運命と出会う
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師と共にいた頃は"偉大なる航路(グランドライン)"をあっちにフラフラ、こっちにフラフラ。師の赴くまま、気の向くままに行動していた。
よく考えれば【強き者】を追い掛ける師が遊び相手を追い掛ける訳でもなく、最弱の海とまで言われている"東の海(イーストブルー)"に来る訳がなかった。
クールで思慮深く(けれど売られた喧嘩は爆買いする)面倒くさがりなあの人は意図のない行動を嫌うのだ。
それでもわたしを置いていく場所を態々辺境のーーと言っては東の海の方々に失礼極まりないがーー"東の海"を選んだのは、わたしの出自を今の所唯一知るあの人なりの配慮だろう。
わたしもその意図を汲み取ったからこそ、態々小物しかいない東の海で細々と賞金稼ぎをしていたのだが……気付けば名が売れまくっていて仕舞いには【銀狼】などという二つ名が付いている。
可笑しい。こんな筈では。完全に不可抗力である。
師には今頃鼻で笑われているだろう。
いや、馬鹿にされているのならまだいいが……………。
嫌な考えが過り、早々に考える事を放棄することに決定した。まだわたしは死にたくない。
そんなこんなで、わたしは今現在"東の海"にある有人島、人呼んで"奇跡の島"レゴラに到着した。
奇跡の島と称されるレゴラ島は宝石、特に翡翠ーーエメラルドの世界有数の発掘場所として有名で、宝石の加工に関して言えば世界で1、2を争う有名所である。
質の良い宝石を求めて、富裕層から宝石商など一般人は当然ながら、海賊もやって来る。それを取り締まる海軍もたまにやって来る。
特に宝石に興味もなく、お金にも困っていないわたしがレゴラ島を訪れた理由は1つ。友人がこの島でごはん処を経営しているから遊びにおいでと誘われた為だ。
少しばかり年上の友人は、豪気な肝っ玉母ちゃんという代名詞がよく似合う女性である。名前はミゼル。
以前、夫と共にレゴラ島とは別の島で海賊に突っ掛かられていたのを助けたのが親交の始まりで、時折連絡を交している。
そのごはん処も夫婦で経営しているそうだ。名前はラッキー。
港から大きなコンクリートの一本道の中間地点にあるとのことだ。
ワイワイガヤガヤ。
メインストリートではレゴラの代名詞 エメラルドの宝石加工品を始め、取れたて・新鮮を謳い文句に肉や魚、野菜を始めにした食料など市場に活気のある声が飛び交うのを横目に目的地を目指す。
たまに客引きに引っ掛かるもやんわりと断りつつ、至って普通の光景に思わず目を細める。
賞金稼ぎとして東の海を中心ではあるが、様々な村や町を見てきたわたしとしてはこの光景は感慨深いものがあるのだ。
海賊王によって幕を開けたこの大海賊時代で人は良くも悪くも大きく変わっていった。
海賊だけでなく、人攫いや奴隷商多くの裏の人間によって潰された国や町や村をわたしは多く見てきた。
時には海兵が一般人を害するなんてことが横行するのがこの時代だった。
レゴラ島のように海賊を受け入れても尚、平和な島であるのはとても珍しい。全く何も無いわけではないようだが、それでも人々の笑顔があるというのはある程度平和な島であるという証だ。
「ここか」
そうこうしているうちにメインストリートの中間地点に辿り着いた。
丁度、噴水広場となっているエリアの一角に大きく【Lucky】と掲げられた店を発見する。
夜になるとピカピカと光るらしい電飾の跡も見受けられるそれは、とてもミゼルらしくて少し笑ってしまったのは内緒だ。