一輪
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「小エビちゃーん、膝枕してぇ」
「はいはい。どうぞ」
オレ眠いから来てぇ!と連れて来られたのは植物園。芝生の上に座るとフロイドは嬉しそうにユウの膝の上に頭を乗せる。
「小エビちゃん、いい匂い~。オレの好きな子の匂い~」
ぎゅっと抱きしめられフロイドの顔はユウの腹とくっつく。ユウはふふっと笑いながら柔らかなフロイドの髪を撫でる。これで遊び癖がなければ最高なのに·····と思いながら。
暫くフロイドを撫でていると、規則的な寝息が聞こえ出しフロイドはユウにくっつくように眠ってしまう。母性がくすぐられる感覚だ。
頬に乗ってしまっているピアスが邪魔になるだろうとピアスをそっとずらすとさらさらの髪の間から見えたのはキスマーク。
まだ赤い。
「あぁ·····。これはこの間の時のやつね。また誰かとしたのね」
そっとその赤くなったところに爪を立てる。皮膚の弱い首にユウの爪の形の弧型が残った。
ささやかな上書き。こんな小さな上書きではフロイドもきっと気づいていない。ちっとも痛くも痒くもないのだろう、起きる気配がないのだから。
「ねぇ、フロイド先輩·····私だけじゃ駄目なんですか?私だって本当はフロイド先輩ともっと深く繋がりたいんですよ?私、陸の人間だから1人しか愛せないんです。先輩以外·····いら、ないの、に」
鼻の奥が痺れるほど涙を滲ませて上を向く。涙をこぼしてしまうと眠っているフロイドに流れてしまう。今フロイドに起きられては困るから撫でる手は休ませず、こぼれた涙は誰にも受け止められず地面に染み込ませる。
人魚だから仕方ない。
何度もそう言い聞かせて、頑張って納得させた。
大丈夫。少し泣いたらまた戻れる。
「私はフロイド先輩が好きだから·····」
「おい。人の昼寝の場所で何ピーピー泣いてやがる」
「え?あ、レオナ先輩!そ、そうでしたね·····ここって先輩のサボり場所でしたね」
「容赦なしかよ」
慌てて目を擦り涙を拭う。前もこの辺りでレオナの尻尾を踏んで怒られた時があったのを思い出す。
「·····ったく。そこの天日干しの魚はお前の番だったか?」
「て、天日干しって·····。番か分かりませんが一応お付き合いしてます」
「やめとけ。そいつ、ユウじゃねぇメスの匂いがする。しかも1人や2人じゃねぇな。オレの国じゃありえねぇ」
臭いものを払うように手で払う。レオナの国は女性を大切に扱う国だ。他人であれ女性には親切であれというのが方針。そんなレオナが言うのだから、それなりの数をフロイドは重ねてきたのだろう。
ユウは切なく笑いながらフロイドの髪に指を滑らせ、幼くも愛しい寝顔に視線を落とす。
「忠告としてユウの周りの奴らはお前らの関係を良く思っていない。こいつは人魚の本能が強いんだろうよ」
より多く、強い子孫を残す。
まだ17歳という若さでこの様子なら数年後には更に周りにはたくさんの女性の影が当たり前のようになる。
そんな辛い現実が待っているというのに、これからの数年をこの人魚に費やしてもいいのだろうか。
「まぁ、それに比べ俺たち獣人族は女性を敬い生涯一人の女性を愛する。これに関しちゃ、草食動物と変わらねぇと思うぞ」
「レ、レオナ先輩は·····何で私にそんな事を」
「さぁな。そんな目を腫らしてまでそいつに付き合う必要はないってことだ。お前の幸せを願うやつは他にもいる」
「·····レオナ先輩は私の幸せを願ってくれるんですか?」
「ユウが自分の目で確認すればいい」
鋭い目の奥からじんわりとした温かさを感じる。
言葉一つは素っ気ない口調だけれども、目を見て偽りない言葉を話してくれているのはユウにも伝わった。
「私は」
さらりとフロイドの髪を撫でる。
またキスマークを見つけてしまった。
──私のことを好きって言ったのに
──先輩の事、好きにさせた癖に
