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14日バレンタイン当日。
私はモストロラウンジにいた。アズール先輩から連絡があったあの日、時給を上げるのでラウンジを手伝って欲しいという内容の連絡だった。
時給を上げて貰えるのは嬉しいし、チョコマフィンも作り終わっていて時間があった私はすぐに承諾した。
バレンタインまでフロイド先輩と一緒に同じ空間で過ごせるのは幸せ。店内はやっぱり女の子ばかりで普段の一般開放の日よりも目が回る程忙しい。おかげで厨房にいるフロイド先輩は少し機嫌が悪いのだけれど。
「だーっ!今日は甘いメニューばっか出るのうぜぇ!甘いの見たくねぇ!」
1人で食べ切れる?というような高さのパフェやモストロらしいアラモード、フルーツたっぷりのパンケーキを次から次へと焼いたり盛り付けていく。それでも手際はいいし、雑な盛り方はしていない。
「あー・・・小エビちゃん、バレンタインなのにシフト入ってもらってごめんね。その・・・時間とか大丈夫?」
ジューっとフライパンでパンケーキを焼きながらフロイド先輩は私を見ることなく尋ねた。バレンタインの為にお菓子を作ってたのを知ってるからだ。きっとシフトインしてるから渡しに行けないと思っている。
「大丈夫ですよ!ここに来る前にエース達にも配りましたし、その・・・好きな人にはもう渡しても意味無いので。たぶん脈ないし受け取ってもらえないと思います」
はぁ?!とすごい剣幕でフロイド先輩は振り向く。
「小エビちゃんの大切な気持ちがこもったお菓子なんでしょ?!あんま言いたくないだろうけど・・・渡す前に振られたとか?ねぇ、そいつ誰だよ?気持ちに応えられなくてもお菓子ぐらい受け取れんじゃん!」
ちゃんとぶつかってこい!と真剣な目でフロイド先輩は私に言ってくれる。馬鹿にすることもなく茶化すこともなく。
そうだ、今日はバレンタイン。お客さんの中にはきっとフロイド先輩に渡す人もいる。きっとみんな自信作を持ってきたり、特別なチョコを用意しているはず。私のチョコマフィンなんてきっと目もくれないだろうし、他の寮生へのお裾分けになるかもしれない。誰かに食べて貰えるなら、もうそれでいい。
「そうですね。渡す前から弱気になるのは私らしくなかったです!当たって砕けてきます!でも、その方忙しい方なので、邪魔にならないように渡しますね」
「・・・うん、それでいいと思う。ガンバレ、小エビちゃん!もし酷い振られ方したら言って!オレが1発殴ってくるから!そんで、もしそいつが小エビちゃんの事好きで付き合うってなったらオレ祝ってあげる!」
「はい・・・ありがとうございます、フロイド先輩」
もう色々と複雑で悲しくて優しさに嬉しくて涙が出た。
涙が出てる理由を知りもしないフロイド先輩は私が緊張してると思っているのか、大丈夫大丈夫と背中をさすってくれていた。
私が好きなのは、フロイド先輩なんですよ?
