HONEY
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酸味の強いビネガーのような臭いがあたりを覆う。何事ですか⁉と当時と同じようにアズールは二人の元へと駆け付ける。ツンとした臭いにアズールは腕で鼻を隠し、落ちている試験管に目を向けるとハッとしてすぐにフロイドとユウの方を見た。
「二人ともご無事ですか?」
アズールより先にジェイドが二人への元へと駆け寄っていた。
「ジェイド先輩!ありがとうございます。私はフロイド先輩のおかげで濡れずに済みましたが、私のせいでフロイド先輩が少しかかってしまったみたいで・・・」
「そのようですね。しかし、この僕の足の下にいる彼は当時フロイドにこっ酷くやられていた者でして、この同窓会で恨みを晴らそうとしたのでしょうね」
綺麗な革靴なのにやっていることは綺麗じゃないジェイド。足の下でフロイドとユウを襲った男が呻き声をあげていた。
「フロイド、何かの魔法薬をかけられたみたいですしすぐにシャワーを浴びに行った方がいいですよ。・・・フロイド?」
「フロイド・・・さん?」
フロイドは身長が高い。それは皆まで言うまでもなくであるが、一緒に暮らしているユウはそのフロイドの姿に違和感を感じた。彼は成人するまで更に身長が伸びた。それなのにオーダーメイドのスーツは少しばかり肩幅に余裕があったり、立ち上がった姿はゆらゆらと揺れている。
「あ、小エビちゃんじゃん!あれー、なんか大人っぽくなったねぇ」
「も、もしかして・・・フロイドさん若くなった⁉」
「はー?小エビちゃんのくせに先輩付けないとか生意気じゃね?ってか、ジェイドやアズールもなんか大人じゃん?老けた?」
「失礼な。まだ二十代ですよ。ユウさん、その男がかけたのは退行を促す魔法薬です。まさか貴女が飛び出すなんて思っていなかったのでしょう。まだ魔法薬がこんなに残っているのでフロイドもこの年齢で抑えられたわけです。これが全部かかっていたら稚魚になっていたでしょうね。どうやら稚魚にしてからフロイドを始末する予定だったのでしょう。・・ユウさん、今稚魚のフロイドを見てみたいと思ったでしょう?」
「あ、いや・・。そ、そんなことありませんよ?あの、フロイドさんは元に戻るのでしょうか?」
アズールが試験管に残っている魔法薬を左右に揺らすとちゃぷんと音がした。フロイドが推定十七歳の姿になっただけで至って元気そうであり問題がないと判断したアズールは今日一日で戻るでしょうと言うと試験管をどこかへ消し去った。ついでにアズールはジェイドに目配せすると未だ足の下にいた男を引きずってどこかへ連れて行ってしまい、ユウはその光景までも懐かしさを感じてしまう。それが懐かしいと感じてしまうほどユウは海のギャングの恋人色に染められていたのだった。
「ねー、小エビちゃんはオレの恋人なの?」
「そうですよ。今のフロイドさんは私とお付き合いする前のフロイドさんなのですね」
ふぅんとフロイドはシャンパンを手にしようとするのでユウは未成年は飲酒禁止です!とグラスをやんわりと取り上げた。そのユウの行動にフロイドは大笑いしながら、本当に小エビちゃん?と腹を抱えていた。
「そんなに笑います?確かに当時はよくビクビクしていましたからね。今の私はフロイドさんと暮らしているおかげでビビリ小エビじゃなくなりましたよ」
えへん!と腰に手を当てて得意げなユウにフロイドはそれはそれで複雑。ちょっとしたことでビクビクしていたユウが面白かったし揶揄い甲斐があった。今のユウはすっかり大人の余裕だし、今のフロイドをまるで可愛い弟ぐらいにしか思っていないのだ。自分がやりたいことを遮れるのは兄弟ぐらいだったし、まさかそれをユウによって阻止されるとは思いもしなかった故の笑いだった。
「ねぇ、今着ている小エビちゃんのワンピースって大人のオレが選んだわけ?」
