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いろは唄

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名前(ちはな)

千花が呪術高専へやって来て数日経った日のことである。


何だかんだと言いつつも、世話を焼きな真希に、気配り上手な狗巻、それらをフォローする常識溢れるパンダ。それぞれのおかげで千花は四人しかいないと言えどもクラスに馴染んできていた。



その時間は受け持ちだった五条に急遽任務が入り、自習となった昼下がりだった。なので、千花はどうしても疑問に思っていたことを聞いてみることにした。

呪術高専は呪いを学ぶ学校だ。しかし、勘違いされやすいし、しやすいが何も呪術だけを学ぶわけではない。
国語、数学といった五教科を主軸に呪術についてだったり、歴史であったり、実習という名の呪霊祓いで実践を学ぶのだ。

この自習のあとは各々自由時間である。基本的に何をしても自由だが、大体は自主練習にあてる人間が多い。千花もそのうちの一人で、この後真希に鍛錬に付き合ってもらう予定だ。
千花は三人に比べて呪術について知らないことが多い。ただでさえハンデがあるのに加えて三人は努力家だ。簡単に追いつける相手ではない。でも、だからこそ少しでも早く追いつきたいと千花は思う。

でも、それとこれとはまた話が別である。
気になる。滅茶苦茶。
なら、聞くしかないだろう。



「思うんだけど、結局パンダ君ってなんなの?」

「何なのって何がだ?もっと具体的に」



真希とパンダの会話が途切れたのを見計らって前に座るパンダに千花は直球勝負を仕掛けた。

しかし、効果は今ひとつ。ご本人からご指摘を受けた千花はう〜ん、と考えた。
言葉の通りパンダが何なのかが知りたいのだが、具体的にと返ってくるとは思っていなかったので少し詰まる。



「え〜じゃあ…………ナマモノなの?それとも綿なの?」

千花、お前もっと言い方ねぇのかよ」

「具体的かつ的確だと思うんだけど…?」

「的確過ぎて逆にグロい」

「しゃけ」

「エッ じゃあどうしろと??」



真希とこの三人の中で一番優しい狗巻にすらグロいと肯定され、やるせない気持ちになった。



「パンダは突然変異呪骸なんだよ」

「じゅがい?」



真希は肘をつきながらポツリと言った。しかし、その聞きなれない言葉に千花は首を傾げる。

ジュガイ、じゅがい、樹買い…?

脳内検索しても当てはまらない単語。千花は、悩みを深めるばかりである。

そんな千花に真希はまぁ、普通分かんねーよなと頷いた。



「学長の術式だよ、人形に呪いを込めて操るんだ。
が、その時に何がどうなったのか喋るパンダが生まれた」



ビッと親指をパンダに真希は向けた。

学長の術式は人形がないと成立しないものらしく、時間が空けば人形……ぬいぐるみをせっせと作っているらしい。
パンダもそうやって布を突かれて誕生したのだが、何がどうあってなのか、喋る呪骸、つまりパンダがある日降臨した。
千花は結局謎ってことかぁ、と呟いてから。



「…つまり、中身は綿ってことでOK?」

「そういうことだ」

「世の中何が起こるか分かんないねぇ」

「確かに」

「しゃけしゃけ」



そう言ってみんなで揃ってパンダを見た。



「お前ら揃ってこっち見んなよ、恥ずかしいだろ」



若干顔を赤らめたパンダがそこにはいた。




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