｢ななし……｣

頬に手を添えて顔を上げる。


先程以上に潤んだ瞳の
君と目が合った。


｢これは夢、なのかもしれない｣

きっと君は記憶にないだろうから。
それでも今言わなくては。


｢でも、夢で終わらないのだ。
オイラだって、君と一緒に居たい。
もっと、もっと。｣

君と同じ気持ちなのだ。


｢君に触れたいとも思っている。
惚れた女性に触れたくないわけないのだ。
だけど君を大切にしたいとか
自分は大人だからとか……
そういう考えが常に頭にあったのだ｣

君に嫌われたくなかったから。


ななしの頬を涙が伝う。
その跡を指で拭った。


｢不安な気持ち……
寂しい思いをさせてすまなかったのだ｣

ふるふると首を横に振るななし。

｢私こそ、ごめんね。
引いたでしょ、こんなこと思ってたなんて｣


俯きながらそう口にする君が
とても愛しくて。

｢これからは理性を手放せるのだ｣

引かれるような言葉が
口から出ていた。


｢ふふ、やっぱり
夢だから聞ける言葉だね｣

君は、そう笑って。

｢我儘、言ってもいい？｣

と言葉を続けた。



｢ああ。どんなことなのだ？｣

君の望みが叶う夢の中で
それを叶えられるなら。

そう思ったのだが。

｢……一緒に寝て欲しいの｣


想像以上の内容だった。