コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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「~~ンな格好して歩くわけ?良かったな。あの時のオッサン以上にタチ悪いのホイホイ釣れるな!」
「…で、でも…」
「あーウゼー別に取って食ったりしねぇよ。黙ってさっさと来い!」
◇◇◇
なまえは現在、二口の自宅に居た。理由としては、一方的に結ばれた約束を果たし早急に洗濯して仕舞いたい体操服やジャージを今日こそは回収する為に、昨日の別れ際に連絡先を聞かれ、指示された場所で学校帰りであったのだろう制服姿の二口と待ち合わせで合流したのだが、数分後には天気予報で伝えられる事の無かった急な雨が勢いよく降り始め、瞬時に2人の制服は雨を含んで冷たく濡れては、シャツがみるみると透けて恥ずかしい姿も顕になっていった為である。朝の気温の理由によりブレザーは脱ぎシャツで登校していた学生は多いのだろうが、何とも絶妙なタイミングでこの様な状況になるなんて、自分の運の無さに気持ちが強く沈んだ。
「 (わぁ…このシャンプー凄い…髪の毛ちゃんとサラサラになる…)」
濡れた制服を洗って乾燥させる為の洗濯機の回る音と、普段愛用している物とは異なるシャンプーやボディソープの香りに包まれて、申し訳無さや緊張等、様々な感情が混濁しては心臓がドキドキ、と煩く痛かった。
然しながら「身体弱そうだから風邪ひかれたら後味悪い」となまえを優先し先にシャワーを譲ってくれた二口を待たせてはならないと思い、着替えとして用意してくれた彼の物であるTシャツとハーフパンツ、元々は自身が購入していた例のランジェリーを付けて(雨で少しだけ湿った物はポーチに仕舞いこんだ)急いで着替えて準備をした。
「 …ハーフパンツがあわない…シャツをワンピースみたいに着て下着が見えない様に気をつけたらいいよね…お返ししよう…」
やはり身体の大きさが異なるのでなまえにとってはブカブカでありサイズが合わないTシャツを1枚のみ着る。それでも今はとても心強い反面、シャツから香る及川や岩泉とはまた違う男の人の香りに何となく戸惑いながらも頬を染めた。
「あの…ありがとうございました…ハーフパンツはサイズの関係でお返しします…」
「ーー此処で待ってて」
ノックしてカチャリ、と扉を開けて二口の待つ部屋に入り、胸元あたりをキュッ…と掴みながら消え入りそうな声で御礼と共にハーフパンツを返し言葉を伝えれば、二口は目を見開き数秒間なまえをジッ…と魅入った後、ハッとし直ぐにパッと視線を外し立ち上がりシャワーを浴びる為に部屋を出ていった。
1人ポツン…と部屋に残されたなまえは、とにかく迷惑にならない場所を探してぺたり、と床に座った。目の前にあるお洒落なガラステーブルの上には用意してくれたのであろう飲み物の入ったコップが2つ置いてあり、彼なりの気遣いが心に染み渡り二口の事を思う。
冷静になり考えれば、確かに意地悪な言い方だけをピックアップすると近寄り難い人では有るけれど、出会ってから今まで何かしらの形で助けて貰って居る事実がきちんと揃って居るのだと気付けば、じぃん…と心が温まった。
「 (もし私があのカフェで彼の立場になった時、あんなに強い勇気が出るのかな…。怖くてお店の方に言って席を離れちゃうだけだと思う。彼から言わせて貰えば、正直、私に巻き込まれている状況なのに…)」
"「ーーっ、はやく返してっ!だいっきらい!」"
なまえは、二口に対してつい感情的に言ってしまった言葉を後悔して、その事については謝らなくてはならないな、と心に決めたのだ。
なまえがふと見上げた視界の先には、いつも自身も見慣れているボール、関連の雑誌や用品が置いてあって、彼も心からバレーを好きなんだと云う事が伝わってきて胸がほっこりして頬を緩ませ微笑んだ時に、ガチャリ、とシャワーから戻ってきた彼が部屋に入る。
「ーーえ、何ニヤついてんだよ…。まさか部屋漁ったりしてねぇだろうな?すけべ」
