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「2月14日は一般開放?日曜日なのにですか?」
「そっ!今年のバレンタイン、日曜日にあるからすっげー面倒!!小エビちゃん、オレかわいそうじゃね?」
まだまだ肌寒い2月の始まり。
暖かい食堂で昼食を食べる気分だった私。それなのにフロイド先輩に首根っこ掴まれるようにして寒い中庭に連れ出され、こうして2人でベンチに座りながらサンドイッチ争奪戦の戦利品を頬張る。
だらけて座るフロイド先輩のさらさらとしたいい香りのする髪が私の頬に擦れるけど、あまりスリスリされるとマヨネーズが髪に付いてしまいそうで止めてもらいたい。
「そうですね、学生の貴重な週末にイベントの為とはいえお仕事かわいそうです」
「小エビちゃん、心こもってなぁい!去年オレとジェイド部屋、大量のチョコの山で埋もれるところだったんだかんね!」
「・・・さすが安定のモテですね。まぁ、ジェイド先輩よく食べるし、お二人で協力して食べてください」
捨てる。という選択肢がなかったのがカフェ運営する寮らしい。ミドルスクール時代の女の子や島の街の女の子たちがこぞってモストロラウンジに押し寄せるのが目に浮かぶ。
きっとあの3人目当てが大半だろうから、ほかの寮生が気の毒になる。
「オレ、市販のものならともかく手作りのお菓子とか無理!何が入ってるかわかんねぇもん」
それ、フロイド先輩が言いますか?と言いたいところだけど口は災いのナンタラというので黙る。
「でも、トレイ先輩の作ったケーキは食べますよね?」
「だってもうウミガメ先輩はほぼプロじゃん。アズールもたまにデザートの参考にハーツラビュル寮に行くし。まぁ、興味ねぇやつの手作りは食いたくない」
「そうですよね。それに手作りって重いですもんね!」
さて、どうしたものか。
ポケットに入っている4つ折りのメモの存在。
このまま永遠にこのポケットの中に入ったままにしようか。
でも、練習台になると言ってくれたトレイ先輩のご好意もある。
4つ折りのメモには手作りチョコマフィンのレシピ。
フロイド先輩に素っ気なく、心がこもってないと言われてしまった私だけど、実はこう見えてフロイド先輩の事が──好き。
慣れないお菓子を頑張って作って大好きなフロイド先輩へアピールするはずだったのに、まさかの手作りお菓子嫌い発言。
それなら手作りではなくて市販のチョコにしましょうか。
頭の中で電卓を叩くと、はいマイナス表示。
「小エビちゃん、オレの話聞いてる?ねぇ、さっきからポケットに手を突っ込んで何してんの?」
「あ、いや、えっと・・・口に付いたマヨネーズ拭こうと思って!」
「ふぅん。小エビちゃん、ハンカチ持ってて偉いじゃん」
運良く一緒に入っていたハンカチに助けられた。
間違ってもメモが飛び出さないように奥へ奥へと端に追いやる。
偉い偉いとフロイド先輩に頭を撫でられている私はある意味えらいことになったのだった。
*
「結局、材料買ってきちゃった・・・」
オンボロ寮の狭いキッチンにチョコマフィンの材料を並べて見渡す。奮発して製菓用のチョコを買ったから少し予算オーバーしてしまった。お菓子作りの初心者なら、もう素材に頼るしかない。マフィンのカップもどれにしようか散々悩んだ。フロイド先輩をイメージしたカラーや柄にしようかと思ったけど、バレンタインといえばピンクのハート!自分でもかなり露骨だと思うけど、気持ちを込めるならカタチからってね。
「この間の話聞いてると手作りは嫌って言いながら捨てるようなことはしない感じだったし、他の子のと紛れ込んでいたら食べてくれるかな」
マフィンのレシピを何度も確認しながら作業に移る。お菓子作りはきちんとした分量が大事。私は魔法薬学の時みたいに小さな小さなスプーンでグラム単位きっちりと量る。
バター、砂糖やチョコレートも。
湯煎やさっくり混ぜるという言葉も分からないからスマホで調べたり、思いのほか順調に進まない。
いざ、お菓子作りをして思ったけどテキトーに混ぜて作ったクッキー!とか言いながら持ってきてくれたフロイド先輩は実はテキトーじゃなかったのではと今になって思う。
「あ、あとは焼くだけ・・・。キッチン、散らかっちゃったなぁ」
小麦粉を振るう時に小麦粉を飛ばしたり、チョコの欠片など片付けを考えるとしんどくなるので後回し。焼く時間と温度に設定してスタート!