「あ、そうなんですよ。フロイドさん、私をすぐ甘やかすからこうやって新しい服を買ってくるんです」
「やっぱり!ちょーセンスいいからオレが選んだと思った!可愛いじゃん」
大人のフロイドも同じことを言っていた。今も昔も思ったことを素直に口にするところはずっと変わっていない。それでも身寄りがなく家族のように暮らしているからって一人で生きていけないほど子どもではないし、仕事だってしているからそれなりに生活力はある。守ってばかりなのも気が引けるから甘やかし過ぎるのを少しでも止めて欲しかった。同窓会に水を差すようなさっきの魔法薬だってユウがフロイドを守りたかった。自分だって愛する人を守ることが出来るって思いたかったのだ。結果的には守ってもらうことになったのだが。
「小エビちゃんは未来のオレに甘やかされるの嫌なの?」
瞼を緩く伏せていると唐突に言われた十七歳のフロイドの言葉に、その言葉はそれはそれで語弊があるように思えた。そして、考える。
「嫌じゃありません。でも、フロイドさんの横に立つならそれなにの女性になりたいんです。アズール先輩達みたいに頭も良くないし、魔法だって使えない。料理だってフロイドさんほど上手じゃないし・・・、そして守ってもらってばかりで私って何なんだろうって」
フロイドから没収したシャンパンをごくりと喉に通す。しゅわしゅわとした慣れないアルコールと炭酸が胃を熱くさせ、慣れない感覚に足がおぼつかなくなる。
年下のフロイド相手だから言えるのか、アルコールの力を使ってどれだけ自分がフロイドのことを愛していて、甘えてもらえる存在になれるのか、そして飽きられないような女性になれるのか面倒くさい酔っ払いみたいに絡む。フロイドも初めはふざけながらユウの話を聞いていたが、ポツポツとした雨がどしゃぶりに変わるぐらいの勢いで話すユウに今度こそフロイドは普通のフルーツジュースを手にして飲む。
「ようするにぃ、小エビちゃんは未来の大人のオレに甘えてもらえて、そして一人の大人として甘やかさずに接してほしいってこと?」
「そういう感じですね。さすがフロイドさん」
「んー、無理じゃね?」
「はい?」
続く
「二人ともご無事ですか?」
アズールより先にジェイドが二人への元へと駆け寄っていた。
「ジェイド先輩!ありがとうございます。私はフロイド先輩のおかげで濡れずに済みましたが、私のせいでフロイド先輩が少しかかってしまったみたいで・・・」
「そのようですね。しかし、この僕の足の下にいる彼は当時フロイドにこっ酷くやられていた者でして、この同窓会で恨みを晴らそうとしたのでしょうね」
綺麗な革靴なのにやっていることは綺麗じゃないジェイド。足の下でフロイドとユウを襲った男が呻き声をあげていた。
「フロイド、何かの魔法薬をかけられたみたいですしすぐにシャワーを浴びに行った方がいいですよ。・・・フロイド?」
「フロイド・・・さん?」
フロイドは身長が高い。それは皆まで言うまでもなくであるが、一緒に暮らしているユウはそのフロイドの姿に違和感を感じた。彼は成人するまで更に身長が伸びた。それなのにオーダーメイドのスーツは少しばかり肩幅に余裕があったり、立ち上がった姿はゆらゆらと揺れている。
「あ、小エビちゃんじゃん!あれー、なんか大人っぽくなったねぇ」
「も、もしかして・・・フロイドさん若くなった⁉」
「はー?小エビちゃんのくせに先輩付けないとか生意気じゃね?ってか、ジェイドやアズールもなんか大人じゃん?老けた?」
「失礼な。まだ二十代ですよ。ユウさん、その男がかけたのは退行を促す魔法薬です。まさか貴女が飛び出すなんて思っていなかったのでしょう。まだ魔法薬がこんなに残っているのでフロイドもこの年齢で抑えられたわけです。これが全部かかっていたら稚魚になっていたでしょうね。どうやら稚魚にしてからフロイドを始末する予定だったのでしょう。・・ユウさん、今稚魚のフロイドを見てみたいと思ったでしょう?」
