泡沫の色
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ユウの肩に大きなジャケットが掛かる。
『・・・フロイド先輩!』
オッドアイの優しい眼差しがユウに注がれる。
『フロイド先輩があの子の両親を連れてきてくれたのですね。ありがとうございます』
パステル色の尾びれの長い小魚がフロイドの周りに飛び回っていて、小魚ちゃん達お疲れちゃん!とパチンと指を鳴らすと弾けて消えた。
『だってぇ、小エビちゃんのお願いなら聞くしかないじゃん』
””フロイド先輩!あの子、きっと迷子です!私があの子のお相手してる間にご両親を探して連れてきてください!””
『おかげであの子もホッとしたと思います』
『それにしても小エビちゃ~ん。おとぎ話とかって言ってぇ、俺たちの話しちゃって~ウケる!』
『き、聞いてたんですね・・・』
フロイドは後ろから抱きつき、顎をユウの頭に乗せてグリグリと圧力をかけるとユウは恥ずかしそうに自分の指を絡めた。ユウにとってはおとぎ話のような体験だと思ったのは事実。
本当にまたフロイドと会えるなんて奇跡で、こうしてまたじゃれあえるのは幸せなこと。
今も首元に飾られている泡沫のサファイアに触れながら、その時のことを思い出す。
『フロイド先輩、もう一個お願いしてもいいですか?』
『えぇ~今日の小エビちゃん、お願いばっかぁ~。もう、惚れた弱みってやつで聞いてあげるけどぉ!あ、その代わりに俺のお願い聞いてくれる?』
『うわ・・・対価とか久しぶりなんですけど。・・・わかりました』
ニタリと笑うフロイドに一瞬たじろぐがユウはどうしても叶えて欲しいことがあった。それはユウの優しさであり、気遣い。
爪先立ちになって背の高いフロイドに耳打ちする。当然爪先立ちぐらいでは届かないのでフロイドは体を傾けてあげた。
『そんな事でいいの?めちゃくちゃ簡単な願いじゃん・・・。』
今度はフロイドがお願いをユウに耳打ちする。
ユウは照れくさそうに笑顔で頷き、視線を願いの先へ向ける。フロイドは胸ポケットにマジカルペンを取り出しふわりと魔力を飛ばした。
『ありがとうございます、フロイド先輩。あぁ、そうそう!フロイド先輩に言わなきゃいけないことがあるんです』
『ん?なぁに?俺の願いごとの却下はナシね』
******
『そうなの、不思議よねー。体が波に押されるみたいにここに来たの』
母親と手を繋ぎながら歩く少女。
不思議な経験をしたという母親の話をおとぎ話の魔法みたい!と跳ねながら喜ぶ。
『あのね!ママ達とはぐれた後にたくさん貝殻拾ったの!見てみて!!』
手をポケットに入れると少女は首を傾げる。何度も傾げているものだから、母親がどうしたの?と声をかける。
『・・・・・・貝殻が割れてない!!それに増えてる!!きれーい!!』
小さな手の中には割れた貝殻は割れる前の元のかたちに戻り、新たに綺麗な貝殻も増えていた。
凄い!魔法だ!と大事そうに両手で優しく包む。
『小エビちゃん!!!やったぁぁぁ!!』
『フ、フロイド先輩!お、落ちる!!ってか、お願いはどうなったんですか?!』
『お願いのちゅーは後でしまくるからいいの!今はそれどころじゃねぇし!!!あー!早くアズールとジェイドに報告してぇ!!』
『・・・小エビ・・・ちゃん?フロイド・・・?』
少女がさっきまでいた白い砂浜から大きな声が聞こえ貝殻を包んだまま砂浜を振り返る。
フロイドがユウの両脇を抱えあげ、慈しむようにユウのお腹に顔を擦り付けていた。
困ってそうで困っていない泣き顔のユウと、感無量だと言わんばかりに泣きながら目を細めて笑うフロイド。
『そっか・・・そうなんだ!!お姉さん・・・ううん!小エビちゃん!あのお話の続き分かったよ!また、会えて良かったね・・・』
少女は小エビちゃん、貝殻ありがとう。と呟くと幸せを分けてもらったような笑顔で愛する両親の元へ戻った。
『小エビちゃん、”3人”で幸せになろうね!』
弾けては生まれる─泡沫。
消えても永遠に変わらないものがある。
1度離れた二人の物語は二人だけが知る。
濃い泡沫の色は慈しむ愛。
Fin
『・・・フロイド先輩!』
オッドアイの優しい眼差しがユウに注がれる。
『フロイド先輩があの子の両親を連れてきてくれたのですね。ありがとうございます』
パステル色の尾びれの長い小魚がフロイドの周りに飛び回っていて、小魚ちゃん達お疲れちゃん!とパチンと指を鳴らすと弾けて消えた。
『だってぇ、小エビちゃんのお願いなら聞くしかないじゃん』
””フロイド先輩!あの子、きっと迷子です!私があの子のお相手してる間にご両親を探して連れてきてください!””
