コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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「俺の一世一代の大勝負である愛の告白さえもブチ折るなんぞ…二口め…マジで許さん…!グスッ…(ブビーっ(鼻かむ音)」
「だから、転倒から助けて貰った事に関しては感謝してるじゃないですか。んで今更ながら鎌先さんの言う通り、確かに顔も身体もトンデモナイモノって認めマス。ーーなので、絶対に手ェ出さないでクダサイネ?まぁ一応、首輪付けといたんで」
「~~何があったか知らないけど、俺ら2年になって後輩も出来たんだから二口も少しは先輩方を労わったら?」
「アセアセ(またなまえちゃんの事か...)」
「ーーはァ?冗談ダロ。何れにせよ惹かれた相手が悪い」
「あ”ーーちくしょうクソァァむちゃくちゃ可愛かったなァ!!」
鼻かんだ後の使用済みティッシュを二口にぺしょ、と投げ当てながら鎌先は涙していた。
鎌先の一目惚れから失恋まで時間は驚く程に短かったのだが、何せまさかの登場人物によりハートを抉った傷が非常に深かった様で、周囲から励まさられ立ち直るまであと暫くかかりそうだった…アーメン。
「二口先輩のスマホの待ち受けの女の子、天使みたいでめちゃくちゃ可愛いッスね...!彼女スか?スゲー羨ましいっス!」
「そ、俺の」
「だァァァ!黄金川~!傷口に塩を塗るな!」
「???~~スンマセン!」
◇◇◇
「みょうじちゃんって初体験いつ?」
なまえにも念願の青葉城西男子バレー部の新しいジャージが届き、女子バレー部の皆様の中に紛れてお着替えしてる際に、キャッ、キャッ、とあからさまなえっちな女子トークが聞こえては、流石のぽやんぽやんななまえでも遅らせながら理解して顔をポポポッと真っ赤にし無言でいると、部員の1人の女の子から話し掛けられ話題が振られ更にカァァッ、と頬を染め困惑した。
「え!何その初心な反応!めっちゃ可愛い…!」
「もしかして処女?」
問いかけに恥ずかしそうに、こくり、と頷けば驚きの声やら挙げ句の果てには「イヤイヤまさか!及川岩泉どーなってんのよ!こんな可愛い子前にしてまさか奴らは不能なの?」等の声も聞こえ、なまえは顔から湯気をあげながら「~~2人とも、選ぶ権利があるからっ」なんて言えば「尊い…!あんたはこのまま純潔で居なさい」と一斉に抱きしめられる中、なまえは以前、キスの件でも普段読む雑誌でも書いてある様に、この年齢になれば性行為を経験している子が増えてくるんだなぁ…自分もいつかするのかな…なんて想像は難しいがつい考えてしまう。さすれば自然と連動して、つい及川、二口と交わした深い口付けの思い出が鮮明に脳裏に浮かび上がっては、きゅぅん、とお腹の奥が熱くなり、急いでふるふる、と頭を振り消すのだった。
「新しいジャージすっごく似合ってるよ!ふふ、奴らと比べちゃえばサイズめちゃくちゃ小さいな~!」
「ーーあ、そう云えば及川は?いつの間にか見当たらないけど…」
「あっ、言わなくちゃいけなかった!あのね、徹くんは今病院に行ってるの…。私も部活少し出たら様子見てくる様に監督からもお願いされててね、なので私の帰りの着替えの事は気にしないで部室閉めちゃって大丈夫!よろしくお願いします」
「えー?及川が珍しいね!了解!」
「(おっと、そろそろ幼なじみ枠から及川の妻になるか?)」
ーーー
ーー
ー
「大丈夫、軽い捻挫だよ。でも一応念の為にまたこの日来てくれる?最終的に確認したいから」
「分かりました。有難う御座います」
「ーー随分と賢い(太腿、膝、足首に重点を置いた)ストレッチと柔軟も加えて取り入れてるじゃない。うん、素晴らしいね。今回捻挫が軽く抑えられたのもこの日頃の積み重ねがあったからだと思うよ?今後も、今の君のスタイルのバレーを続けるなら引き続き忘れずに行うんだよ」
