Unexpected he
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ユウはモストロラウンジでバイトを週4でしている。あんな事があったからブラックな会社だと思っていたのにオフホワイトだった。
一定時間以上勤務の場合は休憩だってあるし、残業することになっても15分毎に残業代が付く。賄いだってグランドメニューに負けないぐらい美味しい。そして、賄いを作る担当は日替わりで高い材料以外は何を使用しても良いので順番が回ってきてもそんなに苦ではないのだ。
初めからこんなにホワイトならイソギンチャクがいなくてもラウンジは回るのでは?と思ったのはユウの胸の内に秘めておいた。
その賄いを作る今夜の担当はユウ。
今夜は少しばかりホールが忙しくてフロイドもホールの手伝いをしていたからきっとお腹が空いているかもしれない。それどころか面倒な客もいたからやる気がなくなっているかも。
そうとなればやる気を出してもらって、気の遣える女の子アピールをしよう。
腕を巻くって材料を作業台に乗せて、料理を開始させた。
「ふぁぁぁ。眠っ・・・ちょー疲れる!」
「今日は平日なのにお客様が大勢いらっしゃいましたからね。フロイドにもホールに出てもらったので助かりました」
「別にいいけどねぇー。今日は賄い作るの誰だっけ?」
「今日はユウさんが当番でしたよ。彼女が作る料理は僕好きです」
「小エビちゃんの作る料理美味いけど、ちょーっと味が薄いんだよなぁ」
「そうですか?僕には丁度いいですよ」
「ふぅん。ジェイドって大食いで味にもうるさいのに珍しいじゃん。小エビちゃんが番になったら毎日小エビちゃんのメシ食えるねぇ」
そう言うとフロイドは腹減ったー!とジェイドより先に厨房へと足を進ませる。ジェイドは休憩時間を確認しながら歩いていると、先に入ったはずの片割れが厨房の前に突っ立っていて気になったジェイドはフロイドに声をかけた。
「ジェイド!ジェイド!見てみて!ちょーウケんだけど!!」
フロイドが指差す方はユウが料理を並べている作業台。もしかすると賄いを作るのに失敗したのかもしれない。生徒によってはたまぁにそういう事はあって、創作意欲が沸いて創作料理を作ったものの失敗するというパターン。ユウに限ってそんな事はないだろうけど、もしかしたら落ち込んでいるのかもしれない。そうなら、大丈夫ですよ。と声を掛けてあげなくてはとジェイドはフロイドの横を通り抜けた。
「こ、これは・・・タコのカルパッチョ?しかもこんなに・・・」
「あっ!お二人共お疲れ様です!フロイド先輩、タコ好きですか?カルパッチョって初めて作ったんですけど、味は保証しますよ!」
「あははは!小エビちゃん!これ、作りすぎだって!!オレ、タコ好きだけどカルパッチョよりたこ焼きの方が好きだし!これジェイドの好物じゃん!あははは!良かったねぇ、ジェイド!」
「こんなにたくさんのカルパッチョ・・・!物足りない量だと言っていた僕の言葉覚えててくれたのですね!ええ、有難く頂きますね!」
腹を抱えて笑うフロイドはついに壁に手を付いてヒーヒー言い出し、ジェイドは目を細めて嬉しそうにカルパッチョを珍しく大きな口を開けて食べだした。手は口元に当てながらも、美味しいです!とたいそう喜んだ。
思っていた反応ではなかったけど、フロイドはずっと笑ってるしジェイドは贅沢食いしますと見るからにウキウキしていたので、まぁいっかとユウも食べることにした。
次の賄いはたこ焼きにしよう。
しかし、そういう時に限って小麦粉が少ないから使うなとアズールに言われてしまい、余ったマリネ液を使ってくださいと言われ結局またタコのカルパッチョを作ることになり、ついにフロイドを泣かすまで笑わせてしまうしジェイドは幸せそうに頬張っていたのだった。
***
「今日は運が良かった!またデラックスサンドが残ってた、うふふ」
マブ達から遅れて食堂に来ることになってしまって残り物を覚悟していたのに、ショーケースには存在感を主張するサンド。食堂のゴーストが1個出し忘れていたという。棚から牡丹餅だとユウはすぐにそれを手に取ってマドルを支払うと食堂の端でひっそりとパックを開封した。
前はやっかみを入れられてしまい、美味しいサンドが台無しになってしまったので今日こそは美味しく頬張りたいのだ。
「うっわ!オンボロ寮のくせにデラックスサンドまた食ってる!サンドがオンボロになるなぁ!」
「・・・また?もぉ、何なのよ・・・」
「あれぇ?どしたのかなー?泣くのー?」
デラックスサンドとの相性が悪いのだろうか。
雑に頭を掴んでユウの頭を左右に揺さぶり、品のない生徒が声を上げて笑う。マブ達もいないし、変に刺激を与えると何されるか分からない。ユウがデラックスサンドを食べることをからかってるだけなので気が済めばどこかに行くだろう。ユウは黙ってサンドを握ったままされるがまま耐えた。