝く。


Ⅴ:「カシオペア・フェンシング!」
Wを描くように5カ所を連続で突く。

遊馬は空中を蹴って、その攻撃を急いで躱す。





しかし、躱した先に凌牙とカイト、アンナの3人が待ち受けていた。

遊馬:「おいおい、マジかよ…」
疲れた顔をして遊馬はそう言った。



アンナ:「もらったぜ!遊馬!」

凌牙:「俺たちの勝ちだ」
デュエルギアを手に持ち、遊馬に接近するアンナ、凌牙、カイトの3人。

遊馬:『チームプレーで来たな。だが…』
遊馬の口がニヤッと笑い、その手には1枚のカードが握られていた。


カイト:「待て!遊馬に近づくな!」
遊馬の余裕な表情にいち早く気付いたカイトが2人に注意を促す。


しかし、もう手遅れだった。


遊馬が手に持っていたカードは”No.19フリーザードン”だった。カードが輝き、遊馬と一つになる。


遊馬:「氷結円舞!」
No.19フリーザードンと限界勢力することによって使用できる遊馬の新たな技。


周囲に冷気を放った。

遊馬に近づこうとする凌牙とアンナ、カイトの身体の一部が一瞬で凍った。


凌牙:「なっ!」

アンナ:「足が凍っちまっただと!」

カイト:「くっ!」
遊馬は3人の身体を凍らせたことを確認して、一度3人から距離を取る。


遊馬:「危なかったぜ、フリーザードンの力を使ってなかったら、完全にやられていた」
遊馬が木の枝の上で、余裕そうにそう言った遊馬。




カメラ映像から、みんなの様子を伺う人達。



鉄男:「あと一歩なのに…!」

等々力:「とどのつまり、遊馬君は僕たちとはキャリアが違います。その差でしょう」

右京:「残り時間はあとわずか…」
遊馬の相手をするみんなを心配するメンツたち。


羅夢:『時間は止まってくれない。残り時間で、どう攻める』
羅夢は、心の中でそう呟く。





アンナ:「くそっ!凍った手が動かねえ」
先ほどの影響で、右手が凍ってしまったアンナ。

凍ったところは、手だけなのに、右肩すら動かすことが困難な状態であった。

そして、それは凌牙とカイトも同じだった。


そこに、最初に遊馬の動きを誘導していたドルべたちが来る。


ドルべ:「無事か、凌牙」

凌牙:「あぁ、だが、凍った足が動かねえ」
左足が凍っている凌牙。

下半身が全然動かなかった。


Ⅴ:「3人が動けるようになるまで下がるぞ」
動ける者たちで3人を抱え、その場から離れる。


しかし、小鳥だけは離れる前に、一瞬遊馬を見つめた。

その時、遊馬は手に持っていたカードをデッキケースに仕舞っていた。

それを確認した小鳥は、みんなの後を追った。


遊馬:『次が最後になるか』
遊馬は心の中でそう呟く。







その頃、遊馬から距離を取った凌牙たち。


ゴーシュ:「くそっ!やっぱり、一筋縄じゃ行かねえか!」

ドルべ:「もう一押しなんだが、その一歩が届かない」
7人で力を合わせて攻撃しても、遊馬に届かず、悔しい思いをするゴーシュ達。


Ⅴ:「もう動けるのか?」

カイト:「あぁ、問題ない」
さっきまで遊馬の技の影響で、身体の一部が動かなかったカイトだったが、今はもう動けるようだ。

それは凌牙とアンナも同じだった。

凌牙:「動けないのはほんの数分か…」

アンナ:「で、どうする?このまま時間切れになって負けるのは、御免だぜ」
それは、他のみんなも同意見だ。

ゴーシュ:「当たり前だ。だが、どうすればいい」
みんなが、どうやって遊馬に攻撃を当てられるか考える。


すると、小鳥が手を挙げる。

小鳥:「もしかしたら、遊馬に攻撃を与えられる方法、見つけちゃったかもしれない」
そう発言した小鳥に、みんなの目線が向く。


カイト:「何?」

アンナ:「ホントかよ!小鳥。遊馬に攻撃を当てる方法思いついたのか!」

小鳥:「確証はないけど、たぶん…」

Ⅴ:「その方法とは?」


小鳥は、自分が思っていること。そして、遊馬に攻撃を当てる方法を教える。




ドルべ:「なるほどな。やってみる価値はある」

凌牙:「あぁ、一か八かの賭けだが、それなら攻撃を当てられるかもしれない」

Ⅴ:「残り時間も少ない。さっそく決行してみよう!」
7人は、再び遊馬の元に向かった。






その頃、遊馬は樹木にのしかかって、みんなが来るのを待っていた。


遊馬:『しかし、まあ、ここまでやれるとは思ってもいなかったぜ。エースのマークの力も、それなりに使えるようになっていたしな』
遊馬が心の中でそう呟いていると、人の気配を感じた。


