一輪
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ずんずんとユウはレオナの手を引きながら歩き、次第に場所はそういったところに差し掛かる。ユウだってそういう場所があるところぐらいは知っている。
半分ヤケになっているユウはぶつぶつと言いながら適当な場所に入ろうとするものだから、レオナはギョッとしてそんな安っぽいところは止めろ!と今度はレオナがユウを引っ張っていっとう綺麗な場所を選んだ。
受け付けをささっと済まし、一番いい部屋を選ぶとレオナはユウを抱えベッドに寝かす。
「どうした。さっきまでの威勢が消えたな?ここまで来たものの怖くなったか?」
「あ、いえ、少し·····緊張しただけです」
「そうかよ。お前がいいならオレはこのままユウを抱く。ユウは俺に身を任せればいい。あの魚野郎はもう忘れろ」
「·····はい」
少しの間、レオナを見つめるとそっと目を瞑った。
***
「フロイド、ユウさん最近綺麗になりましね」
「今更?小エビちゃんが綺麗なのは前からじゃん。まぁ·····トドに可愛がられてんでしょー」
最近監督生は綺麗になった。そんな話があちこちで上げられるようになったのだ。
フロイドはスマホに目を落としたままDLしたばかりのゲームに夢中。
新作、流行り。それでもやっぱりすぐ飽きてしまってアンインストール。
ゲームならこんなに簡単に切り捨てて新しいところに飛びつけるのに、お気に入りはアンインストール出来ない。
好きな物はいつまで経っても変わらないものだ。
新しくゲームをDLしようと画面をスクロールしながらユウをちらりと見ると、横にいたジェイドに視線の先を見られてしまう。
「臆病なウツボですね」
「そんなんじゃねーよ」
「ユウ、お前昨日オレの部屋に忘れ物してたぞ」
「あっ!すっかり忘れてました!わざわざありがとうございます!」
「別に構わねぇ。あー、そうだ忘れるところだったな。おい、そこのオクタヴィネルの2匹に用がある」
なんでまたこんなときに忘れ物を届けにくるのだろうかと、他の生徒からすれば迷惑な話だった。ラギーにでも頼めばいいのにと。
フロイドが暴れたら誰が押さえ込むのか、ジェイドは当てにならない。そんな相談事をこそこそとしてる。
くいくいっとレオナはフロイドとジェイドに早くしろと手招きをする。
それと同時にユウもくるりと体を反転させ、ユウとフロイドはバチリと目が合った。あの時の言い合いぶりにお互いの顔を見たのだ。ユウは少し気まずそうにゆっくりと体を横に向けて目を逸らす。
「··········いつまで引き摺ってんだっての」
「何やらレオナさんが僕たちを呼んでますね。フロイド行きますよ。彼はサバナクローの寮長ですから、下手なことは出来ません。ほら、行きますよ」
「わーったよ。。チッ、気分じゃねぇ」
こめかみをガリガリと掻きながらその巨体をゆっくりと立ち上がらせ、先に向かったジェイドの後を追う
「んでぇ、トド先輩何なの?」
「今夜、料理をデリバリーしてくれ。オンボロ寮までな。今日はこいつと過ごす。こいつんとこの毛玉はハーツラビュルに行くって言うしな」
「あーそう。料理の注文はジェイドに言って」
「えぇ、後ほどメニューをラギーさんに渡しておきますね」
ユウは背の高い彼らの間に挟まれた状態でちらちらと交互にレオナとフロイドを見上げる。フロイドは少し機嫌悪そうで会話には入らない方がいいだろうと少し下がった。
「小エビちゃん」
「は、はい?!」
声が少し裏返ってしまいユウは赤面する。
「白身魚のフリッターもいる?小エビちゃん、好きでしょ?」
「あ、はい」
「うん。じゃぁ、それも持って行く。いいよね、トド先輩?」
小エビちゃんの好きな食い物ぐらい、知ってるよな?
そんな風にとれるフロイドの物言いにレオナはフンっと鼻を鳴らしユウの肩を抱く。
「あぁ、それも好きなんだな。それなら用意してやれ。俺はこいつの良い所ならいくつも知ってるけどな」
ユウはこれでもかというぐらい真っ赤にして口を金魚のようにパクパクとさせる。
「それに、俺はどこかの人魚と違って一途なんでね」
「レオナ先輩!」
「オレだっていつまでもあのままのオレじゃないし。あの時のオレは馬鹿な魚だったの。··········トド先輩に幸せにしてもらいな、小エビちゃん」
「·····っ!!」
ぽんっと頭に乗せられた手が割れ物を扱うように優しくて、幸せになれと言ったフロイドの顔は笑っているのか泣いているのか少しくしゃっとしていた。
「じゃ、オレはアズールと話してくるからもう行くわ。細かいことはオレ忘れるからジェイドに言っといて~」
「ええ、お任せ下さいフロイド」
不器用な片割れですね。そんな副音声を混じえてジェイドは背を丸くして歩くフロイドに言葉を投げた。