初めての…
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「「「「サボ五回目の誕生日おめでとう!!」」」」
「おう!!みんなありがとうな!!」
おれが革命軍に身を置いてから5年が過ぎた。
記憶がない為もちろん誕生日なんて知りもしないが、ルビーが「そんなの寂しすぎる!」と言っておれの誕生日を作ってくれたのだ。
「サボ!楽しんでる?」
「ああ、スッゲェー楽しい!!」
「良かった!」
沢山の料理に楽しげな音楽、これだけの仲間達がおれのことを笑顔で祝ってくれて楽しくないわけが無い。
「まだまだお肉は沢山あるし、サボの大好きなラーメンも作ってもらったからね!」
「やったぁ!!」
笑顔でおれの好物ばかり取り分けてくれるルビー。
大好きな彼女の隣で腹一杯食べられておれは幸せだった。
「おう!サボ!お前も多分15、6だろォ?せっかくなら呑んだらどうだぁあ?」
幸せに浸っている所に酒臭ェヤツがやって来て思わず鼻を摘んでしまった。
「…いや遠慮しておくよ。あっちで楽しんでこいって」
「なんだよォオ〜冷たいヤツだなー!!なぁルビー?」
「サボ!それ綺麗で美味しそうだよ!」
「お!流石ルビーだァ〜分かってるな!これはカクテルってヤツらしい。さっきコックに貰ったんだが、おりゃこんなので満足なんて出来ねェからお前にやるよ!」
「わーい!ありがとう!」
「あっ!おい!ルビーっ!!」
あろうことかルビーに酒が手渡され、止めようとするよりも早く酒を飲んでしまった。
「……うぇ〜。全然美味しくない…」
「ワッハッハっ!!まだまだお子ちゃまだな〜」
「ルビーに何しやがるんだ!!」
「サボが怒ったぞォオ〜!!ワッハッハ!!」
笑いながら逃げて行ったヤツは放っておき、おれは苦い顔をするルビーに慌てて水を飲ます。
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ〜。それよりあのジュース全然美味しくなかった…」
「あれはジュースじゃなくて酒だよ!ルビー初めて飲んだんじゃないか?」
「そうかも!ふふ!!」
「…何だよ?」
「サボが二人いる!!…あれ〜??なんか頭がぐるぐるぐるして…きたぁ……」
「ルビーっ!?」
ルビーはヘラヘラ笑いながら目を回したように体を揺らすと、カウンターのイスから後ろにひっくり返ったのだった。
ーー…
完全に伸びてしまったルビーを横抱きに抱いてとても静かな廊下を歩く。
「う〜ん…サボぉぉ…」
「ったく…あのヤロー覚えてろよ」
ぐったりしたルビーの状態に酒を飲ました男への悪態を吐きながら階段を登り、ようやく彼女の部屋に着くとベッドの上にそっと寝転がした。
「はぁ…せっかくの誕生日だったのにな」
宴はまだまだ遅くまで行われるが、ルビーがいないとなると戻る気になれなかった。
だが流石にこのまま女の子の部屋に居座るのは居た堪れない。
仕方がないのでダイニングに戻ろうと踵を返したその時、くいっと腕を引かれた。
振り返ると虚ろな目をしたルビーがおれの腕を掴んでいた。
「ルビー…目が覚めたのか」
「サボぉ…」
「どうした?気持ち悪いか?」
「………」
おれの問いかけには答えず無言で手招きをするルビー。
とりあえず指示されるがままベッドに腰掛けると、ルビーはへらりと笑っておれに膝の上に跨ってきたのだった。
向かい合う体勢で、至近距離で見つめ合う状況にボッと頬から蒸気が上がりそうになる。
「な、な、ルビー!?」
「ふふふ〜ん。サボぉ…ぎゅ〜」
そのまま正面から抱きしめられ、胸の感触が伝わり鼻血が出そうだった。
「あ、あの…ルビーさん?」
「なぁに〜?」
「(ー…っく!!)…頼むから降りて…」
「んー、やだぁ〜」
笑顔でさらに抱きついてくるルビーにおれは色々と限界だった。
無理矢理引き離そうと思った瞬間、ルビーは「あっ!」と声を上げて上半身を離した。
「プレゼント…!置いてきたぁ!」
「明日で大丈夫だから今日はもう寝ろ」
「やだぁ!サボの誕生日が終わっちゃう!…そうだ」
ルビーは何かを閃いたようににっこり笑うと、おれの頬を両手で包み込んだ。
そしてスッと目を閉じると、チュッと可愛らしい音を鳴らして啄むようにおれの唇に吸い付いたのだ。
「小さい頃よくママがしてくれてたのぉ。大好きな人にはちゅうの贈り物をするんだよ。だからサボにもあげる」
そう言ってもう一度口付けてきたルビー。
呆然としたまま反応が出来ずに固まっていると、彼女の頭はおれの肩に預けられすぐにすぅすぅと気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。
ルビーを起こさないようゆっくりベッドに寝かせて静かに部屋を出る。
パタンとドアを閉めた途端、力が抜けてその場にしゃがみ込んだのだった。
「〜…ッ、ルビーのバカヤロー…」
明日からどんな顔をして彼女に会えばいいのか…。
初めての口付けをルビーに奪われたおれは、あの柔らかな感触を忘れられず悶々とした夜を過ごす羽目となった。
ーーー
ーー
ー…
「あ!サボー、おはよー!」
「っ!!……ルビー、昨日は…」
「そうそう!なんで私いつの間にベッドで寝てたんだろうね。変なジュースを飲んでからどうなったのか全く覚えてないの!」
「へっ」
「サボが運んでくれたの?」
「…ルビーの部屋で何があったのかも覚えてないのか?」
「ん?なんかあったの?」
「ー…っ!!…ルビーの大バカヤロー!!」
end