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「・・・ジェイド先輩、お手数おかけしてます」
「はて、何の事やら」
分かってるくせに・・・と思いながらユウはジェイドの横を歩く。ユウの頭何個分だろうかと言う程のジェイドとの身長差。失礼ながらもその圧迫感は否めなく、決して低くはないがアズールの方が安心感はある。近くで見上げても首が痛くならない。そう思うとユウとアズールの身長差は理想的なのだろう。
「我儘な彼女で落胆されましたかね?」
「いいえ。ユウさんよりも我儘な人なんてこの学園には五万といますよ。貴女の彼氏であるアズールも大概ですから」
「ふふっ。副寮長も大変ですね」
「それはもう・・・。そうそう、ユウさん。今度ラウンジ内にマジカメライブが入るのはご存知ですか?広報の方の活動記録として流すそうです」
「へぇ!それは知らなかったです!」
ユウの反応にジェイドは意外そうな顔をする。そこそこ大きな仕事であるから既に聞き知っているものだと思っていたが、アズールは知らせていない。
どういう訳かユウの耳に入れたくなかったのか。ジェイドは成程と考えを巡らせた。
「ユウさん、とても素晴らしいライブになるので是非チェックしてくださいね。あ、アズールには内緒でお願いします。僕が言ったとバレたら後々めんど・・・じゃなくて、仕事に支障をきたしますので」
「・・・?わかりました」
*
「今日がマジカメライブの日だったかな?オープン中にするってジェイド先輩が言ってたっけ。アズール先輩とはあれから校内ですれ違うだけで、ほとんど喋れなかったなぁ・・・。やっぱりそんなに私の事好きじゃなかったのかも」
オンボロ寮の談話室のテーブルに突っ伏す。
温かいココアが入ったマグカップにスマホを立て掛け、ライブ中継が始まるまで一人で待機。ゆらゆらと昇る湯気の動きをじっと見つめる。
暫くするとピロン!と開始を告げる通知音が鳴り視線を画面へと移動させた。
『皆さん、こんばんは。オクタヴィネル寮寮長のアズール・アーシェングロッドです。今夜はモストロラウンジのライブ中継をお届けします。新作のお料理の紹介やスタッフのインタビューなど最後まで御付き合いください』
開始してすぐに閲覧数はググッと伸びる。リアルタイムで観ている人が増えて、その内の一人は勿論ユウ。コメント投稿出来るようで画面下からどんどんコメントが上がってくる。見覚えのあるアイコンがあることから、誰が投稿したか分かるようになっているようだった。
たまに野次のコメントが飛んでいるが、野次を飛ばしたアイコンは野次の後二度とコメントが上がってくることはない。きっと双子のどちらかの仕業なのだろうとユウは笑顔が引き攣る。
『では、来月からの新しいメニューをご紹介します』
上着を翻し、アズールは歩き出す。それだけの動作でさえ、かっこいいなぁなんてユウはごちる。最初に告白してきたのはアズールだが、今では逆なんだろうなと切なくなりながらスマホ片手にココアを啜る。
ユウも何かコメントを投げたいが、アイコンが出てしまうのではどうしようもない。
アズール先輩頑張って!と送りたいと思うが、ジェイドの言っていた事になってしまうと迷惑かかるだろうと送信できずにいる。
「私もコメント送りたい・・・。ほんとに駄目かジェイド先輩に聞いてみよう」
タタタッと短文でジェイドにメッセージを送ると、ライブ映像はちょうどグラスを磨いているジェイドへとチェンジする。慣れた手つきでクロスをかける様は絵になっていた。
『僕はオクタヴィネル寮副寮長のジェイド・リーチです。それと、駄目です。今は・・・ね?』
『ジェイド、何の話です?台本通りに・・・』
『失礼しました。では、キッチンへとご案内致します』
スマホ越しにジェイドと目が合う。ライブ閲覧者なら皆そうだろうが、今のは確実にユウに向けた言葉だった。
この様子だとどうやらアズールも何かしらの手段でコメントを確認していると思われる。画面が切り替わった瞬間か近くに別の者がタブレットを用意しているのか。どちらにせよ、今はただ他の者と同じようにスマホを眺めるだけ。
ココアが冷めだし残りが少なくなった頃、ライブは料理の紹介を終えスタッフのインタビューをしていた。
機嫌がいいのか飽きることなくフロイドは問われた事を答え、ジェイドも人の良さそうな顔で薄く笑みを浮かべている。
インタビューの順番の最後はアズール。
ユウはスマホを再びマグカップに立て掛け頬杖をついた。
『フロイドさん、ジェイドさんありがとうございました!では、最後は寮長のアズールさんです』
『宜しくお願いします。何でもお答えしますので遠慮なくどうぞ』
『遠慮なくですか?さすが慈悲深いオクタヴィネル寮の寮長ですね!では、早速!・・・すばり!今お付き合いされていると噂の監督生さんについでですが・・・』
『はい?えっと、プライベートなことは・・・』
『アズールいけませんよ。ライブ中継ですし、何でも答えるのでしょう?』
『・・・・・・ジェイド、お前の仕業か』
『まさか!たまたまですよ』
歯を見せて笑うジェイドはとても楽しそうで、それに便乗するようにフロイドもニヤニヤとしている。
「ちょ・・・、ジェイド先輩ったら何を・・・」
頬杖を付いていた手の上にある顔がズレ落ちる。
一部を除き、2人が付き合っている事は公にしていない。公にしてしまうとメリットとデメリットが半々。なのでふんわりとした、付き合っている「らしい」というニュアンスで通していた。その事はジェイドも知っているはずである。
