ー友達編ー
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キミと喧しい仲間達
今日の部活内容は【アイスクリーム入りクレープ】だった。暑い夏にはぴったりなメニューだ。
友人達や先輩達と和やかに会話を楽しみながら作業をする。調理部は人数もそんなにいなく、皆んな普通で良い人達ばかりだから落ち着く。
思わずいつもよりも表情が緩んでしまうのが分かった。(自分でも人より表情の変化が乏しい事は自覚してます)
私はクレープの生地にアレンジでココアパウダーを混ぜる。泡立て器を動かしながらふと窓の方を見てみると、赤毛の男子が凄い顔となり窓にへばりついている姿が目に入り、思わずギョッとしてしまった。
すぐに茶色い腕が伸びてきてその男子は消えるも、よく見ると窓枠あたりで銀色の髪がふわふわ見え隠れしているではないか…。
あの銀髪は……アイツしかいない。
「……何してるんでしょうか?」
ガラリと窓を開け放ち、下にいる鼠達に冷たい眼差しを送る。やはりその中に仁王はいた。
世界の終わりのような顔をしている彼と目が合う。
「…愛、愛、愛子ちゃ…」
「アンタこんなところで何してんの?」
「やあ。初めまして如月さん」
「はあ…」
急に立ち上がってにこりと笑った女のような男のような奴を見て誰だコイツと思っていると、背後から「きゃぁー!!幸村君!?」という黄色い声が響いた。
「それで、皆さんお揃いで何してるんでしょうか?」
「君を見かけた仁王が如月さんに挨拶をしたいって言うから俺達も着いてきたんだ」
「ピ、ピヨッ!?!そ、そんなこと…俺…言って、」
「でも調理室に入るのは仁王が恥ずかしがるし、それに部活の邪魔をしたらいけないかなと思ってちょっと窓から様子を見させてもらっていたんだ。驚かせて悪かったね。すぐに帰るよ」
「ふぅん…。まあ、なんでも良いですけど、せっかく来たのなら中に入ったらどうですか?外暑いし」
「え?いいのかい?」
「…良かったら冷たいアイスクリームでも食べて行って下さい」
「やったー!!!お前、仁王が言ってた通り本当は良い奴なんだな!!」
本当はこんな厄介な奴ら追い払いたかったが、そんなことしたら後で友人達や先輩達に何を言われるか分かったもんじゃない。(だって背中にめちゃくちゃ凄い視線を感じた)
先程の赤髪が「性格キツいとか言って悪かったな!」と言っているが、人の知らないところで言った事をわざわざバラすなんて、馬鹿な奴だ。
顔が悪けりゃあ女子に好かれないタイプだなコイツ。デリカシーなさそうだし。
…こうして中に入れたはいいけど、作業をする皆んなから少し離れたテーブルに座る連中達はやはりここでは浮いて見えた。
イケメンとか興味ない私だけど、奴らの顔が無駄に整っているのは分かる。味気の無い調理室にいるとあそこだけ輝いて見えるから不思議だ。
そんな彼らを我が調理部の皆さんは頬を赤らめながら遠巻きに見ている。(皆んな常識のある普通の人達で良かった)
私はと言うと、部長から「テニス部の彼らにウチの部のエースである貴女が作ってあげなさい!」と言われたので仕方なくクレープを作っていた。(アイスだけでいいじゃん…とは恐ろしくて言えなかった)
「如月さん手際がいいね。仁王」
「…おん」
「良いお嫁さんになりそうだよね。ね、仁王」
「……プリ」
「ほら、仁王!如月さんがこっち見てるよ」
「………… ピヨ」
なんか幸村とか言う人いちいち煩いな。そして何故仁王はあんなに小さくなって肩をすぼめてるんだ?
