Unexpected he
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「フロイド、ユウさんを困らせてはいけませんよ」
「あはっ!ジェイドじゃん!ちょっと揶揄ったら小エビちゃん茹でエビになった。オレの事好き?って聞いたらこんなんなって可愛いーよね」
「そうですか。ユウさんは、フロイドがお好きなのでしょうか?」
目を回して倒れそうな展開にユウは熱が出そうだった。ユウはフロイドが好きだ。ジェイドがフロイドのことを好きかと尋ねている。そのジェイドの顔は真剣でいつもの様に口元が弧を描いていない。
楽しそうなフロイドとは対象的な反応にどう答えるのがベストなのか。
「(あれ?何で私迷ってるの?)」
「ユウさん、僕の質問には答えて頂けないのでしょうか?」
「ジェイドの方が小エビちゃん困らせてんじゃん」
「あ、えっと・・・私、急ぐので!」
素早いお辞儀を2回するとユウは行くべき道と逆に走っていってしまい、エースを置き去りにした。
明日はチェリーパイを奢ろう。ユウはそれぐらいの出費を払ってでもその場から逃げたかった。
フロイド先輩が好き。
フロイド先輩が好き。
フロイドとジェイドから逃げるために大回りした為、飛行術の授業開始時刻はギリギリになってしまった。だけどもやはりこの授業は出来ることがなくて、その辺に座りながら適当に雑草を花占いみたいに引き抜く。ぶちぶちと抜いているけど、ここは芝生だから無闇に抜いてはいけなかった気がするが今となっては手遅れ。
フロイドの事は好きだ。だからフロイドが好きって言ってくれたら深海まで潜れるぐらい舞い上がる。ジェイドは魅力的な先輩だと思うけども、フロイドのように好きかと言われたら少し悩む。
だけど、近頃ジェイドとよくいるようになって分かったのは怒ると怖いがそれ以外は優しい。笑うとフロイドとは違う可愛げがある。
「ユウさん」
「あ、ジェイド先輩・・・。あれ?ジェイド先輩って飛行術の授業でしたっけ?」
「細かいことは気になさらず。先程は困らせてしまい申し訳ありません」
「い、いえ。突然だったので私も逃げてしまってすみません」
この辺りの芝生荒れてますねぇとジェイドが言うのでユウは適当に流す。
「ユウさんがフロイドのこと好きだったなんて知りませんでした」
「なっ!!私何も言ってませんよ!」
「違うんですか?貴女の反応見ていたらそんな気がしましたけど」
「そ、そんなジェイド先輩には関係ないお話で・・・いや、ご兄弟の事ですしあるのかな?んー・・・」
「ふふ、相変わらず面白い方で興味がそそられます」
またあの反則的な微笑みで見られてしまい、心臓を鷲掴みされそうになる。ジェイドの笑顔の種類が違って前よりも心がこもっていて、その熱に穴が開きそう。
遠くでマブたちが飛行術で騒がしくしているのにここの空間だけは静寂。
逃げ道なんてないのにユウは少しだけジェイドから離れようとすると、そっと手の甲にジェイドが指を乗せてきた。
とても遠慮がちで羽が乗っているみたい。
「待って、行かないでください」
こんなに照れられるとユウまで照れてしまう。手袋をしていないジェイドの手は白くて美しい。
─私はフロイド先輩が好きだ。フロイド先輩に好きになってもらうために気の利く女ををしてみたり、料理だってする。
それ以外の男性に特別な感情なんてないの。
ジェイドの顔が赤くなると、ユウまで赤くなってしまう。
これは単に吊られてしまっているだけ。乗せられている指はいつまでもふわりと乗っているだけで、いつもの余裕のあるジェイドではない。
ピンクな雰囲気にユウはこれ以上ジェイドのセリフを聞いてはいけない気がする。
乗せられている羽から逃れようとすると、今度はその大きな手ですっぽりとユウの手は覆われてしまい、ユウは反射的に身体が跳ねた。
「女性に失礼をお許しください。あとからビンタでも何でもしてくださっていいので」
「そ、そんな事はしませんよ」
照れながらもそれなら良かったですと微笑まれてしまい、今にも心臓は爆発しそうだ。
「ユウさん、あの聞いて欲しいことがあるんです」
あぁ、もう駄目だ。
ユウは口の中がカラカラになって唾液さえも飲み込めない。
私はフロイド先輩が好き。
「実は、僕」
フロイド先輩以外の男性には興味なんて・・・。
「ユウさんを好きになってしまいました」
好きになってもらいたい先輩じゃない・・・。
でも。
「貴女は僕のことをどう思っておられますか?」
フロイドのことは何でも知っていて、山の月刊という渋い雑誌を読んでいて、少年のように見て見てと育てたきのこを嬉しそうに見せてきて、ピンチの時は駆け付けてくれるカッコ良さだってある。
怖いだけじゃないのはこの数日で知った。
新しい一面が見える度に意識してしまうのはそういう事になってしまったのだろうか。
「わ、私はジェイド先輩のこと──」
Fin
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