Prolog
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"偉大なる航路"双子岬
大きな大きなクジラがいるその岬には、クジラの他に二人の人間が住んでいる。
一人は、家主であり、元町医者であるクロッカス。
もう一人はクロッカス曰く、"リゾートハウス"に自室を与えられ、現在机で寝こけている"少女"である。
腕を枕にしてすぴすぴ気持ち良く眠っている彼女であるが、その下にあるのは【あらゆる毒の解毒法】と題打たれた可愛くない頁数の洋書ーー世間一般で言うところの医学書だ。
クロッカスを師事する彼女は所謂医者の卵。
そして、昨夜も遅くまで夜更しをしていたせいか、いつの間にか深く寝入ってしまい深い深い夢の中に意識があった。
ーーそこは、東の海の決して綺麗とは言えない国にある山。
海と面するコルボ山のいつもの場所で、いつものように少女の三人の弟が笑っていた。
『じゃあ、こうしようぜ!』
『姉ちゃんを最初に見つけたやつが仲間にするんだ!』
『お、それ良いな!』
『ちょっとちょっと〜私の意思は?』
『お前ら抜駆けは無しだからな!』
『エースこそ忘れるなよ!』
『もう、人の話聞けってーの!』
「……夢…っていうか寝てた…」
今より随分と幼い自分が弟三人を追いかけ回し始めたところで、現実世界へ戻ってきた少女は寝ぼけ眼で辺りを見回して状況ーー寝落ちしていたことを把握する。
こりの酷い肩を回して、眠気を覚まそうとするも襲ってくる睡魔に勝てそうもなく一旦眠気覚まし、それから気分転換も兼ねて少女は椅子を押し出した。
意図せず枕代わりになっていた医学書にごめんね〜とちょっとばかり謝ると、栞を挟んで彼女の倍以上ある本棚へ戻し玄関へと向かった。
随分と懐かしい夢を見た。
まだあの子達が一人も欠けず、少女ですら三人ともが海賊になるのだと信じてやまなかった、あの夢のような日々のある一頁。
もうあの子達は忘れているだろうけれど、そんなことも言われていたなぁなんて懐かしく思いながら、少女は扉を開けた。
ーーそれが始まり。
音もなく幕を上げた果ての無い大冒険の序曲だった。
大きな大きなクジラがいるその岬には、クジラの他に二人の人間が住んでいる。
一人は、家主であり、元町医者であるクロッカス。
もう一人はクロッカス曰く、"リゾートハウス"に自室を与えられ、現在机で寝こけている"少女"である。
腕を枕にしてすぴすぴ気持ち良く眠っている彼女であるが、その下にあるのは【あらゆる毒の解毒法】と題打たれた可愛くない頁数の洋書ーー世間一般で言うところの医学書だ。
クロッカスを師事する彼女は所謂医者の卵。
そして、昨夜も遅くまで夜更しをしていたせいか、いつの間にか深く寝入ってしまい深い深い夢の中に意識があった。
ーーそこは、東の海の決して綺麗とは言えない国にある山。
海と面するコルボ山のいつもの場所で、いつものように少女の三人の弟が笑っていた。
『じゃあ、こうしようぜ!』
『姉ちゃんを最初に見つけたやつが仲間にするんだ!』
『お、それ良いな!』
『ちょっとちょっと〜私の意思は?』
『お前ら抜駆けは無しだからな!』
『エースこそ忘れるなよ!』
『もう、人の話聞けってーの!』
「……夢…っていうか寝てた…」
今より随分と幼い自分が弟三人を追いかけ回し始めたところで、現実世界へ戻ってきた少女は寝ぼけ眼で辺りを見回して状況ーー寝落ちしていたことを把握する。
こりの酷い肩を回して、眠気を覚まそうとするも襲ってくる睡魔に勝てそうもなく一旦眠気覚まし、それから気分転換も兼ねて少女は椅子を押し出した。
意図せず枕代わりになっていた医学書にごめんね〜とちょっとばかり謝ると、栞を挟んで彼女の倍以上ある本棚へ戻し玄関へと向かった。
随分と懐かしい夢を見た。
まだあの子達が一人も欠けず、少女ですら三人ともが海賊になるのだと信じてやまなかった、あの夢のような日々のある一頁。
もうあの子達は忘れているだろうけれど、そんなことも言われていたなぁなんて懐かしく思いながら、少女は扉を開けた。
ーーそれが始まり。
音もなく幕を上げた果ての無い大冒険の序曲だった。
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