続・酔ったのは、
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目が覚めると酷い頭痛がした。
何故かと一瞬考えたが、
すぐに昨晩のことを思い出した。
そういえば鬼宿、翼宿、柳宿、軫宿と
夕食後に酒を飲んだのだった。
「……飲み過ぎたか」
見慣れた天井を見上げ
自室で寝ていたことを認識する。
いつ戻ってきたのか、
それさえも記憶にないのだが。
ゆっくりと上半身を起こすと
身体の怠さが増した。
軫宿は先に退室したので
そこまで飲んでいなかったと思うが
後の三人は量が半端じゃない。
オイラも弱い方ではないと思うのだが
あの子達には敵わないのだ。
まったく、飲む量が多いのはいいとして
酔うと必ずと言って話題が……
ん?何かを忘れているような。
思い出そうとすれば
頭の痛みが増す。
己の身体が出す拒絶反応に
思い出すことを止め、
再び寝台へ身体を預けた。
「はぁ……ななし……」
漏れたため息の後には
想いを寄せる人物の名が溢れた。
昨日の記憶が無くなる前、
皆と酒を飲みながら交わした会話を思う。
それはななしのことだ。
君のことを考えるだけで
心音が大きくなるのを感じるのに……
オイラはまた失うことを恐れ
何も出来ずに居た。
そんなオイラを見かねて
昨日の飲み会が開かれたのだった。
「なぁ、いつまで黙ってるんだ?」
鬼宿に酒を注がれながら、
オイラは首を傾げた。
「……?
オイラは先程から話をしているが?」
そう、他愛もない話を
今の今まで皆と交わしていたのに
何を言っているのだろうか。
「いや、そうじゃない」
はぁー、と盛大なため息をつくと
鬼宿は頭を垂らす。
「井宿、ななしのことだと思うぞ」
隣に座る軫宿が
穏やかな声で言った。
「ななしのこと、なのだ?」
その名が出るだけで
オイラの心は震えてしまう。
「せやせや、好きなんやろ!
何時になったらあいつに言うんや?」
翼宿の直球すぎる問いに戸惑い
手元の酒を飲み干した。
「何時も何も……」
そんなこと、考えたこともない。
言える筈がないのだから。
杯が空くと直ぐに注がれる酒を
ぼんやりと見つめた。
「言うつもりないってことかしら。
……このままでいいの?」
柳宿は頬杖をつき
オイラを覗きこんでくる。
「……」
「じゃあ、誰に先越されても
文句は無いわよね」
次の言葉を発せずにいると、
柳宿が続けた。
「それはどういう、」
「あら。そのままの意味よ?
言っとくけど、ななしを狙うのは
あんただけじゃないんだから」
「なっ……」
「井宿が言わないなら
あたしがななし貰うわよ?」
「ちょっ、」
真剣な柳宿の眼差しに
今までにない焦りを感じた。
「柳宿。あまり井宿を苛めてやるな」
そんなオイラを見て、
助け船を出したのは軫宿だった。
それを聞いた柳宿が
不満げな顔でこちらを見ている。
「だって……焦れったいんだもの」
「せやせや、男ならガツンと言ったりぃ!」
ばしん、と翼宿がオイラの背を叩いた。
柳宿じゃなくてよかったなどと思う。
「まぁ言いづらいのもわかるけどよ、
違う世界の人間だしな」
鬼宿は落ち着いた口調で言う。
君と美朱のようになれたら、
そう思わない日はない。けれど。
「それもあるのだが……」
「他に理由があるってこと?」
柳宿の大きな瞳が
オイラの姿を捉えて問う。
他の三人の視線も向けられていて
これは誤魔化せそうにない。
「……オイラは怖いのだ。
大切なものを失くすのが、怖い」
ぽつりぽつりと紡ぐ言葉に
皆黙って耳を傾けてくれている。
「オイラは昔、大切なものを全て失くした。
ななしのことまで失いたくないのだ」
もう、何も失いたくない――
「確かに、失うのは怖いわよね。
あたしだってそうだし、きっと皆も。
でも、本当に諦めていいの?