遊馬:「ん?来たな…!」
目の前を見る遊馬。

すると、ゴーシュが真っ正面から突っ込んで来た。



ゴーシュはセカンドステージしているクサナギブレードを両手で持ち、遊馬に仕掛ける。


遊馬:「セカンドステージ!」
短剣モードのナディエージダがセカンドステージして長剣タイプのデュエルギアへ進化した。


遊馬は、セカンドステージしたナディエージダで、ゴーシュのクサナギブレードを受け止める。

遊馬:「酒になったか?真っ正面から突っ込んでくるなんてな!」

ゴーシュ:「はっ!酒になるわけないだろ。そんなノリで、攻撃なんてしねえよ!」

遊馬:「じゃあ、どんなノリで突っ込んで来たんだ!」
遊馬はセカンドステージしたナディエージダを振り払い、ゴーシュを押し飛ばした。


すると、そのとき!


ドルべ:「レヨン・チェーン!」
光で生成したチェーンが遊馬の右手首に絡みつき、動きを封じる。


遊馬:「何!」
遊馬はすぐにチェーンが繋がっている先を見ると、そこには王笏と呼ばれる杖を手に持つドルべが立っていた。

遊馬:「新しいデュエルギアか」

ドルべ:「あぁ、”光天使(ホーリーライトニング)・セプター”の”エクレレ・セプター”だ」
エクレレ・セプター。杖タイプのデュエルギアだ。

その杖の先端から、光のチェーンは出ており、遊馬の手首を捕えていた。


ドルべ:「今だ!凌牙!」
ドルべがそう叫ぶと、遊馬の前に凌牙が現れ、手に持つブラックランサーが紫色のオーラに包まれていた。


凌牙:「ナハト・メーア!」
地を走る斬撃を放った凌牙。


遊馬:「ヴォルカザウルス!」
ホープ・カードホルダーからカードが飛び出し、限界勢力の力を使おうとする遊馬。

遊馬:「火炎乱舞!」
口から炎を吹き出し、凌牙のが放った攻撃にぶつける。


お互いの攻撃がぶつかり合い、かき消された。


遊馬は両足に風属性の波動を流し込み、空を走る。

右手首についているチェーンを振り払おうとしているのだ。

だが、遊馬が空を飛ぼうとすることは読んでいた。


アンナ:「レイジング・バスタード!」
セカンドステージしたラーゼン・ゲイボルグについているノズルから炎が噴射し、猛スピードで遊馬に接近する。


遊馬:『隙を狙っての攻撃か…。だが…』
遊馬は簡単にアンナの突撃を躱した。

遊馬:「詰めが甘いぜ、アンナ」

アンナ:「お前がな」
ニヒッと笑うアンナ。


カイト:「ドラグーン・リストレイント」
ギャラクシー・サーベルを振ったカイト。

ギャラクシー・サーベルから小さい龍が放たれ、遊馬の両足にロープのように絡みついた。

遊馬:「ぬおっ!」
宙に浮いていた遊馬だが、両足を封じられ、バランスを崩し、地面に落ちる。

地面に落ちた遊馬にすかさずⅤが仕掛ける。


Ⅴ:「カテーナ・シジッロ」
スペース・レイピアザーの刃がチェーンに変わり、そのチェーンを遊馬の左腕を捕える。


これで、遊馬は両手足を封じられたことになる。







羅夢:『やるね…。まさか、遊馬をこんな形で追い込むなんて』
映像を見ていた羅夢が呟く。






小鳥:「これで、何もできないでしょ?遊馬」
遊馬の前に小鳥が立つ。


遊馬:「小鳥、お前の作戦か?」

小鳥:「えぇ、両手を塞げば、あなたはデュエルギアを出すこともできないし、カードを手に取ることもできないわ」
そう言って、小鳥はフェアリー・アーチャリーを構える。

小鳥:「トライデント・シルフ!」
風の波動を纏った矢を3本同時に放った小鳥。

その3本の矢が空中で竜巻を作って水平に飛ぶ。


3本の矢が遊馬に接近する。

遊馬:「ふっ」
一瞬笑った遊馬は、小鳥の攻撃を受ける。


アンナ:「っ!」
味方ですら驚くほどの攻撃の威力。


樹木に隠れていた鳥たちも逃げる。