「!?違っ…してませんっ…!…ただ、あなたもバレーボール好きなんだなって…」
「…夢中だよ。あなたも、って何?」
「私の幼なじみもね、2人共バレーボールをやってるの。だからつい嬉しくて…あっ、私は偶にお手伝いする程度だから出来ないんだけど…傍でいつも見てるから…」
「ーー男?」
ヤベ、今自分の中で色々とすっ飛ばして口が勝手に動いた…?良く知りもしない相手に何ムキになってるんだろうと軽く困惑しつつ首に掛けてたタオルで髪の毛を拭きながら、キョトンとするなまえに対し、いや、別に何でもない、と続けた。
「あっ…この子私も大好き!こんなに可愛いふにふに抱き枕ぬいぐるみがあったんだ…ふふっ、可愛い」
「あ?ーーーッ!?お前はっ…ぽやぽやすんな!」
「ぴゃっ!?」
なまえは、二口の近くで鎮座するなまえ自身も大好きなキャラクターの抱き枕ぬいぐるみを見つけては、ついきゃっきゃしてしまい、二口の傍に寄りぺたん座りしながら前に屈む様な姿勢になると、二口の視線位置から見ればシャツの襟元がズレて豊満な胸がふるるんと姿を現すのをバッチリ見せてしまう。しかも見覚えがあり(片付ける為に)触れた事のあるランジェリーと来たので、見事なる眼福を味わい真っ赤になった二口は、ついそのぬいぐるみを鷲掴んでなまえにムギっと押し付け身体を隠した。
「なにするの…っわぁ…ふかふか~ふふっ、柔らかい」
「~~お前はもうそれずっと抱えてろ!離すな!」
さっきまでモジモジ隠して警戒してた癖に、意図も簡単に警戒心解いて俺のシャツ着てること忘れてんじゃねーよ!或る意味なんでそんなチョロいんだよ信じらんねぇ。ああああでも俺の癒しの抱き枕ぬいぐるみが…あの女に密着されてる…あーマジで最悪…!ムラムラ…じゃなくてイライラするっ!
ーーそこからは意外と有意義な時間を過ごせた気がする。好きなアクション映画(特に洋画)が被ってたり(見た目は清楚なお嬢様でそんな汗臭そうな映画私に近付けないで、って感じだけど)最近、気になる店や行ってみたい場所、雑貨類、バレーボールの話(俺が一方的に話してしまったかも…でも相手が聞き上手だからつい…)で盛り上がった気がする。つーかこの子、俺より1つ歳上なんだと…調子に乗ってお姉さん面してきたから揶揄ってやった。
…楽しかったっていやぁまぁ、楽しかったんじゃないかな。話し込んでいたらしくて気付いたら窓から見えた景色はすっかり雨も上がって制服も乾いてたから。
ーーー
ーー
ー
「色々とお世話になり、ありがとうございました」
彼女を途中まで送った別れ際、畏まった丁寧な御礼と挨拶をされ自身の中で何だか急に強い寂しさが生まれた。あぁ、そうか。もう彼女と会う事なんて無い。まぁ、でも考えたらこの女と一緒に居れば振り回されてばかりだったし、もう会わなくて良いならせいせいするじゃん、と自身の心に言い聞かせた。
"「…返してくれたらあなたなんかと二度と会わないんだからっ…!すけべ!えっち!」"
ーーハッキリと宣言されている事でもある。でも、少し揶揄ったくらいで酷い女だよな。んー…やっぱり下着の事を言ってしまった事は不味かったかな…?いやいつも周りに群がる女共とのノリとなんだか違うから調子狂うと云うか…まぁ別にこの子にどう思われようが俺は関係ないけど。
「ーーじゃあな」
「あの…っ、」
「?」
「…だいっきらい、なんて言ってしまって、ごめんなさい…!こんなに良くして貰ったのに…あのっ…夢中になっていらっしゃるバレーボール…今日、お話聞けて私も夢中になりそうです。魅力的なお話聞かせて頂いてありがとうございました…!」
頬を染めながら視線を合わせて微笑む彼女と俺の間に、サァァ…と柔らかな風が吹き抜けてはドクン、と胸が高鳴った。…ヤバい…誤魔化せ、誤魔化せ俺!…悔しいけど誤魔化す事が出来ず、可愛いな、なんて心底で想って仕舞いながら自身の頬や耳まで真っ赤に染まって居るのにも拘わらず、手を降って帰っていく彼女の姿を目で追って且つ見えなくなるまで視線を逸らせずその場から動けなかった。~~あ"ーーー最後の最後までなんなんだよあの女は…クソっ…!
