酔ったのは、
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私、ななしは動揺しています。
それはそれはとても。
「ちっ、ちちり!」
名前を読んでも返答はなく、
同じ状況が続いた。
私は今、想いを寄せる男性に
抱き締められている。
突然すぎる抱擁に
私の心臓はもはや爆発寸前で
呼吸さえも苦しい。
どうしてこんなことに……
此処は私の部屋。
寝るにはまだ少し早かったから
寝台で寛いでいた筈だった。
この時間には珍しく
井宿が訪ねて来たと思ったら、
気が付けばこの状態。
何が起きているのか
混乱した頭では考えられない。
「井宿……首が痛い、かな」
暫く抱き締められていると、
身長差とその力の強さで
私の首は悲鳴を上げていた。
必死に絞り出した声は
ちゃんと耳に届いたようで、
井宿は腕の中から私を解放した。
「す、すまないのだ!」
慌てて手を離した井宿の顔は赤く
どこかいつもと違う雰囲気。
もしかして……
「井宿、お酒飲んでる?」
そういえば抱き締められたとき
お酒の匂いがした気がする。
「ちょっとだけ、なのだ」
そう答える井宿をまじまじと見ると
耳まで赤くなっているし、
普段はキリッとした切れ長の目も
なんだかとろんとしている。
か、可愛い。
お面を着けている状態も
可愛いんだけど……
(特に三頭身になってるときが)
なんていうかなんていうか、
大人の色気も感じるのに
少年のような幼さみたいなものが。
お酒を飲んだ状態を見るのは
これが初めてではないけど
こんな様子は見たことがない。と思う。
初めて見せられるその姿に
私の気持ちはより一層大きくなって。
余計な言葉が出た。
「はぁ……好き……」
「……え?」
「……え?」
「それは、オイラのこと、なのだ?」
何故か心の声を口から発していた。
しかも本人に聞かれてしまったらしい。
「いや、あの、えっと」
うまく言い訳を、と言葉を探すけれど
焦るだけで何も浮かんでこない。
「ななし、
もう一度抱いてもいい……?」
「え、ちょっ……」
返事をする前に
ふわりと抱き締められた。
先程より優しく包まれる腕の中。
やっぱりお酒の匂いがした。
その匂いに、そして貴方に
酔ってしまいそう。
ふわふわとした感覚に
意識を手放しそうになった。
「ななし、オイラも、君が、」
も、もしかして
井宿も私のこと……!?
ドキドキしながら続きを待つ私に
井宿の体重がかかってくる。
「ちょっ、井宿」
このまま押し倒されるのか、
なんて考えていると
次に聞こえてきたのは
規則的な寝息。
「すぴー」
「……え?」
うわぁー!!恥ずかしい。
何考えてるの私!
井宿、酔ってたじゃない。
部屋に来た時からおかしかったし
全部きっと酔った勢いだ。
ていうか、重い。
男性の全体重を支えるなんて無理。
やばい、後ろに倒れる……!
思いきり目を瞑ったけど
痛みを感じることは全くなくて。
代わりに感じたのは
背中に回されたもう一つの温もり。
目を開けると、
そこには柳宿が立っていて。
「はー危なかった。
頭打つとこだったわねぇ」
「!?」
なんで柳宿がここに、
そう混乱している私をよそに
笑顔でこちらを見ていた。
「今、皆で飲んでたんだけど。
出ていった井宿が戻ってこないから
心配で来てみたのよ」
変わらず笑顔の柳宿は
井宿を私から引き剥がし、担いだ。
「でもお邪魔しちゃったかしら。
ごめんなさいねぇ」
口元に手を当て、ニコニコ
……というよりニヤニヤしている。
「男だけで話してるとさ、
結構腹を割った話なんかもあって。
井宿、結構飲んでたから」
こんなに酔って珍しいわよね、
そう言って井宿の方を見る柳宿は
優しい眼差しだった。
「まぁでも言っとくけど、
こうなった原因はあんたにもあるのよ」
「へっ?」
なんですと……?
混乱し続ける頭では
柳宿の言葉を理解しきれない。
そんな私のことはお構いなしに
柳宿は扉の方へと足を進めている。
「ちょっと、柳宿!」
気になる言葉だけ残して
居なくなるなんてずるいじゃない。
「今の、どういうこと?」
柳宿の服の裾を掴んで
必死に呼び止める。
「それは……」
首だけをこちらに向けた
柳宿の言葉を待つ。
「あたしの口からは言えないわぁ~」
井宿を担いでいるのと逆の手で
口を押さえながら言う。
「ま、明日本人に聞いてみなさいな。
答えてくれるかわからないけど」
じゃあね、と手を振り
柳宿は私の部屋を出ていった。
人をこんなにモヤモヤさせて無責任な、
とか思いそうだったけど……
それよりも井宿に抱き締められたことが
理由はどうあれ嬉しくて、
それが何よりも脳内を占めていた。
早く井宿と話がしたい。
柳宿の発言の意味も井宿の行動の理由も
ちゃんと知りたいよ。
貴方の口から、聞かせてくれますか?
つづく……?
