ー友達編2ー
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キミがいないと…
まだまだ暑い日が続いているが、暦上では秋となる九月。新学期が始まり、暫く経ったある日ー…珍しく朝早くに仁王からメールが届いた。
【熱が出てしもうた。今日は学校休むナリ(*_*)】
初めての出来事に、アイツも熱なんて出すんだな…なんて思わず感心してしまった。【お大事に】と返信をして、私は学校へと向かったのだった。
ーーーー…
今日は静かに平和な一日を迎えられると思ったが、甘かった…。私のクラスにはコイツがいた。
「仁王、熱が出たんだってね」
「…みたいだね」
「今日どうしても渡さないといけない部活の資料があるんだよな」
「へぇー…」
「先輩達が引退した今、新しく部長となった俺が部活を休むなんて…出来るはずもない」
「大変そうですね」
「そうなんだよ。だから、俺の代わりに如月さん、仁王の家に届けてくれないかい?」
「い・や。…丸井にでも頼めば?アイツなら部活サボれるって喜びそうじゃん」
「あんなんでもブン太はウチの正式なレギュラーだ。休ませるわけにはいかないよ。ちなみに、柳生もジャッカルもレギュラーになったからね」
「ファックスしてやったら」
「仁王の家、固定電話ないんだよね」
如月さん、どうせ暇でしょ。と笑う幸村を殴りたくなった。確かに今日は部活もなく暇ですけど…!
仁王のことは心配だが、正直面倒くさい。だってポストに入れるだけなら誰にだって出来る。
「ちなみに、仁王家にはポストもないから直接渡してね」
どんな家だよ…っ!と盛大にツッコんでおいた。
こうして、魔王様に口で勝てる筈もなく…「この間日直の仕事忘れただろ?代わりに俺がやったんだけどな」とトドメを刺された私は、仕方なく仁王の家に届け物をするはめになった。
ーーーー
ーーー
ー…
学校から数十分、バスを降りて紙に書かれた住所を見ながら住宅街を歩く。
そして、【仁王】という表札を見つけた。仁王なんて名字はそうそうないから、ここで合っている筈。
「……げっ。本当にポストないし」
新聞とかどうしてんだよ…。と内心で訝しんでいると、背後から「あら」と言う声が聞こえた。
「立海大の制服…。家に何か御用?」
「あ…、どうも。仁王…、雅治君に届け物をしに来ました」
「わざわざありがとう。……貴女もしかして愛子ちゃん?」
「え?は、はい…。そうですが…」
「やっぱり!是非、上がっていってちょうだい!」
「えっ!?ちょっ…!」
仁王の母親らしき人(綺麗な人だな)に、ぐいぐい腕を引かれて強引に家の中へ押し込まれる。
どうして私のことを知っているのかと尋ねると、「いつも雅治から貴女の話を聞いているから」とにっこり微笑まれた。(やっぱりアイツか…!一体どんな風に私のことを話してるんだか…)
「ここが雅治の部屋よ。もう熱も無く寝てるだけだから、そろそろ起きてくると思うわ。起きなかったら引っ叩いてもいいわよ」
「はあ…」
笑顔で物騒なことを言う仁王母に苦笑いを浮かべるしか出来なかった。流石の私も病み上がりのヤツにそこまでしない。
そして、用意されたケーキと紅茶をテーブルに置き、私は仁王の部屋をザッと見回した。きちんと片付けられたシンプルだが趣味の良い部屋だった。
次いでベッドの上でスヤスヤ寝ている仁王に視線を落とす。女の子顔負けの綺麗な寝顔。…思わずその頬に手を伸ばした。
「…ぷっ。変な顔」
ムニッと両頬を伸ばすと綺麗な顔が面白く歪んだ。
「…早く起きないと帰るぞ」
聞こえないと分かっているが、思わずそう呟くと「うーん…」と仁王が唸った。
「………愛子、ちゃ…」
「…っ!?」
「…それ以上はダメ…じゃ、よ」
名前を呼ばれてドキッとしたが、目は閉じられたままだった。
謎めいた寝言に「どんな夢みてんだよ!」と叩き起こしたくなった気持ちを自制する。
「…愛子ちゃ…ん」
「…何よ」
「…すき、じゃ…」
「っ!!」
「やき…にく…」
「……、なんじゃそりゃ…っ」
続けられた言葉に拍子抜けする。再び規則正しい呼吸も聞こえ出し、無意識に強張った肩の力が抜けた。
「……バーカ」
思わず悪態をついてみるが、上がる口角に気付かないほど私は鈍感ではない。
「…私にこんな顔をさせられるのなんてアンタくらいだよ」
なんか癪だから絶対に仁王の間抜け面でも見てから帰ろう。
私はベッドから離れ、用意されたケーキに手をつけたのだった。
ーーーー…
仁王は目を覚ました途端「ピ、ピヨォォオオっ!?これも夢なんかぁーっ!?」と絶叫し、掛け布団を口元まで手繰り寄せると顔を真っ赤にさせていた。(きっとそれは熱のせいではないだろう)
期待通りの反応を見せてくれた仁王に満足した私は幸村から預かった資料をちゃんと手渡し、「任務完了。また明日ね」と惚けたままの彼を残してさっさと部屋から出て行ったのだ。
ーーその夜「…今日はすまんかった。…あ、ありがとうナリ」と仁王から電話が掛かってきた。
すぐに切るのは惜しいと思った私は、つい「今日さぁ…」と今朝の出来事を話し出す。直ぐに切るつもりだったのに…、どうやら一日仁王と話せなかっただけで物足りなさを感じるようになっていたらしい。
そして電話の最後に仁王が言った「明日は学校行くぜよ」という言葉を聞き、思わず口角が上った。
またいつも通りの日常が戻ってくるー…。
まだまだ暑い日が続いているが、暦上では秋となる九月。新学期が始まり、暫く経ったある日ー…珍しく朝早くに仁王からメールが届いた。
【熱が出てしもうた。今日は学校休むナリ(*_*)】
初めての出来事に、アイツも熱なんて出すんだな…なんて思わず感心してしまった。【お大事に】と返信をして、私は学校へと向かったのだった。
ーーーー…
今日は静かに平和な一日を迎えられると思ったが、甘かった…。私のクラスにはコイツがいた。
「仁王、熱が出たんだってね」
「…みたいだね」
「今日どうしても渡さないといけない部活の資料があるんだよな」
「へぇー…」
「先輩達が引退した今、新しく部長となった俺が部活を休むなんて…出来るはずもない」
「大変そうですね」
「そうなんだよ。だから、俺の代わりに如月さん、仁王の家に届けてくれないかい?」
「い・や。…丸井にでも頼めば?アイツなら部活サボれるって喜びそうじゃん」
「あんなんでもブン太はウチの正式なレギュラーだ。休ませるわけにはいかないよ。ちなみに、柳生もジャッカルもレギュラーになったからね」
「ファックスしてやったら」
「仁王の家、固定電話ないんだよね」
如月さん、どうせ暇でしょ。と笑う幸村を殴りたくなった。確かに今日は部活もなく暇ですけど…!
