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外伝ストーリー第1部:『最終修行!VS遊馬』








遊馬:「そいつは確か…」
フロンティアが所持する訓練場。樹木が立ち並ぶ、その中で四大神王者No.4の九十九遊馬と、フロンティアSOA特務隊6係リーダーの実野塚羅夢が話していた。


羅夢:「ワックスポワロ事件で関わっている奴だ。少し前に釈放されたらしいんだが、その後の行方が分からないみたいなんだ」


遊馬:「フロンティア上層部は、そいつを追っているのか?」


羅夢:「そうしようとしているみたいだ。なんせ、あの男と一緒にいた男なら、バリアンについての手掛かりが手に入るんじゃないかという考えらしい。キミも任務のメンバーリストに入っていたよ」

遊馬:「第2の修行が始まったって言うのに、いきなり外に出なきゃいけないのかよ」
遊馬は今、小鳥や凌牙たちの修行を見ている。属性波動の習得の修行だ。

羅夢:「元帥の話しじゃ、強制はしないって言ってたが…」

遊馬:「いいさ。出られる時に出て、任務は遂行するさ」
少し笑って、遊馬は言った。



羅夢:「…デニム。ワックスポワロ事件の首謀者の1人。プリズンに連行されたが、刑はそんなに重くならず、一般牢獄所に移動。1年半ほどの刑を服し、釈放」
ミッションウォッチからホログラムを出して、ワックスポワロ事件の首謀者の1人デニムの履歴を出して言った。


ワックスポワロ事件は今、遊馬が修行についている小鳥たちに取って初めての任務であった事件だ。


そして、その事件の中、大切な仲間の命が奪われた。

矢橋ライト。SOA特務隊4係に所属していた仲間。フロンティアのメンバーでも、遊馬の存在を知っているものは数少ない。

そんなライトは、遊馬と仲をよくしていた。




遊馬:「狂言より罪は軽いと思っていたが、まさかこんなに早く出てくるとはな。流石に油断してたぜ」

羅夢:「奴は幻術を得意とする力を使ってくる。下手に動けば、奴の罠にはまる」

遊馬:「安心しろって。俺だって幻術の力を持つ奴と沢山戦ってきたし、四大神王者には幻術の力を使う人もいる。幻術返しには自信がある方だ」
と自信満々に発言する遊馬。


羅夢:「キミのことだ。あまり心配はしていないさ。だが、みんなにはどう説明する?任務に入る以上、修行は見れないが…」

遊馬:「修行の方も、最後まで責任を持つぜ。元帥に頼まれたから。だから、みんなには、このこと内緒にしてくれ。心配させて、みんなの集中を切らしたくはないから」
遊馬は羅夢にそうお願いした。


羅夢:「わかった。約束しよう」
羅夢はそう言った。


そして、遊馬は、この場を後にする。



遊馬:『何事もなければいいが…』
遊馬は心の中で呟く。






デュエルバトルカーニバル選手権が開催されている中、遊馬は動いていた。

新たな事件を解決するために…。









外伝ストーリー第1部:『最終修行!VS遊馬』





遊馬から、みんなに与えた第2の修行。それは属性波動のコントロールだった。


期間内に、実戦で使えるほどまで属性波動をコントロールできたら第2の修行は達成される。



遊馬:『属性波動のコントロールは自分のセンスも問われる。かなり厳しい修行だが、こればっかりは、自分を信じないと達成できない修行だ』
サングラスをかけて素顔を隠して街中を歩く遊馬。


すると、街中の店にあるテレビに注目した。


テレビに映るニュースは今、この街で開催されている第5回デュエルバトルカーニバル選手権の内容だった。



映像には、フロンティアのメンバーから出場している不動一星が映っていた。


遊馬:「へえ、順調に勝ち進んでいるんだな。流石は、あの人の息子だぜ」
遊馬は知っている。一星の父のことを…。なぜなら、彼の父もまた遊馬と同じ領域に立つ人物なのだから。


遊馬:『そう言えば、しばらく会っていないな。今、どこにいるんだ』
その人が、今どこで何をしているのか知らない遊馬。


仲間として、やっぱり気になる。



遊馬:『連絡してみるか…』
遊馬は携帯端末を手に取って見つめる。


遊馬:『いや、任務中かもしれねえからやめよう』
遊馬はそう言ってポケットに携帯端末を収める。




アストラル:『いいのか?こんなところにいて?』
遊馬の背後にアストラルが現れる。



遊馬:「アストラル」
いきなり背後に現れたアストラルに少し驚く遊馬。

因みに、周りにいるみんなはアストラルが見えていない。

つまり、遊馬の会話は周りの、みんなからは独り言に見えるということだ。



アストラル:『みんなの修行を見なくていいのか?』
アストラルがそう聞くと、遊馬は軽くため息をつき歩き出す。


遊馬:「俺がいなくても、みんな自分のやるべきことは見つけられるさ」

アストラル:『君は、彼等が戦いに参加することは反対していたんじゃなかったのか?それをなぜ今更になって、属性波動の習得を手伝う?』
遊馬は小鳥や凌牙、それに両親を戦いに参加させることを最初は反対していた。