◇◇◇
「ーーなまえっ…!はぁっ…ッ…もう…あの場所まで俺が迎えに行くって言ったじゃん…!なんで動くの!」
「徹くん、部活お疲れ様です。…だってそんなの悪いよ!学校から離れてるのに…。一緒に帰るなら私が徹くんとはじめちゃんが居る場所に行けばいいんだから…」
「だめ!だめっ!こんな可愛い女の子が一人薄暗い道を歩いてるなんて及川さん不安になる!ってなワケで必死に走ってたら岩チャン一人置いてきちゃったから…合流したらなまえも一緒に謝ってくれる?」
「ふふっ、いいよ」
「それじゃ参りましょうかお姫様?鞄貸しーー…」
及川はなまえの頭を優しく、よしよし、と撫でて彼女の手荷物や鞄を持とうとした瞬間、彼女の髪の毛や身体からふわり、としたーーいつもと異なるシャンプー等の香りがして思い切り表情を強張らせた。
は?なんで…?今朝会った時から学校で別れた時迄はいつもの俺が大好きななまえの香りだった筈なのに…あ、そっか、何処かのお店で化粧品や香水を試したり使ったりしたのかな…?でも何でかな?ーーー何でこんなに胸糞悪い胸騒ぎがするんだろう。
「?徹くん、どうしたの…?」
「いや…あのさなまえ…お前、今さっきまで何処に居て何してた?」
「!?ぁ…あのっ…」
「ーーッは、何その蕩けた顔…まさか俺に言えないの…?」
「…違っ…」
「言えよ」
「及川テメェェ1人で道突っ走ってんじゃねェェエ!危ねぇだろうが!! 」
「「 !?」」
及川が強い憂鬱な顔でなまえの髪の毛を僅かに掬ってクッ…と掴みながら揺れる大きな瞳を覗き問えば、なまえは、自身に対していつもと異なる及川の雰囲気に怯み、自身の所為で散々振り回した数々の要因なる本日の出来事を思い出し、そんな情けなくて恥ずかしい事言えるわけ無い…!と、かぁぁッ、と頬を染めて困惑しては返答にたじたじ…となり、そんな彼女の様子を見た及川は胸糞悪い強い胸騒ぎの所為もあり、ムッと苛立ちなまえに当たる様に接した瞬間、及川が来た道の方向から怒った岩泉が走って来ては、2人してビクッと肩を跳ね上げたのだ。
「…で、でも…」
「あーウゼー別に取って食ったりしねぇよ。黙ってさっさと来い!」
◇◇◇
なまえは現在、二口の自宅に居た。理由としては、一方的に結ばれた約束を果たし早急に洗濯して仕舞いたい体操服やジャージを今日こそは回収する為に、昨日の別れ際に連絡先を聞かれ、指示された場所で学校帰りであったのだろう制服姿の二口と待ち合わせで合流したのだが、数分後には天気予報で伝えられる事の無かった急な雨が勢いよく降り始め、瞬時に2人の制服は雨を含んで冷たく濡れては、シャツがみるみると透けて恥ずかしい姿も顕になっていった為である。朝の気温の理由によりブレザーは脱ぎシャツで登校していた学生は多いのだろうが、何とも絶妙なタイミングでこの様な状況になるなんて、自分の運の無さに気持ちが強く沈んだ。
「 (わぁ…このシャンプー凄い…髪の毛ちゃんとサラサラになる…)」
濡れた制服を洗って乾燥させる為の洗濯機の回る音と、普段愛用している物とは異なるシャンプーやボディソープの香りに包まれて、申し訳無さや緊張等、様々な感情が混濁しては心臓がドキドキ、と煩く痛かった。
然しながら「身体弱そうだから風邪ひかれたら後味悪い」となまえを優先し先にシャワーを譲ってくれた二口を待たせてはならないと思い、着替えとして用意してくれた彼の物であるTシャツとハーフパンツ、元々は自身が購入していた例のランジェリーを付けて(雨で少しだけ湿った物はポーチに仕舞いこんだ)急いで着替えて準備をした。
「 …ハーフパンツがあわない…シャツをワンピースみたいに着て下着が見えない様に気をつけたらいいよね…お返ししよう…」
