コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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「徹くん、泣かないで…!」
「ーーええ…あれ…?」
鈴を転がす様な声から指摘されて、気が付いた時にはもう既に両頬には生温かい情と、ツゥっ、とした未来へと繋がる道筋が浮かび上がって居た。
自身らにとっての最後の春高は準決勝まで勝ち進んだのだが、対戦相手であった烏野とファイナルセットまで激戦し、結果は惜しくも敗れて仕舞う。故に部活でのバレーボールは引退である。後に慰労会をし監督から食事を奢って貰い、それでも食べなきゃやってられない的な、何かに縋らなければ如何にか成りそうで、何時ものラーメン屋に数名のメンバーで立ち寄ってガッツリ食し、最終的には何故か皆一斉に足が向かった青城体育館で、三年生だけでラーメン吐き出しそうに成りながらも最後のバレーボールして案の定、綺麗に終われずに泣いて、岩泉となまえと三人で帰宅の最中に岩泉から「お前は幸せになれない」なんて呪いをかけられたと思えば(生涯、納得する事無くバレーボールを追いかけ続けるって意味合いなんだろうね)家に入る寸前に愛しの天使から女神の御加護を与えられた。長い説明には成ったが今ココ!である。ーー要するに、ごめん岩ちゃん。俺は今、凄く幸せだよ。
「あれ…俺、なんか負けた衝撃とウシワカからちょっかい出されたのと、飯食い過ぎ、極めつけは岩ちゃんからの呪いで遂におかしくなった…?幻聴…?」
及川は自身の頬を伝う止まらない涙を流しながら、頬をぽぽっ、と染めるなまえに問い掛けてみれば「ーーじゃぁ…もう一度言うね?」と言いながら、ぽてん、と傍に駆け寄り濡れる両頬を、むぎゅっ、と摘む。華奢な身体でグッと必死で見上げる至近距離の女神がどんな場面でも世界で一番可愛い…だけどちょっと、頬が痛い…
「私、徹くんの事がだいすきだよ。これからも貴方の背中に着いていきたいの。だから…私と結婚してくれる?」
「ーーッ!?(ぼふん)」
人間と云う生き物は驚愕のある一定のラインを超えた際には声が出ないんだな、って実感した。なまえに言いたい事は沢山ある、伝えたい事だってそれはもう両腕に抱えられない程に…!其れを全てぐちゃぐちゃに混ぜて引っ括めて判断した本能は、目の前の彼女をギュッ、と無言で抱き締める事だった。ああ、彼女を抱き締めてる手がカタカタ震える…!
「ーーあ、あのね、なまえ…!俺ね、卒業したら…ッ」
「アルゼンチンに行くんでしょ?」
「ウンウン…!それでね、なまえは医師に成る為に6年間、東京の大学に通うんだよね?」
「うん。そうだよ」
「ーー会いたい時には中々会えないし遠距離恋愛にはなっちゃうけど…覚悟はある?泣かない?」
「…ごめんなさい。きっと、たくさん泣いてしまうけど…でも強い覚悟はあるよ。結婚して生涯を共にする、私の全部を守れるくらい力をつけて迎えに来るって言葉を、ずっと信じて待ってて良いんだよね?」
「うん、待ってて。必ず約束守って、なまえの全部を護れる程に強くなって、迎えに行くからーー!」
「…徹くんはね、辛く苦しい道を選んで歩く人ではあるんだろうけど、全ての正しい努力を重ねて才能を開花させる人なんだよ。私にとって徹くんの存在は深くて大きくて温かくて…ずっと、ずっと、誰よりも傍に居たくて今まで徹くんの背中を信じて着いてきたの。だって、貴方の選択に一度たりとも間違いはないもの」
ああ…もう本当に、好きだ。例えばの話、なまえを愛する事に対し世界を敵に回す事に成るのならば即ち、全員倒すだけ。ずっと、ずっと、なまえだけが愛しい。ーー様々な遠回りはしたけれど、俺達が生を受けてこの世に産まれた瞬間から運命は決まって居たんだね。
