コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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「あのね、私の力量だとこの数量と出来が限界で…あ、あの…怪我しない様に頑張ってね…!あと、勝って全国に行って欲しいです…!」
とうとうインハイが始まる。なまえの手直した横断幕の基に入畑や溝口からの激励を終え解散した後、なまえが頑張って気持ちを込めて作った青葉城西カラーの小さな御守りを4人に手渡しすると、暫く硬直した後に目をうるうる…ッと潤ませ同時に、ぶわァァっ、と感激の涙を一斉に溢れさせるのだ。
「スゲーな!作るの大変だったろ?あー、だからなまえの指が絆創膏だらけだったのな。よしよし頑張ったな」
「なまえちゃん…っ俺とハグふぉあ「なまえちゃん!ありがとう♡ずっと大切にするからね」~~松川!俺を押し退けるな…っ!」
岩泉がなまえの頭を優しく撫で、なまえに対してハグを求める花巻の身体を強引に押し退け遮れば、松川がなまえの両手をきゅ、と握り、なまえの愛い笑顔に導かれ、ほわほわん、と可愛らしいお花が舞うムードで関わり合うのだ。この子達の親近度が極めて高いのは青城の素晴らしい一つの点である。
「(そっかーーそうだったんだね)」
なまえが潮神にこっそり手芸を教えて貰って居た、と云う意味を、やっと此処で及川にも理解して心の底からジィン…としては感慨無量なる状態であるのだ。若しかしたら二口にも可愛い御守り渡したのかな、なんて思考はあるっちゃあったけど、なまえが頑張って作った自分宛なる御守りを手にすれば、不思議と気持ちがスゥッ…と落ち着いて一瞬にしてクソ生意気舌ペロ顔は脳裏から消えてサヨウナラした。ーーあ、この御守りめちゃくちゃ凄い。バレーボールだけじゃなくて様々な事に対しても御利益有りそう。まぁ、別に二口クンとの過程には少しだけ目を瞑ってやる事も出来るよ?所詮はガキの足掻きなワケだから。大人で先輩な及川さんはいつだって常に冷静。その変わり、必ずや最終的になまえが自身の傍に居てくれれば、の話だけどネ。ーー兎に角、先ずは目の前の敵を倒して全国に行きたい。
「なまえ、おいで」
「「「!?」」」
「~~っ、徹く…あのっ…皆見てるよ…ねぇってば…!」
「見せつけとけばいいじゃん。なまえは俺のでしょ?」
「…やだっ…離して…!恥ずかしくて死んじゃうっ…」
「いやだね。恥ずかしいんじゃなくて寂しいから死んじゃうんだよね?だってオマエはすぐ何処かにぴょこぴょこ跳ねてっちゃうんだもん」
「……?」
華奢な身体が身長差のある及川から強くギュゥ、と抱きしめられ閉じ込めて仕舞えば、他の3人からはなまえの姿は隠れ見えなくなって、きゅっ、と及川の服を弱々しく掴む小さな手だけが視界に映るのだ。花巻や松川は羨望の眼差しを含んだ苦笑いと共に「ヤレヤレ冷静になりなさいよ」と「ハイハイゴチソーサマ」なんて返すが、ワナワナ…と怒りの炎を燃やす岩泉が直ぐに及川となまえを無理矢理ベリっ☆と引き剥がし、なまえを腕にひょいっと担いで離れる。
「ーー及川、勘違いするなよ?なまえは今は未だ俺の保護管理下にある。即ち、なまえは俺のだから手ぇ出すな。その脳ミソにブチ込んでおけ」
「はじめちゃん…かっこいい…!」
「岩ちゃん、初期の頃と今言ってる事が少し違くない!?」
「ーーさぁ、知らんな」
実はこの御方も最近は大いに吹っ切れて大概である。なまえを誰かに奪われるのは今は未だ認めたくなく嫌なのだ。要するに、なまえを手放すのはまだ早えって奴である。岩泉だって男子高校生であり大人と子供の境界線に居るのだ。決して大人じゃないのだから色々と許してやって欲しい。
◇◇◇
「みょうじさんは私と少し付き合ってくれないか。他の者とはその後に合流するから。ーーじゃ、行こうか」