アズールがなんと説明するのかユウはゴクリと喉を鳴らした。
……To be continued
「はて、何の事やら」
分かってるくせに・・・と思いながらユウはジェイドの横を歩く。ユウの頭何個分だろうかと言う程のジェイドとの身長差。失礼ながらもその圧迫感は否めなく、決して低くはないがアズールの方が安心感はある。近くで見上げても首が痛くならない。そう思うとユウとアズールの身長差は理想的なのだろう。
「我儘な彼女で落胆されましたかね?」
「いいえ。ユウさんよりも我儘な人なんてこの学園には五万といますよ。貴女の彼氏であるアズールも大概ですから」
「ふふっ。副寮長も大変ですね」
「それはもう・・・。そうそう、ユウさん。今度ラウンジ内にマジカメライブが入るのはご存知ですか?広報の方の活動記録として流すそうです」
「へぇ!それは知らなかったです!」
ユウの反応にジェイドは意外そうな顔をする。そこそこ大きな仕事であるから既に聞き知っているものだと思っていたが、アズールは知らせていない。
どういう訳かユウの耳に入れたくなかったのか。ジェイドは成程と考えを巡らせた。
「ユウさん、とても素晴らしいライブになるので是非チェックしてくださいね。あ、アズールには内緒でお願いします。僕が言ったとバレたら後々めんど・・・じゃなくて、仕事に支障をきたしますので」
「・・・?わかりました」
*
「今日がマジカメライブの日だったかな?オープン中にするってジェイド先輩が言ってたっけ。アズール先輩とはあれから校内ですれ違うだけで、ほとんど喋れなかったなぁ・・・。やっぱりそんなに私の事好きじゃなかったのかも」
オンボロ寮の談話室のテーブルに突っ伏す。
温かいココアが入ったマグカップにスマホを立て掛け、ライブ中継が始まるまで一人で待機。ゆらゆらと昇る湯気の動きをじっと見つめる。
暫くするとピロン!と開始を告げる通知音が鳴り視線を画面へと移動させた。
『皆さん、こんばんは。オクタヴィネル寮寮長のアズール・アーシェングロッドです。今夜はモストロラウンジのライブ中継をお届けします。新作のお料理の紹介やスタッフのインタビューなど最後まで御付き合いください』
開始してすぐに閲覧数はググッと伸びる。リアルタイムで観ている人が増えて、その内の一人は勿論ユウ。コメント投稿出来るようで画面下からどんどんコメントが上がってくる。見覚えのあるアイコンがあることから、誰が投稿したか分かるようになっているようだった。
たまに野次のコメントが飛んでいるが、野次を飛ばしたアイコンは野次の後二度とコメントが上がってくることはない。きっと双子のどちらかの仕業なのだろうとユウは笑顔が引き攣る。
『では、来月からの新しいメニューをご紹介します』
上着を翻し、アズールは歩き出す。それだけの動作でさえ、かっこいいなぁなんてユウはごちる。最初に告白してきたのはアズールだが、今では逆なんだろうなと切なくなりながらスマホ片手にココアを啜る。
ユウも何かコメントを投げたいが、アイコンが出てしまうのではどうしようもない。
アズール先輩頑張って!と送りたいと思うが、ジェイドの言っていた事になってしまうと迷惑かかるだろうと送信できずにいる。
「私もコメント送りたい・・・。ほんとに駄目かジェイド先輩に聞いてみよう」
タタタッと短文でジェイドにメッセージを送ると、ライブ映像はちょうどグラスを磨いているジェイドへとチェンジする。慣れた手つきでクロスをかける様は絵になっていた。
『僕はオクタヴィネル寮副寮長のジェイド・リーチです。それと、駄目です。今は・・・ね?』
『ジェイド、何の話です?台本通りに・・・』
『失礼しました。では、キッチンへとご案内致します』
スマホ越しにジェイドと目が合う。ライブ閲覧者なら皆そうだろうが、今のは確実にユウに向けた言葉だった。
この様子だとどうやらアズールも何かしらの手段でコメントを確認していると思われる。画面が切り替わった瞬間か近くに別の者がタブレットを用意しているのか。どちらにせよ、今はただ他の者と同じようにスマホを眺めるだけ。
ココアが冷めだし残りが少なくなった頃、ライブは料理の紹介を終えスタッフのインタビューをしていた。
機嫌がいいのか飽きることなくフロイドは問われた事を答え、ジェイドも人の良さそうな顔で薄く笑みを浮かべている。
インタビューの順番の最後はアズール。
ユウはスマホを再びマグカップに立て掛け頬杖をついた。
『フロイドさん、ジェイドさんありがとうございました!では、最後は寮長のアズールさんです』
『宜しくお願いします。何でもお答えしますので遠慮なくどうぞ』
『遠慮なくですか?さすが慈悲深いオクタヴィネル寮の寮長ですね!では、早速!・・・すばり!今お付き合いされていると噂の監督生さんについでですが・・・』
『はい?えっと、プライベートなことは・・・』
『アズールいけませんよ。ライブ中継ですし、何でも答えるのでしょう?』
『・・・・・・ジェイド、お前の仕業か』
『まさか!たまたまですよ』
歯を見せて笑うジェイドはとても楽しそうで、それに便乗するようにフロイドもニヤニヤとしている。
「ちょ・・・、ジェイド先輩ったら何を・・・」
頬杖を付いていた手の上にある顔がズレ落ちる。
一部を除き、2人が付き合っている事は公にしていない。公にしてしまうとメリットとデメリットが半々。なのでふんわりとした、付き合っている「らしい」というニュアンスで通していた。その事はジェイドも知っているはずである。
アズールがなんと説明するのかユウはゴクリと喉を鳴らした。
……To be continued