いや、俺だけじゃない。四大神王者の全員が同じ気持ちだった。

皆には普通の生活を送っていて欲しかった。


そうすれば、戦いの世界に入ることもなく、その世界にいる俺と会うこともなかった…。



遊馬:「フッ、こうなることは内心わかっていたからな。それに、今更止めても、向こうは聞かないだろ」
遊馬は少し笑ってっそう言った。


その顔は、諦めたときの顔をしていた。


アストラル:『後戻りはできないということか…』

遊馬:「それより、そっちはどうした?エリファスは?」
遊馬が話しの内容を変えた。



アストラル:『エリファスは今だアストラル世界でバリアン世界の動きを見ている。最も、向こうは今だ動きそうにないがな』

遊馬:「そうか…」

アストラル:『ダイシャラス王国で出会ったバリアン8人衆。そして、その裏で動くドン・サウザンド。奴らが、一体何を狙っているのか皆目見当がつかない以上、こちらも動きようもない。バリアンの情報を持っていると思われるダイシャラス王国の第2王子バギーは連れ去られてしまったし、狂言はプリズンの獄中で殺害されてしまった』

遊馬:「その殺害もおそらくやったのはバリアンの仕業だろう。プリズンの獄中にいる奴を殺害するなんて、普通の人間にはできないからな」
遊馬がそう言うとアストラルは軽く頷いた。