今、すぐ近くにいるのに……
あの子に手が届く間に、
伝えたほうがいいんじゃないかしら」
「柳宿……」
「柳宿の言う通りかもしれん。
今この時を大事にした方がいいぞ。
後になって悔やんでも、遅い」
「軫宿……」
「俺もさ、」
二人の言葉に考え込んでいると、
ぽん、と肩に置かれたのは鬼宿の手。
「すげぇ迷ったよ。美朱に言うの。
でもさ、やっぱり言って良かったと思う。
だからこそ今があるって思うんだ」
「鬼宿……」
「ほんなら決まりやな!
明日にでもななしに告白や!」
そう言って翼宿は首に腕を回し、
オイラの身体を引き寄せた。
「そうと決まれば景気づけじゃー!」
「ちょっ、翼宿!」
オイラの杯には勢いよく酒が注がれ、
溢れないよう慌てて口をつけた。
そんなこんなで飲まされるし、
ななしの何処が好きかをしつこく聞かれ
飲まずには居られなくなり更に飲み……
そんなこんなで
オイラの意識は途中から消えた。
そして今に至るのだ。
ああ、やはり頭が重い。
水でも飲めばすっきりするだろうか。
ゆっくりと起き上がり
寝台から降りようとしたとき、
遠慮がちに扉が叩かれた。
「どちら様、なのだ?」
想像以上に出にくい声に
自分自身で驚いた。
「あの、ななしです。
開けても平気……?」
その声を聞いて
心臓の音が煩くなった。
「だ、平気なのだが
酒くさいかもしれないから、」
できれば後で、と続けようとしたが
残念ながら扉は開いてしまった。
「井宿……大丈夫?
お水持ってきたんだけど、飲める?」
心配そうな表情をして、
盆に湯呑みを乗せたななしが近付いてくる。
「実は今、貰いに行こうと思ってたのだ。
ありがとう、ななし」
これ以上心配をかけたくなくて
笑顔で答えるものの
本当は早く出て行って欲しかった。
酒の臭いがするだろうし
こんな状態を見られるのも情けない。
「……昨日はだいぶ飲んでたね。
飲みたい気分だったの?」
何故君がそれを?
湯呑みに手を伸ばそうとしたけれど
その疑問に、動きが止まってしまった。
それを見たななしは
オイラに湯呑みを差し出した。
ふわり。君の香りがした。
甘くて優しい君の香り。
この香りを、嗅いだことがある。
何時、何処で……?
――あれは、君を抱き締めたとき――
ふと、頭の中を過った。
そう、そうだ。
昨日……
鮮明に思い出した瞬間、
熱が顔に集中して熱くなる。
オイラはなんてことを!
思わず布団に顔を埋めた。
ななしの顔を見れない。
酔った勢いであんな……
しかも今まで忘れていたなんて。
きっと、ななしは驚いただろうし
嫌だったに違いないのだ。
「井宿!?気分悪い?」
オイラを心配する優しい声が
頭の上から降ってくる。
頭が重く痛いはずなのに、
君の声は少しも響くこともなく
すんなりとオイラの中に入ってきて
どうしようもなく落ち着いた。
「いや、大丈夫なのだ……
ななし、昨日のことなのだが」
「き、昨日のこと?」
自身が顔を伏せているため
その表情は窺えないが、
動揺している様に聞こえた。
「すまなかった、のだ。
いきなり部屋に押し掛けた上にあんな……」
まだ顔を見るのは怖かったけれど
顔も見ずに謝罪などできない。
オイラは恐る恐るななしを見た。
ななしはオイラを真っ直ぐ見ている。
「あんなこと「っ、言わないで」
言葉を続けようとしたら
ななしの言葉がそれを遮った。
「あんなことなんて、言わないで」
思わず黙りこんでしまう。
だって君がそんなことを言うから……
「嬉しかったんだよ、私。
酔っ払ってるってわかっても、嬉しかった」
俯きながらぽつりと話すななし。
さっきから、期待してしまうじゃないか。
もしかしたら、なんて。
皆から掛けられた言葉が
背中を押してくれている気がする。
「すまない、そういうつもりではなかったのだ。
君が嫌だったのではないかと……
オイラだって、軽い気持ちでしたわけじゃない」
酔っていたくせに何を、
と思われるかもしれないけれど
本当にそうなのだ。
君がオイラを好きだと言ってくれて
オイラは……、あれ?
