エメラルド幻想
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禪院真希には最近、同性の同級生が出来た。
いや、正確にはまだ教室では紹介されていないので出来る"予定"だ。
担任の五条曰く、出張でいない棘が帰ってきてからね!帰ってきたら知らない編入生がいたって知ったら落ち込むでしょ?とのことだが、さて本当の所はどうなのだろうか。
真希の感じる限り少なくとも棘はそんな程度で怒ったり落ち込んだりする器の小さい人間ではない。
「真希ちゃんおはよう…今日もかっこいい…」
「はよ。いろはがうぜぇからそういう事言うなつってんだろ」
真希が洗面所で顔を洗っていると後ろから目を擦りながらーー
色素の薄い茶金色のーー髪に寝癖を付けた少女がやって来たのを鏡越しに見た。件の八城千花である。
担任に押し付けられた手前彼女を放り出す事ができなかった真希は嫌々ながら千花に寮内の最低限度の説明をした。
同級生且つ穏やかな気性のパンダがいたらまた違っただろうが、とてもとても親切な説明ではなくめちゃくちゃ大雑把。自分でもないわぁとか思っていた。
が、何が琴線に触れたのか千花は真希に飼い主を慕う犬の如く懐いた。
面倒事なのだとは思っていたから距離を置こうと思っていたのだ。呪術師になるにしては危機感が無いというかなんというかぼんやりのほほ〜んとした空気。しかし、呪いを連れているかのような妙なプレッシャー。
五条が自ら連れてきた、という点で嫌〜な予感はしていたがその予感は的中。
そう真希が言えばその影から怒り心頭な彼女の保護者、真希が思っていたそれが出てきた。
「うぜぇとはなんやねん!うぜぇとは!!」
「そういうトコがうぜぇ」
「あ〜!も〜!呪術師っちゅーのはどいつもこいつもぉ〜!!!
っていうかな!女の子がそないな言葉遣いはどないやねんよ!!って何回言うたらわかるんかな!?」
眠気眼でシャカシャカ歯を磨く千花の傍らで、ぷんすこ怒る狐の半面を被った女はとてもそうは見えないが、特級のランク付けをされた呪霊である。
それが千花が生まれてからずっと憑いているのだと彼女は語った。
八城千花は狐憑きだ。
狐憑きとは読んで字の如く狐に憑かれていることをいう。しかし、千花の場合、狐は狐でもただの狐ではなく数千年を生きた狐、九尾の狐に憑かれていた。
しかも、その狐と魂を縛り合うという意味不明な状態で、それが前前前世からなのだというのだから理解の範疇を越えている。なので、真希は理解するのは諦めてそういうものなのだと納得することにした。
九尾といえば玉藻御前や妲己などが割とポピュラーだ。彼らは数千年を生きたとも言われている呪霊で、神通力にも通じるだの通じないだのと言われている。
そんなものを祓うでもなく生まれてからずっと千花は共にいる。その弊害だろうが、彼女の呪力感知能力はガバッガバのザル仕様である。
特級呪霊(うち)が常に隣にいればそうなるやろ、とはいろはの言葉だ。
「真希ちゃん」
「あ?」
姑かよこいつ…と、そもそも女の子って言うんはな…と関西弁で語り出したいろはの言葉を右から左に流していると、ようやく覚醒した千花が真希を見た。
最初は呪い憑きということもあってか警戒はしたが、憑かれてる本人はマイペース人間だし、呪霊も呪霊でご主人様以外目に入らないタダの馬鹿ップル(ただし一方通行)なので警戒するだけ時間の無駄と気付いたときからそんなものはしていない。
「今日からクラスメイトとしてもよろしくね」
「あぁ、今日からだっけ?」
「そうですよ!見捨てないでね!」
「どうすっかな」
聞けば千花はいろはから多少の呪術師の知識を教えてもらっていても呪術そのものは教えてもらっていないそうだ。
曰く、危ないし余計なことを教えて逆に危険に晒されても困る。とのこと。
確かに呪術界とパイプを持たない千花が呪術師となっていれば、未登録の呪術師となるが、それが露見したときが怖い。最悪指名手配されるのがオチだ。考えてないように見えて結構考えてるんだなコイツとほんのちょびっと真希はいろはを見直した。
なので、真希や他のクラスメイト達とは違い千花は本当の意味で呪術師一年生なのである。
「まぁ、頑張…」
「ちょい!何終わった気でおるん!!まだうちの話は終わってないで!!」
「うるせぇ、小姑」
「こっ…!?」
