ー友達編ー
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キミと水族館に行きました2
昼時になり館内のフードコートで昼飯にする。
俺はボリュームたっぷりのハンバーガーセットで、愛子ちゃんはクリーム系のパスタを頼んだ。
「…やっぱり仁王も結構食べるんだ」
「ん?そうかのう」
「弁当少ないし線が細いから小食なのかなと思いきや、アンタも食べ盛りの男子なんだね」
「肉は好きじゃよ」
「野菜も食べないとバランス悪いよ。アンタ、仮にもスポーツマンなんだから」
「…ピヨ。愛子ちゃんの野菜マフィンがあれば十分じゃ」
「あんなんで足りるわけないでしょ。バカ」
野菜嫌いの俺の為に野菜の入ったマフィンを時々作ってくれる愛子ちゃん。
本人曰く、「野菜嫌いの人も美味しく食べられるかどうか、仁王は実験台だから」らしいが…、それでも嬉しいもんは嬉しいぜよ。
「クリームの味の方が濃くてこれならあんまし野菜の味分からないよ。食べてみなさい」
「えっ!!」
愛子ちゃんは今の今まで使っていたフォークに野菜を少し乗せると、あろうことか俺の口元付近にずいっと近づけて来た。
「ほら、食べてみなよ」
「(か、かか間接キスになるぜよ!!)え…いや…」
「いいから食べなさいって」
渋る俺に愛子ちゃんも意地になっているのか、眉間に眉を寄せながらグイグイとフォークを近づけてくる。
このまま愛子ちゃんの機嫌を損ねるより、嫌いな野菜を食べた方がマシぜよ!
し、仕方ないナリ…!と思い切って野菜の乗ったフォークにかぶりついた。
「んっ…」
「お利口さんでした」
間接キスと愛子ちゃんの微笑みに俺の頬は瞬時に真っ赤となる。嬉しくて踊り出したいような、恥ずかしくて穴があったら入りたいような…。複雑な心境じゃ。
勿論クリームのお陰ではなく、羞恥により野菜の味なんて分からなかった。
ーーーー…
「あともう少しでペンギンの餌やり始まるね」
「そろそろ移動しようかのう」
俺達はペンギンゾーンに向かって歩き出す。その時、ふいに愛子ちゃんが立ち止まった。
「どうしたんじゃ?」
「……あの子」
指差す方に視線を向けると、壁に寄り掛かって座り込む5歳くらいの男の子がいた。その顔は不安そうで今にも泣いてしまいそうじゃった。
愛子ちゃんがその男の子の方へ歩き出したので、俺も後をついていく。
「僕、大丈夫?ママやパパは?」
「そこのお魚さん見てたら……いなくなってた」
「迷子か…」
「僕、お名前は?」
「りょうすけ…」
「りょうすけくんね。もう大丈夫だよ。お姉さんがママとパパを探してあげる」
「ほんと!?」
「うん」
愛子ちゃんは優しい笑みを浮かべると男の子の頭を撫でた。
「い、いいんか…?最後のペンギンの餌やりじゃが…」
「困ってる子をほっとける訳ないでしょ。仁王見たかったら行ってきていいよ」
「いや…、俺もほっとけん。一緒に探しちゃる」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんありがとう!」
「とりあえず迷子センターに向かおう。もしかしたらご両親もそっちに向かってるかも知れないし」
「おん」
愛子ちゃんは男の子と手を繋ぐとペンギンゾーンとは反対方向に向かって歩き出した。
「りょーすけ君のママとパパはいませんかー?」
「ママー!パパー!」
愛子ちゃんは歩きながら大きな声で叫ぶ。暫くそうしていると、背後の方から「りょうすけ!!」という男性の声が響いた。
「パパ!!」
「全く、心配したぞ!!」
「ごめんなさい…」
「無事で良かった。……キミ達どうもありがとう」
「お姉ちゃんのお陰だよ!ありがとう!!」
「もうはぐれなさんなよ」
「じゃーね」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんバイバーイ!!」
父親と手を繋ぎながら手を振って去っていく男の子。親御さんが見つかって良かったぜよ。
「やはり愛子ちゃんはヒーローのようじゃな」
「それ恥ずかしいからやめてくれない?そんな大層なもんじゃないし、この年になってまでヒーローとかどうなの」
愛子ちゃんはそう思っていてもあの男の子もきっと俺と同じことを思っている筈。心優しく頼もしいヒーローのようじゃと。
愛子ちゃんは冷たいとか色々言われとるが、実際は躊躇することなく困った人を助けられる優しい女の子だ。そんな彼女の内面を知っていて、好きになった自分を誇らしいと思える。
「まさか目立つのが嫌いな愛子ちゃんが公衆の面前であんな大声出せるとはな…。普段なら絶対しないことも、困っている人の為なら平然とやってのけるところがますますカッコ良いぜよ!」
「おい、私の話し聞いてた?ヒーローから一旦離れろ」
ーー…こうして結局ペンギンの餌やりは見れんかったが、結果的にとても良い一日となった。
楽しかった時間は終わりを告げ、愛子ちゃんを家まで送ろうとしたが、真顔で「遠慮する」ときっぱり断られてしまい、仕方なく一人で家路につく。
その夜幸村から電話が来て「どうだった?」と言われたんで、今日の出来事を話し「愛子ちゃんに惚れなおしたぜよ」と言うと、「お前バカなの?逆だろ」と言われてしもうた。
た、確かに…!愛子ちゃんに意識してもらえるようなアピールを何もせんかった!!
