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【BL】SS集「僕と、君と、少しの小話。」

風邪をひいた僕に君が見舞いに来てくれた。

「あーあ、昨日濡れたまま寝たんじゃなですか」

看病するときにわざわざ「あーあ」なんていうやつがいるか。

「私生活がだらしない証拠ですよ」

悪かったな。そう反論しようとしたとき、耳元で君が囁いた。

「どうせ他に看病してくれる人いないんでしょ」

……うるせえな……。

「図星でした?」

答えに困る僕を見て、クスっと笑う。

「今日は一日ここにいてあげますからね」

ありがとう、なんて言葉が僕から出ないことを君は知っている。それなのにそんな言葉をかけてくる。
君は一体僕に何を求めているんだ。

「見返りなんて、求めていませんから」

見返りを求めていないなら、どうして僕のそばにいる。

「こうして一緒にいることに、理由って必要なんですかね」

あぁ、そうだ。そうだった。君はそういう人だった。
僕はまだ、君をちゃんとわかってあげられていない。
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