「はいっ!」
「あ、俺も行きますーー」
「いや、結構。みょうじさんだけで良い。ーー岩泉、可愛い子には旅をさせるものだよ」
「~~ウス(ンなもんさせたくねェ…ッ!)」
迎えたインターハイ予選当日。会場に到着したら直ぐになまえの仕事が始まる。荷物整理などの準備は下級生が主に行い、その間の時間を使ってなまえは入畑と溝口と共に諸処への挨拶をして後に部員と共に合流、の流れであった。幾ら大人が一緒だからと云ってもやはり彼女が心配なので共に行く、と申し出た岩泉だったが入畑から即断られ肩を落とした。
ーーー
ーー
ー
「ーーふぅ、付き合わせて悪かったね。強豪故にどうしても挨拶や繋がりは必要でね。付き添いであればみょうじさんが一番適任かと思ってな。何せスポンサーの一つであるみょうじさんのお嬢さんでもあるからーー然しながら、其れを抜きにしても今回は普段通りである真心ある対応で、相手方にとても喜ばれ本当に助かったよ。みょうじさんにはいつも感謝している」
「いえ、そんな…!」
「フフ、おっと…とてもスムーズに事が運んだから合流時間まで未だ時間はあるな…ふむ、残りの用事を片付けられそうだ。ーー悪いんだが此処で暫く座ってゆっくりして待っていてくれないか?迎えに来るから」
「あっ…えっと…はい、わかりました」
なまえは、時間が余ったのなら直ぐに下級生の手伝いに行きたかったが、やはり入畑と溝口の指示通りにする事にした。
「!?心臓がギュン、てなった…!」
「見ろよ…!あの女の子めちゃくちゃ可愛い!実はアイドルか…?」
「青葉城西…ヒュ~♪迷子になっちゃったなら俺が助けてあげよっかな?」
一人でぽつん…と立って入畑と溝口を待って居れば、なまえを見た周囲の他校の男達がザワザワと大きく騒ぎ始め、我先に!とある一人の他校生から急に腕を引かれて強引に話し掛けられたなまえが非常に困って返して居ると、瞬時に周囲ある一定に渡る声で強い制止が掛かる。
「…今すぐに彼女から手を離してください」
「なっ…何だよこのチビ…!」
「約束通り、大切な人が困ってるので飛んできました。ーー離せ」
なまえを背に庇い護り、愛しの小さな手を無理矢理に掴む腕をギリッ…と牽制を掛けながら鋭い夕焼けの色で相手を睨めば、身長差があるにも拘わらず相手は怯み悔しそうに逃げていった。
「…翔ちゃん、ありがとう…!あの…恥ずかしい所を見せちゃったね…ごめんなさい…」
「ーー何言ってるんですか。なまえさんにはもっと俺の恥ずかしいとこ見せてるじゃないですか!(ゲ●事件)」
「ふふっ、そうだねーーきゃっ…!?」
「ーーッ!?」
「ーー周囲のバカ共が"青葉城西の垂れ耳子うさぎちゃんが森から出て迷子になっててチャンス!俺が生け捕りにする"なんて騒ぎ出したから急いで来てみたけど、オマエは毎度毎度ホント懲りねぇな。オシオキが足りねぇのか?」
怒り心頭な声主が羽織る、前を閉めずにオープンになってるジャージの上着をも使い背後から優しく包む様に抱き締めてはなまえを確保し「何なんだよ今の意味深な会話は?つーかなまえ放って及川サンは何してんだよ…!」と言葉を続けられたなまえは、相手の姿を見なくても最早、声と香りで相手が誰だが直ぐに理解しドキドキする鼓動を隠したくて「~~堅ちゃん、人が居るのにそんなの…恥ずかしいよっ…!あのね違うの…今、監督とコーチを待ってて…」と恥ずかしさの余りふにゃふにゃな力で、身体をいやいや、と捩る。
「(伊達工…!?)~~ッ、なまえさんから離れろよ…ッ、彼女に気安く触るな!」
「ーーはァ?」
これ以上に無い程に不快な表情をする二口に睨まれ日向はゾッ…と恐怖、そして味わった事のある共鳴を当てられ嫌でもイヤな感覚が蘇るが、然しながら此処で退く訳には行かないので、グッと視線を混じり合わせ威を貫く。大切ななまえさんをあんな蕩けさせる表情にさせる伊達工の此奴にーー俺だって負けたくない…!