「オイラを好きだと言ってくれたのは
本心、なのだ?」
酔っていたけれど確かに覚えている。
君はオイラを好きだと言った。
だからという言い訳は成り立たないが、
思わず手が出てしまった理由ではある。
「あ、れは、勢いで言っちゃったけど
本心……だよ」
うう、恥ずかしい……
そう顔を赤くして俯く姿が可愛い。
抱き締めたい――
「オイラもななしのことが好きなのだ」
そう言い終えるのが早いか、
オイラは君を腕の中に収めていた。
「ありがとう。嬉しい……」
きゅ、と抱きつくななしを
強く抱き返した。
「昨日は何であんなに
酔っぱらうくらい飲んでたの?」
いきなり寝ちゃうしびっくりしたんだよ、と
柳宿のお陰で怪我なく済んだことを知らされた。
「いや、それはその……」
告白すると決まって異様に緊張したとか
君をどれだけ好きが熱弁するのに
酒の力を借りずにいられなかったとか、
流石に恥ずかくて言えない。
「酔ったのは酒じゃなくて
君にだった、ということでどうかな」
そんな言葉が口から飛び出して、
恥ずかしさとしてはあまり大差がないな
などと思ったのだけれど。
「じゃあまた酔わせて聞けばいいんだね」
なんて言葉が返ってきたものだから
酒は程々にしようと思った。
→あとがき
何故かと一瞬考えたが、
すぐに昨晩のことを思い出した。
そういえば鬼宿、翼宿、柳宿、軫宿と
夕食後に酒を飲んだのだった。
「……飲み過ぎたか」
見慣れた天井を見上げ
自室で寝ていたことを認識する。
いつ戻ってきたのか、
それさえも記憶にないのだが。
ゆっくりと上半身を起こすと
身体の怠さが増した。
軫宿は先に退室したので
そこまで飲んでいなかったと思うが
後の三人は量が半端じゃない。
オイラも弱い方ではないと思うのだが
あの子達には敵わないのだ。
まったく、飲む量が多いのはいいとして
酔うと必ずと言って話題が……
ん?何かを忘れているような。
思い出そうとすれば
頭の痛みが増す。
己の身体が出す拒絶反応に
思い出すことを止め、
再び寝台へ身体を預けた。
「はぁ……ななし……」
漏れたため息の後には
想いを寄せる人物の名が溢れた。
昨日の記憶が無くなる前、
皆と酒を飲みながら交わした会話を思う。
それはななしのことだ。
君のことを考えるだけで
心音が大きくなるのを感じるのに……
オイラはまた失うことを恐れ
何も出来ずに居た。
そんなオイラを見かねて
昨日の飲み会が開かれたのだった。
「なぁ、いつまで黙ってるんだ?」
鬼宿に酒を注がれながら、
オイラは首を傾げた。
「……?
オイラは先程から話をしているが?」
そう、他愛もない話を
今の今まで皆と交わしていたのに
何を言っているのだろうか。
「いや、そうじゃない」
はぁー、と盛大なため息をつくと
鬼宿は頭を垂らす。
「井宿、ななしのことだと思うぞ」
隣に座る軫宿が
穏やかな声で言った。
「ななしのこと、なのだ?」
その名が出るだけで
オイラの心は震えてしまう。
「せやせや、好きなんやろ!
