1.5
夢小説設定
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「受けたダメージがひでぇな。目覚めるまでもうしばらくかかりそうだ」
「……そっかぁ」
「ところでルビー。顔が赤ェが大丈夫か?同じ年頃のヤツが心配なのは分かんが無理するなよ。オレがドラゴンさんにどやされる」
「っ!!…だ、大丈夫だから私はもう少しこの子の側にいる…」
「そうかい。またなんかあったら呼んでくれなァ」
「うん」
カーテンを閉めて出て行った船医に何故かホッとしてしまった。
私は再び意識を失ってしまった男の子に視線を戻す。
苦しそうに歪められている顔を見て私まで苦しくなってきそうだった。
「……ねぇ。負けないで」
無意識に彼の手を優しく握りしめて思わず呟いた。
彼が目を覚ましたら聞きたいことがある。
ーーきれいなかみだ
あの言葉を思い出すと何故だか頬がまた熱くなり、不思議といつもより心臓の音が鮮明に聞こてきた。
男の子の言葉と薄っすら浮かべてくれたあの笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。
「…聞き間違え…じゃないよね?」
今まで虐げられることの多かったこの髪を【綺麗】なんて言ってくれる同じ年頃の男の子は初めてだった。
初対面の人は奇妙な目で見るか、気味悪がる人の方が多いのに、この子は私と普通に話をしてくれた。
「……キミともっと話したい」
早く目を覚まして欲しいな。
友達になれるかな。
でも不安。
けれどこの子なら…。
色々な感情が渦巻き、胸が高鳴る。
ーーこんな不思議な気持ちになるのは初めてだ。
するとカーテンの外から再び船医に声をかけられた。
「ルビー、イワさんがお前を探しているぞ」
「…ちぇ。今行くよ」
離れがたい気持ちを抑えてそう返事をした私は自分でもどうしてそんなことをしたのか分からないけれど、男の子の額にそっと口付けを落とした。
ー…すぐにカーテンの外へと出て行った私は、男の子が微かに微笑んだことには気づかなかった。
end
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