「ーーなまえさん!俺は今日と明日、明後日も全部勝って…っ、伊達工にも青城にも白鳥沢にも勝つ為に此処に来て…コートに立ち続けます!だからっ…あああのっ…!なまえさんは俺の生涯で唯一の女性です…ッ何回振られても構いません!…少しでも良いので俺を男として意識して「おい、誰の女に勝手な事言ってんだよ」
二口の非常に強い威圧感且つ強制的に言葉を遮られた日向は、怒る事が出来ず、ひゅっ、と息が細くなる程に恐怖を覚えるのだ。ーーワカッタ。この人に対して覚えた共鳴は、青城の大王様と同じ…要するに、なまえさんを深く想う感情が、大王様と伊達工のこの人は全く同じなんだ。
「みょうじさん、待たせたね。そろそろ行こうか」
「~~あっ、はい!堅ちゃん、翔ちゃん、監督とコーチが呼んでるから私そろそろ行くね?あの…喧嘩しちゃだめだよ?ーー伊達工も烏野の試合もちゃんと見てるからね」
肩をぴゃっ、と跳ね上げて二口の身体から急いで離れるなまえは、青葉城西の小さいサイズであるジャージを着て、二人に向けてふりふり、とする小さな手と細い指はそれでも可愛く萌え袖気味になって、言われなくても護りたくなる。青葉城西のラムネサイダーの様な爽やかな色となまえの髪色が似合って居て、そのコントラストを引き立て合い、若人の胸はトクン、トクンと鳴くのだ。
「俺の一世一代の大勝負である初めての愛の告白を邪魔するなんて…!」
「(鎌先さんと同じ事言ってやがる…)ーーチッ。お呼びじゃねぇんだよ。なまえに何か仕出かすなら容赦なくブチ折るからな」
「はぁー!?なまえさんの事呼び捨て…っ、アナタ何者ですか!まさかなまえさんの彼氏…!(ガーン)でもそうなると大王様は…!?」
「(大王様…?)」
華奢だ(なぁ)すげー可愛い(なぁ)なまえ(さん)と常に一緒に居れる青城は羨ましい(なぁ)なんて、対立する日向と二口はまさに同時刻に見事にソックリ同じ事を思考した後、そして互いにバチバチ…ッと目を合わせ火花を散らし、先に二口がふぅ、と短い溜息をつけば「ーー悪い事は言わねぇ。あの女の事はさっさと諦めて綺麗さっぱり忘れろ。でなきゃ俺が手段を問わず、忘れさせてやるからな」と言葉を放って離れて行くのだ。…悔しい、クソ悔しい…!大王様と同じ事言いやがってーー!あんな余裕も優しさもまるで無い口振り、あんなのがなまえさんの彼氏なワケが無い…!及川も二口も非常に脅威である事には変わりは無いが、日向は目の前が高い壁であればある程に漲る男ではあるのだ。
「(ーー燃えてきた…!)」
やっぱりあの女性は天使様である。 この世のものとは思えない程に清楚可憐で麗しく周囲を魅了し胸を高鳴らせるのだから。故に、彼女に傍に居て欲しいと望む下界の人間は大多数であろう。簡単な話だ、そんな事は最初から重々承知ーー!後にまた直ぐに青根がエースに対するロックオンからの遣り取りにて伊達工と烏野として二人が出逢う事柄は、また別の御話である。
とうとうインハイが始まる。なまえの手直した横断幕の基に入畑や溝口からの激励を終え解散した後、なまえが頑張って気持ちを込めて作った青葉城西カラーの小さな御守りを4人に手渡しすると、暫く硬直した後に目をうるうる…ッと潤ませ同時に、ぶわァァっ、と感激の涙を一斉に溢れさせるのだ。
「スゲーな!作るの大変だったろ?あー、だからなまえの指が絆創膏だらけだったのな。よしよし頑張ったな」
「なまえちゃん…っ俺とハグふぉあ「なまえちゃん!ありがとう♡ずっと大切にするからね」~~松川!俺を押し退けるな…っ!」
