コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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「コレでチャラな。どっちだって同じ一点だ」
「「岩泉さんカッケー!」」
「岩ちゃんに負けた気分…!」
「お前は今までのいつ俺に勝ったんだ?」
「~~はわぁっ…はじめちゃん、だいすきっ…!誕生日の時だけじゃなくて食べたくなったら、はじめちゃんの大好きな揚げ出し豆腐たくさん作るからね」
「たくさんじゃ足りねぇ。お前は俺の飯を一生作れよ!」
「あらまー…まさかの此処で愛の全公開告白…。岩泉も烏野10番に引けを取らないんじゃねぇの?」
「!?…岩ちゃん絶対に駄目だよそんなの…!俺からなまえを奪って行かないで…!」
「徹くんのサーブは誰よりも強くてかっこいいよ!絶対に大丈夫だからね!」
「!ーー了解。試合終わったら普段よりも存分に甘やかしてよね。モチロン、二人きり…でね?」
「(幼なじみ共は普通に掛け合いしてるけど、これに慣れちゃってる俺達も大概なんだよなー)」
及川の煽りで試合開始前の出来事を思い出したなまえは、ぽふん、と赤面になるが直ぐにふるふる、と首を振り目の前に集中する。ーー現在スコアは3セット目両校互いに26点。体力も精神もガッツリと削れる辛い場面に於いて、岩泉の強い言葉で青葉城西は素早く建て直していた。ーー及川にとっては正直、烏野は様々な要因が重なり合って非常に邪魔である。早急に鬱陶しい烏を目の前から追っ払って、あの憎たらしい白鷲に挑んで凹まして確実なる勝利を得たいのだ。ーー及川の利点は、先を見通し且つ白鳥沢の絶対王者である牛島を常に強く意識し目標に向かっている。反面、岩泉の言う様に目の前の相手が霞む瞬間が産まれ隙を突かれる場面が存在する。其れを続けた場合、下手すれば足を掬われるのでは無かろうか?
"「ーー練習試合の時に特に感じたけど、無意識に目の前の俺らなんかよりずっとその先に居る誰かを常に意識して居やがるのな。…寧ろ其処を強くド突いて、俺らから出し抜かれるぞって事を気付かせてやりたい。んで、いつかあの新緑枯らして破城、踏み台にして俺らが全国行く」"
故に其れは、伊達工の二口にも気付かれている事であるのだ。そんな悪い流れを断ち切るのは、やはり副主将そして幼なじみの岩泉である。岩泉だからこそ成し得る業、及川の心まで確実に届く言葉。己を鼓舞し且つ岩泉の頼り甲斐のある強固なる言葉に確りと応える様、及川は、本日最高であるサーブを見事に撃ち込むのであった。
ーーー
ーー
ー
「(翔ちゃんの背中には綺麗に生え揃う漆黒の翼が見えるよーー其して、翔ちゃんを太陽と頂の景色へと導く飛雄くんは真価を発揮し素敵な顔をしてる…!ーー彼は、もう私の知ってるあの頃の飛雄くんじゃない。…自信と自身に満ち溢れる大切な場所を見つけたんだね。そして、きっといつの日かバレーボール界に重要な意味を成すんだ…)」
コートの端から端まで高く飛ぶ日向を見て、又、指揮をする影山の真骨頂を直接肌で感じて、なまえの目頭が強く熱く故に水膜を張り、堪えきれない涙が頬をツゥっ…と溢れ伝った刻と重なった頃合、激動なる交戦、影山の完璧なセットアップ、日向との神業速攻が終幕を彩りてーー国見と金田一、岩泉の決死の三枚に弾かれたボールは烏野コートに沈み、33対31。青葉城西の勝利で試合終了の笛が鳴るのだ。
◇◇◇
「英くん、お疲れ様。凄かったよ!」