アストラル:『口封じのために殺したと考えるのが妥当だろう』

遊馬:「バリアンの情報を持つ奴は数少ない。だから、フロンティア上層部は、狂言と一緒にワックスポワロにいたあいつをマークしていた」

アストラル:『デニムと言う奴か。消息を経ったらしいが、あの男がどこにいるのか心当たりとないのか?』

遊馬:「それが全然。あいつの情報は全然持っていなかったからな」
開き直ったかのように遊馬は言った。


アストラルはため息をついた。

アストラル:『君は、たまにどこか抜けていることがある。だから、他の四大神王者と差がつく』

遊馬:「うっ」
アストラルの一言が遊馬の心臓を矢が指した。


遊馬:「まあ、デニムの捜索はフロンティア上層部や羅夢も動いている。何とかなるだろう」

アストラル:『計画性が全然ない』

遊馬:「悪かったな」
ムスッとした顔で遊馬が言った。










---------------




あれから2週間ほどが経過した。


第2の修行の成果。それを確認する日が来た。



みんながいる、その場所に遊馬と羅夢が現れる。




羅夢:「みんな早いね」
みんなが揃っていることに驚く羅夢。


鉄男:「この2週間の修行の成果を、早く遊馬に見せたくてな」
自信満々にそう言ったのは、遊馬の幼馴染の鉄男だった。


遊馬は「お?」っと鉄男の表情を見て言った。


他のみんなの表情も鉄男と同じような表情をしていた。


この2週間、任務の方を優先していたため、修行の様子を見に来れなかったので、正直少し心配していた遊馬。


遊馬:『どうやら、余計なお世話だったようだな』
フッと笑う遊馬。


遊馬:「よし、それじゃ第2の修行の成果を見せてもらおうか。まずは小鳥だ」
遊馬が名前を呼ぶと小鳥は無言で前に出てきた。



小鳥はフェアリー・アーチャリーを使って修行をしていた。


だが、光の矢を生成した後、属性波動を流すのが難しく行き詰まっていた。

そこで遊馬が与えたヒントは、矢を生成してから属性波動を矢に流し込むのではなく、矢の生成と同時に属性波動をコントロールして矢に流し込むことを教えた。


教えた成果は出ているのか。


小鳥はフェアリー・アーチャリーを構える。


その間に遊馬の背後に小鳥が現れる。


そして、小鳥は右手に光の矢を生成している。




よく見ると、その矢はただの光の矢ではないことに遊馬、アストラル、羅夢は気付いた。


アストラル:『風属性の波動』


羅夢:「この短期間で、よく見に付けたね」


遊馬:「よし、小鳥。向こうの岩に向けて、その矢を放て見ろ」
遊馬は自分の身長と同じぐらいのサイズの岩を指さして矢を打つように命令する。


小鳥は頷き、フェアリー・アーチャリーに矢を装填し、思いっきり放つ。



風属性の波動を纏った矢は岩に直撃した。

だが、突き刺さるのではなく、岩の中に寝見込まれ、矢の先端が逆サイドから突き出た。


完全に貫通したわけではないが、身につけてここまでできるのは相当のものだ。


羅夢:「初心者でここまでとは。文句なしだな」

遊馬:「ああ、第2の修行達成だ、小鳥」
第2の修行、まずは小鳥が合格した。


小鳥:「よしっ」
軽くガッツポーズをする小鳥。


遊馬:「よし、次はシャークだ」
凌牙を指名する遊馬。

「あぁ」とポーカーフェイスで前に出る凌牙。


ブラックレイ・ランサーのデュエルギア”ブラックランサー”を手に出す凌牙。


槍全体に黒いオーラが纏われる。


遊馬:「シャークは確か、闇属性の波動が今は一番流れていたな」

羅夢:「デュエルギアに闇が纏われているのが一目でわかるね」
2人の目には凌牙が持つブラックランサーに闇属性の波動が流れていることを確認した。


そして、凌牙は闇属性の波動が纏ったブラックランサーを樹木に投げ飛ばした。

投げ飛ばしたブラックランサーを目で追う遊馬。


ブラックランサーは樹木に突き刺さった。

しかもそれだけじゃない。突き刺さったと同時にブラックランサーに纏っていた闇の波動が解き放たれ、風圧を起こし、隠れていた鳥たちが逃げて行った。


羅夢:「デュエルギアに闇の波動を纏わせ、それを解き放つことも学んだか」

遊馬:「これは、ひょっとすると俺が想像していたよりも、かなり力を身についているかもな。文句なしだ、シャーク」
遊馬がそう言うと、ドヤ顔で凌牙はフッと笑った。

遊馬もその顔を見て、相変わらずな態度だな、あいつ…のような表情を見せる。


遊馬:「それじゃあ、次は」
遊馬が次の名前を呼ぼうとする。


カイト:「俺だな」
遊馬が名前を呼ぶ前にカイトが前に出た。


遊馬:「流石に、気付くか。じゃあ、見せてくれ」
遊馬がカイトにお願いする。


ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴンの青龍刀の形をしたデュエルギア”ギャラクシー・サーベル”を手に出すカイト。


羅夢:「確か彼も風属性の波動が一番流れていたな」

遊馬:「あぁ、カイト。波動を流し込んだら、小鳥と同じであの岩に向かって斬撃を放ってくれ」
さっき小鳥がフェアリー・アーチェリーから放った矢が貫通した岩を指さす遊馬。


カイトは風属性の波動をギャラクシー・サーベルに流し込む。


ギャラクシー・サーベルの刀身に風の渦が巻く。


アストラル:『ほお』
ギャラクシー・サーベルの刀身を見て感心するアストラル。


そして、カイトはギャラクシー・サーベルを振り、斬撃を放つ。



放たれた斬撃は岩に直撃した。



そして…。


シュパーン

斬撃は岩を斬り裂き縦に真っ二つになった。


これには、みんなも驚いた。


ハルト:「兄さん、すごい…」

ドロワ:「たった2週間で、ここまで…」

等々力:「やってきたことは、僕たちとそう変わらないはず…」
唖然とする空気の中、遊馬と羅夢は話していた。


羅夢:「天城カイト、どうやら属性波動を一番マスターしたのは彼かな」

遊馬:「そうかもな」


アストラル:『流石カイトだ。飲み込みのスピードが速い』
アストラルも感心した。


そして、遊馬はカイトを見る。


遊馬:『カイトはギャラクシーアイズを使いこなすデュエリストだ。もしかしたら、バリアンが狙ってくる可能性も十分あり得る。あいつには、もっと強くなってもらわないとな』
遊馬は心の中で呟いた。



遊馬:「よし、次々行くぞ!」
そう言って遊馬は、他のみんなの修行の成果を見る。


エースのマークを持つⅤ、ドルべ、アンナ、ゴーシュは勿論クリアした。

他にも、鉄男、ドロワ、Ⅳ、ミザエル、一馬など次々と第2の修行の成果を見せて、第2の修行をクリアしていく。




そして、徳之助…。


遊馬:「若干、波動の流れに不安定はあるが、まあいい。徳之助もクリアだ」

徳之助:「よっしゃーウラ!」
徳之助が大喜びした。それもそのはず。徳之助がクリアしたということは、第2の修行を受けた者たち全員がクリアしたのだ。



羅夢:「おめでとう、みんなクリアだよ」
笑って羅夢もみんなに、その言葉を送った。



遊馬:「さて、最後の修行だ」
遊馬が近づいてきて、最後の修行について話しをしようとする。







遊馬:「前にも言ったが、最後の修行は数人でチームを組み、時間制限付きで俺とバトルしてもらう」
数名でチームを組み、遊馬1人を相手に訓練場の中でバトルする。それが最後の修行だ。

