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夫婦狛日

今日は夜に会議が入っていて、帰りが遅くなるのはわかっていた。だから、本当はちょっと寂しかったけど創にメールを送ったんだ。遅くなるからご飯先食べてて、眠かったら寝ていいからねって。
夜の会議は予定より長引いて、終わったと思いきや上司に捕まり、やっと解放されて帰路に着いたところで人身事故。勿論電車は遅れてしまい気付けば予定してた時間よりだいぶ遅くなってしまっていた。これは創に寝てていいって送っといて正解だったなと思った。時計を見れば短い針が十を過ぎていたんだもの。
すっかりくたびれてようやく彼との愛の巣に着いたら、家の電気、リビングのあたりが明るかったんだ。気付いた瞬間、じんわりと心があったかくなった。帰る家があって、待ってる人がいるっていいなぁって。
流石にもう創は寝てると思ったから、静かに玄関のドアを開けてリビングに向かった。今日の夕飯なんだろなぁってわくわくしながら。そしたら、何が待ってたと思う?
「……えっ、創……?」
ボクを待っていたのは、待っていてくれたのは他でもない愛するボクの奥さんだった。でも、待ち疲れちゃったみたいで、ダイニングテーブルに突っ伏して寝ちゃってる。
「創、創……」
くーくー寝息を立てて眠る彼の身体をゆさゆさと揺さぶる。
「ん、んん……あれ?なぎと……あー、俺、寝ちゃってたのか……凪斗、おかえり」
こんな時間まで、お疲れ様。創は目をこすりながら、それでもボクに微笑んで出迎えてくれた。それだけで今日の疲れが全部吹き飛ぶ。
「ただいま……ごめんね、こんなに遅くなっちゃって……ボクのこと待っててくれたんだね」
「当たり前だろ?さ、夕飯にするか」
「えっ!?ご飯も待っててくれたの!?」
ボクは驚いてつい大きな声を上げてしまった。だってもう随分と遅い時間で、創、お腹空いてる筈なのに。
「そりゃ待つよ。お前と一緒にご飯食べたいもん」
一緒に食べた方が美味しいもんな。そう言って彼はだいぶ前に作ったであろう夕飯を温めにキッチンへ向かった。
ボクはその後を追いかけて、堪らずぎゅっと抱き締める。
「凪斗?」
「……前に、キミと一緒に食べるご飯はずっとずっと美味しく感じるって言ったの、もしかして覚えてくれてたの?」
「……まぁな」
創が照れ臭そうに笑う。
「……すごく、嬉しい。……ね、ちゅーしたい……」
「はいはい、してやるから、そんな泣きそうな顔するなよ」
創がくしゃりとボクの髪をかき混ぜ、ボクらはキスをした。
「創、ご飯待っててくれてありがとう」
ボクに、誰かと一緒に食べる楽しさを教えてくれてありがとう。













「あとな、今日新しいレシピ試してみたから、お前の食った感想すぐに聞きたかったんだよ!」
「本当?キミ着々とレシピ増やしていってるね!旦那として鼻が高いや!」
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