白煙が舞い、遊馬の姿が見えなくなる。

だが、しばらくすると、白煙が晴れ、遊馬の姿を確認する。



遊馬は何事もなかったかのように、その場に立っていた。


遊馬:「合格だ」
そう言って、遊馬の右頬に切り傷ができて、血が垂れる。





遊馬の身体に、傷ができたことを確認した羅夢。



羅夢:「遊馬の頬に切り傷が付いた。彼ら7人は合格だ」
羅夢が、待機所にいるみんなに教える。



徳之助:「小鳥たちが、遊馬に勝ったウラ!」


等々力:「とどのつまり、まずは一安心ですね」
まだ合格をもらっていないはずの徳之助と等々力が喜ぶ。


羅夢:「君たちが嬉しくなってどうするの?まだ合格貰ってないでしょ?休憩挟んだら、次のチームを教えるからいつでも出られるように準備しておきなよ」
羅夢は、徳之助たちにそう伝えて、待機所を出た。

ベクター:「次は、俺たちの誰か…」

璃緒:「ですが、今の戦いで、遊馬の力はそれなりにわかったはずでは…」
確かに、今の2時間で遊馬は色々な力を使ってきた。

つまり、それなりに対応はできるということだ。


Ⅳ:「いや、おそらく遊馬は、まだ本気を出していないはずだ」

璃緒:「え?」

ドロワ:「私も同意見だ。四大神王者の1人に数えられているあいつが、最後に掛けられた拘束を解けないとは思えない」
ドロワが、画面に注目する。


ドロワ:「本気になれば、遊馬はもっと強いはずだ」

Ⅳ:「本気を出していない遊馬に、あいつらは苦戦したんだ。俺たちもまだまだ弱いということだ」

遊馬の底知れない力は未知数ある。

Ⅳは、そう思いながら呟いた。




その頃、遊馬は頬についた傷を手で拭いた。


羅夢:「お疲れ様」
そこにタオルを持った羅夢が現れる。

羅夢はタオルを遊馬に投げつけ、遊馬はそれをキャッチし、汗を掻いた顔を拭いた。


羅夢:「本気を出さないとダメかなって言いながら、出さなかったのはどうしてだい?」

遊馬:「何のことだ?」
羅夢の質問に白を切る遊馬。

羅夢:「最後のあれ…、キミだったら簡単に抜け出せたんじゃない?それなのに、参ったような顔をして、彼女の攻撃を受けるなんて。キミは、みんなを戦いに巻き込むことは反対していたはずだよね。最後の修行を不合格して、フロンティアを抜け出させることもできたんじゃない?」
その言葉に、遊馬は笑った。

羅夢:「ん?」

遊馬:「いや、わりぃ。羅夢の言う通りだなと思ってな。みんなを戦いに巻き込みたくないんなら、不合格にさせちまえばいいなって。けど、あいつらと一緒にいたいって考えちまうとな、つい身体が言うことを効かねえんだ」

羅夢:「結局、自分の考えに嘘は付けない…。そういうことか…」


遊馬:「次のチームを呼んできてくれ。今日には、ここを出るつもりだからな」

羅夢:「わかった。キミがそう言うなら」
羅夢は次のメンバーを呼びに、待機所に向かった。





次のメンバーは、鉄男、徳之助、チャーリー、Ⅳ、璃緒、闇川の6人だった。

先ほどと同じく制限時間は2時間で行われ、遊馬に傷を負わせれば、そこで合格が決まる。



最初に戦っていた小鳥や凌牙たちのおかげで、遊馬の技がそれなりに分かっている鉄男たちだったが、実際に画面で見るときと、自分で受けるのとはわけが違った。

遊馬の攻撃を受けてわかる。こいつは、本当に過酷な戦いを乗り越えたんだと。


苦戦を強いられたが、残り10分で鉄男が、遊馬の服の袖を破り、修行は終わった。



その後も、修行は続き、辛い修行を乗り越えて、みんなが合格を手にした。



そして…。






百々原:「ふぅ、とりあえず、みんな合格か」
元帥室で訓練所に取り付けられているカメラを通して修行の様子を見ていた百々原が一安心したかのように息を吹き、画面の電源を落とした。