『おかげであの子もホッとしたと思います』
『それにしても小エビちゃ~ん。おとぎ話とかって言ってぇ、俺たちの話しちゃって~ウケる!』
『き、聞いてたんですね・・・』
フロイドは後ろから抱きつき、顎をユウの頭に乗せてグリグリと圧力をかけるとユウは恥ずかしそうに自分の指を絡めた。ユウにとってはおとぎ話のような体験だと思ったのは事実。
本当にまたフロイドと会えるなんて奇跡で、こうしてまたじゃれあえるのは幸せなこと。
今も首元に飾られている泡沫のサファイアに触れながら、その時のことを思い出す。
『フロイド先輩、もう一個お願いしてもいいですか?』
『えぇ~今日の小エビちゃん、お願いばっかぁ~。もう、惚れた弱みってやつで聞いてあげるけどぉ!あ、その代わりに俺のお願い聞いてくれる?』
『うわ・・・対価とか久しぶりなんですけど。・・・わかりました』
ニタリと笑うフロイドに一瞬たじろぐがユウはどうしても叶えて欲しいことがあった。それはユウの優しさであり、気遣い。
爪先立ちになって背の高いフロイドに耳打ちする。当然爪先立ちぐらいでは届かないのでフロイドは体を傾けてあげた。
『そんな事でいいの?めちゃくちゃ簡単な願いじゃん・・・。』
今度はフロイドがお願いをユウに耳打ちする。
ユウは照れくさそうに笑顔で頷き、視線を願いの先へ向ける。フロイドは胸ポケットにマジカルペンを取り出しふわりと魔力を飛ばした。
『ありがとうございます、フロイド先輩。あぁ、そうそう!フロイド先輩に言わなきゃいけないことがあるんです』
『ん?なぁに?俺の願いごとの却下はナシね』
******
『そうなの、不思議よねー。体が波に押されるみたいにここに来たの』
母親と手を繋ぎながら歩く少女。
不思議な経験をしたという母親の話をおとぎ話の魔法みたい!と跳ねながら喜ぶ。
『あのね!ママ達とはぐれた後にたくさん貝殻拾ったの!見てみて!!』
手をポケットに入れると少女は首を傾げる。何度も傾げているものだから、母親がどうしたの?と声をかける。
『・・・・・・貝殻が割れてない!!それに増えてる!!きれーい!!』
小さな手の中には割れた貝殻は割れる前の元のかたちに戻り、新たに綺麗な貝殻も増えていた。
凄い!魔法だ!と大事そうに両手で優しく包む。
『小エビちゃん!!!やったぁぁぁ!!』
『フ、フロイド先輩!お、落ちる!!ってか、お願いはどうなったんですか?!』
『お願いのちゅーは後でしまくるからいいの!今はそれどころじゃねぇし!!!あー!早くアズールとジェイドに報告してぇ!!』
『・・・小エビ・・・ちゃん?フロイド・・・?』
少女がさっきまでいた白い砂浜から大きな声が聞こえ貝殻を包んだまま砂浜を振り返る。
フロイドがユウの両脇を抱えあげ、慈しむようにユウのお腹に顔を擦り付けていた。
困ってそうで困っていない泣き顔のユウと、感無量だと言わんばかりに泣きながら目を細めて笑うフロイド。
『そっか・・・そうなんだ!!お姉さん・・・ううん!小エビちゃん!あのお話の続き分かったよ!また、会えて良かったね・・・』
少女は小エビちゃん、貝殻ありがとう。と呟くと幸せを分けてもらったような笑顔で愛する両親の元へ戻った。
『小エビちゃん、”3人”で幸せになろうね!』
弾けては生まれる─泡沫。
消えても永遠に変わらないものがある。
1度離れた二人の物語は二人だけが知る。
濃い泡沫の色は慈しむ愛。
Fin
4/4ページ