仁王のことは心配だが、正直面倒くさい。だってポストに入れるだけなら誰にだって出来る。
「ちなみに、仁王家にはポストもないから直接渡してね」
どんな家だよ…っ!と盛大にツッコんでおいた。
こうして、魔王様に口で勝てる筈もなく…「この間日直の仕事忘れただろ?代わりに俺がやったんだけどな」とトドメを刺された私は、仕方なく仁王の家に届け物をするはめになった。
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ー…
学校から数十分、バスを降りて紙に書かれた住所を見ながら住宅街を歩く。
そして、【仁王】という表札を見つけた。仁王なんて名字はそうそうないから、ここで合っている筈。
「……げっ。本当にポストないし」
新聞とかどうしてんだよ…。と内心で訝しんでいると、背後から「あら」と言う声が聞こえた。
「立海大の制服…。家に何か御用?」
「あ…、どうも。仁王…、雅治君に届け物をしに来ました」
「わざわざありがとう。……貴女もしかして愛子ちゃん?」
「え?は、はい…。そうですが…」
「やっぱり!是非、上がっていってちょうだい!」
「えっ!?ちょっ…!」
仁王の母親らしき人(綺麗な人だな)に、ぐいぐい腕を引かれて強引に家の中へ押し込まれる。
どうして私のことを知っているのかと尋ねると、「いつも雅治から貴女の話を聞いているから」とにっこり微笑まれた。(やっぱりアイツか…!一体どんな風に私のことを話してるんだか…)
「ここが雅治の部屋よ。もう熱も無く寝てるだけだから、そろそろ起きてくると思うわ。起きなかったら引っ叩いてもいいわよ」
「はあ…」
笑顔で物騒なことを言う仁王母に苦笑いを浮かべるしか出来なかった。流石の私も病み上がりのヤツにそこまでしない。
そして、用意されたケーキと紅茶をテーブルに置き、私は仁王の部屋をザッと見回した。きちんと片付けられたシンプルだが趣味の良い部屋だった。
次いでベッドの上でスヤスヤ寝ている仁王に視線を落とす。女の子顔負けの綺麗な寝顔。…思わずその頬に手を伸ばした。
「…ぷっ。変な顔」
ムニッと両頬を伸ばすと綺麗な顔が面白く歪んだ。
「…早く起きないと帰るぞ」
聞こえないと分かっているが、思わずそう呟くと「うーん…」と仁王が唸った。
「………愛子、ちゃ…」
「…っ!?」
「…それ以上はダメ…じゃ、よ」
名前を呼ばれてドキッとしたが、目は閉じられたままだった。
謎めいた寝言に「どんな夢みてんだよ!」と叩き起こしたくなった気持ちを自制する。
「…愛子ちゃ…ん」
「…何よ」
「…すき、じゃ…」
「っ!!」
「やき…にく…」
「……、なんじゃそりゃ…っ」
続けられた言葉に拍子抜けする。再び規則正しい呼吸も聞こえ出し、無意識に強張った肩の力が抜けた。
「……バーカ」
思わず悪態をついてみるが、上がる口角に気付かないほど私は鈍感ではない。
「…私にこんな顔をさせられるのなんてアンタくらいだよ」
なんか癪だから絶対に仁王の間抜け面でも見てから帰ろう。
私はベッドから離れ、用意されたケーキに手をつけたのだった。
ーーーー…
仁王は目を覚ました途端「ピ、ピヨォォオオっ!?これも夢なんかぁーっ!?」と絶叫し、掛け布団を口元まで手繰り寄せると顔を真っ赤にさせていた。(きっとそれは熱のせいではないだろう)
期待通りの反応を見せてくれた仁王に満足した私は幸村から預かった資料をちゃんと手渡し、「任務完了。また明日ね」と惚けたままの彼を残してさっさと部屋から出て行ったのだ。
ーーその夜「…今日はすまんかった。…あ、ありがとうナリ」と仁王から電話が掛かってきた。
すぐに切るのは惜しいと思った私は、つい「今日さぁ…」と今朝の出来事を話し出す。直ぐに切るつもりだったのに…、どうやら一日仁王と話せなかっただけで物足りなさを感じるようになっていたらしい。
そして電話の最後に仁王が言った「明日は学校行くぜよ」という言葉を聞き、思わず口角が上った。
またいつも通りの日常が戻ってくるー…。