羅夢:「おめでとう、みんな、合格だよ。な?遊馬…ってあれ?」
羅夢が遊馬の方を見ると、息苦しそうに息をしている遊馬がそこにいた。


遊馬:「流石に疲れた…」
胸元を押さえる遊馬が苦しそうにそう言った。


アストラル:『だらしないぞ、遊馬』

遊馬:「うるせえ、宙に浮いて歩こうともしないお前に言われたくねえ」
後ろに現れたアストラルに文句を言う遊馬。



一馬:「とりあえず、みんな合格できたか」

徳之助:「今日は、みんなの合格祝いにパーっと飲みに行くウラ!」

等々力:「トドのつもり、それはいい考えですね!」

キャッシー:「キャット!ビールすごく飲みたい!」
そう言って、みんなは盛り上がった。








小鳥:「遊馬も行くでしょ?」
嬉しそうに遊馬に聞く小鳥。


遊馬:「いや、悪いが俺はパスだ」


春:「どうした?用事でもあるのか?」


遊馬:「あぁ、実は今日から任務で、ここを離れることになっているんだ」
それを聞いて、みんなが驚く。


明里:「今日って、もう夕方よ…」

未来:「今から、ここを出るの!」


羅夢:「前々から決まっていたんだ。君たちの修行が終わり次第、任務に就くことに」
遊馬の任務のことを知っている羅夢がそう言った。


璃緒:「ですが、他の人達の修行はどうするのですか?確か、交代で修行するとかって…」
他の人達。ここにはいない、城之内や万丈目、ジャックたちのことだろう。


遊馬:「あぁ、そのつもりだったが、決まっちまったからな。その辺は、羅夢や慎也の方に引き継いでもらうさ。それに、この修行を通して、属性波動を習得した、みんなもいるんだ。アドバイスぐらいできるだろ?」