羅夢:「修行の決行は、2日後。チームメンバーやルールは、その日に発表するよ」
羅夢がそう言うと、遊馬のミッションウォッチのメール受信のアラートが鳴る。

遊馬はミッションウォッチに届いたメールを見る。


遊馬:「それじゃあ2日後までは各自、自分に合ったトレーニングを行ってくれ。今日は終わりだ」
まだ午前中だが、今日の修行の時間は終わってしまった。


そして、遊馬は走ってどっかへ行く。


明里:「ん?遊馬?」

鉄男:「あいつ、どこに行くんだ?」
走る遊馬を見て疑問を抱く鉄男たち。



羅夢:『そう言えば、今日は上層部で会議があったっけ?』
羅夢は会議のことを思い出し、遊馬がその会議に呼ばれたんじゃないかと予想した。









数十分後



フロンティア本部

とある会議室


その中に、百々原元帥や十天老士の人たちがいた。


そして、会議室の扉の前に遊馬が立つ。

遊馬は、そのまま扉を開け、会議室の中へ入った。


既に中で待っていた元帥たちが会議室へ入ってきた遊馬を見る。


遊馬は、サングラスを取り外す。

前にも言ったが、四大神王者の正体を知っている者は、フロンティアの中でも数少ない。

そのため、フロンティアの中でもサングラスをかけて歩くのは常である。


百々原:「よく来てくれた、遊馬。修行の方はどうだ?」

遊馬:「みんな、かなりの成長ぶりだ。俺が心配するまでもないぜ。後は、2日後の最終試験で、みんなの力を見るだけだ」
遊馬が修行について現状報告をする。

百々原:「そうか、それは何よりだ」
遊馬から修行の状況を聞いて百々原は少しホッとしたようだ。



ランセツ:「元帥、今は修行のことなどどうでもいいはずだ」

ヴォッカ:「急いで、会議を始めましょう。今日のお題は行方を眩ましたデニムについてだ」
右目に斬り傷を負っているランセツと、胸元を出し、白い胸毛を見せるヴォッカ、十天老士2人が、腕を組んでそう言った。


百々原:「そうだったな。では、会議を始めるとしよう。内容は、御存知だと思うが、数日前に行方を眩まし姿を消したワックスポワロ事件の首謀者の1人デニムだ。彼は、狂言と共に行動していたため、今、政府でも騒いでいるバリアンについての情報を持っている可能性が高いと見て、フロンティアは、彼をマークしていた」

ヤバ:「だが、奴は牢獄を出た後、どこかへ姿を消し、我々のマークから逃げた。この件に伴って、ロスト貴様に聞きたいことがある」
ロストというのは、四大神王者No.4である遊馬のコードネーム的なものだ。


ヤバ:「貴様もバリアンを追っているのであれば、なぜ奴を警戒しなかった。本来、奴をマークするのは、我々の仕事ではなく、貴様の仕事だろう」
ヤバが遊馬を指さしてそう言った。


遊馬:『また、人の所為にする。だから、嫌なんだよな、十天老士は』
遊馬は心の中で呟く。



遊馬:「俺が掴んでいた情報は、狂言とダイシャラス王国元王子バギーがバリアンと繋がりがあるということだけだった。デニムの名前は上がっていなかったし、何よりワックスポワロ事件の首謀者リストを提供したが、アンタらは許可できないと言って、俺に見せなかっただろう」
遊馬も、相手が悪いように言って、反撃した。



ヤバ:「そ、それは貴様に情報を見せる必要がないと思ったからだ」

遊馬:「どうしてだ?」

ヤバ:「ええい!資料を見せたところで、何になると言うのだ!狂言と一緒にいた以上、バリアンのことを知っていると察しがつくだろう」
逆ギレするヤバ。


遊馬は、ヤバの逆ギレ顔を見てプッと笑った。


遊馬:「どうして、そうやって子供みたいに人の所為にできるのかな、あんたらは」
遊馬がそう言うと、十天老士たちが反発した。


宝井:「何だと貴様!誰に口を聞いているのか分かっているのか!」

エツジン:「聞き捨てならん!今すぐ、こいつに罰を与えろ!」
十天老士が怒りながら、遊馬に色々反発する。

百々原:「やめんか!」
百々原が怒鳴り声を上げて、十天老士が静まり返る。


百々原:「四大神王者には、四大神王者の仕事がある。リストを手渡さなかったヤバ氏に責任はあると見なす」

ヤバ:「なっ!元帥!」
元帥の言葉に驚愕するヤバ。


百々原:「遊馬、ワックスポワロ事件の資料および、首謀者のリストは後ほど目を通してくれ。時間はあまりないと思うが」
百々原は遊馬を見てそう言った。


ヤバは遊馬を憎い目で見つめる。


ヤバ:『なぜ、貴様ほどの男が信用されるのだ…!私は認めんぞ』
普段から目つきが悪いヤバの目は更に悪くなっていた。


そして、それは他の十天老士も同じだった。

十天老士は、四大神王者を警戒している。

世界の均衡を保つために存在するとはいえ、力を持ちすぎる者たちである。

近い未来、この者たちが世界を暗躍する可能性があると踏んでいるからだ。






遊馬:『この目線…。いつまで経っても変わらないな』
遊馬は10人の老人たちの目線を気にして、心の中で呟いた。










とある街外れにある施設



多元世紀になってから、世界は国家政府が中心となり、更に世界に点在する組織が武力争いをし、領土を取り合うことがよくある。

更に組織は”組織階級”というものが存在し、小組織、中組織、大組織の3つに階級付けされている。


ここは、その中の小組織に位置づけされている組織の基地。

名は”ビジョン”。

組織人数は20名ほどしかいない。

だが、この組織は争いにはあまり参加しない組織である。


この組織が一番手を入れていることは、幻術の能力を上げる研究である。


ビジョンに所属する人々は、全員が幻術の能力を使える者たちだけだ。

その幻術の力をパワーアップさせることで、人々をコントロールし、世界にビジョンの力を見せつけ、世界のバランスを自分たちで制御すると言う計画を将来は立てている。



ビジョン部下:「失礼します」
白衣を着たビジョンの隊員が、ビジョンのリーダーの部屋の中へ入った。


ビジョン部下:「ルーベンスリーダー。あの方がおらっしゃいました」
デスクの前に立つサラサラヘアの長い黒髪の美形男性が部下を見つめる。

ルーベンス:「よし、通せ。すぐに、ここに連れて来い」
ルーベンス・ビジョン。小組織ビジョンのリーダーである。幻術の能力をパワーアップさせようと研究を積み重ねている人でもあった。







