全年齢

11/21(土)
英会話の塾に入った。学校の連中もいれば近隣の学校の人間もいた。個別レッスンだから関係ないけど。
初めて英語を外人と話した。自分の紹介をする授業だったけれど、日本語でも難しいことをほかの言語でいえるわけがないと思った。けど海外へ行くために頑張りたい。


Can we dance / the vamps
学校の二年のバンドが練習していたのを聞いた。来週の文化祭で披露するらしい。キャッチーで軽快なコーラスが走る。これを作ったのはブルーノマーズだってすぐわかった。あいつは作る曲も歌う曲もセンスがある。
おれの才能にはかなわないけど。


11/25(水)
今日は自分でお弁当を作った。ママが最近、仕事で忙しそうだから。
最近、栄養学の勉強をしている。モデルとして、自分の身体をメンテするのは当然。
それに、意外に料理をする時間が嫌いじゃない。これからは、自分で作ろうと思った。


Shame / Kieth Urban
夢ノ咲駅の正面の床屋で流れてた。長くなった髪を切りに行った。
耳の後ろをかするはさみの音にリズムを感じた。
完璧じゃないし特別じゃない、僕は天使じゃない。
おれは特別で、完璧で天使だから理解できないけど。


11/29(日)
放課後、海まで歩いた。
おじさんが、はつらつと知らない曲を歌ってた。
何の曲だったんだろう。


Lucky Star / Goo Goo Dolls
夏だな。気が付いたら家から三駅先まで来てた。せっかくだからそのまま海に足を延ばした。
iPodから流れてきた。夏だな。冬だけど。


12/8(火)
世界史の授業でテンプル騎士団について学んだ。
先生が淡々と、想像もつかない年代のことを話していたけど、彼らは一体何を守っていたんだろう。貫いた騎士道ってなんだったんだろう、とふと思ってしまった。


If I had you / Adam Lambert
街頭広告のBGMで流れていた。
強烈なラブソングだな。君さえいてくれれば人生はパーティだ!って。
おれにはない種類の曲。どうやったらこんな曲を思いつく?
どうやったらとめどなく音楽が溢れてくる?


12/14 (月)
毎日寒い。雪こそ降らないけど、本格的に冬だ。
今日、西部劇で有名な俳優が一人、老衰で死んだとニュースがあった。彼が主演の作品を子供のころにパパと見たことがある。
子供ながらになんて演技のうまい、存在感のある俳優だと思った印象がある。
彼は死んだが、彼の作品は永遠に残るのだろう。RIP


Youngblood / Green day
ギター屋に行った。
たまにはアナログ作曲もしたくなり、アコギでも買おうかと思ったんだ。
ロックなんかもいいかなとちょっと思った。


12/25(金)
クリスマスだ。
Aと放課後、街に買い物に行った。デートだったのかもしれない。


Arma-Goddamn-Motherfucking-Geddon / Marilyn Manson
マンソンは優秀なアーティストだと思う。みんなあのサイコな見た目やパフォーマンスに騙されているけれど、あの自己プロデュース能力には舌を巻く。おれは馴染みのないジャンルだけど。あと、クリスマスだそうだ。


12/26(土)
ママの付き合いでデパートに行った。
昨日来たばっかりの服屋で、ちょっと恥ずかしかった。
ママが年末のパーティ用のドレスを買っている間に、三階のイベントホールに行ったら、クリスマスソングの弾き語りをしている男がいた。
クリスマスも終わったというのに。
どこかで見た覚えがあるけど、たぶん気のせいだろう。
Everlasting loveというのは、終わりのない愛という意味だったかな。


Everlasting Love / Folder feat. Daichi Miura
デパートのイベントで歌った。
せめてクリスマスに歌わせろよ。


1/3(日)
年が明けた。
おばあちゃんとおじいちゃんは、俺のことをまだ九歳だと思ってる。


I don't want to be / Gavin Dgrew
とてもポジティブな曲なのに、この曲を弾いてると自尊心が傷つくような削られるような目に合う。
「自分がなりたいもの以外になりたくない」
本当は自分が何者なのかわかってない。
周りに天才と呼ばれるのも怖い。けれどおれの作曲の才能は確かに世間に求められていて、
時々作曲をするのがおれの使命なのか、世間から評価を受けることが使命なのかわからなくなる。
自分が何を好きなのかわからなくなる。それは本当に怖いことだ。
ある日これが枯渇したらどうしようって、幾度となく思うんだ。


1/19 (火)
クラスメイトとゲームセンターに行った。
モデルの後輩の、ゆうくんがはまっていたアーケードゲームをみんなでやった。
すぐに負けたし、なんで俺がゾンビを倒さないといけないわけ?