「…そりゃ、なまえさんからあんなでっかい声で"英くん、お願い!"って言われちゃえば失敗出来ないよ」
「~~うぅっ!?」
「ーー良いよ。寧ろ、こちらこそありがとう。あと、普段からもっと言って」
「え…?」
「だから、その…もっと俺に頼って良いからね」
両校挨拶と握手を終え次にコートを使用する学校もアップの準備し始めた為、此方も様々な準備や支度をする。烏野との激戦の末、勝利を勝ち取った青葉城西だが未だ次に泉石戦が残っている為、余り余韻に浸る事も出来ない。次、そして次へと頂を強く見据えるのだ。
「勇くん、かっこよかったよ!はい、ドリンクと冷たいタオルどうぞ」
「~~なまえさんは青葉城西の誇る勝利の女神です…!貴女が傍に居れば俺達は無敵です…!ーーんんっ、ドリンクも俺の一番好みの種類だ…濃さもドンピシャで最高ッス!ありがとうございます!」
勿論、試合終了後により汗だくになってる彼らの為に、お疲れ様、の真心のある気立てある声掛けと共に新しいタオルや冷たい物、多種多様なるドリンク、様々なタイプの制汗剤の類、個々一人一人が望む物を熟知する様に無駄な動き無く自然と軽やかに渡して準備して行く。そして国見との会話の中で、国見の頬が染める何とも珍しい一面を見れた事に対して、なまえは、ふわり、と微笑んでは対応しながらも、新鮮且つ純粋に嬉しかった。
「「なまえ」」
「はい」
及川や岩泉がユニフォームを脱ぎ渡し差し出しながらなまえの名前を呼んだ絶妙な頃合、なまえが脱ぎ終わったユニフォームを引き取った後、綺麗に畳んで準備していた双方の皺一つ無い綺麗なセカンドユニフォームを渡し着替える一連の流れが、濁り無き華麗且つ当たり前の如く更に自然な行動であって、周囲は嫉妬しながらもスゲーな…なんて毎度関心して仕舞う。そういやなまえは、阿吽の制服のネクタイもやってあげちゃう女の子であり要はとことん奴らに甘い。実は、なまえにこっそりと(実はお子ちゃま)主将副主将に甘えるなってガツンと言わないの?なんて聞いた事があった。その際には彼女から、きょとん…とした表情をされ「?皆も何かあれば気軽に私に申し付けてくれて良いんだよ?」と返されたのだ。いやいや…其れは流石にマネの仕事の範疇を超えてるとも思われるしなまえに対しても申し訳無いし何よりそんな事を堂々とやらかして仕舞えば、あの阿吽共からパワー5正拳突きをかまされそうだ。…と云うよりも、息の合わせ方がもう互いを更に熟知している夫婦間の領域、確立及び成立しているからこそなせる行為であって、要はこんなん阿吽以外は無理だっつー話である。まぁ、あんな領域まで達しなくても、なまえが欠かさずユニフォームからタオル、使用するその他備品を常に綺麗に清潔に心地よく全てを支度してくれる事を知っているから、周囲はとても有難く思い、深く感謝している。そして日々のなまえとの触れ合いの中で、部員にとっても人間として大切な事を学ぶ機会がある。その一部として、思春期男子ではあるが、自分の父親や母親に対しても確りと言葉にして感謝を伝える様になったのだ。父親や母親の喜ぶ顔が気恥しいがほっこりし其れをなまえにも伝えれば、なまえは自分の事のように一緒になって喜んでくれる。兎に角、この女性は見た目はぽわわん、として癒し系であるが、色々な意味でとっても凄い女性であるのだ。少なくとも救世主である。
「ーーよし、行こうか」
あと少し…!あと少しで全国だ… !と現在コートに残る誰もが望む在るべき場所に立つ為に、本日の泉石戦をも見事に勝ちのし上がり決勝戦までの道程を歩む。3年生にとって最後のインハイ予選は、遂に白鳥沢戦へと舞台を進めるのであった。
