ー合宿編ー
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キミに届いた打球の行方
合同合宿一日目、私は無駄に広いダイニングルームの中に完備されているキッチンで昼食の支度をしようとしていた。
大型調理器具も備わっており、特大冷蔵庫の中には様々な食材が入っている。隣に置いてある電話を繋げばいつでも必要な食材を買ってきてくれる人がいるらしい。
ちなみに青学の人達は明日の午後からやってくるみたいだから今日はまだ楽だ。昼食は親子丼と味噌汁にでもするかな。
こうして調理を進めあらかた準備や片付けが終わり時計を見ると、昼食までまだ時間があった(洗い物は全て大型自動洗浄機がやってくれるなんて金持ちはいいな)
なので携帯で鈴木君に連絡を取り、ドリンク作りの手伝いをすることにした。
ーーーー…
「暑い中お疲れさーん。ドリンクとタオルここに置いとくよ」
「ああ。すまないな」
「あーん?もう昼食の支度は終わったのか?」
「私を誰だと思ってんのよ」
「フッ。流石は如月だ」
ベンチにいた跡部と柳と話しているとコートから「愛子ちゃーん!!」と声が聞こえたので視線を向けると雅治がラケットをブンブン振っている。
帽子を被った男が「試合中に激ダサなことしてんじゃねーよ!」と怒っていたので手は振り返さないでおいた。(私まで怒られたくないからね)
「飲み終わったボトルはこっちのカゴに…」
「ーー…ッ、危ないっ!!!」
そう誰かの大声が聞こえたかと思った瞬間、後頭部に激しい衝撃を覚え、自分の意思に反して身体が倒れていくのを感じた。
目の前がチカチカして頭が一瞬真っ白になる。誰かが私の名を呼ぶ声が聞こえた。
「愛子ちゃん!!大丈夫か!?」
…ああ。この声は雅治だ。早く彼を安心させてやらないと…泣いてしまうかも知れない。でも…。
「……だい、じょーぶ………じゃ、ないかも…。頭…めっちゃ…痛い、わ」
「…意識はあるが、早急に医務室に連れて行った方がいいな」
「ああ。樺地!」
「ウッス」
「俺が連れていくぜよ」
気がつくと雅治にお姫様抱っこされていた。今は恥ずかしいとか思う余裕はなく、大人しく彼の腕の中に身を預けたのだった。
ーーーー
ーーー
ー…
「如月、調子はどう?」
「愛子ちゃん…大丈夫かのう?」
「もう大丈夫。それよりもアンタ達ちゃんと昼食食べられた?」
「…仕事のことはいいから自分の心配をしなよ。用意してもらっていたおかげで無事全員食べられたよ」
「良かった」
「幸村の言う通りじゃ。鳳のサーブが愛子ちゃんにぶつかった瞬間、心臓が止まるかと思ったナリ…」
「…部活中に余計な心配かけてごめん。これからコートに入る時はヘルメットでも付けるべきかな」
「それは名案だな」
医務室のカーテンが捲られ、視線を向けると跡部が立っていた。
「元気そうで安心したぜ」
「…選手の為の医務室を私が利用しちゃって悪いね」
「気にすんな。それよりうちの部員がすまなかった」
「…あ…あの、本当にすみませんでした。俺のコントロールが悪いせいで…」
跡部に続いて入って来た長身の男の子が眉を下げて申し訳なさそうに頭を下げた。
その姿が何だか、ご主人様に叱られ項垂れた大型犬のように見えてしまい、思わず頬を緩めてしまう。
「そんな顔しないでよ。アンタ達が謝る必要なんてないから。むしろ練習の邪魔してごめんね」
「…そんなこと!」
「これからはもうちょい周りをよく見るよ。キミは私のことなんて気にせず午後の練習も頑張っておいで」
「…でも」
「愛子ちゃんがそう言っとるんじゃ。おまんは彼女の気遣いを素直に受け取りんしゃい」
「…はい。如月先輩、ありがとうございます!」
「うん…よし、もうこれでこの話題はお終い!アンタ達もこんな所で時間を無駄にしてんじゃないよ。私もこれから夕飯の支度しないと…」
「ディナーくらい俺様の方で、」
「跡部。如月が何もせずじっとしていられる訳ないだろう」
「愛子ちゃんはやると言ったらやる女じゃき」
「…ハァ。お前らにそこまで言わせるなんて大した女だぜ。だが、いいか。二十四時間は無理しすぎるんじゃねぇぞ。何かあったら誰でもいいからすぐに知らせろ」
「分かってるって。全く、アンタ達は揃いに揃って心配症か」
「それは如月だからそうなるんだよ」
「は?」
「…幸村」
「さぁ、跡部。午後の練習が始まるから行くよ。仁王も遅れたら真田に怒られるからね」
「分かっとる…」
「愛子、お前が作ったランチ美味かった。ディナーも楽しみにしてるぜ」
幸村と跡部がいなくなると、雅治がギュッと私の手を握ってきた。
「どうした?」
「…愛子ちゃんは、どこにもいかんで」
「?…あのさ、死ぬ程のことじゃないから。心配し過ぎ」
「…おん。ちょっと不安になったきに」
「大丈夫。私は突然雅治の前から消えたりしないから。そんなことよりも今はテニスのことを考えなさい。練習、そろそろ始まるよ」
「げ、真田の平手打ちは勘弁じゃ!」
「いってらっしゃ〜い」
「何かあったらすぐ言うんじゃよ!」
「はいはい」
彼の後ろ姿を見送ったあと、私もベッドから立ち上がる。
「よし」
引き受けたからには最後までやり抜く、それが私のモットーだ。