「ーー!」
詳しい説明を聞きホッと一安心したと思えば、自身と向かい合う医師の表情は窓から射し込む夕日でよく読み取れなかったが、寧ろ穏やかな声のトーンに集中出来たお陰か相手の心情は深く読み取れてーー柔らかい流れと共に全く滞りなく全身を濁り無き水がサラサラ…と巡る如く、そうか、とストンと納得すれば、自身の中でじゅわり、と湧き上がる或る人物に強く強く感謝する。尚且つ外に出た瞬間、迎えに来てくれて待って居た適時なその子の姿を見つけては、人目を気にせずつい早急に掻き抱くのだ。
「なまえ、迎えに来てくれたの?」
「うん…あの…人に見られたら恥ずかしいよ…」
「誰も見てなかったら良いの?ーーねぇ、今日ウチ泊まる?」
「えっ、急にご迷惑だよ!あの…足はどうだったの…?」
「ーーあ、そうだった。ウン、軽い捻挫だから大丈夫!後日また受診して終わりかな」
「良かった…!今から監督に電話するからちょっと待っててくれる?ーーひゃっ…!」
「ーー大丈夫。なまえは小さいから俺で隠れて周りからは見えにくいから安心して。それに俺、今怪我人だからたくさん甘えたいなー?イタタ☆」
「~~もぅっ」
及川は、ぱっ、と離れて行くなまえに対してさせるものかと華奢な身体に手を伸ばし自身の大きな胸やお腹の中にギュッ、と閉まい込む。顔を真っ赤にしながら監督への連絡事項業務を行うなまえが兎に角、可愛くて可愛くて仕方ない。此処が外じゃ無ければ絶対にチューしてたのに…っ!正直、足なんかより頭の方が重症かも。
◇◇◇
「~~全くもう!何もかもごめんね?徹、余りなまえちゃんに甘えちゃ駄目よ?」
「おば様、こちらこそ頻繁にお邪魔しちゃってごめんなさい…!ご迷惑では無いですか?」
「とんでもない!なまえちゃんの事は娘みたいに思ってるから♡岩泉さんのトコと取り合いよ~♡」
「~~わかった、わかったから!お母ちゃんは早く部屋から出てってくんない?」
結局、あれからなまえは及川の家に頻繁にお邪魔しては受験生でもあるので一緒に勉強をしたり(治りかけである)怪我の具合を見たりと、及川の事をとことん甘やかしては世話をしていた。
「あのね…?おば様は優しく言ってくれたけど、やっぱりご迷惑になるから…徹くんの捻挫が治るまでだからね?」
「ーーウンウン、ソーダネ。あ、なまえ、此処の問2なんだけどさー」
「はいっ。どこーー」
及川が教科書の或る問題を指さした為、無意識になまえが身体をふにゅ、と密着させ覗かせると、何と隙を見てなまえの頬にチュッ、と唇を軽く触れると、ぴゃっ、と跳ねる姿が凄く可愛くて止めずに続ける。ちゅ、ちゅ、ちゅっ、と可愛く蕩ける顔全体に触れるだけのキスを降らせてやっと終え離したかと思えば、未だに続けられる隙を伺いながらペロッ、と舌舐りをする。
「~~も、恥ずかしい…!何でキスするの?ファンの女の子にもしてるの…?」
「え!そんな風に思ってたの?ヒドイな!俺はもうなまえだけにしかしないよ」
「(堅ちゃんと同じ…)っ!?徹くん…!」
「ーーいいじゃん。俺だけの胸でしょ?」
「~~私の…だからっ、触らないでっ…」
「えー?ドウシヨウカナ?」
恥ずかしさのあまり逃げる様に膝立ちになるなまえの細い腰にするり、と手を回して捕まえれば其の儘、豊満な胸元にぽふん、と顔を埋める。及川は二度美味しい思いをする男でもあり、やわこい、気持ちいい、可愛い、なんて本音をポンポン漏らし、スゥーーッとなまえの匂いを肺に取り込み堪能しながら、空いてる手は細い腰から小さなお尻へとツゥっ…となぞる様に移動させ、布越しにきゅっと軽く掴みながら撫でる。全く持ってけしからん。自分勝手にも程があるのだが然しながら及川の飛びっきり幸せな時間である。
「~~どこ触ってるの...!?」