「徹くんだけを愛してます…」
「絶対に大切にするから」
愛及屋烏ーー万華鏡が割れ零れ落ちた星空の下、月兎の小さな小指の先に巻き付けた運命の赤い糸を解き、左手の薬指に新たに巻いては、生涯の誓の深い口付けを交わす。
◇◇◇
「今回このオリンピックの期間に於きまして、チームドクターと共に付き添わせて頂きます。何でも申し付けてくださいね。宜しくお願い致します」
「~~はぅぅっ…!なまえさん!俺は貴女が例え人妻であろうと…っ、更には俺の尊敬する内一人の御方の奥様であろうと…この気持ちは決して変わりません。貴女が困っている時や助けて欲しい時には必ず飛んでいきます…!」
「ーー翔ちゃん…いつも有難う」
「はァっ!?翔陽くん、抜けがけやめェや!」
「おい、なまえには俺も着いてるし十分間に合ってるから、日向はバレーに専念しろ。宮はいちいちなまえ見て興奮すんな!お前らは歴とした大人だろうが」
時は経ちオリンピックが開催される最中、全日本代表メンバーの控え室では、なまえは医師としてメンバーに挨拶していた。日向は、永遠の純白の天使である華奢な両手を救い握り包み、左手の薬指に光る小さな結婚指輪を見て、グッ、と涙を堪えて鼻水を啜るが、なまえと運命的な出会いを果たした瞬間から、なまえに対する気持ちも決意も何一つ変わっては居らず、別の形でなまえに愛情を伝え見守り続けているのだ。
「あの、なまえさん。あの多感な時期…貴女が励まして支えてくれたからーーあの時、一つ一つの貴女の温かくて包み込んでくれる様な言葉があったからこそ、俺は今の舞台に立てています。」
"「ーーそっかぁ…!あのね…飛雄くんのその選択は、きっといつの日かバレーボール界に重要な意味を成す思う。それは青葉城西では絶対に叶わない。ーー飛雄くんはもっと素敵な笑顔になれるんだよ」"
騒がしい横でなまえに話し掛ける影山は、自身がバレーボールで勝ち続ける事をもなまえに対する自身なりの恩返しだと思っている、と伝えれば、なまえは目に涙を浮べ、ふわり、とした優しく温かい笑顔で微笑む。
「ーーなまえ、一応確認したいのだが、お前の結婚相手と云うのはーー」
「牛島、なまえの首から下げてるネームホルダーで確認してみろ」
「ーー!フッ、そうか。お前はあの背中を選んで幸せか?」
「うんっ…!私は世界で一番、幸せだよ」
牛島の問い掛けに対し其の場に居る人物の表情は各々異なる。岩泉は牛島にネームホルダーの確認を促しなまえの応えを聞けば、ニコッ、と眩しく笑い、日向は目を涙で潤ませ、侑は春高の際に観戦に来ていたなまえに対して雑誌で見た時より想像以上に衝撃を受け、やっぱり一目惚れ、諦めつかないままズルズル引き摺りズゥン…と落ち込む。
「へ?何そのバラバラな反応?皆、なまえちゃん先生の結婚相手知ってんのか?」
木兎が侑の肩に手を掛け前のめりに成れば、ブチッとなった侑の軽い肘打ちが木兎の頬にめり込む中、なまえは「うん。いつも主人がお世話になっております。そして今回も…」と声を発した瞬間、世界最高峰の舞台、"世界一ゼイタクな内輪揉め"を行う場所へ集う時間を迎えるのだ。
「皆、いってらっしゃい!」
ーーー
ーー
ー
「ーー日本は現在このアルゼンチンに2連敗を喫しています。話題なのはやはりアルゼンチン代表のセッター オイカワ。高校卒業後、ブランコ監督に師事して単身アルゼンチンに渡り後に帰化ーー…」
「そんな彼はバレーボール界きっての愛妻家!奥様とは幼なじみであり彼曰く情緒的で甘美な物語が存在するとの事ですよ!そんな及川選手が"勝利の女神"と称す奥様との事も何時かゆっくり話を聞いてみたい所でもありますね」
◇◇◇
「ーー俺の啖呵忘れてねぇのな、オイカワセンパイ。俺かアンタか何方かが斃った瞬間マジで覚悟しとけよな。舞台が現世じゃない、ってだけの話であって、そん時は今度こそ必ずなまえを貰うんだからな」