やはり身体の大きさが異なるのでなまえにとってはブカブカでありサイズが合わないTシャツを1枚のみ着る。それでも今はとても心強い反面、シャツから香る及川や岩泉とはまた違う男の人の香りに何となく戸惑いながらも頬を染めた。
「あの…ありがとうございました…ハーフパンツはサイズの関係でお返しします…」
「ーー此処で待ってて」
ノックしてカチャリ、と扉を開けて二口の待つ部屋に入り、胸元あたりをキュッ…と掴みながら消え入りそうな声で御礼と共にハーフパンツを返し言葉を伝えれば、二口は目を見開き数秒間なまえをジッ…と魅入った後、ハッとし直ぐにパッと視線を外し立ち上がりシャワーを浴びる為に部屋を出ていった。
1人ポツン…と部屋に残されたなまえは、とにかく迷惑にならない場所を探してぺたり、と床に座った。目の前にあるお洒落なガラステーブルの上には用意してくれたのであろう飲み物の入ったコップが2つ置いてあり、彼なりの気遣いが心に染み渡り二口の事を思う。
冷静になり考えれば、確かに意地悪な言い方だけをピックアップすると近寄り難い人では有るけれど、出会ってから今まで何かしらの形で助けて貰って居る事実がきちんと揃って居るのだと気付けば、じぃん…と心が温まった。
「 (もし私があのカフェで彼の立場になった時、あんなに強い勇気が出るのかな…。怖くてお店の方に言って席を離れちゃうだけだと思う。彼から言わせて貰えば、正直、私に巻き込まれている状況なのに…)」
"「ーーっ、はやく返してっ!だいっきらい!」"
なまえは、二口に対してつい感情的に言ってしまった言葉を後悔して、その事については謝らなくてはならないな、と心に決めたのだ。
なまえがふと見上げた視界の先には、いつも自身も見慣れているボール、関連の雑誌や用品が置いてあって、彼も心からバレーを好きなんだと云う事が伝わってきて胸がほっこりして頬を緩ませ微笑んだ時に、ガチャリ、とシャワーから戻ってきた彼が部屋に入る。
「ーーえ、何ニヤついてんだよ…。まさか部屋漁ったりしてねぇだろうな?すけべ」
「!?違っ…してませんっ…!…ただ、あなたもバレーボール好きなんだなって…」
「…夢中だよ。あなたも、って何?」
「私の幼なじみもね、2人共バレーボールをやってるの。だからつい嬉しくて…あっ、私は偶にお手伝いする程度だから出来ないんだけど…傍でいつも見てるから…」
「ーー男?」
ヤベ、今自分の中で色々とすっ飛ばして口が勝手に動いた…?良く知りもしない相手に何ムキになってるんだろうと軽く困惑しつつ首に掛けてたタオルで髪の毛を拭きながら、キョトンとするなまえに対し、いや、別に何でもない、と続けた。
「あっ…この子私も大好き!こんなに可愛いふにふに抱き枕ぬいぐるみがあったんだ…ふふっ、可愛い」
「あ?ーーーッ!?お前はっ…ぽやぽやすんな!」
「ぴゃっ!?」
なまえは、二口の近くで鎮座するなまえ自身も大好きなキャラクターの抱き枕ぬいぐるみを見つけては、ついきゃっきゃしてしまい、二口の傍に寄りぺたん座りしながら前に屈む様な姿勢になると、二口の視線位置から見ればシャツの襟元がズレて豊満な胸がふるるんと姿を現すのをバッチリ見せてしまう。しかも見覚えがあり(片付ける為に)触れた事のあるランジェリーと来たので、見事なる眼福を味わい真っ赤になった二口は、ついそのぬいぐるみを鷲掴んでなまえにムギっと押し付け身体を隠した。
「なにするの…っわぁ…ふかふか~ふふっ、柔らかい」
「~~お前はもうそれずっと抱えてろ!離すな!」
さっきまでモジモジ隠して警戒してた癖に、意図も簡単に警戒心解いて俺のシャツ着てること忘れてんじゃねーよ!或る意味なんでそんなチョロいんだよ信じらんねぇ。ああああでも俺の癒しの抱き枕ぬいぐるみが…あの女に密着されてる…あーマジで最悪…!ムラムラ…じゃなくてイライラするっ!
