ー友達編2ー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
キミとの付き合い方
桜はほぼ散ってしまった今日この頃。私は二年生へと進級した。
クラス掲示を見て「愛子ちゃんと一緒のクラスになれんかったー!!」と泣き喚く仁王は記憶に新しい。周りの目が痛かった…。
てか、こんだけクラスがあれば同じになれる確率はめっちゃ低いから。期待するだけ無駄だよ。
しかし、嬉しいことに仲の良い友人達は奇跡的に同じクラスだった。やったー!と思った矢先、ある名前を見つけて思わず「げっ」と呟いてしまったのであったー…。
ーーーー…
「如月さん、おはよう」
「…おはよー」
隣の席に座る幸村に軽く挨拶をする。そう、まさかこの男と同じクラスになるとは…。
正直他のテニス部とはあまり関わりたくなかった。この挨拶も本当は無視したいところだが、そんなことしようもんなら私は明日から朝日を拝めないであろう。
「流石にそこまで酷い事はしないよ」
「…………」
心の声を読むのやめてもらってもいいですかね?
「如月さんって案外分かりやすいよね。思ってること全部顔に出るタイプでしょ?」
「…どうなんでしょうかね」
「それなら一つ当ててあげようか。仁王と仲良くしたいけどこれ以上関係が深まることを恐れているだろ。アイツが来ると二人の距離感を考えあぐねる顔をしているよ」
「…さぁ。どうだろうね」
「本当は気付いてるくせに」
「幸村が何を言っているのか全然分からない」
白々しく惚けてみると幸村は「ふーん」と意味深な笑みを浮かべた。
たかが一週間程で最近私が抱いている危惧に気付くとは…なんて恐ろしい男だ。
「最近「愛子ちゃんが元気ない気がする…。話しかけても上の空なんじゃ」って部室で仁王が煩いんだ」
「だから?」
「優しい俺がその理由を聞いてやろうかと思ってね」
どの口が言うか。分かってて私に喋らせようとしてんな…!幸村君はまるで天使のようだ…なんて言ってた友人よ、早く目を覚ませ。
「遠慮しておきます」
「言っておくけど、仁王が如月さんを好きだって事は誰が見ても分かるよ」
「(コイツ…言いやがった!)…でも、本人に言われてないから」
薄々気付いていた。私は鈍感でも天然でもないから。
でも、それは自分の勘違いだって思うようにしてたのに…。それなのに、仁王の友人?からアッサリと告げられるなんて…。
「本人に直接言われてないのなら、思い悩む必要はないんじゃないかな」
「……そうだけど。でも私は仁王に特別な感情はないから…変な期待をさせたくない」
友達としては好きだけど、そういう好きではない。
思いに応えられないのに一緒にいていいのかと思ってしまう。初めて胸が痛んだのだった。
「それは仁王も分かってることだよ。だから如月さんが気にしなくても良いんだよ」
「……でも、」
「如月さんって案外優しいだね」
「なっ、」
「仁王のためとかじゃなく、自分がどうしたいのかを考えてみなよ。ちなみに仁王は純粋に如月さんと仲良くしたいだけだよ」
押し黙る私にそれ以上幸村は何も言わなかった。
チラッと時計を見てあともう少しでチャイムが鳴る、と思ったその時、少し息を切らした仁王がやって来たのだった。
「愛子ちゃん…!おはよう!」
「おはよう……。って、もう授業始まるけど」
「これ!愛子ちゃんにあげるぜよ!」
仁王はにっこり笑って私の机の上に何かを置いた。
「……何これ?」
緑の小さな葉っぱを摘む。思わず怪訝な顔をしてしまった。
「よく見てみんしゃい!」
「………これ、四葉のクローバー…?」
「そうじゃよ!たまたま今朝見つけたんじゃ!」
ああ。きっとたまたまじゃない。多分これは、仁王なりの私への気遣いだ。
「…少しは元気出たか?」
私は四葉のクローバーを見て、それから仁王を見た。
……なんか、変なことを考えていたのが馬鹿らしくなってきた。
幸村の言う通り仁王は【友達】として純粋に私を心配してくれていたのだ。その気持ちを踏み躙るところだった。
余計なことを考えるのはもうやめよう。私もこの奇妙な【友達】関係を続けたいと思っているのだから。
最初は鬱陶しくて仕方がなかったが、今は仁王の隣が居心地が良い。悔しいけど認めてやる。
「…ありがとう」
お互いに変化を望んでいないのなら、無理に縁を切る必要もない。いつも通りの関係でいればいい。
「どういたしまして」
嬉しそうに目を細めた仁王を見て思わず私の表情も緩んだ。
「…やっと笑ってくれてぜよ」
「仁王、良かったね。如月さんの悩みはこれのお陰で無くなったようだよ」
「…はあ。幸村って案外お節介なんだね」
面倒なヤツと同じクラスになったもんだ…。
「ほら、仁王。そろそろ戻んなよ」
「愛子ちゃん、また後でのう」
「うん。また後で」
深く考えるのは性に合わない。私は正直に生きるのが私らしい。
…また仁王にクッキーでも焼いてやるかな。
桜はほぼ散ってしまった今日この頃。私は二年生へと進級した。
クラス掲示を見て「愛子ちゃんと一緒のクラスになれんかったー!!」と泣き喚く仁王は記憶に新しい。周りの目が痛かった…。
てか、こんだけクラスがあれば同じになれる確率はめっちゃ低いから。期待するだけ無駄だよ。
しかし、嬉しいことに仲の良い友人達は奇跡的に同じクラスだった。やったー!と思った矢先、ある名前を見つけて思わず「げっ」と呟いてしまったのであったー…。
ーーーー…
「如月さん、おはよう」
「…おはよー」
隣の席に座る幸村に軽く挨拶をする。そう、まさかこの男と同じクラスになるとは…。
正直他のテニス部とはあまり関わりたくなかった。この挨拶も本当は無視したいところだが、そんなことしようもんなら私は明日から朝日を拝めないであろう。
「流石にそこまで酷い事はしないよ」
「…………」
心の声を読むのやめてもらってもいいですかね?