◇◇◇
「若利くんいつもありが「ーーなまえ、今すぐ口をあけ舌出して此処で舐めろ」ーーえ…?んぅっ…!?」
「「「「!?(ヒュン)」」」」
インターハイ予選3日目。インハイ予選決勝"青葉城西VS白鳥沢"開始前ーー
いつもの如くなまえは準備を抜かりなく完璧に行い、そして時間に余裕を持たせ、事前に白鳥沢側の鷲匠や斉藤に丁寧に挨拶を済まし、偶然にも牛島をも含む白鳥沢の主要メンバーと話す機会が生じたので、普段通りに彼女特有である真心を込め敬意を表し、挨拶と自己紹介を行う。一方、なまえが青城のマネージャーだった、と云う事をすっかり忘れていた牛島は、何だか自身でも理解出来ない様なモヤモヤした感を覚え、自身のカバンの中に常に丁寧に管理し潜ませている、可愛らしいうさぎモチーフである棒付き飴を取り出しペリペリ…と包みを外して、なまえのぷるぷるした桜桃の口元に寄せ含ませれば、こちゅ、こちゅ、と無理やり飴を舌に擦り付け絡ませ、頬をピンクに染めトロリ…とした表情に変わっていくなまえを眺めては、少しだけ満足感に浸り自身のモヤモヤを取り払うのだ。
「…ん…ぁ…ま…っへ…ぇ…」
「~~ヒョッ!?若利クン!あらマァいけません!そして工の鼻血!」
「(うわぁ…この子すげーエロ…)」
「あぁぁぁ牛島さん!この女性が可哀想です!あのっ大丈夫ですか…!?すみません…!俺が大丈夫じゃないっ…ティッシュ…!」
「(へぇ…あの牛島さんもあんな一面あるんだ…おもしれぇ)」
「~~賢二郎は見蕩れない!」
青葉城西との決戦を控える中、更になまえの環境の事も相余ったのか、珍しくいつも普段通りでは無い対応で接すれば、白鳥沢側が大いに慌てふためき牛島に制止を掛けながら、あの牛島を此処までさせるなまえと云う存在に目を置くのだった。
「ーーなまえ、何やってんだよ!余計にぴょこぴょこどっか行くなら事前の挨拶は今後辞めさせるからな!」
「~~はじめちゃ、」
「!?お前、なまえに何仕出かしてんだよ…!」
「ーー岩泉か…。青城はなまえを独占且つ味方につけた様だがーー残念だが今回も俺達の前で這蹲に徹して貰う」
「ーーウチのを気安く呼んでナマ言ってンじゃねェぞ牛島…!」
ブチブチブチ…ッ、しながらも瞳の奥に青白い炎を宿す岩泉は、直ぐになまえを引き寄せ牛島と睨み合う。コート外では比較的、平和主義である(自称)天童や大平に「まーまーどーどーその気合いは試合に取っておいてネ」と互いに引き離され一時休戦するのだった。
ーーー
ーー
ー
「今日こそ凹ましてやるから覚悟しなよ。ウシワカちゃん」
「その呼び方をやめろ及川ーーまぁ、お前がやめないのならば此方も"俺が結婚するからお前は黙って許せ"と迄は言っとくか。これでオタガイサマだろう」
「ーーは?」
貴様らが愛でて大切にする子うさぎは飴と同じだ。此方がその気に成れば何時だっていとも簡単に舌で掬い蕩けた液体を唾液と共にツゥっ…と糸を引かせ、呑み込むなんて容易であるーー牛島は、混濁し滲ませる不思議な感をボールに馳せて、ネットの向こう側に居る、顔を思い切り顰める相手に叩き付ける如く無理矢理にも関連付けば、七日後の蝉、ソフトクリームの最後のひと口、そして氷が溶け切り酸が抜け魅力と味が薄まったラムネサイダーは、テーブルから下げられ暖簾を終い、此の儘、今年の夏が終わるのだ。ーー白鳥沢に対して青葉城西も引けを取らず接戦ではあったが、今迄の経験や策、自信や自尊心、必死に積み上げて来た過程をも全て否定される様に打ち拉がす目の前の王者に絶対的な力を誇示され、悲願の勝利を掴む事は叶わず、白鳥沢が夏の全国への切符を手にするのだった。