そんな事言えなくて実らない恋にはらはらと涙を流すしかなかった。
モストロラウンジの入口には大きな箱が3つ置いて
ある。
アズール先輩、ジェイド先輩、フロイド先輩宛のバレンタインの贈り物BOXでどれも山盛りで驚きと共に圧倒される。よく見ると手紙や自撮り写真が添えられていたり、お菓子とは思えない大きさの箱もある。
「・・・この中で気になる人がいたら、フロイド先輩連絡したり会ったり、お付き合いするのかなぁ。あー・・・また泣きそう」
天井を見上げ涙を逆流させるように引っ込める。
フロイド先輩に応援されてしまった恋。マジカメにはフロイド先輩からガンバレ!とメッセージが届いてて追い打ちをかけてくる。
せめて誰かの胃袋に入ってくれますように。
そっとフロイド先輩宛のBOXに綺麗にラッピングしたチョコマフィンを入れて、私はその場を後にした。
***
オンボロ寮に帰ってシャワーを浴びた後、ベッドに寝転びながらマジカメチェックをする。ソファにいるグリムはチョコマフィンを美味しそうに食べてくれてて、それだけでも作って良かったとさえ思う。
「あ、エースやデュース・・・私があげたマフィンをマジカメに上げてくれてる!」
2人してかぶりついている写真付き。グリムっぽい猫の柄のカップ。さっき上げられたばかりみたいで、次々といいねが付く。その中にはフロイド先輩のアカウントもあった。
フロイド先輩はあのマフィンどうしたのかすごく気になる。ジェイド先輩にあげたのか、誰かにあげたのか。ぼーっとエースの投稿を見ていると、フロイド先輩からコメントが付いていた。
『カニちゃん、小エビちゃんから貰ったの?』
『お疲れっス!はい!監督生から友チョコ貰いました!』
『サバちゃんも同じやつ?』
『エペルやジャック、セベクも皆同じやつ貰いました!』
『わかった!猫柄可愛いじゃん!あんがとねー!』
そんなやり取りをしていた。
フロイド先輩はどういうつもりなんだろう。そんなに私の恋路が心配なんだろうか。可愛がってもらってるのは自負しているけども。
幸せ者な後輩だなぁと思いながら最新の投稿をチェックする。
更新された画面を見ると私は変な声を上げながらベッドから飛び起きた。
『今日はモストロラウンジでたくさんのチョコ貰っちゃった!あんがとねー!その中でオレが一番嬉しかったのはコレ!ピンクのハートのカップのチョコマフィン!』
そう言いながら、私の作ったチョコマフィンを片手に大きな口を開けているフロイド先輩の投稿。
『#本命はオレだった #オレ馬鹿ウツボ #匂いで誰かわかった #手作り嬉しすぎる #15分後行くから覚悟して #言いたいこと山ほどある』
ハッシュタグだけで泣きそうになったのは初めてだった。震えながら私はいいねを押す。
15分後、フロイド先輩は部屋着のままたくさんの食べ物やジュースを持ってやってきた。そして息を切らしながら珍しく照れている。
「小エビちゃん!!オレ、約束通り祝いに来たよ!!」
fin
私はモストロラウンジにいた。アズール先輩から連絡があったあの日、時給を上げるのでラウンジを手伝って欲しいという内容の連絡だった。
時給を上げて貰えるのは嬉しいし、チョコマフィンも作り終わっていて時間があった私はすぐに承諾した。
バレンタインまでフロイド先輩と一緒に同じ空間で過ごせるのは幸せ。店内はやっぱり女の子ばかりで普段の一般開放の日よりも目が回る程忙しい。おかげで厨房にいるフロイド先輩は少し機嫌が悪いのだけれど。
「だーっ!今日は甘いメニューばっか出るのうぜぇ!甘いの見たくねぇ!」
1人で食べ切れる?というような高さのパフェやモストロらしいアラモード、フルーツたっぷりのパンケーキを次から次へと焼いたり盛り付けていく。それでも手際はいいし、雑な盛り方はしていない。
「あー・・・小エビちゃん、バレンタインなのにシフト入ってもらってごめんね。その・・・時間とか大丈夫?」
ジューっとフライパンでパンケーキを焼きながらフロイド先輩は私を見ることなく尋ねた。バレンタインの為にお菓子を作ってたのを知ってるからだ。きっとシフトインしてるから渡しに行けないと思っている。
「大丈夫ですよ!ここに来る前にエース達にも配りましたし、その・・・好きな人にはもう渡しても意味無いので。たぶん脈ないし受け取ってもらえないと思います」
はぁ?!とすごい剣幕でフロイド先輩は振り向く。
「小エビちゃんの大切な気持ちがこもったお菓子なんでしょ?!あんま言いたくないだろうけど・・・渡す前に振られたとか?ねぇ、そいつ誰だよ?気持ちに応えられなくてもお菓子ぐらい受け取れんじゃん!」
ちゃんとぶつかってこい!と真剣な目でフロイド先輩は私に言ってくれる。馬鹿にすることもなく茶化すこともなく。
そうだ、今日はバレンタイン。お客さんの中にはきっとフロイド先輩に渡す人もいる。きっとみんな自信作を持ってきたり、特別なチョコを用意しているはず。私のチョコマフィンなんてきっと目もくれないだろうし、他の寮生へのお裾分けになるかもしれない。誰かに食べて貰えるなら、もうそれでいい。
「そうですね。渡す前から弱気になるのは私らしくなかったです!当たって砕けてきます!でも、その方忙しい方なので、邪魔にならないように渡しますね」
「・・・うん、それでいいと思う。ガンバレ、小エビちゃん!もし酷い振られ方したら言って!オレが1発殴ってくるから!そんで、もしそいつが小エビちゃんの事好きで付き合うってなったらオレ祝ってあげる!」
「はい・・・ありがとうございます、フロイド先輩」
もう色々と複雑で悲しくて優しさに嬉しくて涙が出た。
涙が出てる理由を知りもしないフロイド先輩は私が緊張してると思っているのか、大丈夫大丈夫と背中をさすってくれていた。
私が好きなのは、フロイド先輩なんですよ?