──勝手に惚れた私が馬鹿みたいで
何かがぷつりと切られたような気がした。
「はいはい。どうぞ」
オレ眠いから来てぇ!と連れて来られたのは植物園。芝生の上に座るとフロイドは嬉しそうにユウの膝の上に頭を乗せる。
「小エビちゃん、いい匂い~。オレの好きな子の匂い~」
ぎゅっと抱きしめられフロイドの顔はユウの腹とくっつく。ユウはふふっと笑いながら柔らかなフロイドの髪を撫でる。これで遊び癖がなければ最高なのに·····と思いながら。
暫くフロイドを撫でていると、規則的な寝息が聞こえ出しフロイドはユウにくっつくように眠ってしまう。母性がくすぐられる感覚だ。
頬に乗ってしまっているピアスが邪魔になるだろうとピアスをそっとずらすとさらさらの髪の間から見えたのはキスマーク。
まだ赤い。
「あぁ·····。これはこの間の時のやつね。また誰かとしたのね」
そっとその赤くなったところに爪を立てる。皮膚の弱い首にユウの爪の形の弧型が残った。
ささやかな上書き。こんな小さな上書きではフロイドもきっと気づいていない。ちっとも痛くも痒くもないのだろう、起きる気配がないのだから。
「ねぇ、フロイド先輩·····私だけじゃ駄目なんですか?私だって本当はフロイド先輩ともっと深く繋がりたいんですよ?私、陸の人間だから1人しか愛せないんです。先輩以外·····いら、ないの、に」
鼻の奥が痺れるほど涙を滲ませて上を向く。涙をこぼしてしまうと眠っているフロイドに流れてしまう。今フロイドに起きられては困るから撫でる手は休ませず、こぼれた涙は誰にも受け止められず地面に染み込ませる。
人魚だから仕方ない。
何度もそう言い聞かせて、頑張って納得させた。
大丈夫。少し泣いたらまた戻れる。
「私はフロイド先輩が好きだから·····」
「おい。人の昼寝の場所で何ピーピー泣いてやがる」
「え?あ、レオナ先輩!そ、そうでしたね·····ここって先輩のサボり場所でしたね」
「容赦なしかよ」
慌てて目を擦り涙を拭う。前もこの辺りでレオナの尻尾を踏んで怒られた時があったのを思い出す。
「·····ったく。そこの天日干しの魚はお前の番だったか?」
「て、天日干しって·····。番か分かりませんが一応お付き合いしてます」
「やめとけ。そいつ、ユウじゃねぇメスの匂いがする。しかも1人や2人じゃねぇな。オレの国じゃありえねぇ」
臭いものを払うように手で払う。レオナの国は女性を大切に扱う国だ。他人であれ女性には親切であれというのが方針。そんなレオナが言うのだから、それなりの数をフロイドは重ねてきたのだろう。
ユウは切なく笑いながらフロイドの髪に指を滑らせ、幼くも愛しい寝顔に視線を落とす。
「忠告としてユウの周りの奴らはお前らの関係を良く思っていない。こいつは人魚の本能が強いんだろうよ」
より多く、強い子孫を残す。
まだ17歳という若さでこの様子なら数年後には更に周りにはたくさんの女性の影が当たり前のようになる。
そんな辛い現実が待っているというのに、これからの数年をこの人魚に費やしてもいいのだろうか。
「まぁ、それに比べ俺たち獣人族は女性を敬い生涯一人の女性を愛する。これに関しちゃ、草食動物と変わらねぇと思うぞ」
「レ、レオナ先輩は·····何で私にそんな事を」
「さぁな。そんな目を腫らしてまでそいつに付き合う必要はないってことだ。お前の幸せを願うやつは他にもいる」
「·····レオナ先輩は私の幸せを願ってくれるんですか?」
「ユウが自分の目で確認すればいい」
鋭い目の奥からじんわりとした温かさを感じる。
言葉一つは素っ気ない口調だけれども、目を見て偽りない言葉を話してくれているのはユウにも伝わった。
「私は」
さらりとフロイドの髪を撫でる。
またキスマークを見つけてしまった。
──私のことを好きって言ったのに
──先輩の事、好きにさせた癖に
──勝手に惚れた私が馬鹿みたいで
何かがぷつりと切られたような気がした。