何時になったらあいつに言うんや?」
翼宿の直球すぎる問いに戸惑い
手元の酒を飲み干した。
「何時も何も……」
そんなこと、考えたこともない。
言える筈がないのだから。
杯が空くと直ぐに注がれる酒を
ぼんやりと見つめた。
「言うつもりないってことかしら。
……このままでいいの?」
柳宿は頬杖をつき
オイラを覗きこんでくる。
「……」
「じゃあ、誰に先越されても
文句は無いわよね」
次の言葉を発せずにいると、
柳宿が続けた。
「それはどういう、」
「あら。そのままの意味よ?
言っとくけど、ななしを狙うのは
あんただけじゃないんだから」
「なっ……」
「井宿が言わないなら
あたしがななし貰うわよ?」
「ちょっ、」
真剣な柳宿の眼差しに
今までにない焦りを感じた。
「柳宿。あまり井宿を苛めてやるな」
そんなオイラを見て、
助け船を出したのは軫宿だった。
それを聞いた柳宿が
不満げな顔でこちらを見ている。
「だって……焦れったいんだもの」
「せやせや、男ならガツンと言ったりぃ!」
ばしん、と翼宿がオイラの背を叩いた。
柳宿じゃなくてよかったなどと思う。
「まぁ言いづらいのもわかるけどよ、
違う世界の人間だしな」
鬼宿は落ち着いた口調で言う。
君と美朱のようになれたら、
そう思わない日はない。けれど。
「それもあるのだが……」
「他に理由があるってこと?」
柳宿の大きな瞳が
オイラの姿を捉えて問う。
他の三人の視線も向けられていて
これは誤魔化せそうにない。
「……オイラは怖いのだ。
大切なものを失くすのが、怖い」
ぽつりぽつりと紡ぐ言葉に
皆黙って耳を傾けてくれている。
「オイラは昔、大切なものを全て失くした。
ななしのことまで失いたくないのだ」
もう、何も失いたくない――
「確かに、失うのは怖いわよね。
あたしだってそうだし、きっと皆も。
でも、本当に諦めていいの?
今、すぐ近くにいるのに……
あの子に手が届く間に、
伝えたほうがいいんじゃないかしら」
「柳宿……」
「柳宿の言う通りかもしれん。
今この時を大事にした方がいいぞ。
後になって悔やんでも、遅い」
「軫宿……」
「俺もさ、」
二人の言葉に考え込んでいると、
ぽん、と肩に置かれたのは鬼宿の手。
「すげぇ迷ったよ。美朱に言うの。
でもさ、やっぱり言って良かったと思う。
だからこそ今があるって思うんだ」
「鬼宿……」
「ほんなら決まりやな!
明日にでもななしに告白や!」
そう言って翼宿は首に腕を回し、
オイラの身体を引き寄せた。
「そうと決まれば景気づけじゃー!」
「ちょっ、翼宿!」
オイラの杯には勢いよく酒が注がれ、
溢れないよう慌てて口をつけた。
そんなこんなで飲まされるし、
ななしの何処が好きかをしつこく聞かれ
飲まずには居られなくなり更に飲み……
そんなこんなで
オイラの意識は途中から消えた。
そして今に至るのだ。
ああ、やはり頭が重い。
水でも飲めばすっきりするだろうか。
ゆっくりと起き上がり
寝台から降りようとしたとき、
遠慮がちに扉が叩かれた。
「どちら様、なのだ?」
想像以上に出にくい声に
自分自身で驚いた。
「あの、ななしです。
開けても平気……?」
その声を聞いて
心臓の音が煩くなった。
「だ、平気なのだが
酒くさいかもしれないから、」
できれば後で、と続けようとしたが
残念ながら扉は開いてしまった。
「井宿……大丈夫?