そんな事言えなくて実らない恋にはらはらと涙を流すしかなかった。
モストロラウンジの入口には大きな箱が3つ置いて
ある。
アズール先輩、ジェイド先輩、フロイド先輩宛のバレンタインの贈り物BOXでどれも山盛りで驚きと共に圧倒される。よく見ると手紙や自撮り写真が添えられていたり、お菓子とは思えない大きさの箱もある。
「・・・この中で気になる人がいたら、フロイド先輩連絡したり会ったり、お付き合いするのかなぁ。あー・・・また泣きそう」
天井を見上げ涙を逆流させるように引っ込める。
フロイド先輩に応援されてしまった恋。マジカメにはフロイド先輩からガンバレ!とメッセージが届いてて追い打ちをかけてくる。
せめて誰かの胃袋に入ってくれますように。
そっとフロイド先輩宛のBOXに綺麗にラッピングしたチョコマフィンを入れて、私はその場を後にした。
***
オンボロ寮に帰ってシャワーを浴びた後、ベッドに寝転びながらマジカメチェックをする。ソファにいるグリムはチョコマフィンを美味しそうに食べてくれてて、それだけでも作って良かったとさえ思う。
「あ、エースやデュース・・・私があげたマフィンをマジカメに上げてくれてる!」
2人してかぶりついている写真付き。グリムっぽい猫の柄のカップ。さっき上げられたばかりみたいで、次々といいねが付く。その中にはフロイド先輩のアカウントもあった。
フロイド先輩はあのマフィンどうしたのかすごく気になる。ジェイド先輩にあげたのか、誰かにあげたのか。ぼーっとエースの投稿を見ていると、フロイド先輩からコメントが付いていた。
『カニちゃん、小エビちゃんから貰ったの?』
『お疲れっス!はい!監督生から友チョコ貰いました!』
『サバちゃんも同じやつ?』
『エペルやジャック、セベクも皆同じやつ貰いました!』
『わかった!猫柄可愛いじゃん!あんがとねー!』
そんなやり取りをしていた。
フロイド先輩はどういうつもりなんだろう。そんなに私の恋路が心配なんだろうか。可愛がってもらってるのは自負しているけども。
幸せ者な後輩だなぁと思いながら最新の投稿をチェックする。
更新された画面を見ると私は変な声を上げながらベッドから飛び起きた。
『今日はモストロラウンジでたくさんのチョコ貰っちゃった!あんがとねー!その中でオレが一番嬉しかったのはコレ!ピンクのハートのカップのチョコマフィン!』
そう言いながら、私の作ったチョコマフィンを片手に大きな口を開けているフロイド先輩の投稿。
『#本命はオレだった #オレ馬鹿ウツボ #匂いで誰かわかった #手作り嬉しすぎる #15分後行くから覚悟して #言いたいこと山ほどある』
ハッシュタグだけで泣きそうになったのは初めてだった。震えながら私はいいねを押す。
15分後、フロイド先輩は部屋着のままたくさんの食べ物やジュースを持ってやってきた。そして息を切らしながら珍しく照れている。
「小エビちゃん!!オレ、約束通り祝いに来たよ!!」
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