重力魔法使いとヤミさん(ブラクロ夢)
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かつて、魔神と呼ばれる存在によって世界が滅ぼされようとした時、一人の魔導士が現れた。
魔導士は魔神を倒し、世界を救った。
そして彼/彼女は伝説となり、魔法帝と呼ばれるようになった。
それはこのクローバー王国で最も有名で、王国民であれば必ず一度は寝物語に聞いたことのあるお話の一つである。
物語の真偽の程はともかくとして、クローバー王国には実際に魔導士の最高位に魔法帝という位が存在し、その旗下には九つの魔導士集団 魔法騎士団があった。
代々の魔法帝と魔法騎士団。彼らによってクローバー王国の平和は守られている。
そんな魔法騎士団のうちの一つに黒の暴牛という騎士団がある。
シンボルは牛で、シンボルカラーは黒。武勲や武功よりも被害額の方が上回るという世間一般の方々から最低最悪の烙印を頂いている騎士団だ。
星という魔法帝直々に活躍を表されるものがあるのだが、他の騎士団がプラスに対して黒星、つまりマイナス。勿論毎年の星の獲得数は万年最下位である。
そんなならず者が数多く集まる騎士団に私ーー##イスズ##・カヤノは在籍している。
私は日ノ国という出身で、この国では異邦人と呼ばれ、蔑まれる対象である。
だから、それにも関わらず入団を誘ってくれた団長にも、そんな事気にも止めない団員達に私は頭が上がらない。
一癖も二癖もある人達ばかりだが、根っからの悪人はいない。そう、ちょっとばかし頭が弱いのと面倒臭がりが多いだけで。
なので、ちょっと書類の提出が遅れようが忘れていようが気にはしない。
遅れても出してくれるし、忘れているようなら催促、最悪、私が書けば…っとこれはヤミ団長に「これ以上こいつらが馬鹿になったらどうする。あんまり馬鹿共を甘やかすな」と止められているので最近はやっていないが、とりあえず催促すればいい話なのだ。
で、ちょーっと私がマルクスさんに頭を下げれば万事解決なのだ。
今日は年に一度の魔法騎士団入団試験で、新人さんが来るかもしれない日だ。新人の選定のため、会場の城下町キッカには団長のヤミさん。それとオレのアッシー君ことフィンラルさんとゴートンさんが同行している。
黒の暴牛で問題を起こすことなく大人しくできる人間はほぼいない。
というか私とグレイさんくらいしかいない。他は飲んだくれに食いしん坊にシスコンに戦闘狂、ヤンキーetc.ろくなのがいない上、数少ない普通なグレイさんは極度の恥ずかしがり屋で人前に出る事は滅多にない。
私は私で、今日は任務で朝から遠出。残るは黒の暴牛一大人しいけど、不気味と言われるゴートンさんという訳だ。
ヤミさんは最後までブツブツ文句を言っていたが私に文句を言われても困る。そもそも私に任務を振ったのは自分である。
私が任務からアジトへ帰ってくると丁度グッドタイミングでヤミさん一行がフィンラルさんの"堕天使の抜け穴"から出て来たところに鉢合った。
「お帰りなさい、皆さん」
「おーただいま。変わりは?」
「私が任務に行く直前まではありませんでしたよ」
相変わらず気怠気な団長のヤミさんに聞かれありのままを答える。
うん、直前まではなかった。
ゴーシュくんもグレイさんもチャーミーちゃんは通常運転だし、バネッサさんは酔い潰れ、唯一の不安の種のマグナくんとラックくんには幼児相手に言い聞かせるように、砕いて砕いて噛み砕いて言い聞かせ、前回の喧嘩の発端のプリンは各自2個づつ用意した。抜かりはない。
ふと足元を見ると覚えのないウルフカットの可愛い少年が地面に這いつくばっていて、彼は私を見ると「?」と首を傾げる。
大分思ったことが表情に出る子だなぁと思いながらその後ろにいるフィンラルさんに尋ねた。
「もしかしなくても新人さんですか?この子」
「そうだよ。アスタ、この子は同じ黒の暴牛の##イスズ##・カヤノちゃん。君の先輩だよ」
「ハージ村から来たアスタです!よろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いしますね、アスタくん」
エッめっちゃいい子で軽く感動する。こんな素直ないい子なぜうちに。
そう思うが黒の暴牛に来る時点で何かしらの問題はあるんだろう。
「##イスズ##ちゃんも今帰ってきた所?」
「はい、恙無く任務完了です」
そう穏やか〜に自己紹介を終えた。今年は団員も良い子だし何の問題もなく終われるな、と思った。
しかしながら、ここは最低最悪と噂される黒の暴牛団のアジトである。
そんなこと問屋…ではなく、マグナくんとラックくんが許さない。
突如ドッカーーン!!
アジトの扉が内側から爆発した。
「ハイ怒ったァーー!!覚悟はいいかコラァ!!!?」
「いくないけどやろうよ」
呆然とするアスタくんの後ろで、またか…と痛む頭を押さえる私の横にヤミさんが青筋を立てて言う。強面系の人だからこの人凄むとめっちゃ怖いんだよ。
「##イスズ##」
「はい、なんですか?団長」
「アイツらの給料から修理費天引き」
「今月何回目ですかね、全く…」
やれやれ、と取り出したメモ帳に私はラック&マグナ修理費と書かれた箇所にまた一つ1を加えた。