ビジョンの基地の前に立つ1人の男性。その前に、出迎えの人が現れる。


ビジョン部下:「リーダーの許しが出た。リーダーの部屋までお連れします」

デニス:「よろしく頼むぞ」
ワックスポワロ事件の首謀者の1人デニム。幻術の力を得意とするデュエリストだ。


デニスはビジョンの部下に誘導され、基地の中へ入り、リーダーのルーベンスがいるところまで歩く。




ビジョン部下:「リーダー。デニス氏をお連れしました」

ルーベンス:『よし、中へ入れ』
部屋の中からルーベンスの声が聞こえ、部下は扉のドアノブに触れて扉を開けた。

デニスは部屋の中へ入った。



ルーベンス:「久しいな、デニス」

デニス:「はあ、相変わらず、その美形は保っているんだな」
呆れたかのように話すデニス。

2人が合うのは本当に久しぶりである。

デニスが牢獄に入っている間は、まともに話しもできなかったのだから。




ルーベンス:「あとは、俺たち二人で話し合う。下がっていいぞ」
ルーベンスの言うことを聞いた部下はすぐに部屋を出た。



ルーベンスとデニスは、部屋にあるソファーに座って話し合う。


ルーベンス:「獄中生活はどうだった?」

デニス:「楽しいことなど、何もなかったさ。只管働かせ、働き終われば檻の中。一日が詰まらなかったさ」
デニスがテーブルの上にあるコーヒーを飲む。


ルーベンス:「お前と一緒にいた狂言のことは聞いているのか?」

デニス:「あぁ、プリズンの牢獄の中で死んだらしいな」

ルーベンス:「誰の仕業だと思う?あのプリズンの牢獄の中に入って、囚人を殺せる奴なんてそういないだろう」
ルーベンスがそう聞くと、デニスは目を瞑った。


デニス:「俺には、まったく心当たりがない。奴は、力を手に入れるために研究を積み重ね、そのために人間を実験材料に使っていた。キュミルと一緒にな。憎まれることなんて、沢山あったからな」

ルーベンス:「我々のやっていることも似たようなことだがな」

デニス:「だが、俺たちは人間を実験の材料にはしていないだろ。憎まれることなんてねえさ。それより、実験はうまく行っているのか?」
デニスが手に持っていたコップをテーブルに置く。


ルーベンス:「あぁ、7割と言ったところだ」

デニス:「幻術の力をパワーアップさせる力。これさえ、完成すれば少ない人数でも、人々を一気にコントロールする力が手に入る」
デニスが少し笑って言う。


すると、ルーベンスが大きなスクリーンに映像を流す。


ルーベンス:「幻術の能力を上げる我々が開発した特別なワクチン。これを体内に取り込むことで、幻術のちからを解放したとき、広範囲に幻術をかけることができる」
映像に映るのは緑色の液体が入った注射器と、その注射器を何者かの腕に指す映像だった。