「んー…!お尻はちっちゃくて胸はたわわに実っちゃって、あーもうむちゃくちゃ可愛い。ほんっと、今すぐ食べ尽くしちゃいたい」
「っ…やだっ…そんな事言わないで…!それに気にしてるのに…!」
「ウンウン、俺以外の奴に見せない様に常に気にしてね。俺がずっと大切に味わうからーー…誰にもあげないよ」
「~~っ、そんなに言うなら...徹くんはっ...えっち、した事無いんだよね?私以外の人に…見られて無いもんね...?私だけの徹くんだよね...?」
「ン"!?(ヒュッ)」
なまえの急な切り返しに(売り言葉に買い言葉に近い)及川は一瞬息と心臓が停止しては、あの可愛いなまえチャンのお口から急にドウシチャッタノ、俺は一体何を試されてるのかな?なんて上擦る声でなまえに接する。先程まで蕩ける程に甘い時間だった筈が一転しなまえから身体を離して視線を合うように座らせ、非常に焦る表情を如何にか正常に繕おうとする。なまえは、なまえで、やはり女子バレー部部室での話が心に引っかかっていて、周りの人達に置いて行かれて自分だけ処女である、と云う現実に少しだけ胸がチクリ、とはしていた。なまえだってお年頃な女の子である。やはり気にしない、なんて事は無い。なまえも自分都合ではあるが、私だけ置いて行かないでね、と云う縋る思いと(恋愛感情の有無は置いておいて)彼の事が心の底から大好きなので、他の女性としてるイメージをすれば、やっぱり嫌だな、なんて気持ちを抱きながら及川に言葉を宛てたのだった。綺麗なゼリーの様な瞳でじっ...と覗かれれば及川のアーモンドアイもタジタジ…とし、意を決した及川はなまえに嘘はつきたくないので模範解答を必死に頭の中で組み立て探す。普段であれば、女の子相手に平然と巧みな言葉や在り来りな言葉でヨシヨシして上手く接する事が出来るのに、なまえ相手だと能力が無効になる。及川が彼女と向き合う事は決して簡単な事では無いのだ。
オブラートに包みつつ刺激を抑え本当の事を言えばなまえは傷ついた顔をしていた。それでも心で彼女に向き合った最後の言葉は、今は好きな女の子としかしたくない、と云う主旨だった。ーー全く、なまえはズルいよね。ならば、さっきの「私だけの徹くんだよね…?」はまた前戯の時に言って貰おうかな?てか此処まで(言葉だけ切り取れば)煽って煽られての状況下で、なまえに手出さないで堪えてる俺、凄くない?
◇◇◇
「練習試合組めたよ!相手は県ベスト4!青葉城西高校!」
「青城!?」
「おぉーっ!ベスト4!…ん?青葉城西…青葉城西!(ハッ)」
視点は変わり烏野高校のある放課後、顧問である武田が急いで駆け足で体育館に辿り着き部員達に急いで伝達する。
聞いた反応は個々により異なるがその中で烏野高校に入学した日向翔陽は、顧問より青葉城西と聞けば自身の一目惚れであるなまえの顔を思い浮かべ相余って歓喜の声を上げた。部活動により青城に出向くのでなまえに会える確証は無いのだが、然しながら自身がバレーを続けて懸命に力をつければ必ずまたなまえに会える!と信じている節があるのだ。理屈では無く本能であった。
又、なまえを想いながらある人物をも浮かべ難しい顔をする者がいる。練習試合が伝えられたその晩、その者ーー影山は主になまえと及川双方の顔を思い浮かべて居た。
「スミマセン…ッ田中さん、すみません!」
「お前は大丈夫なのかよ?今日試合はお前の働きに掛かってんだからな!」
そして後日、烏野高校は青葉城西との練習試合の為にバスを使って出向くのだが、日向は緊張の余り睡眠不足から体調不良でありバス内で田中のジャージに嘔吐して仕舞い、その強い緊張が伝達し他部員にも果たしてこれから大丈夫なのか?と不安が巡るが、取り敢えず無事に現地に到着する。
