君のとなり
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12月。
世間は段々と忙しくなり
街は今年もまた
綺麗な装飾に包まれている。
「ねぇ、芳准。
クリスマスのことなんだけどね」
そう言葉をかけられて、
手元のカップから目線を上げ
ななしを見た。
去年の今頃オイラがお願いした
"風邪を引かない程度の厚着"をした彼女が
照れくさそうにもじもじしている。
珍しい。
オイラが見ることも少ない
こんな彼女の姿は、
誰にも見せたくないものだ。
家の中で良かったと心底思う。
「うん?」
動揺を見せないよう
至って普通を装い返事をする。
「あの、今年はね……
お家で過ごすのもいいかなって」
言い終えたななしは
とうとう俯いてしまった。
「それもいいと思うのだ。
でも、それで本当にいいのだ?
去年みたいに出かけなくて」
クリスマスだとかバレンタインだとか
女子はイベントが好きだ。
ななしも例外ではない。
去年だって二人でツリーを見たり
当日はディナーに行ったり。
今年もそうだと思っていたのだが……
「芳准と、二人でいたいの。
それじゃ……駄目?」
彼女が上目づかいで言うものだから
オイラの動揺は更に増した。
コーヒーを口に含んでいたら
きっと吹き出していた。
「それは……朝まで、ってこと?」
顔を紅く染めたななしに近付き
髪に触れながら訊ねる。
ぴくりと反応する身体が可愛い。
「……」
こくこくと無言で頷かれ
何を意味しているのか理解する。
いや、初めからわかっていたけど。
「プレゼントは君ってことなのだね」
気の利かないそんな台詞を口にすると
彼女はまたオイラを見上げた。
「そういう、ことで……」
付き合って1年以上経つ。
身体を重ねたことは勿論あるし
1度や2度でもないけれど……
実は朝まで一緒にいられたことは
今までなかったのだ。
そんな初めてを、
今回オイラにくれるという。
「いいのだ?
寝られないかもしれないぞ」
そう脅してみれば
「それはそれでしあわせだよ」
なんて笑顔で返されたから
負けた気がした。
目が覚めたとき隣に君が居る。
どんな夢から目覚めても、
あたたかな気持ちになれるだろう。
いつかきっとそれが
当たり前の毎日になりますように―――
→あとがき
世間は段々と忙しくなり
街は今年もまた
綺麗な装飾に包まれている。
「ねぇ、芳准。
クリスマスのことなんだけどね」
そう言葉をかけられて、
手元のカップから目線を上げ
ななしを見た。
去年の今頃オイラがお願いした
"風邪を引かない程度の厚着"をした彼女が
照れくさそうにもじもじしている。
珍しい。
オイラが見ることも少ない
こんな彼女の姿は、
誰にも見せたくないものだ。
家の中で良かったと心底思う。
「うん?」
動揺を見せないよう
至って普通を装い返事をする。
「あの、今年はね……
お家で過ごすのもいいかなって」
言い終えたななしは
とうとう俯いてしまった。
「それもいいと思うのだ。
でも、それで本当にいいのだ?
去年みたいに出かけなくて」
クリスマスだとかバレンタインだとか
女子はイベントが好きだ。
ななしも例外ではない。
去年だって二人でツリーを見たり
当日はディナーに行ったり。
今年もそうだと思っていたのだが……
「芳准と、二人でいたいの。
それじゃ……駄目?」
彼女が上目づかいで言うものだから
オイラの動揺は更に増した。
コーヒーを口に含んでいたら
きっと吹き出していた。
「それは……朝まで、ってこと?」
顔を紅く染めたななしに近付き
髪に触れながら訊ねる。
ぴくりと反応する身体が可愛い。
「……」
こくこくと無言で頷かれ
何を意味しているのか理解する。
いや、初めからわかっていたけど。
「プレゼントは君ってことなのだね」
気の利かないそんな台詞を口にすると
彼女はまたオイラを見上げた。
「そういう、ことで……」
付き合って1年以上経つ。
身体を重ねたことは勿論あるし
1度や2度でもないけれど……
実は朝まで一緒にいられたことは
今までなかったのだ。
そんな初めてを、
今回オイラにくれるという。
「いいのだ?
寝られないかもしれないぞ」
そう脅してみれば
「それはそれでしあわせだよ」
なんて笑顔で返されたから
負けた気がした。
目が覚めたとき隣に君が居る。
どんな夢から目覚めても、
あたたかな気持ちになれるだろう。
いつかきっとそれが
当たり前の毎日になりますように―――
→あとがき
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