頑張ろうな、と言おうとすれば空気の読めない姑に遮られ、苛立った気のままいろはにぶつければ、いろははガーン!!という効果音が見えるほど落ち込んだ。ザマァ。
いや、正確にはまだ教室では紹介されていないので出来る"予定"だ。
担任の五条曰く、出張でいない棘が帰ってきてからね!帰ってきたら知らない編入生がいたって知ったら落ち込むでしょ?とのことだが、さて本当の所はどうなのだろうか。
真希の感じる限り少なくとも棘はそんな程度で怒ったり落ち込んだりする器の小さい人間ではない。
「真希ちゃんおはよう…今日もかっこいい…」
「はよ。いろはがうぜぇからそういう事言うなつってんだろ」
真希が洗面所で顔を洗っていると後ろから目を擦りながらーー
色素の薄い茶金色のーー髪に寝癖を付けた少女がやって来たのを鏡越しに見た。件の八城千花である。
担任に押し付けられた手前彼女を放り出す事ができなかった真希は嫌々ながら千花に寮内の最低限度の説明をした。
同級生且つ穏やかな気性のパンダがいたらまた違っただろうが、とてもとても親切な説明ではなくめちゃくちゃ大雑把。自分でもないわぁとか思っていた。
が、何が琴線に触れたのか千花は真希に飼い主を慕う犬の如く懐いた。
面倒事なのだとは思っていたから距離を置こうと思っていたのだ。呪術師になるにしては危機感が無いというかなんというかぼんやりのほほ〜んとした空気。しかし、呪いを連れているかのような妙なプレッシャー。
五条が自ら連れてきた、という点で嫌〜な予感はしていたがその予感は的中。
そう真希が言えばその影から怒り心頭な彼女の保護者、真希が思っていたそれが出てきた。
「うぜぇとはなんやねん!うぜぇとは!!」
「そういうトコがうぜぇ」
「あ〜!も〜!呪術師っちゅーのはどいつもこいつもぉ〜!!!
っていうかな!女の子がそないな言葉遣いはどないやねんよ!!って何回言うたらわかるんかな!?」
眠気眼でシャカシャカ歯を磨く千花の傍らで、ぷんすこ怒る狐の半面を被った女はとてもそうは見えないが、特級のランク付けをされた呪霊である。
それが千花が生まれてからずっと憑いているのだと彼女は語った。
八城千花は狐憑きだ。
狐憑きとは読んで字の如く狐に憑かれていることをいう。しかし、千花の場合、狐は狐でもただの狐ではなく数千年を生きた狐、九尾の狐に憑かれていた。
しかも、その狐と魂を縛り合うという意味不明な状態で、それが前前前世からなのだというのだから理解の範疇を越えている。なので、真希は理解するのは諦めてそういうものなのだと納得することにした。
九尾といえば玉藻御前や妲己などが割とポピュラーだ。彼らは数千年を生きたとも言われている呪霊で、神通力にも通じるだの通じないだのと言われている。
そんなものを祓うでもなく生まれてからずっと千花は共にいる。その弊害だろうが、彼女の呪力感知能力はガバッガバのザル仕様である。
特級呪霊(うち)が常に隣にいればそうなるやろ、とはいろはの言葉だ。
「真希ちゃん」
「あ?」
姑かよこいつ…と、そもそも女の子って言うんはな…と関西弁で語り出したいろはの言葉を右から左に流していると、ようやく覚醒した千花が真希を見た。
最初は呪い憑きということもあってか警戒はしたが、憑かれてる本人はマイペース人間だし、呪霊も呪霊でご主人様以外目に入らないタダの馬鹿ップル(ただし一方通行)なので警戒するだけ時間の無駄と気付いたときからそんなものはしていない。
「今日からクラスメイトとしてもよろしくね」
「あぁ、今日からだっけ?」
「そうですよ!見捨てないでね!」
「どうすっかな」
聞けば千花はいろはから多少の呪術師の知識を教えてもらっていても呪術そのものは教えてもらっていないそうだ。
曰く、危ないし余計なことを教えて逆に危険に晒されても困る。とのこと。
確かに呪術界とパイプを持たない千花が呪術師となっていれば、未登録の呪術師となるが、それが露見したときが怖い。最悪指名手配されるのがオチだ。考えてないように見えて結構考えてるんだなコイツとほんのちょびっと真希はいろはを見直した。
なので、真希や他のクラスメイト達とは違い千花は本当の意味で呪術師一年生なのである。
「まぁ、頑張…」
「ちょい!何終わった気でおるん!!まだうちの話は終わってないで!!」
「うるせぇ、小姑」
「こっ…!?」
頑張ろうな、と言おうとすれば空気の読めない姑に遮られ、苛立った気のままいろはにぶつければ、いろははガーン!!という効果音が見えるほど落ち込んだ。ザマァ。