ー合宿編ー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
キミへの愛ゆえに悩む心
合宿初日から愛子ちゃんへの心配事が尽きん…。
最初は一緒に参加出来てラッキーだと思っていたが、そもそも幸村は何を考えて愛子ちゃんを誘ったんか。
…どうしてか変な考えが頭に浮かんでしまう。
それと跡部や芥川や忍足やら…彼女にちょっかいを出す奴らが多くて敵わんぜよ。(愛子ちゃんは迷惑そうなのが救いじゃ)
「愛子先輩、もう動いてもいいんスか!?」
「大丈夫、大丈夫。ただタンコブが出来ただけだから」
「うわっ!大きなタンコブッスね!」
「どれどれ?…ぷっ、本当だ」
今だって赤也とブンちゃんが愛子ちゃんの頭を触っておるし。本当に油断も隙間もない…。
「おい。今笑いやがったな。アンタ飯抜きね。今渡した夕飯を全て返せ」
「わ、笑ってねぇし!…いや、でもあれだけ見事に食らっておいて、タンコブだけで済んで良かったな。鳳のノーコンサーブは凶器だからな」
その会話はすぐ近くにいた鳳に聞こえていたようで、ヤツが肩を落とすと眉を顰めた宍戸がブンちゃんに向けて「おい」と口を開いた。
しかし愛子ちゃんがブンちゃんの頭を叩いたので、二人は目を丸くさせていた。
そして愛子ちゃんは鳳の目の前に行くと「今度丸井と試合する時はあの強力なサーブをアイツにお見舞いしてやんな」と片目を瞑って笑い、鳳のデザートにさくらんぼのオマケを乗せたのだった。
鳳は目を輝かさせて愛子ちゃんを見とるし、いつの間にか宍戸の表情も柔らかなものへと変わっていた。
「…のう、柳生」
「どうされましたか?」
「…どうしたら愛子ちゃんの魅力を封じ込められるんかのう」
「ああ…。それはどうやら難しそうですね。あの柳君と真田君でさえ彼女には気を許していますからね」
今度は柳と真田が愛子ちゃんに話しかけちょる。柳生の言う通り、彼らの表情はいつもより柔らかい。
「…ハァ。困りものじゃ」
「女性話に疎かった仁王君が独占欲を感じるまでになるなんて…」
俺の心境を柳生は喜んどるが、こんなもんは厄介でしかない。
飾らず自然体の愛子ちゃんが好きなはずだったのに、今は俺以外のヤツに話しかけないで欲しい…笑いかけないで欲しいと思ってしまう。
誰の目にも触れないよう閉じ込めてしまいたい。だが彼女に嫌われたくない。
だからその思いを秘めたまま黙って見ていることしか出来ない。
…胸の中を黒いもんがごちゃごちゃと、あまり気持ちの良い感情じゃなか。
「…いつかこの気持ちを抑えられん日が来るかも知れん。その時、自分がどうなってしまうんか分からんのが恐ろしい」
「なら、その気持ちを思い切って如月さんに伝えてみてはどうですか?」
黙っている俺に柳生はやれやれと肩をすくめる。
「明日は青学の方々が来ますね。仁王君の心配事が増えないといいのですが」
ーーまさか、一番の心配の種となろう者が現れるとは思わんかった。
そうして次の日の午後、予定通り青学がやって来た。
「ー…愛子ちゃんっ!?」
愛子ちゃんの姿を見た途端、あの不二が目を見開いて駆け出したことに皆が驚いた。
「そ、そうだけど、誰?」
「…覚えてないかな?ボクだよ、不二周助だよ。幼稚園が一緒だった…」
「……え。もしかして、あのしゅーくん?」
「覚えてくれてたんだね…。また会えて嬉しいよ」
不二は愛子ちゃんの両手を握りしめ微笑む。
「やめろ!」と叫ぶ心のまま、気付けば二人の間に割り込むように入り込んでいた。
「久しぶりの再会を邪魔しないでくれないかい…仁王」
「…嫌じゃ」
