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年の差

最近、年下の恋人と少しだけいやらしいキスをするようになった。
「……んっ……」
深く重ねた唇の隙間からくぐもった声、それからくちりと唾液が絡む音が漏れる。最初こそ触れた舌先に肩を揺らし、初々しい反応を見せた日向も、今となっては拙いながら狛枝の舌による愛撫に応え、そしてまた狛枝の味をめいいっぱい味わおうとよく舌先を動かすようになっていた。
「……は、ぁ……」
唇が離れてもなお、名残惜しげにくっ付いていた舌先が糸を引いてぷつりと途切れた。お互いから漏れた吐息が、より一層相手の興奮を煽る。
「……こま、えだ、さん……」
狛枝の腕に縋る日向の指先が、ふるふると震えている。見上げる瞳には、普段のあどけない彼の姿からは想像もつかないほどの色香を醸し出しており、思わず、狛枝は喉をひくりと動かした。
「……だぁめ、続きはキミが高校卒業したらって言ったでしょ」
なんとか繋ぎ止めた理性で笑みを作り、狛枝は日向の濡れた唇に人差し指を軽く当てる。狛枝の言葉に日向はきゅ、と眉間に皺を寄せ、切なげな表情を浮かべた後ゆっくりと目を伏した。内心狛枝が胸を撫で下ろしたのは、これ以上彼に熱っぽく見つめられたら、理性を保っていられる自信がなかったからだった。
しかし、その安堵も束の間であったことを狛枝はすぐ思い知らされる。
「……?どうし、」
日向の唇に触れている方の狛枝の手に、そっと日向の両手が添えられる。日向の意図が掴めず口先に出かけた問いは、彼が狛枝の指先に舌を這わせたことにより喉の奥へと引っ込む結果となった。
指先が、熱く柔らかい口内へ招かれる。唾液を纏った舌が、爪と指の形を確かめるかのように滑っていく感覚に腹の奥底がぐわりと熱くなった。
狛枝が今、どんな顔をしているのか知らずに、日向は夢中になって狛枝の指を舐り続けている。心臓は早鐘のように脈を打ち、先程から何度も唾を飲み込んでいる。
日向がいつも、狛枝は大人だから、余裕があるからずるいと言っていたことをふと思い出し、狛枝は自嘲気味に笑んだ。だって、大人の余裕なんてあってないようなものなのだ。だからせめて、それが悟られぬよう、狛枝はこっそりと熱を孕んだ吐息を吐いた。
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