岩泉がなまえの頭を優しく撫で、なまえに対してハグを求める花巻の身体を強引に押し退け遮れば、松川がなまえの両手をきゅ、と握り、なまえの愛い笑顔に導かれ、ほわほわん、と可愛らしいお花が舞うムードで関わり合うのだ。この子達の親近度が極めて高いのは青城の素晴らしい一つの点である。
「(そっかーーそうだったんだね)」
なまえが潮神にこっそり手芸を教えて貰って居た、と云う意味を、やっと此処で及川にも理解して心の底からジィン…としては感慨無量なる状態であるのだ。若しかしたら二口にも可愛い御守り渡したのかな、なんて思考はあるっちゃあったけど、なまえが頑張って作った自分宛なる御守りを手にすれば、不思議と気持ちがスゥッ…と落ち着いて一瞬にしてクソ生意気舌ペロ顔は脳裏から消えてサヨウナラした。ーーあ、この御守りめちゃくちゃ凄い。バレーボールだけじゃなくて様々な事に対しても御利益有りそう。まぁ、別に二口クンとの過程には少しだけ目を瞑ってやる事も出来るよ?所詮はガキの足掻きなワケだから。大人で先輩な及川さんはいつだって常に冷静。その変わり、必ずや最終的になまえが自身の傍に居てくれれば、の話だけどネ。ーー兎に角、先ずは目の前の敵を倒して全国に行きたい。
「なまえ、おいで」
「「「!?」」」
「~~っ、徹く…あのっ…皆見てるよ…ねぇってば…!」
「見せつけとけばいいじゃん。なまえは俺のでしょ?」
「…やだっ…離して…!恥ずかしくて死んじゃうっ…」
「いやだね。恥ずかしいんじゃなくて寂しいから死んじゃうんだよね?だってオマエはすぐ何処かにぴょこぴょこ跳ねてっちゃうんだもん」
「……?」
華奢な身体が身長差のある及川から強くギュゥ、と抱きしめられ閉じ込めて仕舞えば、他の3人からはなまえの姿は隠れ見えなくなって、きゅっ、と及川の服を弱々しく掴む小さな手だけが視界に映るのだ。花巻や松川は羨望の眼差しを含んだ苦笑いと共に「ヤレヤレ冷静になりなさいよ」と「ハイハイゴチソーサマ」なんて返すが、ワナワナ…と怒りの炎を燃やす岩泉が直ぐに及川となまえを無理矢理ベリっ☆と引き剥がし、なまえを腕にひょいっと担いで離れる。
「ーー及川、勘違いするなよ?なまえは今は未だ俺の保護管理下にある。即ち、なまえは俺のだから手ぇ出すな。その脳ミソにブチ込んでおけ」
「はじめちゃん…かっこいい…!」
「岩ちゃん、初期の頃と今言ってる事が少し違くない!?」
「ーーさぁ、知らんな」
実はこの御方も最近は大いに吹っ切れて大概である。なまえを誰かに奪われるのは今は未だ認めたくなく嫌なのだ。要するに、なまえを手放すのはまだ早えって奴である。岩泉だって男子高校生であり大人と子供の境界線に居るのだ。決して大人じゃないのだから色々と許してやって欲しい。
◇◇◇
「みょうじさんは私と少し付き合ってくれないか。他の者とはその後に合流するから。ーーじゃ、行こうか」
「はいっ!」
「あ、俺も行きますーー」
「いや、結構。みょうじさんだけで良い。ーー岩泉、可愛い子には旅をさせるものだよ」
「~~ウス(ンなもんさせたくねェ…ッ!)」
迎えたインターハイ予選当日。会場に到着したら直ぐになまえの仕事が始まる。荷物整理などの準備は下級生が主に行い、その間の時間を使ってなまえは入畑と溝口と共に諸処への挨拶をして後に部員と共に合流、の流れであった。幾ら大人が一緒だからと云ってもやはり彼女が心配なので共に行く、と申し出た岩泉だったが入畑から即断られ肩を落とした。