ルーベンス:「全てはデニス、お前のおかげだ。お前が、ワクチンの開発に協力してくれたから、これができた。感謝するぞ」

デニス:「今更、礼を言うことでもないさ。それに俺自身も幻術の力を簡単に上げる方法があるのか、気になっていたからな。後は実践あるのみだ」

ルーベンス:「そうだな」
ルーベンスはポケットからUSBを手に出し、それをデスクの中へ入れた。


このUSBには、ワクチンのデータが全て入っている。関係のない者が見てしまっては困るものだ。

厳重に保管する必要がある。


デニス:「それとお前に1つ伝えておかなければいけないことがある」


ルーベンス:「ん?なんだ?」

デニス:「詳しいことはわかっていないが、どうやら大組織フロンティアの連中が俺をマークしているらしい」

ルーベンス:「何?」

デニス:「マークしていた奴の目を盗んで、ここに来たから、ここのことはバレていないと思うが、いずれバレるときが来るはずだ」

ルーベンス:「フッ、その時は、幻術で返り討ちしてやるさ」
ルーベンスは映像を消してそう言った。









時間は既に夜。


サングラスをかけて素顔を隠す遊馬は、噴水のある広場のベンチに座っていた。

今日は、いつもより人がおらず、遊馬にとってはあまり警戒せずにのんびりできる時間だった。


元帥経由で、ワックスポワロ事件の資料とその首謀者たちのリストを見終え、一休みしていたところだ。

アストラル:『何かわかったのか?遊馬』

遊馬:「いいや、資料は一通り目を通したが、これと言って当てのある情報はなかったわ。ただ、わかったことが一つだけある」

アストラル:『それは、なんだ?』

遊馬:「デニムは、どこかの組織と一緒に幻術の力を上げるワクチンを研究していたらしい」
資料に書かれていたことを思い出して口に出す遊馬。

アストラル:『幻術の力を上げるワクチン…。そんなものを作ってどうする気だ?』

遊馬:「そんなこと、俺に聞くなよ。直接あいつに聞いてくれ。と言っても、デニムがどこの組織と接触していたのかまでは、資料には書かれていなかったがな」

アストラル:『遊馬。まさか、デニムは…』

遊馬:「あぁ、その組織の本拠地にいる可能性もあるな。だが、一体、どこの組織なのかが皆目見当がつかねえ」
遊馬がダルそうにそう言った。



すると、遊馬が座るベンチの真横に、1冊の資料が投げられた。


???:「おそらく、奴が接触していた組織は、そこだ」
ベンチの後ろから声。1人の男性が樹木にのしかかって腕を組んでいた。


アストラル:『あ、あなたは…!』
アストラルは背後にいる男性を見て驚く。


遊星:「久しぶりだな、遊馬」
その男性が、月の光に照らされる。


遊馬:「ゆ、遊星さん…!あっ」
つい大きな声を出してしまった遊馬はすぐに手で口を塞ぎ、周りを確認する。


そう遊馬の前に現れた自分と同じ四大神王者であり、そのNo.3に当たるレジェンドデュエリスト不動遊星だった。


誰もいないことを確認し、小さい声で遊星に話しかける。


遊星:「どうして、シティに?」
遊星がなぜネオコーポレーションシティにいるのか気になる遊馬。


遊星:「息子がデュエルバトルカーニバル選手権に出場しているからな。その様子を見に来た」

遊馬:「息子さん、予選は通過したみたいですね。初めて出場するのに対したもんです。流石、殿堂入りチャンピオン・名人の息子ですよ」
殿堂入りチャンピオン・名人というのは、四大神王者No.3スターリングこと不動遊星の別名である。


第1回、第2回のデュエルバトルカーニバル選手権を連続優勝し、殿堂入りを収めたために、付けられたものである。


遊星:「2回優勝しただけだ。名人なんて異名は俺には似合わん」
遊星は無表情でそう言った。


遊馬は、遊星が持ってきてくれた資料を手に取る。


遊馬:「小組織ビジョン?」

遊星:「あぁ、リーダーのルーベンス・ビジョンを先頭に、幻術の力をメインに操る20名ほどの組織だ。噂じゃ、幻術の力をパワーアップさせるものを研究しているらしい」
遊星が小組織ビジョンの説明を軽くした。


遊馬:「どうして、あなたが、この資料を持っているんですか?これ、どう見てもフロンティア資料保管庫にある奴ですよね?」

遊星:「少し前の仕事で必要だったときに、資料保管庫にある資料を一部、コピーしてきた奴だ。その中に偶々ビジョンの資料もあっただけだ。慎也から聞いたぞ。行方を眩ましたデニムの後を追っているらしいな」

遊馬:「あの人と会ったんですか…」
遊馬は資料を1ページずつめくる。

すると、気になるページを見つけた。

遊馬:「これは…」
それは、とある場所で撮られた写真だ。


その写真には、ビジョンのリーダーであるルーベンスと、デニムが向かい合って座っていた。


遊星:「3年前の写真だ。一時期、フロンティアが小組織ビジョンの足取りを追っていたときに撮られたものだ。ルーベンス・ビジョンとデニムは3年ほど前から接触していることが目撃されている」

遊馬:「ビジョンは、幻術の力を得意とする組織。そして、デニムもまた幻術の力を得意とするもの」

遊星:「お互いに接点はある。行ってみる価値はあるぞ」

遊馬:「場所は、シンガポール・リトル・インディアの外れか。シンガポールの観光地の1つじゃねえか」
遊馬が写真に映るリトル・インディアの風景を見てそう言った。


アストラル:『どうする?行くのか?』

遊馬:「せっかく遊星さんが教えてくれたんだ。行ってみる価値はあるだろ」
遊星が持ってきてくれた資料を閉じる遊馬。


遊星:「それと、遊馬。お前に、お土産だ」
遊星はミッションウォッチから粒子化していたある物を出す。

遊星:「お前専用のデッキケース”ホープ・カードホルダー”だ」
そう言って、遊馬に手渡したデッキケース。

黄色と白をメインに腰につけるデッキケースのようだ。

遊馬:「遊戯さんから話しは聞いています。これが噂のものですか」
受け取ったデッキケースを隅から隅まで見る遊馬。


ケースの中央の黄色い円は”No.39希望皇ホープ”の胸元を意識してデザインされていることがすぐにわかった。


遊星:「右腰につけるタイプだ。お前がカードの名前を呼ぶだけで、そのカードがケースから飛び出るようになっている」
遊星がデッキケースの使い方を説明すると、遊馬はカードをデッキケースに入れて、右腰につけた。


