私の彼氏。
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私の彼氏はかっこいい。
そして美しい。
優しくて友達思いで
自慢の彼氏。
でも、不満があるの。
それは―――
「ななし、待たせてごめん」
少し息の上がった柳宿が
駆け寄ってくる。
待ち合わせした駅前の広場。
日曜日の今日、
人はそこそこいるのだけど
すぐに見つけてくれた。
そんなところもすごく好き。
「大丈夫だよ、時間ぴったりだし」
ほら、と腕時計を見せると
柳宿は優しく笑った。
ああ、私の彼氏は
何故こんなにかっこいいのでしょう。
柳宿の姿に見惚れていると
不満の原因である出来事が起きた。
「ねぇねぇ、お姉さん綺麗だね。
あ、そっちの子も可愛いし!
暇なら一緒にお茶でもしない?」
そんな声を掛けてきたのは
二人組の男。
柳宿に会えて幸せな気分だったのに
それは一瞬にして崩れた。
柳宿のこと綺麗とか……
まぁ事実だけど、
口説くとかやめてほしい。
(取って付けたように
私のこと言ってくるのも腹立つ!)
暇なわけないし、
もし暇でもお茶なんてしません。
イライラし始めていると
柳宿が私の腕を掴んで男達を見た。
「あたしたちこれからデートなの。
ごめんなさいね」
にっこりと微笑む柳宿。
そんな男達に
笑顔なんて向けなくていいのに……
「ちっ、男いんのかよ」
そう吐き捨てて去っていく男達。
なんなのさ。
そっちから声掛けてきたくせに。
「ほら、行きましょ」
手を引かれ、歩き出す。
繋いだ手の温もりに顔が自然と緩む。
さっきまでイライラしてたのに……
やっぱり柳宿はすごいなぁ
なんて思いながら隣を歩いた。
「ねぇ、柳宿。なんか急いでる?」
普段より歩みが速いような気がして、
不思議に思った私は聞いた。
「え?そんなことないわよ?」
どうして?と聞く彼。
「いつもは私に合わせて
ゆっくり歩いてくれてると思うんだけど
なんか今日は速いかなぁって」
嫌味とかじゃないよ!と慌てて加えて
柳宿の答えを待った。
「うそっ。ごめん!
全然そんなつもりはなかったの」
申し訳なさそうに言う彼に
こちらも申し訳なくなってしまった。
「謝って欲しかった訳じゃないの。
ただ、今日は時間がないのかなって」
あまりゆっくりできないのかぁ、
なんて思っていると
彼は言いづらそうに口を開いた。
「さっきの男達さ、
あんた見て可愛いって言ったでしょ?」
「……ナンパしてきた人達?」
「そうよ!
あたしのななしはそりゃ可愛いけど
そういう目で見んなって思って」
「……はい?」
「ずっとイライラしてたのよ。
だから歩くのが速くなっちゃったのかしら」
あたしとしたことが、
とかなんとかぶつぶつ言っている。
え、もしかして私達
同じこと考えてたってこと?
しかもそれで
同じようにイライラしてたの?
それがわかったら
イライラしてたのが可笑しくて
笑いが込み上げてきた。
「もう、何笑ってるのよ。
情けないのはわかってるけどさ、
それだけあんたのことがっ」
柳宿が全て言い切る前に抱きついた。
「なっ何するのよ、いきなり…」
「ふふ、わかってるよ。
それだけ好きでいてくれてるんだよね。
でも、それは柳宿だけじゃないよ」
ぎゅーと思いきり抱きついて
伝わりますように、なんて思うけど
これじゃわかんないよね。
「……どういうこと?」
不思議そうな顔をし続ける柳宿に
今日一番の笑顔を向けて。
「私も同じこと思ってたの。
私の柳宿をそういう目で見ないでよって。
なんか嬉しくて笑えてきちゃった。
柳宿、大好きだよ!」
そう言葉にすると
彼の表情は明るく変わった。
「それこそあんただけじゃないわ。
あたしもななしが大好きよ」
優しく笑うあなたがかっこよくて
一瞬固まりかけたけど。
差し出された手をぎゅっと繋いで、
今度はゆっくり歩き出した。
私の彼氏はかっこいい。
そして美しい。
優しくて友達思いで
自慢の彼氏。
でも、不満があるの。
完璧すぎて男女からモテるし
そのせいで嫉妬もするし
イライラすることもしばしば。
だけど。
お陰でこんな思いもさせてもらえるなら
その不満にも感謝……かな?