小鳥:「それはそうかもしれないけど…」

キャッシー:「でも、任務があるんなら、前もって一言いってくれれば…」

羅夢:「みんなの修行を邪魔したくなかったんだ。遊馬の気持ちを理解してやってよ」


小鳥:「…わかったわ。気を付けてね、遊馬」

遊馬:「あぁ、じゃあな」
ニコッと笑って笑顔を見せる遊馬。

そして、みんなに背中を見せる。

一馬:「頑張れよ、遊馬」

遊馬:「おう!」
背中を見せながら、遊馬は右拳を挙げて、任務に対するやる気を、みんなに伝える。



そして、遊馬は夕日へと消えた。







その日の夜



遊馬は、元帥室に訪れていた。



百々原:「小組織ビジョン、ここにデニムはいると?」

遊馬:「スターリングいや、遊星さんからの情報です」

百々原:「やはり、彼はシティに戻ってきていたか」

遊馬:「息子が大会に出場しているんです。しかも予選を突破。気になるのは当然でしょ」

百々原:「彼が、戻ってきてくれればキミへの負担も減るんだがな」

遊馬:「別に俺は負担が掛かっているとは思っていませんよ。それじゃあ、俺はそろそろ行きます」
遊馬は部屋を出ようとする。


百々原:「生きて帰ってこい。私が言えるのはそれだけだ」

遊馬:「当たり前のこと言わないでください」
遊馬は振り向かず、部屋を出る。


フロンティアの中でも、自分が生きていることを知っているのは数少ない。サングラスをかけて素顔を隠す遊馬は廊下を歩く。


ミッションウォッチからホログラムを出して、地図を見る。


遊馬:『シンガポールのリトル・インディア…。サクッと終わらせるか』
遊馬はホログラムを閉じて任務を遂行するために、シンガポールのリトル・インディアへと向かう。










時を同じくして、リトル・インディアにある小組織ビジョンの基地


入り口に、デニムが立っていた。


綺麗な夜空が地表を照らしている。


今頃、リトル・インディアの街中は盛り上がっている頃だろう。


デニム:「明後日は、雨でも降りそうだな」
何となく、明後日は何かが起こる。

その前兆が訪れるかのように、デニムはその一言を発した。



デニム:「誰が来ようと、俺の幻術で落とすまでだ」
幻術の力に自身があるデニムはそう言った。





そして、2日後の朝




昨日の夕方にシンガポールに着いた遊馬は宿泊しているホテルの窓を開けて日差しを浴びる。

遊馬:「うー!」
背筋を伸ばす遊馬は、ミッションウォッチのホログラム機能で地図を見る。


遊馬:「場所は街外れの場所。歩いて10分ぐらいか。そう遠くはないな」

アストラル:『もう行くのか?』

遊馬:「当たり前だろ。ゆっくりしていたら、手遅れになるかもしれないからな」
遊馬は部屋に戻り、支度をする。


顔を洗い、服を着る。

そして、不動遊星さんからもらった”ホープ・カードホルダー”を右腰につけて、デッキをその中にセットする。



遊馬:「準備OK。さて、行きますか」
遊馬は部屋を出てホテルを後にする。






小組織ビジョン



デニムとルーベンスは、二人きりで部屋の中で会話していた。




ルーベンス:「既に製造されているワクチンは、全て金庫へ移した。これを使えば、近い将来、我々が世界をコントロールするのも、遠くはないな。そうは思わないか?デニム」
ルーベンスがそう聞くと、ソファーに座っていたデニムが立ち上がり、窓から外を見る。


ルーベンス:「どうした?」

デニム:「今日は、雲行きが怪しいな」
デニムが空を見てそう言った。


雲行きが怪しいと言っても、空は雲一つない快晴だ。

天気予報でも雨が降る予定などない。


ルーベンス:「雨でも振るって言うのか?なら、街の連中に幻術をかけて、今日一日、快晴の中で過ごすような1日にしてやるか?」
笑って答えるルーベンス。


すると、いきなり警報が鳴った。


ルーベンス:「どうした?」
監視室に状況を聞くルーベンス。


監視員:『この基地へ接近する者がいます。面会予定のリストにはない奴です。映像を転送します』
監視員が、ルーベンスの部屋にあるパソコンにカメラの映像を転送した。


そこには、サングラスをかけた男性の影が映っていた。


樹木に身を潜めながら、基地に近づいている。明らかに怪しい。


ルーベンス:「何者だ?」

デニム:「おそらく、フロンティアの手のものだな」

ルーベンス:「お前をマークしている組織か。お前が、ここにいることがバレたということか…!」
少し慌てているような口調で話すルーベンス。


デニム:「向こうの情報網は並みじゃないということか」

ルーベンス:「ワクチンのこともある。ここで始末しなければいけないぞ」

デニム:「奴の狙いはおそらく俺だろ。ここは俺に任せてくれ」
デニムは部屋を出る。


デニム:『相手が誰であろうと、幻術に落として痛い目に遭わせるだけだ』
デニムはニヤッと不気味な笑みを見せる。






小組織ビジョンの基地にいる者たちにバレないように身を潜めながら基地へ近づく遊馬。


アストラル:『遊馬、どうやら隠れて近づくのは無理があるようだ』

遊馬:「だよな…」
どうやら遊馬もアストラルも気づいていたようだ。あちこちに監視カメラが樹木に取り付けられている。

俺がいることは、向こうにはバレていることだろう。



エリファス:『任務遂行中か』
遊馬が首にぶら下げている皇の鍵のペンダントがピカッと光ったかと思えば、エリファスがアストラルの隣に現れる。


遊馬:「エリファス…。どうした?俺はこれから、敵の陣地に突っ込むんだけどよ」

エリファス:『アストラル世界で兆しがあった』

遊馬:「?」

アストラル:『兆し…ですか…』

エリファス:『あぁ、空の色が変わることのないアストラル世界だが、少し前から空の色が徐々に変化し、空気も重くなっている。これは、かつてバリアンと戦ったときと同じだ』

遊馬:「バリアンが、いやドン・サウザンドが動くのか?」

エリファス:『それはわからない。だが、奴らがいつ来てもいいように、アストラル世界は万全の態勢を―』
エリファスが話している途中、ビジョンの基地から警報音が鳴り響いた。


