Xmas SS 2020
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腹の虫を鳴かせた生徒たちが集まる食堂。
安い麺類から豪華なサンドイッチまで長蛇の列。
監督生のユウはというと、安価な麺類の列に並んでいる。
麺類と言っても元の世界に引けを取らないコシや喉越し。風味のある出汁。味が染みた油揚げを乗せて、ネギは乗せ放題!でもグリムはネギをあまり食べない方がいいだろうと、別の小鉢にネギを乗せる。寒い冬にはもってこいの食べ物だ。
「これはこれはユウさんじゃないですか。お久しぶりですね。今からお食事ですか?」
「こんにちは、アズール先輩。はい、今からグリムとお昼ご飯です」
「今日は食堂でもクリスマスメニューをやっていると聞きましたが?」
「そ、そうなんですけど……。ビンボー学生なのでお高い学食を選ぶ程余裕がなくて」
トレーの上にちょこんと麺鉢。
アズールのトレーもちょこんとサラダで、ユウの事を言えないが彼の理由はユウも知っているので突っ込むことはない。
両端にいる兄弟に、可哀想にねぇと笑われるが気にしない。クリスマスといえども、ビンボー学生には贅沢する余裕などないのだ。
「……ユウさん、今夜ラウンジに来てください。今日は23日でイブでもクリスマスでもないので予約があまり入ってないのですよ」
「ってかさ、アズール~男子校だからクリスマスとかあんま関係ねぇし寧ろいつもより暇じゃね?だから小エビちゃん来て来て~!」
「クリスマス期間の一般公開の許可も今年は学園長から下りなかったようですからね。ユウさん、アズールの為に是非お越しください。マドルは必要ありませんからね」
普段から満席御礼のモストロラウンジでも予約が入らない日があるようだ。男ばかりの学園で男同志囲いあい、クリスマスにお洒落なラウンジでパーティーってのは結構虚しい。
「そういう事でしたら、今夜伺います!」
*
「はわぁぁぁ!!絶品!!」
「気に入ってくれたようで嬉しいです」
余ってる食材とアズールは言うがどれも手が込んでいる。シャンパングラスには鮮やかなブルーのノンアルコールカクテルに、エビのシュリンプ、チーズがたっぷりのシーザーサラダ、ビーフシチューのパイ包み、クリスマスカラーのリボンが巻かれているチキンチューリップ等。
美味しい美味しいと頬張るユウに、アズールも満更でもない笑顔。
一緒に来ていたグリムも特別メニューがあるからとフロイドやジェイドにもてなされていた。
「自分で言うのもなんですが、今日の料理もいい出来です。ユウさんの好きな物ばかりでしょう?」
「とっても!私の好物よく分かりましたね!それにしても、今夜の料理……アズール先輩もよく食べますね?あ、お昼ご飯少なくしたからですか?」
アズールは目の前に座るのかと思いきや、ユウの隣に座っている。ソファ席の為距離は近い。身嗜みのひとつの香りがいつもより近くで感じられ、実はユウは緊張している。そのせいでユウのフォークは止まらなかったのだ。
ユウの台詞を聞いたアズールは持っていた自身のフォークや皿をカチャリとテーブルに戻す。ユウは失礼なことを言ってしまったのかと慌てて謝罪の旨を伝えようとする。
「ユウさん」
「アズール先輩、あの……失礼なこと言ってすみません」
「はい?そんな失礼なことは一切ありませんでしたが?それより、僕が横に座ってユウさんこそ不快な思いはしませんでしたか?」
「まさか!!素敵な先輩が横に座ってくれて……緊張しちゃって、お料理がどんどん進むぐらいです!!」
言葉通りほとんどユウ1人で食べてしまったようなもの。緊張しているとはいえ、この食べっぷりは如何なものか。空になった皿を見てアズールが胸を撫でおろしているなどユウは思ってもいない。
「ユウさん、この後デザートも用意してますが食べれそうですか?」
「もちろん、別腹です!デザート残して帰れません!」
「そうですか。それならアイツらに盛り付けの仕上げをしてもらってる間、奥の水槽の所で少しお話しませんか?お伝えしたいことがあるんです」
ユウの左手にそっとアズールの右手が重なる。手袋越しでも温かく、布の質感なのか手の甲を撫でられたような感覚。
薄らと熱をもったアズールの笑顔が大人びていて、これから話す内容を物語る。
ユウだって年頃な女の子。何かを察する事ぐらい出来る。
奥の水槽へ付いて行くということはユウはソレを同意したようなもの。
「はい、宜しくお願いします!」
「……ぷっ、返事早すぎませんか?」
思わず吹き出すアズールにユウも赤くしながら口元を押さえ笑い出す。
クリスマスを前に最高のプレゼントを送られたような幸せのオーラが2人を包む。
そんな楽しそうな二人を横目にカウンターではフロイドとジェイドがグリムをおもてなししていた。
「ジェイド~、アズール嬉しそう!ねぇ、さっきこれ拾ったんだけど、これ何?」
「あとで赤飯炊きましょうね。これは・・・一般公開許可証?しかも未記入。あぁ、成程……おかしいと思いましたよ」
「あはっ!アズールってば小エビちゃんの為に今年は一般公開しなかったんじゃん!アズール珍しいことするよねぇ」
「今夜からアズールがユウさんと明日明後日どう過ごそうかと悩んでいるのが目に見えますね」
「面白ぇことになってきたぁ!!!」
「そっくり兄弟……子分たちの邪魔はよくないんだゾ……」
アズールXmasVer.Fin
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