「「岩泉さんカッケー!」」
「岩ちゃんに負けた気分…!」
「お前は今までのいつ俺に勝ったんだ?」
「~~はわぁっ…はじめちゃん、だいすきっ…!誕生日の時だけじゃなくて食べたくなったら、はじめちゃんの大好きな揚げ出し豆腐たくさん作るからね」
「たくさんじゃ足りねぇ。お前は俺の飯を一生作れよ!」
「あらまー…まさかの此処で愛の全公開告白…。岩泉も烏野10番に引けを取らないんじゃねぇの?」
「!?…岩ちゃん絶対に駄目だよそんなの…!俺からなまえを奪って行かないで…!」
「徹くんのサーブは誰よりも強くてかっこいいよ!絶対に大丈夫だからね!」
「!ーー了解。試合終わったら普段よりも存分に甘やかしてよね。モチロン、二人きり…でね?」
「(幼なじみ共は普通に掛け合いしてるけど、これに慣れちゃってる俺達も大概なんだよなー)」
及川の煽りで試合開始前の出来事を思い出したなまえは、ぽふん、と赤面になるが直ぐにふるふる、と首を振り目の前に集中する。ーー現在スコアは3セット目両校互いに26点。体力も精神もガッツリと削れる辛い場面に於いて、岩泉の強い言葉で青葉城西は素早く建て直していた。ーー及川にとっては正直、烏野は様々な要因が重なり合って非常に邪魔である。早急に鬱陶しい烏を目の前から追っ払って、あの憎たらしい白鷲に挑んで凹まして確実なる勝利を得たいのだ。ーー及川の利点は、先を見通し且つ白鳥沢の絶対王者である牛島を常に強く意識し目標に向かっている。反面、岩泉の言う様に目の前の相手が霞む瞬間が産まれ隙を突かれる場面が存在する。其れを続けた場合、下手すれば足を掬われるのでは無かろうか?
"「ーー練習試合の時に特に感じたけど、無意識に目の前の俺らなんかよりずっとその先に居る誰かを常に意識して居やがるのな。…寧ろ其処を強くド突いて、俺らから出し抜かれるぞって事を気付かせてやりたい。んで、いつかあの新緑枯らして破城、踏み台にして俺らが全国行く」"
故に其れは、伊達工の二口にも気付かれている事であるのだ。そんな悪い流れを断ち切るのは、やはり副主将そして幼なじみの岩泉である。岩泉だからこそ成し得る業、及川の心まで確実に届く言葉。己を鼓舞し且つ岩泉の頼り甲斐のある強固なる言葉に確りと応える様、及川は、本日最高であるサーブを見事に撃ち込むのであった。
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「(翔ちゃんの背中には綺麗に生え揃う漆黒の翼が見えるよーー其して、翔ちゃんを太陽と頂の景色へと導く飛雄くんは真価を発揮し素敵な顔をしてる…!ーー彼は、もう私の知ってるあの頃の飛雄くんじゃない。…自信と自身に満ち溢れる大切な場所を見つけたんだね。そして、きっといつの日かバレーボール界に重要な意味を成すんだ…)」
コートの端から端まで高く飛ぶ日向を見て、又、指揮をする影山の真骨頂を直接肌で感じて、なまえの目頭が強く熱く故に水膜を張り、堪えきれない涙が頬をツゥっ…と溢れ伝った刻と重なった頃合、激動なる交戦、影山の完璧なセットアップ、日向との神業速攻が終幕を彩りてーー国見と金田一、岩泉の決死の三枚に弾かれたボールは烏野コートに沈み、33対31。青葉城西の勝利で試合終了の笛が鳴るのだ。
◇◇◇
「英くん、お疲れ様。凄かったよ!」
「…そりゃ、なまえさんからあんなでっかい声で"英くん、お願い!"って言われちゃえば失敗出来ないよ」
「~~うぅっ!?」
「ーー良いよ。寧ろ、こちらこそありがとう。あと、普段からもっと言って」
