没ネタ

<死ネタ注意>
才能のなかった月永レオif
会話文とモノローグしかできなくて詰んだので供養

■プロット
普通の共学中学で出会う月永と瀬名(別々のクラス)
月永が瀬名に一目惚れ、話しかけまくって仲良くなる
一緒にアイドルになろうよと約束した数日後に月永が死ぬ
瀬名目線で話が進む

■人物
<瀬名>
・元キッズモデル
・性格悪くて浮いてる
・もの好きが何人か友達
・女子からは人気だけど近寄りがたい、綺麗すぎるし性格きつすぎるから無理って言われてる 後輩にもてる
呼び方:「月永」

<月永>
・好奇心旺盛でやんちゃっこ
・顔が可愛いからクラスでも目立つけど「才能がない」で有名
・男子から「おまえちっちゃいなぁ」
・女子から「月永かわいい~」子ども扱い
呼び方:「瀬名」

――――――――――――――

「瀬名! ……だろ? おまえ」
「なんか用」
「いや、綺麗だなーと思って。芸能人?」
「あんたに関係ないでしょ」
「おれね月永レオ! B組! 今何してんの? 暇ならおれと遊ばない?」
「遊ぶってなにで?」
「妄想ゲーム! 自分に超能力があったら何したい?! とか話すの、ちなみにおれは宇宙人に会いたい!」
「阿保らしい。俺は忙しいの、何もないなら行くよ」
「ちょっと待って待って、瀬名」
「どこの誰だか知らないけど、気やすく呼ばないでよね」
「悪かった! でも待って。本当に」
「なんなの? さっきから。鬱陶しいんだけど……」
「ごめん、おまえ綺麗だからさぁ話してみたかったんだよね。本当にそれだけ」

綺麗だなんて、言われなれてた。
だけど、あいつの言葉には本当に裏が無くて
下心がなくて
心地よかった、素直に嬉しかった。

「瀬名!」
「あのさぁ今日ゲーセンいくんだけど! いっしょ行こうよ」
「なにすんの?」
「ダンレボ! おまえダンスとか得意?」
「昔バレエやってた」
「マジ?! だから姿勢とかいいのか、おまえ遠くから見てもわかるくらい綺麗だよ」

月永はダンレボが上手かった
努力したんだって
こいつ顔だけとか言われてるけど、そんなことなくない?
阿保なのは確かだけど
才能がないだなんて、そんなことないよ

「あんた、アイドルとか向いてそうじゃん? 可愛い顔してるし」
「えっ、そう? アイドルかぁ。てか瀬名って、モデルやってるってマジなの?」
「昔やってただけ。今はやってない」
「なんでやめたの?」
「いいじゃんそんなの、どうでも」
「どうでも良くないじゃん! 瀬名のことなら何でも知りたい!」

才能がないだなんて、嘘だ。
こんなに凝り固まったプライドを懐柔してくれる。
優しいやつだ。

「……自信がなくなったの、業界でやってく」
「なんでそんなに綺麗なのに?」
「俺以上に綺麗な奴だっているんだよ、この世には」
「は? いないっしょ」
「え?」
「お前以上に綺麗なやつなんて、テレビでだって見たことないよ? ふつうに、世界一綺麗っしょ」
「………次なんの曲にする?」
「おっ、ノリいいじゃん瀬名ー! 洋楽わかる? バックスやろうよ」

照れ隠しだよ、ばぁか。

「瀬名ってさぁ彼女いる?」
「いない」
「あ、興味ない感じ? どんな子がすきなの?」
「考えたことない」
「えーじゃあ芸能人とかもあんまり好きじゃない?」
「コートニー・ラブとか」
「へぇ意外! ニルヴァーナは嫌いそうなのに?」
「そうだね、神経があんまり好きじゃないね。って、あんた話せるね」
「あったりまえ! 音楽は大好きだから!」
「そういうあんたは? どんな子が好きなの?」
「おれは瀬名がすき!」
「そうじゃないでしょ。付き合うならどういう人がいいのって意味の……」
「だから、瀬名」
「へ?」
「瀬名とつき合いたい」
「ほんき?」
「――なーんて、冗談だよ!」

本気だったかどうか、今でもわからない。
だけどもし、あのとき本気だよって言われていたって、俺はきっとごちゃごちゃ文句を言ってその言葉をなかったことにしていただろう。
俺はそういうやつだ。
思っていることを素直に言えなかった。

それから三日後、月永は死んだ。
部活の帰りにトラックに撥ねられたらしい。
B組の月永の机の上には、白いユリの花が一輪置かれていて、
俺の手元には彼のものは何も残らなかった。

『瀬名とずっと一緒に居たいな! おれ、瀬名と居るの楽しい
!』
『じゃ、二人でアイドルでも目指す?』
『へ?』
『あんたの良いところって顔くらいだけど、努力ができるのは才能だよ。二人でなら、なんとかなりそうじゃない?』
『瀬名、それ、本気?』
『当たり前でしょ? 俺、嘘つくの嫌いなの』

あの日月永は、俺の言葉に、嬉しそうに笑った。
ただ、嬉しそうに笑うだけだった。
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