今日の皆は、なんだか変。


井宿を探していた私は
他の七星士に尋ねて歩いたのだけど……

返ってくるのは
微妙な答えと表情だった。







最初に会ったのは軫宿と張宿。

｢二人とも、井宿知らない？｣

本を読んでいた二人の視線が
私に向けられる。


｢……さぁ、知らんな｣

｢えっと……釣りをしているのでは？｣

微妙な沈黙と
何か考えて出したような返事。


｢うーん、池にはいなかったんだよね。
ありがと。｣

邪魔しちゃってごめんね、と謝罪し
その場を離れた。


いつも静かで穏やかな二人だけど
なんだろう、今日は違う雰囲気だった。

難しい本を読んでたからかなぁ……？





次は回廊ですれ違った星宿。

｢あ、星宿。井宿見なかった？｣


｢井宿？……他の者と一緒におらぬのか？
ななし、悪いが少し急いでおるのだ｣

そう言って足早に通り過ぎて行った。


いつもは急いでいても
多少は話を聞いてくれるのになぁ……

優しく紳士な星宿が言うのだから
よっぽど忙しいのだろう。


そりゃこの国を動かす人だもんね。
暇な訳がないんだった。





続いて翼宿と鬼宿。

｢ね、井宿見てない？｣


｢ちっ、井宿！？見てへんけど！？｣

｢ずっとここで翼宿と話してたけど
井宿なんて見てねーぜ。｣

なんだか慌てた様子の翼宿と
目も合わさずに言葉を返す鬼宿。

なんだろうこの温度差……


｢そっか。ありがと｣

二人なら心当たりないかな？
なんて思ったんだけど。

あまり話しかけない方がいい気がして
長居するのはやめた。







なんだろ……皆なんか変。

そういや井宿もちょっと変だったかも。


そわそわしているような
心ここにあらず、みたいな。

話しかけたら話しかけたで、
驚いたような顔してて。


お昼を食べた後は
気がついたらいなくなってて……

しばらく姿を見ないから
探してみたりしてるんだけど。