遊馬:「希望皇ホープ!」
カードの名前を呼ぶと、ケースがスライドし、ホープのカードが飛び出てきた。

遊馬は少し慌ててしまったが、飛び出たカードをキャッチする。

アストラル:『戦いに最適なケースだな』

遊馬:「そうだな。ありがとうございます、遊星さん」

遊星:「気にするな。俺の役目は、みんなに役立つものを開発することが仕事でもあるからな」

遊馬:「これから、どうするんですか?息子の応援するんですか?」

遊星:「あぁ、それに少し気になることもあるしな」
遊星はそう言って、サングラスをかけて、その場を後にしようとする。


遊星:「深追いはするなよ、遊馬」
そう言って、遊星はその場を立ち去った。


アストラル:『これで、準備万端だな』

遊馬:「あぁ、だが、その前に明後日の仕事を片付けないとな」
明後日は、小鳥たちの修行の成果をバトルの中で見る日だ。


それまで、任務はお預け一旦お預けだ。





2日後


時刻は、朝の7時。眩しい太陽が地面を照らす。


小鳥や凌牙たちが属性波動習得の修行でずっと使用していたフロンティア訓練場には、修行に参加していたメンツと、遊馬と羅夢がいた。

更に、訓練場に仕掛けられているカメラ映像を通して、元帥の百々原が自分の部屋から様子を見ていた。



羅夢:「それじゃあ、これから最後の修行をしてもらう。前にも言ったけど、この修行はチーム体制で行ってもらう。制限時間は2時間。遊馬の身体に傷一つ付けれたら、その場で修行は終了だ」
羅夢がルール説明をするが、そのルールを聞いて、みんなが疑問に思ったことがあった。


Ⅲ:「あの質問していいかな?遊馬の身体に傷をつけることって、そう難しくないんじゃない?」

ハルト:「僕もそう思った。それに、こっちは1人じゃないんでしょ?じゃあ、尚更すぐに修行が終わるんじゃ」
Ⅲとハルトが疑問に思っていることを口に出す。


羅夢:「フッ、安心しなよ。おそらく、彼に傷をつけることは、…そう簡単じゃないから」
何かを企むような目つきをする羅夢。

その表情を見て、数名が怯える。

遊馬:「殺す気でかかってこい。でないと、痛い目に遭うぞ」
遊馬も少し怖い表情でそう言った。


遊馬:「最後の修行なんだ。俺だって手を抜くつもりはあまりないからな。修行の成果を活かせない奴は、今すぐフロンティアを抜けてもらおう可能性もある」
冗談で言っているようには見えない。本気で言っている。

みんなはそう思った。


小鳥:『下手したら、命が関わることだから、遊馬も真剣なんだわ』
小鳥が心の中で呟く。


羅夢:「それじゃあ、最初に遊馬と戦うチームを発表するよ。名前を呼ばれた人は準備するように」
羅夢がリストをめくり、7名の名前を呼ぶ。


羅夢:「観月小鳥」
羅夢が名前を呼び、小鳥は少し動揺しながら「はい」と返事をして前に出る。


羅夢:「神月アンナ」
アンナは「おう」とやる気がある返事で前に出る。


羅夢:「ゴーシュ、ドルべ、Ⅴ」
一気に3人の名前を呼び、3人は前に出る。

羅夢:「天城カイト」
羅夢に呼ばれても無口を通し、前に出る。

羅夢:「そして、神代凌牙」
7人目に呼ばれた凌牙が前に出て、7名のメンバーが横に並ぶ。

羅夢:「以上、この7名で最初の修行を行う」
羅夢がそう言って、リストを閉じる。


よく見ると、呼ばれた7名には共通点があった。


ゴーシュ:「おいおい、まさか、エースのマークを持っている奴らでチームを組むとはな」

ドルべ:「なんとなく予想はしていたがな」
メンバーを見てゴーシュ達は言った。


遊馬:「エースのマークを持っている者に関しては、今後バリアンに狙われる可能性が十分に高いからな。元帥と相談して、最優先しただけだ」

Ⅴ:「なるほどな。バリアンがいつ来るかわからないからな」
遊馬の話しを聞いて納得するⅤだった。



遊馬:「羅夢、他のみんなを下がらせてくれ」

羅夢:「了解だ」
羅夢はほかのメンバーを訓練場の外に誘導する。


遊馬:「フィールドは、この訓練場全体だ。隠れて隙を見て攻撃するなり、地形を利用した攻撃をするなり隙にしてくれ」
因みに、訓練場はかなり広い。

訓練場と看板には書いてあるが、演習場とも言える場所だ。

近々、元帥にお願いして”演習場”に看板を書き直してもらうようにお願いしよう。

遊馬はそう思った。


遊馬:「さっきも言ったが、本気でかかってこい」


アンナ:「俺たちは最初から、そのつもりだぜ」

ドルべ:「私たちがどれだけ強くなったか、見てもらおうか」
アンナとドルべがデュエルギアを手に取る。


遊馬:「やる気満々だな」
遊馬がアンナたちの表情を見て笑った。

ゴーシュ:「当たり前だ。おめえも、遂、加減したとか無しだぞ」

Ⅴ:「最も加減して、痛い目に遭うのは君だがな」
ゴーシュとⅤもデュエルギアを手に取る。


凌牙:「フッ、無駄話が多い奴らだ」

カイト:「いつまで経っても、最後の修行が始まらん」

小鳥:「何か、面白いチームね」
凌牙、カイト、小鳥もデュエルギアを手に取る。


遊馬:『こりゃあ、油断大敵だな』
遊馬は心の中で本音を呟き笑みを浮かべる。



遊馬:「それじゃあ、最後の修行開始だ!」
遊馬の合図で最後の修行が開始した。


小鳥、凌牙、カイト、ドルべ、Ⅴ、アンナ、ゴーシュの7人は、遊馬を相手にどう立ち向かうのか…!