遊馬:「エリファス、話しはこの後じっくりしようぜ」

エリファス:『わかった。気を付けてな』
エリファスが、その場から消える。


遊馬:「行くぞ、アストラル」
そう言って、遊馬は基地に向かって走り出す。


宙に浮くアストラルは、遊馬の後について行く。


遊馬は正門を潜り、いつでも敵が攻撃して来てもいいように、ナディエージダを手に持つ。


しかし、遊馬は正門を潜ってからしばらく走っていて気になった。

敵の姿が全然なかったからだ。


警報音は鳴っている。だが、敵が出てこないは不自然だ。


アストラル:『遊馬、様子がおかしいぞ』

遊馬:「あぁ、敵が出て来ねえ」
その場に止まる遊馬は、周りを見渡す。


すると、いきなり遊馬の足場が波のように揺れ出す。

遊馬:「チッ」
遊馬はその場からジャンプし、近くに立っていた石像の前に立つ。


すると、いきなりその石像が動き出し、遊馬に拳をぶつけてきた。

遊馬は拳に当たる直前に躱した。

遊馬:「ドッキリには使えるものだな」
動き出した石像を見て面白うそうにそう言った遊馬。

そして次は、地面から火柱が吹き出した。


遊馬:「おっと」
遊馬は身体を捻って火柱を躱す。


遊馬:『敵は…一人か…。しかも、こいつは…』
遊馬は地面に着地し、自分の身体にデュエルエナジーを溜める。





遊馬:「はっ!」
身体に溜めたデュエルエナジーを解き放ち、本来の風景を、その目に映す。


そう、さっきまで、自分が見ていたものは、全て幻。正門に入ってから幻術にかかっていたのだ。



デニム:「俺の幻術を、簡単に破るとはな」
基地の入り口の前に立つデニムが遊馬を見る。


遊馬:「デニム、やっぱりお前の幻術か」

デニム:「俺のことを知っているということは、やはりフロンティアの手のものか。幻術を解いたということは、相当できる奴と見える。何者だ?」
デニムが一歩ずつ前に出て聞いた。


遊馬:「本名を名乗ったら、元帥に怒られるからな。ここは、コードネームを名乗らせてもらうぜ…。ロストだ」

デニム:「ん?ロスト。そのコードネームどこかで…」

遊馬:「四大神王者って聞いたことあるだろ?世界勢力の四大神王者だ」

デニム:「まさか、そのNo.4のロストだと言いたいのか?」

遊馬:「さあな」
遊馬は少し笑ってそう言った。


デニム:「こいつは面白い。運命ってやつだな。世界勢力の中でもっとも強いと言われている四大神王者の1人がここに来てくれるとは、幻術の力を上げるワクチンの効果を試すのに、相応しい実験素材だ」

遊馬:「幻術の力を上げるワクチンだと…?小組織ビジョンは、幻術の力について研究を続ける組織と聞いていたが、なるほどな。それで、お前は、ここのリーダーと接触していたということか。そんなもんを作ってどうする気だ?」
遊馬はデニムに聞いた。

すると、デニムはその場に足を止める。

デニム:「幻術の力を世界に見せつけ、世界をコントロールする。それが、俺の目的だ!」

遊馬:「俺?俺たちじゃないのか?」

デニム:「ここにいる連中は、ワクチンを作るためだけに利用したまでだ。俺の目的には正直邪魔な存在だ」
そう言って、デニムは懐から注射器を出す。

遊馬:「それがワクチンか?」

デニム:「あぁ、まあ、俺の幻術は、こんなもんを使う必要がないほど強いがな」

遊馬:「随分、自信があるんだな。だが、ワクチンを使っなて、世界をコントロールするって無理があるだろ」
呆れたように遊馬は言った。

デニム:「いや、できるさ。こいつを使えば、広範囲に幻術をかけることができる。今みたいに幻を見せることもできれば、マインドコントロールすることもできる。そうなれば、人間なんて簡単に壊れるものだ」
デニムが注射器を腕に近づける。


デニム:「まずは、お前で試してやる。このワクチンの恐ろしさ―」
デニムが針を腕に刺そうとしたとき、遊馬は手に持っているナディエージダから弾丸を放ち、注射器を破壊した。