ーーー
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「ーーふぅ、付き合わせて悪かったね。強豪故にどうしても挨拶や繋がりは必要でね。付き添いであればみょうじさんが一番適任かと思ってな。何せスポンサーの一つであるみょうじさんのお嬢さんでもあるからーー然しながら、其れを抜きにしても今回は普段通りである真心ある対応で、相手方にとても喜ばれ本当に助かったよ。みょうじさんにはいつも感謝している」
「いえ、そんな…!」
「フフ、おっと…とてもスムーズに事が運んだから合流時間まで未だ時間はあるな…ふむ、残りの用事を片付けられそうだ。ーー悪いんだが此処で暫く座ってゆっくりして待っていてくれないか?迎えに来るから」
「あっ…えっと…はい、わかりました」
なまえは、時間が余ったのなら直ぐに下級生の手伝いに行きたかったが、やはり入畑と溝口の指示通りにする事にした。
「!?心臓がギュン、てなった…!」
「見ろよ…!あの女の子めちゃくちゃ可愛い!実はアイドルか…?」
「青葉城西…ヒュ~♪迷子になっちゃったなら俺が助けてあげよっかな?」
一人でぽつん…と立って入畑と溝口を待って居れば、なまえを見た周囲の他校の男達がザワザワと大きく騒ぎ始め、我先に!とある一人の他校生から急に腕を引かれて強引に話し掛けられたなまえが非常に困って返して居ると、瞬時に周囲ある一定に渡る声で強い制止が掛かる。
「…今すぐに彼女から手を離してください」
「なっ…何だよこのチビ…!」
「約束通り、大切な人が困ってるので飛んできました。ーー離せ」
なまえを背に庇い護り、愛しの小さな手を無理矢理に掴む腕をギリッ…と牽制を掛けながら鋭い夕焼けの色で相手を睨めば、身長差があるにも拘わらず相手は怯み悔しそうに逃げていった。
「…翔ちゃん、ありがとう…!あの…恥ずかしい所を見せちゃったね…ごめんなさい…」
「ーー何言ってるんですか。なまえさんにはもっと俺の恥ずかしいとこ見せてるじゃないですか!(ゲ●事件)」
「ふふっ、そうだねーーきゃっ…!?」
「ーーッ!?」
「ーー周囲のバカ共が"青葉城西の垂れ耳子うさぎちゃんが森から出て迷子になっててチャンス!俺が生け捕りにする"なんて騒ぎ出したから急いで来てみたけど、オマエは毎度毎度ホント懲りねぇな。オシオキが足りねぇのか?」
怒り心頭な声主が羽織る、前を閉めずにオープンになってるジャージの上着をも使い背後から優しく包む様に抱き締めてはなまえを確保し「何なんだよ今の意味深な会話は?つーかなまえ放って及川サンは何してんだよ…!」と言葉を続けられたなまえは、相手の姿を見なくても最早、声と香りで相手が誰だが直ぐに理解しドキドキする鼓動を隠したくて「~~堅ちゃん、人が居るのにそんなの…恥ずかしいよっ…!あのね違うの…今、監督とコーチを待ってて…」と恥ずかしさの余りふにゃふにゃな力で、身体をいやいや、と捩る。
「(伊達工…!?)~~ッ、なまえさんから離れろよ…ッ、彼女に気安く触るな!」
「ーーはァ?」
これ以上に無い程に不快な表情をする二口に睨まれ日向はゾッ…と恐怖、そして味わった事のある共鳴を当てられ嫌でもイヤな感覚が蘇るが、然しながら此処で退く訳には行かないので、グッと視線を混じり合わせ威を貫く。大切ななまえさんをあんな蕩けさせる表情にさせる伊達工の此奴にーー俺だって負けたくない…!