黒い感情に支配された俺は負けじと開眼した不二を睨みつける。
「…不二、こちらの立海の女子生徒と知り合いなのか?」
俺達の不穏な雰囲気を察したのか大石がさりげなく不二に声をかけた。
「ボクの初恋の相手だよ」
にっこりと告げられた言葉に周囲にどよめきが走った。
「それにファーストキスの相手さ。ね?愛子ちゃん」
「…4歳の頃の話でしょ」
「でもボクにとっては大事な思い出だよ」
「うわぁ〜!そんな相手とこんな所で再会するなんて運命的じゃん!」
「おまんは黙っていんしゃい」
「にゃんでだよ!?」
…菊丸め。ぴょんぴょん跳ねながら余計な事を言うんじゃなか。運命なんてあってたまるか。
「ところで仁王と愛子ちゃんは…どういった関係なのかな」
「愛子ちゃんは俺の大事な彼女ナリ。変な気起こしたら許さんぜよ」
「…へえ。コート上の詐欺師と呼ばれるキミもただの男だったってわけか」
「悪いか」
「いいと思うよ。…それじゃ、愛子ちゃん。仁王がいない時にでもまたゆっくり話そうね」
不二は俺のことなど気にしていないかのように飄々と愛子ちゃんに笑いかける。手塚に呼ばれてようやくいなくなってくれたが、やはり食えん奴ぜよ。
「…愛子ちゃん。不二との関係を詳しく聞かせんしゃい」
「私が神奈川に引っ越す前に東京にいたって言ったでしょ。その時通っていた幼稚園にしゅーくんもいただけだよ。言っておくけど、連絡先も知らないし、引っ越してからは一回も会ってないから今の今まで忘れてたわ」
「…俺のことはまーくんって呼んでくれんのに、不二のことはしゅーくんって呼ぶんじゃな」
「何?よく聞こえなかったんだけど」
「…、なんでもなか!」
「は?」
プイッと横を向くと、愛子ちゃんは怪訝そうな表情を浮かべたのだった。
この気持ちに気づいて欲しいけど、気づいて欲しくない。頼むからこれ以上、俺の心を醜くしないでくれ。
合宿初日から愛子ちゃんへの心配事が尽きん…。
最初は一緒に参加出来てラッキーだと思っていたが、そもそも幸村は何を考えて愛子ちゃんを誘ったんか。
…どうしてか変な考えが頭に浮かんでしまう。
それと跡部や芥川や忍足やら…彼女にちょっかいを出す奴らが多くて敵わんぜよ。(愛子ちゃんは迷惑そうなのが救いじゃ)
「愛子先輩、もう動いてもいいんスか!?」
「大丈夫、大丈夫。ただタンコブが出来ただけだから」
「うわっ!大きなタンコブッスね!」
「どれどれ?…ぷっ、本当だ」
今だって赤也とブンちゃんが愛子ちゃんの頭を触っておるし。本当に油断も隙間もない…。
「おい。今笑いやがったな。アンタ飯抜きね。今渡した夕飯を全て返せ」
「わ、笑ってねぇし!…いや、でもあれだけ見事に食らっておいて、タンコブだけで済んで良かったな。鳳のノーコンサーブは凶器だからな」
その会話はすぐ近くにいた鳳に聞こえていたようで、ヤツが肩を落とすと眉を顰めた宍戸がブンちゃんに向けて「おい」と口を開いた。
しかし愛子ちゃんがブンちゃんの頭を叩いたので、二人は目を丸くさせていた。
そして愛子ちゃんは鳳の目の前に行くと「今度丸井と試合する時はあの強力なサーブをアイツにお見舞いしてやんな」と片目を瞑って笑い、鳳のデザートにさくらんぼのオマケを乗せたのだった。
鳳は目を輝かさせて愛子ちゃんを見とるし、いつの間にか宍戸の表情も柔らかなものへと変わっていた。
「…のう、柳生」
「どうされましたか?」
「…どうしたら愛子ちゃんの魅力を封じ込められるんかのう」
「ああ…。それはどうやら難しそうですね。あの柳君と真田君でさえ彼女には気を許していますからね」