そんなわけだから、仕事に戻るとしよう。
合同合宿一日目、私は無駄に広いダイニングルームの中に完備されているキッチンで昼食の支度をしようとしていた。
大型調理器具も備わっており、特大冷蔵庫の中には様々な食材が入っている。隣に置いてある電話を繋げばいつでも必要な食材を買ってきてくれる人がいるらしい。
ちなみに青学の人達は明日の午後からやってくるみたいだから今日はまだ楽だ。昼食は親子丼と味噌汁にでもするかな。
こうして調理を進めあらかた準備や片付けが終わり時計を見ると、昼食までまだ時間があった(洗い物は全て大型自動洗浄機がやってくれるなんて金持ちはいいな)
なので携帯で鈴木君に連絡を取り、ドリンク作りの手伝いをすることにした。
ーーーー…
「暑い中お疲れさーん。ドリンクとタオルここに置いとくよ」
「ああ。すまないな」
「あーん?もう昼食の支度は終わったのか?」
「私を誰だと思ってんのよ」
「フッ。流石は如月だ」
ベンチにいた跡部と柳と話しているとコートから「愛子ちゃーん!!」と声が聞こえたので視線を向けると雅治がラケットをブンブン振っている。
帽子を被った男が「試合中に激ダサなことしてんじゃねーよ!」と怒っていたので手は振り返さないでおいた。(私まで怒られたくないからね)
「飲み終わったボトルはこっちのカゴに…」
「ーー…ッ、危ないっ!!!」
そう誰かの大声が聞こえたかと思った瞬間、後頭部に激しい衝撃を覚え、自分の意思に反して身体が倒れていくのを感じた。
目の前がチカチカして頭が一瞬真っ白になる。誰かが私の名を呼ぶ声が聞こえた。
「愛子ちゃん!!大丈夫か!?」
…ああ。この声は雅治だ。早く彼を安心させてやらないと…泣いてしまうかも知れない。でも…。
「……だい、じょーぶ………じゃ、ないかも…。頭…めっちゃ…痛い、わ」
「…意識はあるが、早急に医務室に連れて行った方がいいな」
「ああ。樺地!」
「ウッス」
「俺が連れていくぜよ」
気がつくと雅治にお姫様抱っこされていた。今は恥ずかしいとか思う余裕はなく、大人しく彼の腕の中に身を預けたのだった。
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ー…
「如月、調子はどう?」
「愛子ちゃん…大丈夫かのう?」
「もう大丈夫。それよりもアンタ達ちゃんと昼食食べられた?」
「…仕事のことはいいから自分の心配をしなよ。用意してもらっていたおかげで無事全員食べられたよ」
「良かった」
「幸村の言う通りじゃ。鳳のサーブが愛子ちゃんにぶつかった瞬間、心臓が止まるかと思ったナリ…」
「…部活中に余計な心配かけてごめん。これからコートに入る時はヘルメットでも付けるべきかな」
「それは名案だな」
医務室のカーテンが捲られ、視線を向けると跡部が立っていた。
「元気そうで安心したぜ」
「…選手の為の医務室を私が利用しちゃって悪いね」
「気にすんな。それよりうちの部員がすまなかった」
「…あ…あの、本当にすみませんでした。俺のコントロールが悪いせいで…」
跡部に続いて入って来た長身の男の子が眉を下げて申し訳なさそうに頭を下げた。
その姿が何だか、ご主人様に叱られ項垂れた大型犬のように見えてしまい、思わず頬を緩めてしまう。
「そんな顔しないでよ。アンタ達が謝る必要なんてないから。むしろ練習の邪魔してごめんね」
「…そんなこと!」
「これからはもうちょい周りをよく見るよ。キミは私のことなんて気にせず午後の練習も頑張っておいで」
「…でも」
「愛子ちゃんがそう言っとるんじゃ。おまんは彼女の気遣いを素直に受け取りんしゃい」
「…はい。如月先輩、ありがとうございます!」
「うん…よし、もうこれでこの話題はお終い!アンタ達もこんな所で時間を無駄にしてんじゃないよ。私もこれから夕飯の支度しないと…」
「ディナーくらい俺様の方で、」
「跡部。如月が何もせずじっとしていられる訳ないだろう」
「愛子ちゃんはやると言ったらやる女じゃき」
「…ハァ。お前らにそこまで言わせるなんて大した女だぜ。だが、いいか。二十四時間は無理しすぎるんじゃねぇぞ。何かあったら誰でもいいからすぐに知らせろ」
「分かってるって。全く、アンタ達は揃いに揃って心配症か」
「それは如月だからそうなるんだよ」
「は?」
「…幸村」
「さぁ、跡部。午後の練習が始まるから行くよ。仁王も遅れたら真田に怒られるからね」
「分かっとる…」
「愛子、お前が作ったランチ美味かった。ディナーも楽しみにしてるぜ」
幸村と跡部がいなくなると、雅治がギュッと私の手を握ってきた。
「どうした?」
「…愛子ちゃんは、どこにもいかんで」
「?…あのさ、死ぬ程のことじゃないから。心配し過ぎ」
「…おん。ちょっと不安になったきに」
「大丈夫。私は突然雅治の前から消えたりしないから。そんなことよりも今はテニスのことを考えなさい。練習、そろそろ始まるよ」
「げ、真田の平手打ちは勘弁じゃ!」
「いってらっしゃ〜い」
「何かあったらすぐ言うんじゃよ!」
「はいはい」
彼の後ろ姿を見送ったあと、私もベッドから立ち上がる。
「よし」
引き受けたからには最後までやり抜く、それが私のモットーだ。
そんなわけだから、仕事に戻るとしよう。