Demipointe
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「それでグリムがですね!試験管蹴飛ばしちゃって飛んで行った先にエースがいて・・・」
「グリムさんも相変わらずですね」
穏やかな空気が流れるオクタヴィネル寮の寮長室。紳士の憩いの場のモストロラウンジに勤務するユウは短い休憩時間にも関わらず、恋人であるアズールの顔が見たくて寮長室に訪れていた。アズールも恋人のユウが訪問したとなると例え忙しくても無下に追い返したりしない。腰に手を回して、さぁどうぞと招く。
ユウは甘えていると分かっていて受け入れてくれるアズールに申し訳なさはありはするものの、それでも恋しい気持ちには勝てず休憩がある日は度々ノックをしてしまっていた。
「エースがマジギレしてもう大変っ!弁償しろーっ!って怒ってました。さすがにあれは酷かったので弁償はしようと思いますけどね」
「僕が代わりにお支払いしますよ?ユウさん今月金欠だと言っていたでしょう」
「え?!そ、そんなつもりでこの話をしてるわけじゃないです!これは私たちの問題ですのでアズール先輩にご迷惑はかけられません!」
「それぐらいどうってことないです」
「いやいや・・・それでさえ甘えさせてもらってるのに、お金まで貰えません」
首をぶんぶんとかぶり財布を取ろうとするアズールを阻止する。
それでさえ普段からユウはアズールからたくさんの施しを受けている。余り物と称した豪華な海鮮おもたせや授業で使うインクやノート。これもアズールご贔屓の質のいい代物。そしてテスト対策ノートは勿論無対価。
そのおかげでユウの身の回りは自然とアズールとお揃いの物が増え、テストの成績は上昇。
良いことづくしこの上ない。
当たり前ではあるがユウはどれも自ら欲求しているわけではなくアズールの心配りだ。
それを知らない者たちは監督生はアズールの「金」目当てだなんて言う。
付き合うきっかけはアズールからではあったが、そんな事はただのきっかけで、それこそタイミングだ。
ユウがそんな噂を知っていてアズールが知らないわけが無い。
負け犬の遠吠えとばかりに放っておこうということだろう。
周りにはまだまだお似合いのカップルとは思われていないけれど、いつかは素敵カップルと言われたい。
気が利いて、機転の利く才色兼備な女性がアズールには似合う。
まずは彼女らしく特別な──誕生日を祝う。
「そうだ!お仕事の後に私お茶を淹れて持ってきます!お話したい事があるんです」
「話ですか?それは構いませんが、寮まで送るとはいえあまり遅くに帰すのは紳士さに欠けますね。それはそうと、ユウさんもうすぐ休憩終わりでは?」
「ふぁ?!」
アズールの左腕に飾られている腕時計を目の前まで持ってくる。
つい先程才色兼備を目指そうとした矢先だというのに。
緩めていた給仕服のボウタイもアズールが優しく結び直してくれる。すらりとした細い指が流れる仕草で器用に左右対称のふっくらとしたリボンを作った。
「ほら、いってらっしゃい。遅刻は厳禁です」
チュ・・・と触れるだけの口付けをユウに落とし、優しい目でエスコートをして部屋の入口まで送る。
どちらが才色兼備やら。
紅茶楽しみにしていますと目を細めてユウを送り出すとユウは元気な返事をひとつ返して小走りで走り出す。
仕事の休憩中とはいえアズールが休憩中に口付けをしてくれることは今までなかった。
愛されている実感とはこういうことを言うのだろう。ニヤニヤとついスキップしながらラウンジに向かっていると途中でフロイドに見つかる。フロイドには小エビちゃん変なの!とからかわれてしまうが今のユウにからかいは無意味でつまらないと飽きられる。
あまりにも頬が緩んでいたのかホール出る前にジェイドに節度を持ってと注意されてしまう。
「あ、ボールペン・・・アズール先輩の部屋に忘れました!!ジェイド先輩!!猛ダッシュで取りに行ってくるので少しだけ抜けます!」
「アズールが譲ったペンですね。僕のを貸して差しあげたいですが、後がややこしくなるのでどうぞ取りに行ってきてください。転ばないようにしてください」
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