今度は柳と真田が愛子ちゃんに話しかけちょる。柳生の言う通り、彼らの表情はいつもより柔らかい。
「…ハァ。困りものじゃ」
「女性話に疎かった仁王君が独占欲を感じるまでになるなんて…」
俺の心境を柳生は喜んどるが、こんなもんは厄介でしかない。
飾らず自然体の愛子ちゃんが好きなはずだったのに、今は俺以外のヤツに話しかけないで欲しい…笑いかけないで欲しいと思ってしまう。
誰の目にも触れないよう閉じ込めてしまいたい。だが彼女に嫌われたくない。
だからその思いを秘めたまま黙って見ていることしか出来ない。
…胸の中を黒いもんがごちゃごちゃと、あまり気持ちの良い感情じゃなか。
「…いつかこの気持ちを抑えられん日が来るかも知れん。その時、自分がどうなってしまうんか分からんのが恐ろしい」
「なら、その気持ちを思い切って如月さんに伝えてみてはどうですか?」
黙っている俺に柳生はやれやれと肩をすくめる。
「明日は青学の方々が来ますね。仁王君の心配事が増えないといいのですが」
ーーまさか、一番の心配の種となろう者が現れるとは思わんかった。
そうして次の日の午後、予定通り青学がやって来た。
「ー…愛子ちゃんっ!?」
愛子ちゃんの姿を見た途端、あの不二が目を見開いて駆け出したことに皆が驚いた。
「そ、そうだけど、誰?」
「…覚えてないかな?ボクだよ、不二周助だよ。幼稚園が一緒だった…」
「……え。もしかして、あのしゅーくん?」
「覚えてくれてたんだね…。また会えて嬉しいよ」
不二は愛子ちゃんの両手を握りしめ微笑む。
「やめろ!」と叫ぶ心のまま、気付けば二人の間に割り込むように入り込んでいた。
「久しぶりの再会を邪魔しないでくれないかい…仁王」
「…嫌じゃ」
黒い感情に支配された俺は負けじと開眼した不二を睨みつける。
「…不二、こちらの立海の女子生徒と知り合いなのか?」
俺達の不穏な雰囲気を察したのか大石がさりげなく不二に声をかけた。
「ボクの初恋の相手だよ」
にっこりと告げられた言葉に周囲にどよめきが走った。
「それにファーストキスの相手さ。ね?愛子ちゃん」
「…4歳の頃の話でしょ」
「でもボクにとっては大事な思い出だよ」
「うわぁ〜!そんな相手とこんな所で再会するなんて運命的じゃん!」
「おまんは黙っていんしゃい」
「にゃんでだよ!?」
…菊丸め。ぴょんぴょん跳ねながら余計な事を言うんじゃなか。運命なんてあってたまるか。
「ところで仁王と愛子ちゃんは…どういった関係なのかな」
「愛子ちゃんは俺の大事な彼女ナリ。変な気起こしたら許さんぜよ」
「…へえ。コート上の詐欺師と呼ばれるキミもただの男だったってわけか」
「悪いか」
「いいと思うよ。…それじゃ、愛子ちゃん。仁王がいない時にでもまたゆっくり話そうね」
不二は俺のことなど気にしていないかのように飄々と愛子ちゃんに笑いかける。手塚に呼ばれてようやくいなくなってくれたが、やはり食えん奴ぜよ。
「…愛子ちゃん。不二との関係を詳しく聞かせんしゃい」
「私が神奈川に引っ越す前に東京にいたって言ったでしょ。その時通っていた幼稚園にしゅーくんもいただけだよ。言っておくけど、連絡先も知らないし、引っ越してからは一回も会ってないから今の今まで忘れてたわ」
「…俺のことはまーくんって呼んでくれんのに、不二のことはしゅーくんって呼ぶんじゃな」
「何?よく聞こえなかったんだけど」
「…、なんでもなか!」
「は?」
プイッと横を向くと、愛子ちゃんは怪訝そうな表情を浮かべたのだった。
この気持ちに気づいて欲しいけど、気づいて欲しくない。頼むからこれ以上、俺の心を醜くしないでくれ。