なんて思っていると幸村と目が合い、一瞬背筋が冷たくなった。…うん、あの人は敵に回さない方が賢明だな。
赤毛は相変わらず落ち着きないし、隣にいる茶色い卵のような人が必死に押さえている。眼鏡の人はまるで小さい子の母親かってくらい優しく仁王を慰めていて、糸目の人は凄い勢いで何やらノートに書き込んでいる。
……テニス部って変な奴らの集まりなのかな?
そんなことを考えながらも手の動きは止まらず、カットしたフルーツと事前に作っていた生クリームとアイスクリームを生地の上にバランス良く乗せ、綺麗に包む。(意外とこれが難しいんだよね)
「出来ましたよ〜」
そして、出来上がったクレープを皿に乗せてテニス部の元へ運んだ。
「ありがとう」
「すまないな」
「いえいえー。溶けないうちにどうぞ」
微笑もなく抑揚のない声で愛想の無い対応だったと思う。だけどこの人達にはそれで良かったのか、にこやかに笑い返された。
「うっまー!!」
「とても上手に包まれてて美味しいですね」
「ココア味の生地がまたいいな」
とりあえずクレープは好評みたいで良かった。
しかし、仁王だけはまだ俯いていて手をつけようとしない。
「仁王、アイス溶けちゃうよ」
「………っか」
「何だって?」
「……怒ってなか?」
よく聞こえず少し顔を近づけると、か細い声が耳に入った。……前にも同じような台詞聞いたな。
「なんで怒るのさ」
「…急に押しかけて…迷惑じゃろ?」
「確かに何だとは思ったけど、今更でしょ。アンタが私に迷惑かけんのは」
一人だけ私を気遣う彼がなんだかおかしくて、思わずフッと笑ってしまった。何となく頭を撫でてやると、仁王は涙目のまま恐る恐る私を見上げたのだった。
そして私の表情を見てようやく安心したのか、へらっと間の抜けた笑みを浮かべた。
「ほら、仁王も食べなよ。暑い中での部活、お疲れ様」
「おん!愛子ちゃん…ありがとうナリ」
厄介なことになったと思ったけど、美味しそうに食べてくれる人達を見るのは悪い気はしなかった。
今日の部活内容は【アイスクリーム入りクレープ】だった。暑い夏にはぴったりなメニューだ。
友人達や先輩達と和やかに会話を楽しみながら作業をする。調理部は人数もそんなにいなく、皆んな普通で良い人達ばかりだから落ち着く。
思わずいつもよりも表情が緩んでしまうのが分かった。(自分でも人より表情の変化が乏しい事は自覚してます)
私はクレープの生地にアレンジでココアパウダーを混ぜる。泡立て器を動かしながらふと窓の方を見てみると、赤毛の男子が凄い顔となり窓にへばりついている姿が目に入り、思わずギョッとしてしまった。
すぐに茶色い腕が伸びてきてその男子は消えるも、よく見ると窓枠あたりで銀色の髪がふわふわ見え隠れしているではないか…。
あの銀髪は……アイツしかいない。
「……何してるんでしょうか?」
ガラリと窓を開け放ち、下にいる鼠達に冷たい眼差しを送る。やはりその中に仁王はいた。
世界の終わりのような顔をしている彼と目が合う。
「…愛、愛、愛子ちゃ…」
「アンタこんなところで何してんの?」
「やあ。初めまして如月さん」
「はあ…」
急に立ち上がってにこりと笑った女のような男のような奴を見て誰だコイツと思っていると、背後から「きゃぁー!!幸村君!?」という黄色い声が響いた。
「それで、皆さんお揃いで何してるんでしょうか?」
「君を見かけた仁王が如月さんに挨拶をしたいって言うから俺達も着いてきたんだ」
「ピ、ピヨッ!?!そ、そんなこと…俺…言って、」
「でも調理室に入るのは仁王が恥ずかしがるし、それに部活の邪魔をしたらいけないかなと思ってちょっと窓から様子を見させてもらっていたんだ。驚かせて悪かったね。すぐに帰るよ」
