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その他パロ

 ボクを一時の夢に誘うのは、ゴールドに輝くカードキーだ。都心の超高級ラブホテル。一泊で万札が十枚飛んでいくが、これから始まるショーの対価としては安いくらいだ。
 忙しなく脈打つ心臓が、一際跳ね上がった。エキゾチックな曲が緩やかに室内に響き渡り、同時にセクシーなエナメル素材の衣装に身を包んだ彼が現れる。
 既に興奮して浮立つボクを彼は妖艶な眼差しで一瞥し、それから室内の中央にあるポールに手を伸ばす。五本の指先でしっかりとポールを掴むと、そこを軸に彼はグッと脚を伸ばした。
 大胆に勢いよく伸びたしなやかな脚は、それからゆっくりとポールに艶かしく絡みつく。脹脛と太腿にポールをしっかり挟んだ彼は、いよいよ地についている爪先を蹴り上げ宙に浮いた。
 メリーゴーランドのように優雅に一周。次いで上に上り、てっぺんで器用に体勢を入れ替えて逆さになる。逆さでもブレることなくピンと伸びた身体に惚れ惚れしていると、不意に彼の身体がグッと折り畳まれた。
 小さくなった身体はつつ、とゆっくり滑り落ち、そして彼は大胆にも両脚を大きく広げた。程よく筋肉のついた太腿が晒されて、健やかさな色気に息を飲む。彼はその魅力的な脚をうんと伸ばして最後に円を描きながらダイナミックに回ると、そっと音もなく地に脚をつけた。
 いつの間にか部屋は熱気で包まれていた。いや、本当は熱気なんて篭ってないのかもしれない。観客はボク一人だけなのだから。
けれど、だからこそ。ボクの身体は言葉にし難い熱と、昂りで溢れかえっていた。
 今宵、一夜限り。彼はボクだけの舞姫なのだから。
「狛枝」
ギシリと軋む音に、トリップしていた意識が戻ってくる。同時にボクの心臓が痛いくらい跳ね上がった。今し方演技を終えた彼が、ボクと距離を縮めていたからだ。
「あのな、」
「っ、素晴らしいかったよ日向クン!ダイナミックな演技だったけど、優雅さがあって……上品な色っぽさに溢れてて……こんな素敵なステージを、まさかボクだけに披露してくれるなんて……!あぁっ、ここのスイートルームだけじゃ足りないよ、一体いくら出せば……」
高まった熱気を放出するかのように賛辞を吐き出すボクの唇を、彼の指先がそっと塞いだ。必然と彼の顔を覗いて、ボクは息を飲む。ボクを見つめる彼の瞳が、しっとりとした色めきと切なさで溢れていたから。
「……お金なんて、要らない」
きゅっと寄せられた身体は、汗を掻いて冷たいのにどうしてかたまらなく熱く感じた。
「一度でいい……俺のことを抱いてくれ」
とびきり甘く、切なく囁かれた懇願。仄かな欲を孕む瞳に撃ち抜かれ、ボクは確かに下腹部が熱くなるのを感じた。
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