「あ、いや・・。そ、そんなことありませんよ?あの、フロイドさんは元に戻るのでしょうか?」
アズールが試験管に残っている魔法薬を左右に揺らすとちゃぷんと音がした。フロイドが推定十七歳の姿になっただけで至って元気そうであり問題がないと判断したアズールは今日一日で戻るでしょうと言うと試験管をどこかへ消し去った。ついでにアズールはジェイドに目配せすると未だ足の下にいた男を引きずってどこかへ連れて行ってしまい、ユウはその光景までも懐かしさを感じてしまう。それが懐かしいと感じてしまうほどユウは海のギャングの恋人色に染められていたのだった。
「ねー、小エビちゃんはオレの恋人なの?」
「そうですよ。今のフロイドさんは私とお付き合いする前のフロイドさんなのですね」
ふぅんとフロイドはシャンパンを手にしようとするのでユウは未成年は飲酒禁止です!とグラスをやんわりと取り上げた。そのユウの行動にフロイドは大笑いしながら、本当に小エビちゃん?と腹を抱えていた。
「そんなに笑います?確かに当時はよくビクビクしていましたからね。今の私はフロイドさんと暮らしているおかげでビビリ小エビじゃなくなりましたよ」
えへん!と腰に手を当てて得意げなユウにフロイドはそれはそれで複雑。ちょっとしたことでビクビクしていたユウが面白かったし揶揄い甲斐があった。今のユウはすっかり大人の余裕だし、今のフロイドをまるで可愛い弟ぐらいにしか思っていないのだ。自分がやりたいことを遮れるのは兄弟ぐらいだったし、まさかそれをユウによって阻止されるとは思いもしなかった故の笑いだった。
「ねぇ、今着ている小エビちゃんのワンピースって大人のオレが選んだわけ?」
「あ、そうなんですよ。フロイドさん、私をすぐ甘やかすからこうやって新しい服を買ってくるんです」
「やっぱり!ちょーセンスいいからオレが選んだと思った!可愛いじゃん」
大人のフロイドも同じことを言っていた。今も昔も思ったことを素直に口にするところはずっと変わっていない。それでも身寄りがなく家族のように暮らしているからって一人で生きていけないほど子どもではないし、仕事だってしているからそれなりに生活力はある。守ってばかりなのも気が引けるから甘やかし過ぎるのを少しでも止めて欲しかった。同窓会に水を差すようなさっきの魔法薬だってユウがフロイドを守りたかった。自分だって愛する人を守ることが出来るって思いたかったのだ。結果的には守ってもらうことになったのだが。
「小エビちゃんは未来のオレに甘やかされるの嫌なの?」
瞼を緩く伏せていると唐突に言われた十七歳のフロイドの言葉に、その言葉はそれはそれで語弊があるように思えた。そして、考える。
「嫌じゃありません。でも、フロイドさんの横に立つならそれなにの女性になりたいんです。アズール先輩達みたいに頭も良くないし、魔法だって使えない。料理だってフロイドさんほど上手じゃないし・・・、そして守ってもらってばかりで私って何なんだろうって」
フロイドから没収したシャンパンをごくりと喉に通す。しゅわしゅわとした慣れないアルコールと炭酸が胃を熱くさせ、慣れない感覚に足がおぼつかなくなる。
年下のフロイド相手だから言えるのか、アルコールの力を使ってどれだけ自分がフロイドのことを愛していて、甘えてもらえる存在になれるのか、そして飽きられないような女性になれるのか面倒くさい酔っ払いみたいに絡む。フロイドも初めはふざけながらユウの話を聞いていたが、ポツポツとした雨がどしゃぶりに変わるぐらいの勢いで話すユウに今度こそフロイドは普通のフルーツジュースを手にして飲む。
「ようするにぃ、小エビちゃんは未来の大人のオレに甘えてもらえて、そして一人の大人として甘やかさずに接してほしいってこと?」
「そういう感じですね。さすがフロイドさん」
「んー、無理じゃね?」
「はい?」
続く