Unexpected he
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スマホのスケジュールアプリを開いてウンウン唸るユウにマブ達はまた始まったと、手に持っていたパックのジュースを啜る。
ジュースを啜り終わって二人がぐしゃりと潰したのと同時にユウは声を上げるものだから、横で居眠りをしていたグリムはふなぁ!と驚いて目を覚ました。
「うん!今日はフロイド先輩、部活に来るはずだから放課後バスケ部に見に行く!」
「出た。ユウのフロイド先輩占い。お前の占い結構当たるんだよな」
ストーカーだな。と余計なことを口走るエースのツンとした毛先をユウは軽く引っ張った。
今となっては恒例となったユウのフロイド先輩占い。といってもスケジュールアプリにフロイドが部活に参加したか否かを記しているだけで、2日間来てないから今日は来る、昨日来たから今日は来ないといった占いとしては信ぴょう性に欠けたもの。
さすがに4日、5日参加しないことはないので最早占いというよりは確率の話である。
「今日はスポドリ持って応援しに行こっと!」
「ユウはほんとフロイド先輩が好きだよなぁ。怖いもの知らず・・・ってか怖いの知ってるくせに」
エースのいう怖いものというのは海底で追いかけられた時のこと。ユウからすればそれは随分前のことで、今となっては憧れの先輩。
「ところで、フロイド先輩が好きならユウはジェイド先輩も好きなのか?ほら、リーチ先輩らって双子だし」
「おーい、お子ちゃまなデュースくんは黙ってな。双子っても顔が似てるだけで性格はちげぇじゃん」
「そうよ!私はあのユラユラと揺れた可愛げがある先輩が好きなの!」
へへっ。と乙女の表情されても恋だの愛だのに疎い純情ボーイにはあまり理解出来なかったようで、デュースは腕を組んで首を傾けていた。
そもそも、何故ユウはフロイドの事が好きになったのか。それはいつだったか、たまたま購買に残っていたデラックスサンドを奮発して買った時に、オンボロ寮のくせにと妙な絡みをされた時に助けてくれた時だ。フロイドはただの気まぐれで、虫の居所が悪かったからほぼ八つ当たりで蹴り飛ばしただけだったのだがウブなユウからすればそれはヒーローで、少女漫画でいうと恋に落ちる瞬間だった。
「んー。でも、今日クルーウェル先生に怒られてたから部活来ないかなぁ・・・でもいい加減来ないと顧問の先生に怒られるような。・・・あっ!!ジェイド先輩!いいところに!」
「おや、僕呼ばれましたね。皆さんお揃いで何の話をされているのでしょう」
ちわーっす!とマブ達は体育会系の挨拶を済ますと、ジェイドはご丁寧に手を添えて挨拶をそこそこにユウの方へと体を向けた。
珍しく1人でいるジェイドにユウはこれはチャンスだと心の中にいる小さなユウが親指を立てる。
フロイドのことならジェイドが1番よく知っている。同じ部屋で常に共に過ごしているのだ。フロイドがどの授業を受けたいか100%当てられる片割れ。こんなに心強い相手は他にいないと思うのと同時に絶対にフロイドが好きなことは伏せておきたい人ナンバーワンもまたジェイド。
ユウの考えていることに勘づいた頭の回転早さナンバーワンのエースは無言で首を左右に激しく振るが残念。今のユウからの位置からではエースは見えない。
「ジェイド先輩、今日フロイド先輩は部活に参加されると思いますか?」
お天気お兄さんに晴れか雨を聞くノリでユウはジェイドに問うてみる。
「授業をサボり続けたフロイドは居残りされられるようなので、今日の部活には行かないと思いますよ。気分が乗れば行くかもしれませんが」
雨時々晴れの降水確率50%。
なんとも言えない空模様。
ジェイドのこの様子だと行かないかもしれないし行くかもしれないということ。もしかするとバスケでダンクでもしてスカッとしたい気分になれば部活にくるかもしれない。むしろ、ダンクをしているフロイドを見たい。好きな人のかっこいいところは浴びるように眺めていたいし、穴が開くほど視線を送りたいのだ。
少しぐらい小エビちゃんとしてではなく、女の子として意識してもらいたい。
可愛い小エビちゃんではなく可愛いユウと思ってもらいたいのは贅沢なことなのだろうか。
「ユウさんはフロイドに部活に行ってほしいのですか?」
「そ、そうですね!ほら、エースもフロイド先輩が来てくれないと練習にならないって言ってますし」
「・・・お前、よく言うわ」
「シッ!フロイド先輩、クルーウェル先生にも怒られてましたし、それに加えて顧問の先輩にも怒られたら今夜のラウンジ荒れると思うんです」
「たしかにそれは困りますね。週末に向けて仕込みをしないといけないのでフロイドがいないとなると人手が足りません。では、ユウさんがフロイドの機嫌を取ってくださいますか?」
「え?あ、私に出来ることなら!」
ジェイドにフロイドの機嫌を取ってもらおうとしていたのに、その役割をユウがするという流れに損な役割だと周りが思うところ、ユウからすれば好きな人と話をすることが出来る役得になった。
そして近頃のフロイドは飴に飽きてきたようで、固いビスコッティブームが来ているとジェイドは教えるとユウを連れてサムの店へ行こうと提案する。定番の飴を鞄にいつも忍ばせていたユウは今度からはビスコッティも忍ばせておこうと、購買へと向かうジェイドの横に並びマブ達とはここで別れることにした。
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