「ーーなまえさん!俺は今日と明日、明後日も全部勝って…っ、伊達工にも青城にも白鳥沢にも勝つ為に此処に来て…コートに立ち続けます!だからっ…あああのっ…!なまえさんは俺の生涯で唯一の女性です…ッ何回振られても構いません!…少しでも良いので俺を男として意識して「おい、誰の女に勝手な事言ってんだよ」
二口の非常に強い威圧感且つ強制的に言葉を遮られた日向は、怒る事が出来ず、ひゅっ、と息が細くなる程に恐怖を覚えるのだ。ーーワカッタ。この人に対して覚えた共鳴は、青城の大王様と同じ…要するに、なまえさんを深く想う感情が、大王様と伊達工のこの人は全く同じなんだ。
「みょうじさん、待たせたね。そろそろ行こうか」
「~~あっ、はい!堅ちゃん、翔ちゃん、監督とコーチが呼んでるから私そろそろ行くね?あの…喧嘩しちゃだめだよ?ーー伊達工も烏野の試合もちゃんと見てるからね」
肩をぴゃっ、と跳ね上げて二口の身体から急いで離れるなまえは、青葉城西の小さいサイズであるジャージを着て、二人に向けてふりふり、とする小さな手と細い指はそれでも可愛く萌え袖気味になって、言われなくても護りたくなる。青葉城西のラムネサイダーの様な爽やかな色となまえの髪色が似合って居て、そのコントラストを引き立て合い、若人の胸はトクン、トクンと鳴くのだ。
「俺の一世一代の大勝負である初めての愛の告白を邪魔するなんて…!」
「(鎌先さんと同じ事言ってやがる…)ーーチッ。お呼びじゃねぇんだよ。なまえに何か仕出かすなら容赦なくブチ折るからな」
「はぁー!?なまえさんの事呼び捨て…っ、アナタ何者ですか!まさかなまえさんの彼氏…!(ガーン)でもそうなると大王様は…!?」
「(大王様…?)」
華奢だ(なぁ)すげー可愛い(なぁ)なまえ(さん)と常に一緒に居れる青城は羨ましい(なぁ)なんて、対立する日向と二口はまさに同時刻に見事にソックリ同じ事を思考した後、そして互いにバチバチ…ッと目を合わせ火花を散らし、先に二口がふぅ、と短い溜息をつけば「ーー悪い事は言わねぇ。あの女の事はさっさと諦めて綺麗さっぱり忘れろ。でなきゃ俺が手段を問わず、忘れさせてやるからな」と言葉を放って離れて行くのだ。…悔しい、クソ悔しい…!大王様と同じ事言いやがってーー!あんな余裕も優しさもまるで無い口振り、あんなのがなまえさんの彼氏なワケが無い…!及川も二口も非常に脅威である事には変わりは無いが、日向は目の前が高い壁であればある程に漲る男ではあるのだ。
「(ーー燃えてきた…!)」
やっぱりあの女性は天使様である。 この世のものとは思えない程に清楚可憐で麗しく周囲を魅了し胸を高鳴らせるのだから。故に、彼女に傍に居て欲しいと望む下界の人間は大多数であろう。簡単な話だ、そんな事は最初から重々承知ーー!後にまた直ぐに青根がエースに対するロックオンからの遣り取りにて伊達工と烏野として二人が出逢う事柄は、また別の御話である。