→あとがき
それはそれはとても。
「ちっ、ちちり!」
名前を読んでも返答はなく、
同じ状況が続いた。
私は今、想いを寄せる男性に
抱き締められている。
突然すぎる抱擁に
私の心臓はもはや爆発寸前で
呼吸さえも苦しい。
どうしてこんなことに……
此処は私の部屋。
寝るにはまだ少し早かったから
寝台で寛いでいた筈だった。
この時間には珍しく
井宿が訪ねて来たと思ったら、
気が付けばこの状態。
何が起きているのか
混乱した頭では考えられない。
「井宿……首が痛い、かな」
暫く抱き締められていると、
身長差とその力の強さで
私の首は悲鳴を上げていた。
必死に絞り出した声は
ちゃんと耳に届いたようで、
井宿は腕の中から私を解放した。
「す、すまないのだ!」
慌てて手を離した井宿の顔は赤く
どこかいつもと違う雰囲気。
もしかして……
「井宿、お酒飲んでる?」
そういえば抱き締められたとき
お酒の匂いがした気がする。
「ちょっとだけ、なのだ」
そう答える井宿をまじまじと見ると
耳まで赤くなっているし、
普段はキリッとした切れ長の目も
なんだかとろんとしている。
か、可愛い。
お面を着けている状態も
可愛いんだけど……
(特に三頭身になってるときが)
なんていうかなんていうか、
大人の色気も感じるのに
少年のような幼さみたいなものが。
お酒を飲んだ状態を見るのは
これが初めてではないけど
こんな様子は見たことがない。と思う。
初めて見せられるその姿に
私の気持ちはより一層大きくなって。
余計な言葉が出た。
「はぁ……好き……」
「……え?」
「……え?」
「それは、オイラのこと、なのだ?」
何故か心の声を口から発していた。
しかも本人に聞かれてしまったらしい。
「いや、あの、えっと」
うまく言い訳を、と言葉を探すけれど
焦るだけで何も浮かんでこない。
「ななし、
もう一度抱いてもいい……?」
「え、ちょっ……」
返事をする前に
ふわりと抱き締められた。
先程より優しく包まれる腕の中。
やっぱりお酒の匂いがした。
その匂いに、そして貴方に
酔ってしまいそう。
ふわふわとした感覚に
意識を手放しそうになった。
「ななし、オイラも、君が、」
も、もしかして
井宿も私のこと……!?
ドキドキしながら続きを待つ私に
井宿の体重がかかってくる。
「ちょっ、井宿」
このまま押し倒されるのか、
なんて考えていると
次に聞こえてきたのは
規則的な寝息。
「すぴー」
「……え?」
うわぁー!!恥ずかしい。
何考えてるの私!
井宿、酔ってたじゃない。
部屋に来た時からおかしかったし
全部きっと酔った勢いだ。
ていうか、重い。
男性の全体重を支えるなんて無理。
やばい、後ろに倒れる……!
思いきり目を瞑ったけど
痛みを感じることは全くなくて。
代わりに感じたのは
背中に回されたもう一つの温もり。
目を開けると、
そこには柳宿が立っていて。
「はー危なかった。
頭打つとこだったわねぇ」
「!?」
なんで柳宿がここに、
そう混乱している私をよそに
笑顔でこちらを見ていた。
「今、皆で飲んでたんだけど。
出ていった井宿が戻ってこないから
心配で来てみたのよ」
変わらず笑顔の柳宿は
井宿を私から引き剥がし、担いだ。
「でもお邪魔しちゃったかしら。
ごめんなさいねぇ」
口元に手を当て、ニコニコ
……というよりニヤニヤしている。
「男だけで話してるとさ、
結構腹を割った話なんかもあって。
井宿、結構飲んでたから」
こんなに酔って珍しいわよね、
そう言って井宿の方を見る柳宿は
優しい眼差しだった。
「まぁでも言っとくけど、
こうなった原因はあんたにもあるのよ」
「へっ?」
なんですと……?
混乱し続ける頭では
柳宿の言葉を理解しきれない。
そんな私のことはお構いなしに
柳宿は扉の方へと足を進めている。
「ちょっと、柳宿!」
気になる言葉だけ残して
居なくなるなんてずるいじゃない。
「今の、どういうこと?」
柳宿の服の裾を掴んで
必死に呼び止める。
「それは……」
首だけをこちらに向けた
柳宿の言葉を待つ。
「あたしの口からは言えないわぁ~」
井宿を担いでいるのと逆の手で
口を押さえながら言う。
「ま、明日本人に聞いてみなさいな。
答えてくれるかわからないけど」
じゃあね、と手を振り
柳宿は私の部屋を出ていった。
人をこんなにモヤモヤさせて無責任な、
とか思いそうだったけど……
それよりも井宿に抱き締められたことが
理由はどうあれ嬉しくて、
それが何よりも脳内を占めていた。
早く井宿と話がしたい。
柳宿の発言の意味も井宿の行動の理由も
ちゃんと知りたいよ。
貴方の口から、聞かせてくれますか?
つづく……?
→あとがき
1/2ページ