…でも、幸村には悪いがとても楽しかったからそれでいい。
俺は無理矢理お揃いで買ったペンギンのシャーペンを握りしめて一人微笑んだのだった。
昼時になり館内のフードコートで昼飯にする。
俺はボリュームたっぷりのハンバーガーセットで、愛子ちゃんはクリーム系のパスタを頼んだ。
「…やっぱり仁王も結構食べるんだ」
「ん?そうかのう」
「弁当少ないし線が細いから小食なのかなと思いきや、アンタも食べ盛りの男子なんだね」
「肉は好きじゃよ」
「野菜も食べないとバランス悪いよ。アンタ、仮にもスポーツマンなんだから」
「…ピヨ。愛子ちゃんの野菜マフィンがあれば十分じゃ」
「あんなんで足りるわけないでしょ。バカ」
野菜嫌いの俺の為に野菜の入ったマフィンを時々作ってくれる愛子ちゃん。
本人曰く、「野菜嫌いの人も美味しく食べられるかどうか、仁王は実験台だから」らしいが…、それでも嬉しいもんは嬉しいぜよ。
「クリームの味の方が濃くてこれならあんまし野菜の味分からないよ。食べてみなさい」
「えっ!!」
愛子ちゃんは今の今まで使っていたフォークに野菜を少し乗せると、あろうことか俺の口元付近にずいっと近づけて来た。
「ほら、食べてみなよ」
「(か、かか間接キスになるぜよ!!)え…いや…」
「いいから食べなさいって」
渋る俺に愛子ちゃんも意地になっているのか、眉間に眉を寄せながらグイグイとフォークを近づけてくる。
このまま愛子ちゃんの機嫌を損ねるより、嫌いな野菜を食べた方がマシぜよ!
し、仕方ないナリ…!と思い切って野菜の乗ったフォークにかぶりついた。
「んっ…」
「お利口さんでした」
間接キスと愛子ちゃんの微笑みに俺の頬は瞬時に真っ赤となる。嬉しくて踊り出したいような、恥ずかしくて穴があったら入りたいような…。複雑な心境じゃ。
勿論クリームのお陰ではなく、羞恥により野菜の味なんて分からなかった。
ーーーー…
「あともう少しでペンギンの餌やり始まるね」
「そろそろ移動しようかのう」
俺達はペンギンゾーンに向かって歩き出す。その時、ふいに愛子ちゃんが立ち止まった。
「どうしたんじゃ?」
「……あの子」
指差す方に視線を向けると、壁に寄り掛かって座り込む5歳くらいの男の子がいた。その顔は不安そうで今にも泣いてしまいそうじゃった。
愛子ちゃんがその男の子の方へ歩き出したので、俺も後をついていく。
「僕、大丈夫?ママやパパは?」
「そこのお魚さん見てたら……いなくなってた」
「迷子か…」
「僕、お名前は?」
「りょうすけ…」
「りょうすけくんね。もう大丈夫だよ。お姉さんがママとパパを探してあげる」
「ほんと!?」
「うん」
愛子ちゃんは優しい笑みを浮かべると男の子の頭を撫でた。
「い、いいんか…?最後のペンギンの餌やりじゃが…」
「困ってる子をほっとける訳ないでしょ。仁王見たかったら行ってきていいよ」
「いや…、俺もほっとけん。一緒に探しちゃる」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんありがとう!」
「とりあえず迷子センターに向かおう。もしかしたらご両親もそっちに向かってるかも知れないし」
「おん」
愛子ちゃんは男の子と手を繋ぐとペンギンゾーンとは反対方向に向かって歩き出した。
「りょーすけ君のママとパパはいませんかー?」
「ママー!パパー!」
愛子ちゃんは歩きながら大きな声で叫ぶ。暫くそうしていると、背後の方から「りょうすけ!!」という男性の声が響いた。
「パパ!!」
「全く、心配したぞ!!」
「ごめんなさい…」
「無事で良かった。……キミ達どうもありがとう」
「お姉ちゃんのお陰だよ!ありがとう!!」
「もうはぐれなさんなよ」
「じゃーね」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんバイバーイ!!」
父親と手を繋ぎながら手を振って去っていく男の子。親御さんが見つかって良かったぜよ。
「やはり愛子ちゃんはヒーローのようじゃな」
「それ恥ずかしいからやめてくれない?そんな大層なもんじゃないし、この年になってまでヒーローとかどうなの」
愛子ちゃんはそう思っていてもあの男の子もきっと俺と同じことを思っている筈。心優しく頼もしいヒーローのようじゃと。
愛子ちゃんは冷たいとか色々言われとるが、実際は躊躇することなく困った人を助けられる優しい女の子だ。そんな彼女の内面を知っていて、好きになった自分を誇らしいと思える。
「まさか目立つのが嫌いな愛子ちゃんが公衆の面前であんな大声出せるとはな…。普段なら絶対しないことも、困っている人の為なら平然とやってのけるところがますますカッコ良いぜよ!」
「おい、私の話し聞いてた?ヒーローから一旦離れろ」
ーー…こうして結局ペンギンの餌やりは見れんかったが、結果的にとても良い一日となった。
楽しかった時間は終わりを告げ、愛子ちゃんを家まで送ろうとしたが、真顔で「遠慮する」ときっぱり断られてしまい、仕方なく一人で家路につく。
その夜幸村から電話が来て「どうだった?」と言われたんで、今日の出来事を話し「愛子ちゃんに惚れなおしたぜよ」と言うと、「お前バカなの?逆だろ」と言われてしもうた。
た、確かに…!愛子ちゃんに意識してもらえるようなアピールを何もせんかった!!
…でも、幸村には悪いがとても楽しかったからそれでいい。
俺は無理矢理お揃いで買ったペンギンのシャーペンを握りしめて一人微笑んだのだった。