元帥室


百々原:「君たちの力が、どこまで遊馬に通用するのか、見せてもらおうか」
元帥室の席に座る百々原が、ディスプレイに映る訓練場の映像を見てそう呟く。







修行開始の合図をした物の、どちらも全然動く気配がなかった。



その頃、後に修行を控えるメンバーは羅夢と共に、訓練場の直ぐそばにある待機エリアから、カメラ映像で遊馬達を見ていた。


アリト:「どちらも動かないな」

ミザエル:「当然だ。相手が遊馬とは言え、四大神王者のNo.4と呼ばれた男だ。慌てて責めたら、逆に返り討ちに遭う」
映像を見てミザエルが解説した。


六十郎:「それに、遊馬はまだデュエルギアを手に持っていない」

一馬:「遊馬も本気で戦うと言っていたが、あの状態でどう出てくるつもりだ」

デュエルギアを持たない我が息子が、どう攻撃してくるのか気になる一馬だった。






そして、ずっと動かない遊馬達…。

軽く風が吹いた。


ゴーシュ:「ノリが悪いぜ、遊馬!動かないなら、俺から行くぞ!」
ゴーシュがクサナギブレードを構える。




ドロワ:「ゴーシュが動いた…!」

フェイカー:「先手は、ゴーシュか」
映像から様子を見るドロワたちがそう言った。




ゴーシュ:「ツムガリカミシロ!」
クサナギブレードの刀身が輝き、一振りで無数の斬撃を放つ。


遊馬:『光属性の波動を使用した新たな技か』
ゴーシュが放った斬撃を見て、分析する遊馬。


遊馬:『フェザー・ヴート』
遊馬は両足に風属性の波動を集中し、前に向かって高速で突き進む。


ドルべ、Ⅴ:「!」
その速さに反応できなかったドルべとⅤ。


そして、遊馬は斬撃を全て躱し、クサナギブレードを持つゴーシュの右手首を掴む。


ゴーシュ:「なっ!」

遊馬:「よく短期間で身に付けたな」
遊馬はゴーシュが放った技を褒めた。


カイト:『速さ…』

凌牙:『一体、何が起きた…』
いつの間に自分たちの近くに遊馬がいることに驚くカイトたち。


それは、カメラ映像を見る者たちもそうだった。


ギラグ:「なんて速さだ」

Ⅳ:「目で追えなかったぞ」
遊馬の超高速に驚くⅣたち。



羅夢:「みんなも真剣に見ときなよ。これから、あの遊馬と戦うんだ。この待機時間で、彼の力を分析することも、修行の1つだよ」
羅夢は待機場にいる、みんなにそう伝える。


羅夢:『まあ、遊馬が自分の力を全て出し切るとは思えないけど…』
羅夢は心の中でそう呟く。





高速移動したことに驚く小鳥たち7人。


遊馬:「今は、修行中だって言ったよな。そうやって、ボーっと突っ立っている場合じゃねえんじゃんねえか?」
遊馬がそう言って、みんなが我に返る。

アンナ:「このっ!」
ラーゼン・ゲイボルグを遊馬がいる場所に振り下ろす。

しかし、遊馬は一瞬で、その場から消えた。


アンナ:「なっ!」
遊馬が消えたことに驚くアンナ。


Ⅴ:「どこかに隠れたな…!」

ドルべ:「ベテランは違うな…!」

小鳥:「手分けして探しましょう」
7人は、手分けして遊馬を探す。



遊馬:『この修行で、遊星さんからもらったホープ・カードホルダーの性能も試したいからな。そう簡単に修行は終わらせたくないんだよ、みんな』
身を潜めた遊馬が、そう呟く。










小組織ビジョンの基地



デニムは借りている部屋の中でパソコンを開き、何かを調べた。

どうやら、少し前に記載された新聞の1ページのようだ。

掲題には、牢獄(プリズン)で囚人死亡…!と記載されている。

つまり、この記事は、プリズンにいた狂言が何者かに暗殺されたときの記事だ。


デニム:『殺ったのは、一体誰なのか…。最強の牢獄で初の暗殺』
新聞には、狂言が倒れていた場所だと思われる場所が映っていた。

狂言が入っていたと思われる牢獄は周りに血が飛び散っていた。


デニム:「国家政府は、これを人間の仕業だと決めつけるのが難しいと発言。よって、事件は未解決のまま見送りとなった」
記事の最後に書かれている文章を読んだデニム。


デニムは両手を後頭部に回し、椅子にもたれ掛る。



デニム:『お前が言っていたバリアンって奴らが動き出したのか…。狂言…』
デニムは心の中でそう呟いた。

デニムはバリアンの名を狂言から聞いていた。


だが、あまり詳しいことは聞いていなかった。
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