デニム:「っ!」

遊馬:「そいつを打つよりも、俺が撃つ方が早いぜ」


デニム:「ちっ」

遊馬:「お前のことだ。他にもあるんだろ?注射器が」
遊馬は見抜いていた。デニムの懐には、他にもワクチンを体内に入れる注射器を持っていることに…。

デニム:『こいつの前じゃ下手にワクチンをことはできないか…』
ワクチンを打って、すぐに幻術をかけて終わりにするつもりだったようだが、デニムの考えは甘かった。



動揺しているのか動きを見せないデニムだが、遊馬はデニムの腰にあるものがついていることに気付いた。

そうD・パッドだ。タブレットPC状の携帯端末でデュエルディスクにもなるものだ。


遊馬:『ここんとこ、やってなかったし丁度いいか』
遊馬は銃を下ろす。

デニム:「?」

遊馬:「お前、デュエルできるんだろ?」
遊馬がそう言うと、デニムは自分の腰につけているD・パッドを見る。


遊馬:「デュエルで決めようぜ。俺が負けたら、俺はここから手を引く。お前の好きにしろ。だが、俺が勝ったら、ワクチンを全て破壊する。開発データも全部な。どうだ?デュエリストなら、受けて立つよな?」
遊馬も手元にD・パットを出す。


デニム:「いいだろう。その条件、飲んでやる」
デニムは腰につけているDパットと手に取り、左腕に付けた。


遊馬:「そうこなくちゃっな!」
遊馬は赤いD・パットを上に投げる。

D・パットが変形し、左腕に取り付けられる。


そして、両者とも左目に小型視覚装置のD・ゲイザーをつけた。

つまり、ARデュエルをやるということだ。


アストラル:『久しぶりのデュエルだ。油断するな』


遊馬:「お前に言われなくても分かってるよ」

デニム:「なに独り言話してんだ。とっととやるぞ」

遊馬:「あぁ、こっちは準備OKだ。行くぞ!」


「「デュエル!!!」」
両者の掛け声と共にデュエルが始まった。



両者
LP4000



手札5枚を準備する。



1ターン


遊馬:「先行はもらうぞ!俺のターン、ドロー!」
遊馬がデッキからカードをドローし、手札が6枚になる。


遊馬:「俺は”アチャチャアーチャー”を攻撃表示で召喚!!」
弓矢を持つ騎士がフィールドに現れる。


アチャチャアーチャー
LV3 攻撃力1200


遊馬:「アチャチャアーチャーの効果発動!このカードが召喚に成功したとき、相手ライフに500ポイントのダメージを与える!」
アチャチャアーチャーは、弓矢の先に炎を灯すと慌てるように「アチャチャ!」とドジっ子を披露して矢を放つ。

デニム:「っ!」


デニム
LP4000 → 3500


デニム:「いきなり、効果ダメージか。だが、これぐらいのライフなどくれてやる」


遊馬:「それはどうも。だが、俺は効果ダメージが発生したことで、手札からこいつを特殊召喚する。来い!”アチャチャチャンバラー”!!」
2本の刀を持つ武士が遊馬の場に現れる。


アチャチャチャンバラー
LV3 攻撃力1400


遊馬:「このカードが特殊召喚されたとき、相手ライフに400ポイントのダメージを与える!」
アチャチャチャンバラーは、両手に持つ2本の刀で、デニムを斬り裂く。


デニム:「っ!」
2回連続でダメージを喰らったデニムは胸を押さえる。


デニム
LP3500 → 3100


デニム:「ダメージを与えながら、モンスターを2体出してきたか」


遊馬:「これだけじゃないぜ!俺の場にはレベル3のモンスターが2体!」

デニム:「っ!」


遊馬:「俺はレベル3のアチャチャアーチャーとアチャチャチャンバラーでオーバーレイ!!」
2体のモンスターが中央の渦に引き込まれる。


遊馬:「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
中央の渦が大爆発を起こし、海の怪物が現れる。

遊馬:「現れろ!”No.17リバイス・ドラゴン”!」
遊馬の場に現れたランク3のエクシーズモンスターが羽を広げて、威圧感をデニムに向ける。


No.17リバイス・ドラゴン
ランク3 攻撃力2000


デニム:「ナ、ナンバーズだと!!?」


遊馬:「先行は最初のターン攻撃はできない。。俺はカードを1枚セットし、ターンエンド」
遊馬はカードを1枚セットし、ターンを終了した。
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