Caligula-カリギュラ-
夏の夕暮れ、オレンジの空──……
──この日は、これ以上ないくらいに悲しくて、辛くて、恥ずかしかった。
「やあ、鍵介。今日はどうしたの?珍しいね、こんな時間まで学校にいるだなんて。」
「せ、先輩。僕の話、聞いてくれますか」
今思えば随分と思い切った行動に出たものだ。僕は冷静な選択を見誤るくらい、それだけ彼を『欲しい』と願ってしまったのだろう。
その『結果』は酷い有様になったが、その時の僕は心の奥底で『上手くいく』と思ってしまっていた。
──それが、間違いだった。
「どうしたの、そんなに改まってさ。いつも鍵介の話、聞いてるでしょ?さ、今日はどうしたのかな。そんなに緊張して。何か、やらかしちゃった?」
──たぶん、僕は思い違いをしていた。
「…先輩、好きです。」
「…。あぁ、もちろん、俺も好きだよ」
『仲間として』、そういう意味で彼は答えた。僕にも、それは痛いほど伝わった。そもそも、先輩の反応は至極当然なものなのだ。おかしいのは僕だけだから。
「違います…。愛しているんです。個人、あなたいう存在を。」
──ああ、やっぱり。その時の僕はきっと笑えてくるくらい、間抜けな顔をしていたんだろう。
「…ありがとう。でも俺は君をそういう目で見れないんだ──…」
今でも脳裏に焼き付いて離れない。表面上は取り繕っていても、何の感情も宿っていないあの表情。
──言わなければ良かった
ただ、後悔ばかりが残った。
それでも僕は先輩が欲しかった。たとえ、『現実』を捨てても。
──この日は、これ以上ないくらいに悲しくて、辛くて、恥ずかしかった。
「やあ、鍵介。今日はどうしたの?珍しいね、こんな時間まで学校にいるだなんて。」
「せ、先輩。僕の話、聞いてくれますか」
今思えば随分と思い切った行動に出たものだ。僕は冷静な選択を見誤るくらい、それだけ彼を『欲しい』と願ってしまったのだろう。
その『結果』は酷い有様になったが、その時の僕は心の奥底で『上手くいく』と思ってしまっていた。
──それが、間違いだった。
「どうしたの、そんなに改まってさ。いつも鍵介の話、聞いてるでしょ?さ、今日はどうしたのかな。そんなに緊張して。何か、やらかしちゃった?」
──たぶん、僕は思い違いをしていた。
「…先輩、好きです。」
「…。あぁ、もちろん、俺も好きだよ」
『仲間として』、そういう意味で彼は答えた。僕にも、それは痛いほど伝わった。そもそも、先輩の反応は至極当然なものなのだ。おかしいのは僕だけだから。
「違います…。愛しているんです。個人、あなたいう存在を。」
──ああ、やっぱり。その時の僕はきっと笑えてくるくらい、間抜けな顔をしていたんだろう。
「…ありがとう。でも俺は君をそういう目で見れないんだ──…」
今でも脳裏に焼き付いて離れない。表面上は取り繕っていても、何の感情も宿っていないあの表情。
──言わなければ良かった
ただ、後悔ばかりが残った。
それでも僕は先輩が欲しかった。たとえ、『現実』を捨てても。