ミトンを外してオーブンの中をじっと見つめ続けているとマフィンの表面が乾いてくる。
上手に膨らみますようにと手をパン!と叩いてオーブンにお願いした。
ドンドン!
ビクッとなった私は誰かがオンボロ寮の玄関をノックしたのだろうと玄関へ向かう。
焼き上がるまでまだ時間があるし大丈夫。私はエプロンを外すのを忘れそのままパタパタと走った。
「小エビちゃーん!なぁんだ、オンボロ寮にいるんじゃん!アズールが何度も電話したのに繋がらねぇって言うから心配して来たってのに」
「わっ!フロイド先輩!こんにちは!そ、そうなんですね・・・すみません。ちょっと用事があってスマホ見てなかったです」
「それならいいんだけどぉ。マジカメからメッセージ来てると思うから後から返事してやってよ。・・・小エビちゃん、今何か作ってる?甘い匂いがする」
マフィンを焼く甘い匂いが寮全体にするみたいで、フロイド先輩は私の肩に手を置いて鼻をクンクンと鳴らす。
「あー、バレンタインのお菓子を作ってるんです!へへ、慣れないことしてるのでちゃんと出来るか分かんないですけどね」
「バレンタイン・・・?小エビちゃん、好きなやついんの?」
「あっ?!え?!えっとー・・・グリムやエースたちに渡す分もあります!!」
嘘ではない。
ただ、大きさやカップの柄が違う。
「『も』ってことはやっぱいるんじゃん・・・。へぇ、小エビちゃんあんま料理しないのにエプロンに小麦粉とか付けて、頬っぺにもチョコ付けて・・・めっちゃ気合い入れて頑張ってんじゃん」
私が自分の頬を拭う前にフロイド先輩が親指で頬についたチョコを拭ってくれた。チョコが付いた親指を舐めたフロイド先輩は甘いねと優しく笑う。
その笑顔はどういう笑顔ですか?
「すっげー頑張って作ってる小エビちゃんの恋が実るようにオレ・・・応援すんね!ほら、そろそろ焼けるんじゃない?キッチンに戻りな」
ほらほら!と背中を押すようにして私はオンボロ寮に押し込まれるとフロイド先輩はじゃあねー!と目を細めて笑いながら扉を閉めてしまった。
好きな人に応援されてしまった私の恋は、ここで決着が付いた気がした。
「そっ!今年のバレンタイン、日曜日にあるからすっげー面倒!!小エビちゃん、オレかわいそうじゃね?」
まだまだ肌寒い2月の始まり。
暖かい食堂で昼食を食べる気分だった私。それなのにフロイド先輩に首根っこ掴まれるようにして寒い中庭に連れ出され、こうして2人でベンチに座りながらサンドイッチ争奪戦の戦利品を頬張る。
だらけて座るフロイド先輩のさらさらとしたいい香りのする髪が私の頬に擦れるけど、あまりスリスリされるとマヨネーズが髪に付いてしまいそうで止めてもらいたい。
「そうですね、学生の貴重な週末にイベントの為とはいえお仕事かわいそうです」
「小エビちゃん、心こもってなぁい!去年オレとジェイド部屋、大量のチョコの山で埋もれるところだったんだかんね!」
「・・・さすが安定のモテですね。まぁ、ジェイド先輩よく食べるし、お二人で協力して食べてください」
捨てる。という選択肢がなかったのがカフェ運営する寮らしい。ミドルスクール時代の女の子や島の街の女の子たちがこぞってモストロラウンジに押し寄せるのが目に浮かぶ。
きっとあの3人目当てが大半だろうから、ほかの寮生が気の毒になる。
「オレ、市販のものならともかく手作りのお菓子とか無理!何が入ってるかわかんねぇもん」
それ、フロイド先輩が言いますか?と言いたいところだけど口は災いのナンタラというので黙る。
「でも、トレイ先輩の作ったケーキは食べますよね?」
「だってもうウミガメ先輩はほぼプロじゃん。アズールもたまにデザートの参考にハーツラビュル寮に行くし。まぁ、興味ねぇやつの手作りは食いたくない」
「そうですよね。それに手作りって重いですもんね!」
さて、どうしたものか。
ポケットに入っている4つ折りのメモの存在。
このまま永遠にこのポケットの中に入ったままにしようか。
でも、練習台になると言ってくれたトレイ先輩のご好意もある。
4つ折りのメモには手作りチョコマフィンのレシピ。
フロイド先輩に素っ気なく、心がこもってないと言われてしまった私だけど、実はこう見えてフロイド先輩の事が──好き。
慣れないお菓子を頑張って作って大好きなフロイド先輩へアピールするはずだったのに、まさかの手作りお菓子嫌い発言。