ーーそこからは意外と有意義な時間を過ごせた気がする。好きなアクション映画(特に洋画)が被ってたり(見た目は清楚なお嬢様でそんな汗臭そうな映画私に近付けないで、って感じだけど)最近、気になる店や行ってみたい場所、雑貨類、バレーボールの話(俺が一方的に話してしまったかも…でも相手が聞き上手だからつい…)で盛り上がった気がする。つーかこの子、俺より1つ歳上なんだと…調子に乗ってお姉さん面してきたから揶揄ってやった。
…楽しかったっていやぁまぁ、楽しかったんじゃないかな。話し込んでいたらしくて気付いたら窓から見えた景色はすっかり雨も上がって制服も乾いてたから。
ーーー
ーー
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「色々とお世話になり、ありがとうございました」
彼女を途中まで送った別れ際、畏まった丁寧な御礼と挨拶をされ自身の中で何だか急に強い寂しさが生まれた。あぁ、そうか。もう彼女と会う事なんて無い。まぁ、でも考えたらこの女と一緒に居れば振り回されてばかりだったし、もう会わなくて良いならせいせいするじゃん、と自身の心に言い聞かせた。
"「…返してくれたらあなたなんかと二度と会わないんだからっ…!すけべ!えっち!」"
ーーハッキリと宣言されている事でもある。でも、少し揶揄ったくらいで酷い女だよな。んー…やっぱり下着の事を言ってしまった事は不味かったかな…?いやいつも周りに群がる女共とのノリとなんだか違うから調子狂うと云うか…まぁ別にこの子にどう思われようが俺は関係ないけど。
「ーーじゃあな」
「あの…っ、」
「?」
「…だいっきらい、なんて言ってしまって、ごめんなさい…!こんなに良くして貰ったのに…あのっ…夢中になっていらっしゃるバレーボール…今日、お話聞けて私も夢中になりそうです。魅力的なお話聞かせて頂いてありがとうございました…!」
頬を染めながら視線を合わせて微笑む彼女と俺の間に、サァァ…と柔らかな風が吹き抜けてはドクン、と胸が高鳴った。…ヤバい…誤魔化せ、誤魔化せ俺!…悔しいけど誤魔化す事が出来ず、可愛いな、なんて心底で想って仕舞いながら自身の頬や耳まで真っ赤に染まって居るのにも拘わらず、手を降って帰っていく彼女の姿を目で追って且つ見えなくなるまで視線を逸らせずその場から動けなかった。~~あ"ーーー最後の最後までなんなんだよあの女は…クソっ…!
◇◇◇
「ーーなまえっ…!はぁっ…ッ…もう…あの場所まで俺が迎えに行くって言ったじゃん…!なんで動くの!」
「徹くん、部活お疲れ様です。…だってそんなの悪いよ!学校から離れてるのに…。一緒に帰るなら私が徹くんとはじめちゃんが居る場所に行けばいいんだから…」
「だめ!だめっ!こんな可愛い女の子が一人薄暗い道を歩いてるなんて及川さん不安になる!ってなワケで必死に走ってたら岩チャン一人置いてきちゃったから…合流したらなまえも一緒に謝ってくれる?」
「ふふっ、いいよ」
「それじゃ参りましょうかお姫様?鞄貸しーー…」
及川はなまえの頭を優しく、よしよし、と撫でて彼女の手荷物や鞄を持とうとした瞬間、彼女の髪の毛や身体からふわり、としたーーいつもと異なるシャンプー等の香りがして思い切り表情を強張らせた。
は?なんで…?今朝会った時から学校で別れた時迄はいつもの俺が大好きななまえの香りだった筈なのに…あ、そっか、何処かのお店で化粧品や香水を試したり使ったりしたのかな…?でも何でかな?ーーー何でこんなに胸糞悪い胸騒ぎがするんだろう。
「?徹くん、どうしたの…?」
「いや…あのさなまえ…お前、今さっきまで何処に居て何してた?」
「!?ぁ…あのっ…」
「ーーッは、何その蕩けた顔…まさか俺に言えないの…?」
「…違っ…」
「言えよ」
「及川テメェェ1人で道突っ走ってんじゃねェェエ!危ねぇだろうが!! 」
「「 !?」」
及川が強い憂鬱な顔でなまえの髪の毛を僅かに掬ってクッ…と掴みながら揺れる大きな瞳を覗き問えば、なまえは、自身に対していつもと異なる及川の雰囲気に怯み、自身の所為で散々振り回した数々の要因なる本日の出来事を思い出し、そんな情けなくて恥ずかしい事言えるわけ無い…!と、かぁぁッ、と頬を染めて困惑しては返答にたじたじ…となり、そんな彼女の様子を見た及川は胸糞悪い強い胸騒ぎの所為もあり、ムッと苛立ちなまえに当たる様に接した瞬間、及川が来た道の方向から怒った岩泉が走って来ては、2人してビクッと肩を跳ね上げたのだ。