「ーーン?」
「なんでもねぇよ。青根、先ずは御手並み拝見といこうぜ」
「ーーええ…あれ…?」
鈴を転がす様な声から指摘されて、気が付いた時にはもう既に両頬には生温かい情と、ツゥっ、とした未来へと繋がる道筋が浮かび上がって居た。
自身らにとっての最後の春高は準決勝まで勝ち進んだのだが、対戦相手であった烏野とファイナルセットまで激戦し、結果は惜しくも敗れて仕舞う。故に部活でのバレーボールは引退である。後に慰労会をし監督から食事を奢って貰い、それでも食べなきゃやってられない的な、何かに縋らなければ如何にか成りそうで、何時ものラーメン屋に数名のメンバーで立ち寄ってガッツリ食し、最終的には何故か皆一斉に足が向かった青城体育館で、三年生だけでラーメン吐き出しそうに成りながらも最後のバレーボールして案の定、綺麗に終われずに泣いて、岩泉となまえと三人で帰宅の最中に岩泉から「お前は幸せになれない」なんて呪いをかけられたと思えば(生涯、納得する事無くバレーボールを追いかけ続けるって意味合いなんだろうね)家に入る寸前に愛しの天使から女神の御加護を与えられた。長い説明には成ったが今ココ!である。ーー要するに、ごめん岩ちゃん。俺は今、凄く幸せだよ。
「あれ…俺、なんか負けた衝撃とウシワカからちょっかい出されたのと、飯食い過ぎ、極めつけは岩ちゃんからの呪いで遂におかしくなった…?幻聴…?」
及川は自身の頬を伝う止まらない涙を流しながら、頬をぽぽっ、と染めるなまえに問い掛けてみれば「ーーじゃぁ…もう一度言うね?」と言いながら、ぽてん、と傍に駆け寄り濡れる両頬を、むぎゅっ、と摘む。華奢な身体でグッと必死で見上げる至近距離の女神がどんな場面でも世界で一番可愛い…だけどちょっと、頬が痛い…
「私、徹くんの事がだいすきだよ。これからも貴方の背中に着いていきたいの。だから…私と結婚してくれる?」
「ーーッ!?(ぼふん)」
人間と云う生き物は驚愕のある一定のラインを超えた際には声が出ないんだな、って実感した。なまえに言いたい事は沢山ある、伝えたい事だってそれはもう両腕に抱えられない程に…!其れを全てぐちゃぐちゃに混ぜて引っ括めて判断した本能は、目の前の彼女をギュッ、と無言で抱き締める事だった。ああ、彼女を抱き締めてる手がカタカタ震える…!
「ーーあ、あのね、なまえ…!俺ね、卒業したら…ッ」
「アルゼンチンに行くんでしょ?」
「ウンウン…!それでね、なまえは医師に成る為に6年間、東京の大学に通うんだよね?」
「うん。そうだよ」
「ーー会いたい時には中々会えないし遠距離恋愛にはなっちゃうけど…覚悟はある?泣かない?」
「…ごめんなさい。きっと、たくさん泣いてしまうけど…でも強い覚悟はあるよ。結婚して生涯を共にする、私の全部を守れるくらい力をつけて迎えに来るって言葉を、ずっと信じて待ってて良いんだよね?」
「うん、待ってて。必ず約束守って、なまえの全部を護れる程に強くなって、迎えに行くからーー!」
「…徹くんはね、辛く苦しい道を選んで歩く人ではあるんだろうけど、全ての正しい努力を重ねて才能を開花させる人なんだよ。私にとって徹くんの存在は深くて大きくて温かくて…ずっと、ずっと、誰よりも傍に居たくて今まで徹くんの背中を信じて着いてきたの。だって、貴方の選択に一度たりとも間違いはないもの」
ああ…もう本当に、好きだ。例えばの話、なまえを愛する事に対し世界を敵に回す事に成るのならば即ち、全員倒すだけ。ずっと、ずっと、なまえだけが愛しい。ーー様々な遠回りはしたけれど、俺達が生を受けてこの世に産まれた瞬間から運命は決まって居たんだね。
「徹くんだけを愛してます…」
「絶対に大切にするから」
愛及屋烏ーー万華鏡が割れ零れ落ちた星空の下、月兎の小さな小指の先に巻き付けた運命の赤い糸を解き、左手の薬指に新たに巻いては、生涯の誓の深い口付けを交わす。