「え…?」
「だから、その…もっと俺に頼って良いからね」
両校挨拶と握手を終え次にコートを使用する学校もアップの準備し始めた為、此方も様々な準備や支度をする。烏野との激戦の末、勝利を勝ち取った青葉城西だが未だ次に泉石戦が残っている為、余り余韻に浸る事も出来ない。次、そして次へと頂を強く見据えるのだ。
「勇くん、かっこよかったよ!はい、ドリンクと冷たいタオルどうぞ」
「~~なまえさんは青葉城西の誇る勝利の女神です…!貴女が傍に居れば俺達は無敵です…!ーーんんっ、ドリンクも俺の一番好みの種類だ…濃さもドンピシャで最高ッス!ありがとうございます!」
勿論、試合終了後により汗だくになってる彼らの為に、お疲れ様、の真心のある気立てある声掛けと共に新しいタオルや冷たい物、多種多様なるドリンク、様々なタイプの制汗剤の類、個々一人一人が望む物を熟知する様に無駄な動き無く自然と軽やかに渡して準備して行く。そして国見との会話の中で、国見の頬が染める何とも珍しい一面を見れた事に対して、なまえは、ふわり、と微笑んでは対応しながらも、新鮮且つ純粋に嬉しかった。
「「なまえ」」
「はい」
及川や岩泉がユニフォームを脱ぎ渡し差し出しながらなまえの名前を呼んだ絶妙な頃合、なまえが脱ぎ終わったユニフォームを引き取った後、綺麗に畳んで準備していた双方の皺一つ無い綺麗なセカンドユニフォームを渡し着替える一連の流れが、濁り無き華麗且つ当たり前の如く更に自然な行動であって、周囲は嫉妬しながらもスゲーな…なんて毎度関心して仕舞う。そういやなまえは、阿吽の制服のネクタイもやってあげちゃう女の子であり要はとことん奴らに甘い。実は、なまえにこっそりと(実はお子ちゃま)主将副主将に甘えるなってガツンと言わないの?なんて聞いた事があった。その際には彼女から、きょとん…とした表情をされ「?皆も何かあれば気軽に私に申し付けてくれて良いんだよ?」と返されたのだ。いやいや…其れは流石にマネの仕事の範疇を超えてるとも思われるしなまえに対しても申し訳無いし何よりそんな事を堂々とやらかして仕舞えば、あの阿吽共からパワー5正拳突きをかまされそうだ。…と云うよりも、息の合わせ方がもう互いを更に熟知している夫婦間の領域、確立及び成立しているからこそなせる行為であって、要はこんなん阿吽以外は無理だっつー話である。まぁ、あんな領域まで達しなくても、なまえが欠かさずユニフォームからタオル、使用するその他備品を常に綺麗に清潔に心地よく全てを支度してくれる事を知っているから、周囲はとても有難く思い、深く感謝している。そして日々のなまえとの触れ合いの中で、部員にとっても人間として大切な事を学ぶ機会がある。その一部として、思春期男子ではあるが、自分の父親や母親に対しても確りと言葉にして感謝を伝える様になったのだ。父親や母親の喜ぶ顔が気恥しいがほっこりし其れをなまえにも伝えれば、なまえは自分の事のように一緒になって喜んでくれる。兎に角、この女性は見た目はぽわわん、として癒し系であるが、色々な意味でとっても凄い女性であるのだ。少なくとも救世主である。
「ーーよし、行こうか」
あと少し…!あと少しで全国だ… !と現在コートに残る誰もが望む在るべき場所に立つ為に、本日の泉石戦をも見事に勝ちのし上がり決勝戦までの道程を歩む。3年生にとって最後のインハイ予選は、遂に白鳥沢戦へと舞台を進めるのであった。
◇◇◇
「若利くんいつもありが「ーーなまえ、今すぐ口をあけ舌出して此処で舐めろ」ーーえ…?んぅっ…!?」