One More Try / Timmy T
父さんと郊外までドライブに行った。
父さんはいろんな国の古い洋楽が好きで、子供のころからそれらを聞いて育ったのも、この才能の一因になってると思う。
おれと違って無口な男だけど、音楽で会話するところは似てるって思った。


2/10(水)
モデルの仲間と言い合いになった。
夢ノ咲のアイドル科に入ることを否定された。俺にアイドルは向いてないと言いたいらしい。
逆にあいつは何をしたいのかと聞いたら、口ごもった。自分の未来も見えてないやつ。


Gia ti guarda Alice / Tiziano Ferro
魔法の言葉を知ってる。
おれだけの秘密だから教えないけど。
(先生のレコードコレクションを拝借)


2/14(日)
Aから連絡があって、通りの公園で待ち合わせた。
十五時ぴったりに現れて、おれにチョコをくれた。
卒業しても友達でいてねって。それだけ?


Here You Come Again / Dolly Parton
母さんがキッチンでラジオを聞いていた。
どっかの純文学作家の、煙草とコーヒーしか摂らない母親の話を思い出して、一曲かいた。


3/9 (火)
中学を卒業した。
来月からは夢ノ咲に行く。
学校説明会の時、今の芸能界にもいるような連中ばっかりだったな。中学までこんな普通な生活をしていた俺が、やっていけるんだろうか、と少し不安になった。
知らない後輩二人に、泣きながら告白された。
Aの姿は見なかった。


Low / Kelly Clarkson
ケリー・クラークソンの曲をアレンジして渡した
喜んでた、あと泣いてた。なんで泣くの?素晴らしい曲だろ。


3/25(木)
…英語、全然うまくならないんだけど。


Waterloo / ABBA
父さんが卒業祝いにABBAのGoldをくれた。
これまでの有象無象よさようなら!おれは夢ノ咲で、歌って踊れて作曲のできるアイドルになるぞ!


4/20(火)
今日、変な奴に声をかけられた。
隣のクラスのやつらしい。
開口一番、「おまえ綺麗だな!!」って大声で。
俺が綺麗なのは当然だけど、あんな風に面と向かって大声で言われたのは初めてだったな。


XXXXXX / XXXXXX
すごい綺麗なやつを見た。
凛と伸びた背筋に、空気を纏うように慎ましく居るその姿、あと、銀色の美しいくるくるの髪。
きめ細かな肌。
あの空間だけが切り取られたように浮いていた。
そしてあいつを見た瞬間、美しい音楽がおれの中に雪崩れ込んできて、こんな時間になるまで音楽が止まらない。止まらない。
あいつなんて名前なんだろう?


4/21(水)
今日も、昨日のやつが俺を勧誘に来た。
良く知らないやつなので丁重に断った。

急に思い出したんだけど
あいつ、去年のクリスマス明けにデパートで歌ってたやつじゃない?
名前、なんていうんだろう。


Have you Ever Loved a woman? / Derek & The Dominos
女とか男とか関係ないな
あいつはとても美しい。アイドルしかいない学校の中でもダントツだ。
あいつを見ると勝手に色んな音楽が流れ込んでくる。こんな量のインスピレーションは受けたことがない。
あいつだけなんだ。なんでだろう?これが先生の言ってた「運命」ってやつ?
一生かかっても書き終わらない。音楽が鳴りやまない。


4/22(木)
またあいつが来た。しかも今日は昼夕2回来た。
「おまえおれとユニットつくらない?!」だって。変わったやつだな。
クラスの連中が言ってた、あいつ、月永レオだ。あの天才作曲家の。
そんなやつが、なんで夢ノ咲にいるの?


Only you make me happy / Krystal Meyers
ついに名前を教えてくれた!セナイズミ!
なんてきれいな名前!まるでクリスタルみたいに澄んだ美しい響き。あいつにぴったりだ!
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