◇◇◇
「今回このオリンピックの期間に於きまして、チームドクターと共に付き添わせて頂きます。何でも申し付けてくださいね。宜しくお願い致します」
「~~はぅぅっ…!なまえさん!俺は貴女が例え人妻であろうと…っ、更には俺の尊敬する内一人の御方の奥様であろうと…この気持ちは決して変わりません。貴女が困っている時や助けて欲しい時には必ず飛んでいきます…!」
「ーー翔ちゃん…いつも有難う」
「はァっ!?翔陽くん、抜けがけやめェや!」
「おい、なまえには俺も着いてるし十分間に合ってるから、日向はバレーに専念しろ。宮はいちいちなまえ見て興奮すんな!お前らは歴とした大人だろうが」
時は経ちオリンピックが開催される最中、全日本代表メンバーの控え室では、なまえは医師としてメンバーに挨拶していた。日向は、永遠の純白の天使である華奢な両手を救い握り包み、左手の薬指に光る小さな結婚指輪を見て、グッ、と涙を堪えて鼻水を啜るが、なまえと運命的な出会いを果たした瞬間から、なまえに対する気持ちも決意も何一つ変わっては居らず、別の形でなまえに愛情を伝え見守り続けているのだ。
「あの、なまえさん。あの多感な時期…貴女が励まして支えてくれたからーーあの時、一つ一つの貴女の温かくて包み込んでくれる様な言葉があったからこそ、俺は今の舞台に立てています。」
"「ーーそっかぁ…!あのね…飛雄くんのその選択は、きっといつの日かバレーボール界に重要な意味を成す思う。それは青葉城西では絶対に叶わない。ーー飛雄くんはもっと素敵な笑顔になれるんだよ」"
騒がしい横でなまえに話し掛ける影山は、自身がバレーボールで勝ち続ける事をもなまえに対する自身なりの恩返しだと思っている、と伝えれば、なまえは目に涙を浮べ、ふわり、とした優しく温かい笑顔で微笑む。
「ーーなまえ、一応確認したいのだが、お前の結婚相手と云うのはーー」
「牛島、なまえの首から下げてるネームホルダーで確認してみろ」
「ーー!フッ、そうか。お前はあの背中を選んで幸せか?」
「うんっ…!私は世界で一番、幸せだよ」
牛島の問い掛けに対し其の場に居る人物の表情は各々異なる。岩泉は牛島にネームホルダーの確認を促しなまえの応えを聞けば、ニコッ、と眩しく笑い、日向は目を涙で潤ませ、侑は春高の際に観戦に来ていたなまえに対して雑誌で見た時より想像以上に衝撃を受け、やっぱり一目惚れ、諦めつかないままズルズル引き摺りズゥン…と落ち込む。
「へ?何そのバラバラな反応?皆、なまえちゃん先生の結婚相手知ってんのか?」
木兎が侑の肩に手を掛け前のめりに成れば、ブチッとなった侑の軽い肘打ちが木兎の頬にめり込む中、なまえは「うん。いつも主人がお世話になっております。そして今回も…」と声を発した瞬間、世界最高峰の舞台、"世界一ゼイタクな内輪揉め"を行う場所へ集う時間を迎えるのだ。
「皆、いってらっしゃい!」
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「ーー日本は現在このアルゼンチンに2連敗を喫しています。話題なのはやはりアルゼンチン代表のセッター オイカワ。高校卒業後、ブランコ監督に師事して単身アルゼンチンに渡り後に帰化ーー…」
「そんな彼はバレーボール界きっての愛妻家!奥様とは幼なじみであり彼曰く情緒的で甘美な物語が存在するとの事ですよ!そんな及川選手が"勝利の女神"と称す奥様との事も何時かゆっくり話を聞いてみたい所でもありますね」
◇◇◇
「ーー俺の啖呵忘れてねぇのな、オイカワセンパイ。俺かアンタか何方かが斃った瞬間マジで覚悟しとけよな。舞台が現世じゃない、ってだけの話であって、そん時は今度こそ必ずなまえを貰うんだからな」
「ーーン?」
「なんでもねぇよ。青根、先ずは御手並み拝見といこうぜ」