それなら手作りではなくて市販のチョコにしましょうか。
頭の中で電卓を叩くと、はいマイナス表示。
「小エビちゃん、オレの話聞いてる?ねぇ、さっきからポケットに手を突っ込んで何してんの?」
「あ、いや、えっと・・・口に付いたマヨネーズ拭こうと思って!」
「ふぅん。小エビちゃん、ハンカチ持ってて偉いじゃん」
運良く一緒に入っていたハンカチに助けられた。
間違ってもメモが飛び出さないように奥へ奥へと端に追いやる。
偉い偉いとフロイド先輩に頭を撫でられている私はある意味えらいことになったのだった。
*
「結局、材料買ってきちゃった・・・」
オンボロ寮の狭いキッチンにチョコマフィンの材料を並べて見渡す。奮発して製菓用のチョコを買ったから少し予算オーバーしてしまった。お菓子作りの初心者なら、もう素材に頼るしかない。マフィンのカップもどれにしようか散々悩んだ。フロイド先輩をイメージしたカラーや柄にしようかと思ったけど、バレンタインといえばピンクのハート!自分でもかなり露骨だと思うけど、気持ちを込めるならカタチからってね。
「この間の話聞いてると手作りは嫌って言いながら捨てるようなことはしない感じだったし、他の子のと紛れ込んでいたら食べてくれるかな」
マフィンのレシピを何度も確認しながら作業に移る。お菓子作りはきちんとした分量が大事。私は魔法薬学の時みたいに小さな小さなスプーンでグラム単位きっちりと量る。
バター、砂糖やチョコレートも。
湯煎やさっくり混ぜるという言葉も分からないからスマホで調べたり、思いのほか順調に進まない。
いざ、お菓子作りをして思ったけどテキトーに混ぜて作ったクッキー!とか言いながら持ってきてくれたフロイド先輩は実はテキトーじゃなかったのではと今になって思う。
「あ、あとは焼くだけ・・・。キッチン、散らかっちゃったなぁ」
小麦粉を振るう時に小麦粉を飛ばしたり、チョコの欠片など片付けを考えるとしんどくなるので後回し。焼く時間と温度に設定してスタート!
ミトンを外してオーブンの中をじっと見つめ続けているとマフィンの表面が乾いてくる。
上手に膨らみますようにと手をパン!と叩いてオーブンにお願いした。
ドンドン!
ビクッとなった私は誰かがオンボロ寮の玄関をノックしたのだろうと玄関へ向かう。
焼き上がるまでまだ時間があるし大丈夫。私はエプロンを外すのを忘れそのままパタパタと走った。
「小エビちゃーん!なぁんだ、オンボロ寮にいるんじゃん!アズールが何度も電話したのに繋がらねぇって言うから心配して来たってのに」
「わっ!フロイド先輩!こんにちは!そ、そうなんですね・・・すみません。ちょっと用事があってスマホ見てなかったです」
「それならいいんだけどぉ。マジカメからメッセージ来てると思うから後から返事してやってよ。・・・小エビちゃん、今何か作ってる?甘い匂いがする」
マフィンを焼く甘い匂いが寮全体にするみたいで、フロイド先輩は私の肩に手を置いて鼻をクンクンと鳴らす。
「あー、バレンタインのお菓子を作ってるんです!へへ、慣れないことしてるのでちゃんと出来るか分かんないですけどね」
「バレンタイン・・・?小エビちゃん、好きなやついんの?」
「あっ?!え?!えっとー・・・グリムやエースたちに渡す分もあります!!」
嘘ではない。
ただ、大きさやカップの柄が違う。
「『も』ってことはやっぱいるんじゃん・・・。へぇ、小エビちゃんあんま料理しないのにエプロンに小麦粉とか付けて、頬っぺにもチョコ付けて・・・めっちゃ気合い入れて頑張ってんじゃん」
私が自分の頬を拭う前にフロイド先輩が親指で頬についたチョコを拭ってくれた。チョコが付いた親指を舐めたフロイド先輩は甘いねと優しく笑う。
その笑顔はどういう笑顔ですか?
「すっげー頑張って作ってる小エビちゃんの恋が実るようにオレ・・・応援すんね!ほら、そろそろ焼けるんじゃない?キッチンに戻りな」
ほらほら!と背中を押すようにして私はオンボロ寮に押し込まれるとフロイド先輩はじゃあねー!と目を細めて笑いながら扉を閉めてしまった。
好きな人に応援されてしまった私の恋は、ここで決着が付いた気がした。
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