「如月さんって案外分かりやすいよね。思ってること全部顔に出るタイプでしょ?」
「…どうなんでしょうかね」
「それなら一つ当ててあげようか。仁王と仲良くしたいけどこれ以上関係が深まることを恐れているだろ。アイツが来ると二人の距離感を考えあぐねる顔をしているよ」
「…さぁ。どうだろうね」
「本当は気付いてるくせに」
「幸村が何を言っているのか全然分からない」
白々しく惚けてみると幸村は「ふーん」と意味深な笑みを浮かべた。
たかが一週間程で最近私が抱いている危惧に気付くとは…なんて恐ろしい男だ。
「最近「愛子ちゃんが元気ない気がする…。話しかけても上の空なんじゃ」って部室で仁王が煩いんだ」
「だから?」
「優しい俺がその理由を聞いてやろうかと思ってね」
どの口が言うか。分かってて私に喋らせようとしてんな…!幸村君はまるで天使のようだ…なんて言ってた友人よ、早く目を覚ませ。
「遠慮しておきます」
「言っておくけど、仁王が如月さんを好きだって事は誰が見ても分かるよ」
「(コイツ…言いやがった!)…でも、本人に言われてないから」
薄々気付いていた。私は鈍感でも天然でもないから。
でも、それは自分の勘違いだって思うようにしてたのに…。それなのに、仁王の友人?からアッサリと告げられるなんて…。
「本人に直接言われてないのなら、思い悩む必要はないんじゃないかな」
「……そうだけど。でも私は仁王に特別な感情はないから…変な期待をさせたくない」
友達としては好きだけど、そういう好きではない。
思いに応えられないのに一緒にいていいのかと思ってしまう。初めて胸が痛んだのだった。
「それは仁王も分かってることだよ。だから如月さんが気にしなくても良いんだよ」
「……でも、」
「如月さんって案外優しいだね」
「なっ、」
「仁王のためとかじゃなく、自分がどうしたいのかを考えてみなよ。ちなみに仁王は純粋に如月さんと仲良くしたいだけだよ」
押し黙る私にそれ以上幸村は何も言わなかった。
チラッと時計を見てあともう少しでチャイムが鳴る、と思ったその時、少し息を切らした仁王がやって来たのだった。
「愛子ちゃん…!おはよう!」
「おはよう……。って、もう授業始まるけど」
「これ!愛子ちゃんにあげるぜよ!」
仁王はにっこり笑って私の机の上に何かを置いた。
「……何これ?」
緑の小さな葉っぱを摘む。思わず怪訝な顔をしてしまった。
「よく見てみんしゃい!」
「………これ、四葉のクローバー…?」
「そうじゃよ!たまたま今朝見つけたんじゃ!」
ああ。きっとたまたまじゃない。多分これは、仁王なりの私への気遣いだ。
「…少しは元気出たか?」
私は四葉のクローバーを見て、それから仁王を見た。
……なんか、変なことを考えていたのが馬鹿らしくなってきた。
幸村の言う通り仁王は【友達】として純粋に私を心配してくれていたのだ。その気持ちを踏み躙るところだった。
余計なことを考えるのはもうやめよう。私もこの奇妙な【友達】関係を続けたいと思っているのだから。
最初は鬱陶しくて仕方がなかったが、今は仁王の隣が居心地が良い。悔しいけど認めてやる。
「…ありがとう」
お互いに変化を望んでいないのなら、無理に縁を切る必要もない。いつも通りの関係でいればいい。
「どういたしまして」
嬉しそうに目を細めた仁王を見て思わず私の表情も緩んだ。
「…やっと笑ってくれてぜよ」
「仁王、良かったね。如月さんの悩みはこれのお陰で無くなったようだよ」
「…はあ。幸村って案外お節介なんだね」
面倒なヤツと同じクラスになったもんだ…。
「ほら、仁王。そろそろ戻んなよ」
「愛子ちゃん、また後でのう」
「うん。また後で」
深く考えるのは性に合わない。私は正直に生きるのが私らしい。
…また仁王にクッキーでも焼いてやるかな。