お水持ってきたんだけど、飲める?」
心配そうな表情をして、
盆に湯呑みを乗せたななしが近付いてくる。
「実は今、貰いに行こうと思ってたのだ。
ありがとう、ななし」
これ以上心配をかけたくなくて
笑顔で答えるものの
本当は早く出て行って欲しかった。
酒の臭いがするだろうし
こんな状態を見られるのも情けない。
「……昨日はだいぶ飲んでたね。
飲みたい気分だったの?」
何故君がそれを?
湯呑みに手を伸ばそうとしたけれど
その疑問に、動きが止まってしまった。
それを見たななしは
オイラに湯呑みを差し出した。
ふわり。君の香りがした。
甘くて優しい君の香り。
この香りを、嗅いだことがある。
何時、何処で……?
――あれは、君を抱き締めたとき――
ふと、頭の中を過った。
そう、そうだ。
昨日……
鮮明に思い出した瞬間、
熱が顔に集中して熱くなる。
オイラはなんてことを!
思わず布団に顔を埋めた。
ななしの顔を見れない。
酔った勢いであんな……
しかも今まで忘れていたなんて。
きっと、ななしは驚いただろうし
嫌だったに違いないのだ。
「井宿!?気分悪い?」
オイラを心配する優しい声が
頭の上から降ってくる。
頭が重く痛いはずなのに、
君の声は少しも響くこともなく
すんなりとオイラの中に入ってきて
どうしようもなく落ち着いた。
「いや、大丈夫なのだ……
ななし、昨日のことなのだが」
「き、昨日のこと?」
自身が顔を伏せているため
その表情は窺えないが、
動揺している様に聞こえた。
「すまなかった、のだ。
いきなり部屋に押し掛けた上にあんな……」
まだ顔を見るのは怖かったけれど
顔も見ずに謝罪などできない。
オイラは恐る恐るななしを見た。
ななしはオイラを真っ直ぐ見ている。
「あんなこと「っ、言わないで」
言葉を続けようとしたら
ななしの言葉がそれを遮った。
「あんなことなんて、言わないで」
思わず黙りこんでしまう。
だって君がそんなことを言うから……
「嬉しかったんだよ、私。
酔っ払ってるってわかっても、嬉しかった」
俯きながらぽつりと話すななし。
さっきから、期待してしまうじゃないか。
もしかしたら、なんて。
皆から掛けられた言葉が
背中を押してくれている気がする。
「すまない、そういうつもりではなかったのだ。
君が嫌だったのではないかと……
オイラだって、軽い気持ちでしたわけじゃない」
酔っていたくせに何を、
と思われるかもしれないけれど
本当にそうなのだ。
君がオイラを好きだと言ってくれて
オイラは……、あれ?
「オイラを好きだと言ってくれたのは
本心、なのだ?」
酔っていたけれど確かに覚えている。
君はオイラを好きだと言った。
だからという言い訳は成り立たないが、
思わず手が出てしまった理由ではある。
「あ、れは、勢いで言っちゃったけど
本心……だよ」
うう、恥ずかしい……
そう顔を赤くして俯く姿が可愛い。
抱き締めたい――
「オイラもななしのことが好きなのだ」
そう言い終えるのが早いか、
オイラは君を腕の中に収めていた。
「ありがとう。嬉しい……」
きゅ、と抱きつくななしを
強く抱き返した。
「昨日は何であんなに
酔っぱらうくらい飲んでたの?」
いきなり寝ちゃうしびっくりしたんだよ、と
柳宿のお陰で怪我なく済んだことを知らされた。
「いや、それはその……」
告白すると決まって異様に緊張したとか
君をどれだけ好きが熱弁するのに
酒の力を借りずにいられなかったとか、
流石に恥ずかくて言えない。
「酔ったのは酒じゃなくて
君にだった、ということでどうかな」
そんな言葉が口から飛び出して、
恥ずかしさとしてはあまり大差がないな
などと思ったのだけれど。
「じゃあまた酔わせて聞けばいいんだね」
なんて言葉が返ってきたものだから
酒は程々にしようと思った。
→あとがき
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