桜舞う空
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儚い、そんな印象だった。
君の華奢な身体も
満開の桜も。
風が吹けば何処までも、
遠くへ行ってしまいそうで。
オイラの隣に座る君の横顔を
今でもまだ、鮮明に覚えている。
「いい天気」
「気持ちがいいのだ」
二人で腰を下ろし
空を見上げる。
そんなことが日課だった。
それだけで
十分幸せを感じていたんだ。
それはきっと、君も。
「井宿の髪の色みたい」
そう言って笑うから
目が逸らせなくなって。
「だからね、晴れた空が好き」
そしてその言葉は
オイラの胸に深く刻まれた。
二人で桜の木を見に行ったときも
君は柔らかく笑っていた。
風に舞う花びらが好きだと。
その時の君がとても綺麗で
見惚れてしまったことも覚えている。
修行を重ねた僧侶として
忍耐が足りなかったのでは、と
今でも思うけれど。
君への想いが溢れてしまった。
想いを伝えると君は
少し泣いた後、嬉しそうに笑った。
視界一面の花びらに紛れ
このとき初めて君を抱き締めた。
躊躇いがちに回された腕を
愛おしいと思った。
出来るなら、出来るなら、
一年後もその先も。
君と、桜の花びらが舞う季節を
一緒に過ごしたかった。
でもそれは叶わぬ願い。
初めからわかっていたこと。
君は巫女で、オイラは七星士。
全てが終われば君は
元の世界へ帰らねばならぬのだ。
最後の君の顔を
オイラはきっと忘れない。
潤んだ瞳を、
涙に濡れた頬を、
「大好き」と動いた唇を、
その笑顔を。
これからもずっと。
今年も桜の季節が巡ってきた。
隣に君はいないけれど、
またこの場所に足を運んでいる。
君の世界でも
桜が満開だろうか?
こんなオイラを
君は笑うだろうか?
それでも、この季節になると尚更
君を思い出さずには居られないのだ。
「ななし……」
口にした愛しい君の名は
花びらと共に風に乗り、空へ消えていった。
君が好きだと言った、晴れた空に。
→あとがき
君の華奢な身体も
満開の桜も。
風が吹けば何処までも、
遠くへ行ってしまいそうで。
オイラの隣に座る君の横顔を
今でもまだ、鮮明に覚えている。
「いい天気」
「気持ちがいいのだ」
二人で腰を下ろし
空を見上げる。
そんなことが日課だった。
それだけで
十分幸せを感じていたんだ。
それはきっと、君も。
「井宿の髪の色みたい」
そう言って笑うから
目が逸らせなくなって。
「だからね、晴れた空が好き」
そしてその言葉は
オイラの胸に深く刻まれた。
二人で桜の木を見に行ったときも
君は柔らかく笑っていた。
風に舞う花びらが好きだと。
その時の君がとても綺麗で
見惚れてしまったことも覚えている。
修行を重ねた僧侶として
忍耐が足りなかったのでは、と
今でも思うけれど。
君への想いが溢れてしまった。
想いを伝えると君は
少し泣いた後、嬉しそうに笑った。
視界一面の花びらに紛れ
このとき初めて君を抱き締めた。
躊躇いがちに回された腕を
愛おしいと思った。
出来るなら、出来るなら、
一年後もその先も。
君と、桜の花びらが舞う季節を
一緒に過ごしたかった。
でもそれは叶わぬ願い。
初めからわかっていたこと。
君は巫女で、オイラは七星士。
全てが終われば君は
元の世界へ帰らねばならぬのだ。
最後の君の顔を
オイラはきっと忘れない。
潤んだ瞳を、
涙に濡れた頬を、
「大好き」と動いた唇を、
その笑顔を。
これからもずっと。
今年も桜の季節が巡ってきた。
隣に君はいないけれど、
またこの場所に足を運んでいる。
君の世界でも
桜が満開だろうか?
こんなオイラを
君は笑うだろうか?
それでも、この季節になると尚更
君を思い出さずには居られないのだ。
「ななし……」
口にした愛しい君の名は
花びらと共に風に乗り、空へ消えていった。
君が好きだと言った、晴れた空に。
→あとがき
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