「ふぅん…。まあ、なんでも良いですけど、せっかく来たのなら中に入ったらどうですか?外暑いし」
「え?いいのかい?」
「…良かったら冷たいアイスクリームでも食べて行って下さい」
「やったー!!!お前、仁王が言ってた通り本当は良い奴なんだな!!」
本当はこんな厄介な奴ら追い払いたかったが、そんなことしたら後で友人達や先輩達に何を言われるか分かったもんじゃない。(だって背中にめちゃくちゃ凄い視線を感じた)
先程の赤髪が「性格キツいとか言って悪かったな!」と言っているが、人の知らないところで言った事をわざわざバラすなんて、馬鹿な奴だ。
顔が悪けりゃあ女子に好かれないタイプだなコイツ。デリカシーなさそうだし。
…こうして中に入れたはいいけど、作業をする皆んなから少し離れたテーブルに座る連中達はやはりここでは浮いて見えた。
イケメンとか興味ない私だけど、奴らの顔が無駄に整っているのは分かる。味気の無い調理室にいるとあそこだけ輝いて見えるから不思議だ。
そんな彼らを我が調理部の皆さんは頬を赤らめながら遠巻きに見ている。(皆んな常識のある普通の人達で良かった)
私はと言うと、部長から「テニス部の彼らにウチの部のエースである貴女が作ってあげなさい!」と言われたので仕方なくクレープを作っていた。(アイスだけでいいじゃん…とは恐ろしくて言えなかった)
「如月さん手際がいいね。仁王」
「…おん」
「良いお嫁さんになりそうだよね。ね、仁王」
「……プリ」
「ほら、仁王!如月さんがこっち見てるよ」
「………… ピヨ」
なんか幸村とか言う人いちいち煩いな。そして何故仁王はあんなに小さくなって肩をすぼめてるんだ?
なんて思っていると幸村と目が合い、一瞬背筋が冷たくなった。…うん、あの人は敵に回さない方が賢明だな。
赤毛は相変わらず落ち着きないし、隣にいる茶色い卵のような人が必死に押さえている。眼鏡の人はまるで小さい子の母親かってくらい優しく仁王を慰めていて、糸目の人は凄い勢いで何やらノートに書き込んでいる。
……テニス部って変な奴らの集まりなのかな?
そんなことを考えながらも手の動きは止まらず、カットしたフルーツと事前に作っていた生クリームとアイスクリームを生地の上にバランス良く乗せ、綺麗に包む。(意外とこれが難しいんだよね)
「出来ましたよ〜」
そして、出来上がったクレープを皿に乗せてテニス部の元へ運んだ。
「ありがとう」
「すまないな」
「いえいえー。溶けないうちにどうぞ」
微笑もなく抑揚のない声で愛想の無い対応だったと思う。だけどこの人達にはそれで良かったのか、にこやかに笑い返された。
「うっまー!!」
「とても上手に包まれてて美味しいですね」
「ココア味の生地がまたいいな」
とりあえずクレープは好評みたいで良かった。
しかし、仁王だけはまだ俯いていて手をつけようとしない。
「仁王、アイス溶けちゃうよ」
「………っか」
「何だって?」
「……怒ってなか?」
よく聞こえず少し顔を近づけると、か細い声が耳に入った。……前にも同じような台詞聞いたな。
「なんで怒るのさ」
「…急に押しかけて…迷惑じゃろ?」
「確かに何だとは思ったけど、今更でしょ。アンタが私に迷惑かけんのは」
一人だけ私を気遣う彼がなんだかおかしくて、思わずフッと笑ってしまった。何となく頭を撫でてやると、仁王は涙目のまま恐る恐る私を見上げたのだった。
そして私の表情を見てようやく安心したのか、へらっと間の抜けた笑みを浮かべた。
「ほら、仁王も食べなよ。暑い中での部活、お疲れ様」
「おん!愛子ちゃん…ありがとうナリ」
厄介なことになったと思ったけど、美味しそうに食べてくれる人達を見るのは悪い気はしなかった。