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ED後

その日は朝からおかしかったのだ。理由はわからないが無性に身体の奥で欲望がユラユラと揺れていて、仕事なんて放り出して何処かの休憩室で今すぐそれを満たしたいくらいには。
そんな日向の欲に、気付かない狛枝ではない。入れ違いの休憩、すれ違った際無人の会議室に日向を連れ込む。
───あんな目で見られて仕事に集中できるわけないでしょ?───と。
たっぷりと口内を犯された後伝えられた言葉に自分の情欲がバレていたことを知り日向は顔を赤く染める。そんな日向を見てくつくつと笑った後、続きは夜ねと日向の下腹部を指で撫で狛枝は会議室を出て行った。狛枝のせいで欲が満たされたような、却って飢えが増したような、そんな複雑な思いを抱きながらそれでも今夜はめいいっぱいこの飢えを満たすことができるのだと思うことで日向は日中を過ごした。
しかしそういう日に限って仕事が立て込みめでたく残業コース。狛枝の言葉を借りるのであればまさに不運。一刻も早く狛枝に抱かれたいのに、そう悶々とすればするほど仕事は捗らず結局全てが終わる頃には十時を回っていた。



「ただいまー…」
ようやく狛枝と同居している部屋に帰ってきた日向はおかえりの返事がないことに疑問を抱く。狛枝?と声をかけながら一室一室覗き、最後に辿り着いた寝室に狛枝はいた。
「…寝てる」
ベッドの上で片手に本を持ち狛枝はすうすうと寝息を立てていた。日向が帰ってきた音で起きないなんて、相当眠かったのだろうか。そんなことを考えながら日向はベッドへと腰をかける。確かに最近忙しかったかもしれない、それにもう遅い時間だし眠くなるのは当たり前だ。
しかし、それでも日向は少しだけ腹立たしく感じていた。何が続きは夜ね、だ、こっちはそれを楽しみに残業頑張ったんだぞ!気を抜くと口に出してしまいそうになるのを拳を握ることでなんとか口の中に留める。
「…はー……」
ぽふ、と狛枝の隣に身を沈め日向は溜息を吐く。一層の事起こしてしまおうか、そう思うも狛枝の気持ち良さそうな寝顔を見ていると、そんな思いは瞬く間に萎縮していく。
「ん…」
じっ、と狛枝の寝顔を見つめていた日向だったが不意に鼻腔を擽る甘い香りに気づき、日向は狛枝との距離を詰める。狛枝の柔らかな髪の毛に鼻先を埋めるとその匂いは更に濃くなった。シャンプーの香りと、それから狛枝の匂い。それらが日向の身体の奥を熱くさせる。我慢、できそうにない。
「…このくらいなら、いいよな…」
そっと狛枝の空いている方の手をとり、日向はその指先に口付けを落とす。口付けをした後、日向はゆっくりと口を開きその指を口内に含んだ。人差し指に舌を這わせ唾液を絡ませ飲み込んでゆく。
「ん、ん、ふ、ぁ…」
一本だけで満足するはずもなく、中指、薬指とどんどんと口内に含み、一本一本丁寧に舐め上げ、吸い付き、指と指の隙間まで日向は余すことなく狛枝の指の味を楽しんだ。
味わい尽くした頃には狛枝の指は日向の唾液でてらてらと輝いておりそれがまた日向を興奮させる。ちゅうちゅうと指に吸い付きながら日向は片手で器用にシャツのボタンを外し露出された胸元へ日向は狛枝の手を導いた。
「ふ、ぁ…っ…ぁ、あ…」
両手で狛枝の手を掴み、日向の唾液でぬるついたその指を、肌に滑らせる。力のこもってない指に自らの手を重ね少しだけ力を込めれば狛枝の指は日向の胸を揉むように動いた。
「ひ、ぁ、…こまえだぁ…」
もっと、と言わんばかりに最も感じる尖りに擦り付けるように身体を動かせば忽ち甘い刺激が日向の身体の隅々まで行き渡った。
「ん、ん…」
もっと決定的な刺激が欲しい、そう思いベルトを緩めようと視線をずらした時だった。視界に入ったものに日向の動きが止まる。数秒後心臓がいきなりその動きを早くし巡る血液が全て顔に集まってくるような気さえした。ぷるぷると震えながら日向は口を開く。
「…狛枝…………お前起きてるだろ」
「………バレた?」
それまで目を瞑っていた狛枝は日向の声を聞いて数秒後、その目をパッチリと開いた。寝起きなんかではなくパッチリと。
「お、おま…!さ、最初から…!」
「最初からじゃないよ、キミが帰ってきたのわからなかったし」
ボク上がったの早かったから先にシャワー浴びて待ってたんだけど眠くなっちゃって、体力使うんだし休んでおこうと思ってさ、にっこりと笑う狛枝とは対照的に日向の顔は引きつっている。
「でもびっくりしたなぁ、なんか擽ったいなぁって思ってたら指はべとべとになるし」
「うっ…!」
「かと思ったら今度はボクの手におっぱい擦り付けるしさぁ」
「あああああ!!忘れろ!!忘れろ!!」
言葉で並べられるとどれだけ自分が恥ずかしいことをしでかしたのかありありと感じ日向は声をあげ狛枝の頭をべしべしと叩いた。
「いて、痛いよ日向クン!…ところで、何でボクが起きてるってわかったの?」
「…何でって……」
そりゃお前、自分の下半身見てみろよ、ぶっきらぼうに日向が言った後狛枝は視線を自身の下半身へと向ける。
「わぁ」
狛枝の下半身、正確には股間はその纏っている柔らかな生地の下から突き上げているものの姿がくっきりと目に見えていた。
「これは、バレるね」
苦笑する狛枝を横目に日向はふん、と鼻を鳴らし拗ねたようにそっぽを向いた。
「日向クン怒ってるの?」
そんな日向の背に狛枝は身体をくっつけその腕で日向の身体を包み込む。
「…だって、俺、夜のために頑張ったんだぞ…それなのにお前寝てるから…」
「あは、ごめんね?」
ね、こっち向いてよ、投げかけられた言葉に首だけを向けると狛枝の唇が重なった。
「お詫びに沢山シてあげるから」
だから機嫌直して?指先が日向の頬をふにふにと突っつく。じぃ、と狛枝を見つめた後日向は狛枝の方に今度は身体ごと向けた。
「…朝まで、離さないからな」
「それはこっちのセリフじゃないかな?」
ふふ、と笑い合ったあと、またキスをし、二人は再度ベッドへと沈み込んだ。
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