花とワルツ
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かつての独り暮らしをしていたアパートよりも少しばかり大きな一人部屋。
時刻はお迎えに来てくれるという真希が来る5分前。
そんな時間に余裕がないのに、千花は最後に、と姿見の前で昨日貰った新品の制服をきちんと着れているか確認する。
「うん。完璧」
キャラメル色のカーディガンの上から女子の制服にしては珍しい学ラン。膝上丈のスカートに紺色のハイソックス。
綺麗に着れていることを確認した千花はよし、と呟くと姿見から目を離す。
それと同じく扉の外からコンコンコンとノックの音がした。真希だ。
「千花、行くぞ」
「今行きまーす!」
千花は支給されている備品くらいしか無い部屋を出た。
部屋の前では千花とはまた違ったデザインの制服を着た真希が待っていた。
呪術高専の制服は自由にカスタムをお願いできる仕様で生徒によってテザインが異なる。が、千花の制服は五条の独断と偏見でデザインされたものだ。
真希はお初にお目に掛かる制服姿の千花を知ると上から下までじっくりと見た。
「へぇ、結構似合ってんじゃねぇか」
「ほんと?良かった…」
ホッとする千花に真希は首を傾げる。
高専の制服は自分でデザインするのだから、自分の好みに合わせて作るものだ。普通そうなれば自分で似合わないデザインにする物好きはいない。
「?自分でデザインしたんじゃねぇのか?」
「五条先生が」
神妙な顔で千花が言うと真顔ですべてを察した真希は言った。
「……アイツ、そういうとこが多々あるから気を付けろよ」
「そうする」
強さと生徒や後輩に親身な所は彼の美点だがそれ以外は全く信用できない男。それが五条悟という呪術師であった。
「五条先生と言えば…クラスメイトがわたしの他に三人しかいないって聞いたんだけど……マジ?」
「大マジ。私と棘とあと一人。で、千花を入れてやっと四人だな」
「そっか…」
初めて学び舎に足を踏み入れた千花は信じていないわけではないが、五条の裏付けを取るように真希へ尋ねる。
嘘を教えるような人ではないとは思う。
が、うん。ほら、どこかこう…ね?
自分で自分に言い聞かせると間髪入れず返ってきた肯定に少し胸をなでおろした。
少し三人目のクラスメイトについて濁したことが気になったが、呪術師について深く知らない千花には言えないことなのかもしれないと思って深くは聞かなかった。
「ほら、ここが職員室」
「ホントだ。真希ちゃんありがとう」
「おう。また後でな」
「うん。またね」
寮からの道中、どんな授業をするのかや先生がいるのかなどを聞いていればあっという間に職員室にたどり着く。少し残念に思いながらもまぁ、でも同じ教室だったななんて思った千花はサラッと別れて真希の背を見送った。
「よし、わたしも職員室に行くか…!」
「言うて目の前やけど」
「うるさいよ」
いろはは、相変わらず小うるさいお母さんであった。