「「「「!?(ヒュン)」」」」
インターハイ予選3日目。インハイ予選決勝"青葉城西VS白鳥沢"開始前ーー
いつもの如くなまえは準備を抜かりなく完璧に行い、そして時間に余裕を持たせ、事前に白鳥沢側の鷲匠や斉藤に丁寧に挨拶を済まし、偶然にも牛島をも含む白鳥沢の主要メンバーと話す機会が生じたので、普段通りに彼女特有である真心を込め敬意を表し、挨拶と自己紹介を行う。一方、なまえが青城のマネージャーだった、と云う事をすっかり忘れていた牛島は、何だか自身でも理解出来ない様なモヤモヤした感を覚え、自身のカバンの中に常に丁寧に管理し潜ませている、可愛らしいうさぎモチーフである棒付き飴を取り出しペリペリ…と包みを外して、なまえのぷるぷるした桜桃の口元に寄せ含ませれば、こちゅ、こちゅ、と無理やり飴を舌に擦り付け絡ませ、頬をピンクに染めトロリ…とした表情に変わっていくなまえを眺めては、少しだけ満足感に浸り自身のモヤモヤを取り払うのだ。
「…ん…ぁ…ま…っへ…ぇ…」
「~~ヒョッ!?若利クン!あらマァいけません!そして工の鼻血!」
「(うわぁ…この子すげーエロ…)」
「あぁぁぁ牛島さん!この女性が可哀想です!あのっ大丈夫ですか…!?すみません…!俺が大丈夫じゃないっ…ティッシュ…!」
「(へぇ…あの牛島さんもあんな一面あるんだ…おもしれぇ)」
「~~賢二郎は見蕩れない!」
青葉城西との決戦を控える中、更になまえの環境の事も相余ったのか、珍しくいつも普段通りでは無い対応で接すれば、白鳥沢側が大いに慌てふためき牛島に制止を掛けながら、あの牛島を此処までさせるなまえと云う存在に目を置くのだった。
「ーーなまえ、何やってんだよ!余計にぴょこぴょこどっか行くなら事前の挨拶は今後辞めさせるからな!」
「~~はじめちゃ、」
「!?お前、なまえに何仕出かしてんだよ…!」
「ーー岩泉か…。青城はなまえを独占且つ味方につけた様だがーー残念だが今回も俺達の前で這蹲に徹して貰う」
「ーーウチのを気安く呼んでナマ言ってンじゃねェぞ牛島…!」
ブチブチブチ…ッ、しながらも瞳の奥に青白い炎を宿す岩泉は、直ぐになまえを引き寄せ牛島と睨み合う。コート外では比較的、平和主義である(自称)天童や大平に「まーまーどーどーその気合いは試合に取っておいてネ」と互いに引き離され一時休戦するのだった。
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「今日こそ凹ましてやるから覚悟しなよ。ウシワカちゃん」
「その呼び方をやめろ及川ーーまぁ、お前がやめないのならば此方も"俺が結婚するからお前は黙って許せ"と迄は言っとくか。これでオタガイサマだろう」
「ーーは?」
貴様らが愛でて大切にする子うさぎは飴と同じだ。此方がその気に成れば何時だっていとも簡単に舌で掬い蕩けた液体を唾液と共にツゥっ…と糸を引かせ、呑み込むなんて容易であるーー牛島は、混濁し滲ませる不思議な感をボールに馳せて、ネットの向こう側に居る、顔を思い切り顰める相手に叩き付ける如く無理矢理にも関連付けば、七日後の蝉、ソフトクリームの最後のひと口、そして氷が溶け切り酸が抜け魅力と味が薄まったラムネサイダーは、テーブルから下げられ暖簾を終い、此の儘、今年の夏が終わるのだ。ーー白鳥沢に対して青葉城西も引けを取らず接戦ではあったが、今迄の経験や策、自信や自尊心、必死に積み上げて来た過程をも全て否定される様に打ち拉がす目の前の王者に絶対的な力を誇示され、悲願の勝利を掴む事は叶わず、白鳥沢が夏の全国への切符を手にするのだった。