→あとがき
そして美しい。
優しくて友達思いで
自慢の彼氏。
でも、不満があるの。
それは―――
「ななし、待たせてごめん」
少し息の上がった柳宿が
駆け寄ってくる。
待ち合わせした駅前の広場。
日曜日の今日、
人はそこそこいるのだけど
すぐに見つけてくれた。
そんなところもすごく好き。
「大丈夫だよ、時間ぴったりだし」
ほら、と腕時計を見せると
柳宿は優しく笑った。
ああ、私の彼氏は
何故こんなにかっこいいのでしょう。
柳宿の姿に見惚れていると
不満の原因である出来事が起きた。
「ねぇねぇ、お姉さん綺麗だね。
あ、そっちの子も可愛いし!
暇なら一緒にお茶でもしない?」
そんな声を掛けてきたのは
二人組の男。
柳宿に会えて幸せな気分だったのに
それは一瞬にして崩れた。
柳宿のこと綺麗とか……
まぁ事実だけど、
口説くとかやめてほしい。
(取って付けたように
私のこと言ってくるのも腹立つ!)
暇なわけないし、
もし暇でもお茶なんてしません。
イライラし始めていると
柳宿が私の腕を掴んで男達を見た。
「あたしたちこれからデートなの。
ごめんなさいね」
にっこりと微笑む柳宿。
そんな男達に
笑顔なんて向けなくていいのに……
「ちっ、男いんのかよ」
そう吐き捨てて去っていく男達。
なんなのさ。
そっちから声掛けてきたくせに。
「ほら、行きましょ」
手を引かれ、歩き出す。
繋いだ手の温もりに顔が自然と緩む。
さっきまでイライラしてたのに……
やっぱり柳宿はすごいなぁ
なんて思いながら隣を歩いた。
「ねぇ、柳宿。なんか急いでる?」
普段より歩みが速いような気がして、
不思議に思った私は聞いた。
「え?そんなことないわよ?」
どうして?と聞く彼。
「いつもは私に合わせて
ゆっくり歩いてくれてると思うんだけど
なんか今日は速いかなぁって」
嫌味とかじゃないよ!と慌てて加えて
柳宿の答えを待った。
「うそっ。ごめん!
全然そんなつもりはなかったの」
申し訳なさそうに言う彼に
こちらも申し訳なくなってしまった。
「謝って欲しかった訳じゃないの。
ただ、今日は時間がないのかなって」
あまりゆっくりできないのかぁ、
なんて思っていると
彼は言いづらそうに口を開いた。
「さっきの男達さ、
あんた見て可愛いって言ったでしょ?」
「……ナンパしてきた人達?」
「そうよ!
あたしのななしはそりゃ可愛いけど
そういう目で見んなって思って」
「……はい?」
「ずっとイライラしてたのよ。
だから歩くのが速くなっちゃったのかしら」
あたしとしたことが、
とかなんとかぶつぶつ言っている。
え、もしかして私達
同じこと考えてたってこと?
しかもそれで
同じようにイライラしてたの?
それがわかったら
イライラしてたのが可笑しくて
笑いが込み上げてきた。
「もう、何笑ってるのよ。
情けないのはわかってるけどさ、
それだけあんたのことがっ」
柳宿が全て言い切る前に抱きついた。
「なっ何するのよ、いきなり…」
「ふふ、わかってるよ。
それだけ好きでいてくれてるんだよね。
でも、それは柳宿だけじゃないよ」
ぎゅーと思いきり抱きついて
伝わりますように、なんて思うけど
これじゃわかんないよね。
「……どういうこと?」
不思議そうな顔をし続ける柳宿に
今日一番の笑顔を向けて。
「私も同じこと思ってたの。
私の柳宿をそういう目で見ないでよって。
なんか嬉しくて笑えてきちゃった。
柳宿、大好きだよ!」
そう言葉にすると
彼の表情は明るく変わった。
「それこそあんただけじゃないわ。
あたしもななしが大好きよ」
優しく笑うあなたがかっこよくて
一瞬固まりかけたけど。
差し出された手をぎゅっと繋いで、
今度はゆっくり歩き出した。
私の彼氏はかっこいい。
そして美しい。
優しくて友達思いで
自慢の彼氏。
でも、不満があるの。
完璧すぎて男女からモテるし
そのせいで嫉妬もするし
イライラすることもしばしば。
だけど。
お陰でこんな思いもさせてもらえるなら
その不満にも感謝……かな?
→あとがき
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