「あのっ…烏野高校男子バレー部の皆様ですか?この度は、わざわざ御足労頂いてありがとうございます…!私、マネージャーのみょうじ「ーー!!ふぁぁッ…!なまえさぁぁんっ…!!」
「!?(あの時の潔子さんのご友人…!)」
「なまえさん…!~~な"ッ!?日向ヴォゲェ!なまえさんに何してんだ!この御方を何方と心得てんだよ!?」
「~~わっ!えっ…翔ちゃん!?飛雄くんも...!2人共、烏野高校に入ったんだね…ふぎゅっ」
「覚えててくれたんですね…!はぁぁ…なまえさんはやっぱり凄いです…俺、なまえさんを抱き締めたら体調が回復…グェッ!?」
「~~さっさと離れろボケェ!!」
その場に居た菅原は何事かと驚く表情、自身のジャージに嘔吐され袋に纏めた田中は、3月の対伊達工との試合の際に見掛けた人だ、と驚く表情、日向にとってはまさかの恋焦がれていた相手との運命の再会、且つ覚えててくれた感激の余りなまえを強く抱き締めて、影山は脳裏を占めていた人物の一人と再会の感動に浸る時間は無く、なまえを気安く抱き締める日向に怒り心頭する。
「なまえちゃん、ごめんっ!一年生が失礼な事…」
「潔子ちゃん!(会いたかった!)~~翔ちゃんと飛雄くんだから気にしないで大丈夫だよ…!」
「なまえちゃん、本当にマネージャーになったんだね。ジャージ似合ってる」
「メッセージだと実感薄いもんね。ふふっ、ありがとう…精一杯、頑張る!マネージャーの心得があれば色々教えてね…!」
「ーーコラァ!オマエら煩い!みょうじさん、早速ウチのが騒がしくて…今日は宜しくね」
「!(えっと...この御方は、自己紹介の時に下の名前が本当に似合い過ぎて大地しか出てこない...!どうしよう...ええい黙ってるより失礼な事なんか無いよね)大地さん、本日はよろしくお願いしますっ...!」
「んン"ッ!?(カッチンコッチン)ウス…!」
「大地ー、大丈夫かー?いつの間にか抜け駆けして知り合い及び名前呼びなんてめちゃくちゃ羨ましいぞーズルいぞー」
「~~スガはやめなさい…ッ」
ーーー
ーー
ー
「準備は整えてありますので皆様は此の儘、体育館にお越しください。本日はどうぞよろしくお願い致します」
ギャーギャーと賑やかな中、バスから降りてきた武田と清水と澤村、そして初めまして、の部員達に、改めて丁寧に挨拶したなまえは、バス内の出来事を簡単に聞いては田中の持っていたジャージに手をやり洗濯し帰る頃に引き渡す、と申し出て、体育館までの道を口頭で説明した後、先ずはこの場で一度、失礼します。とぺこり、と挨拶し洗濯に向かったなまえを眺めては、一同ジィィィン…とし、なんと慈悲深き天使様、と強く感激するのだった。やっぱり青葉城西は凄い…!
「だから、転倒から助けて貰った事に関しては感謝してるじゃないですか。んで今更ながら鎌先さんの言う通り、確かに顔も身体もトンデモナイモノって認めマス。ーーなので、絶対に手ェ出さないでクダサイネ?まぁ一応、首輪付けといたんで」
「~~何があったか知らないけど、俺ら2年になって後輩も出来たんだから二口も少しは先輩方を労わったら?」
「アセアセ(またなまえちゃんの事か...)」
「ーーはァ?冗談ダロ。何れにせよ惹かれた相手が悪い」
「あ”ーーちくしょうクソァァむちゃくちゃ可愛かったなァ!!」
鼻かんだ後の使用済みティッシュを二口にぺしょ、と投げ当てながら鎌先は涙していた。
鎌先の一目惚れから失恋まで時間は驚く程に短かったのだが、何せまさかの登場人物によりハートを抉った傷が非常に深かった様で、周囲から励まさられ立ち直るまであと暫くかかりそうだった…アーメン。
「二口先輩のスマホの待ち受けの女の子、天使みたいでめちゃくちゃ可愛いッスね...!彼女スか?スゲー羨ましいっス!」
「そ、俺の」
「だァァァ!黄金川~!傷口に塩を塗るな!」
「???~~スンマセン!」
◇◇◇
「みょうじちゃんって初体験いつ?」
なまえにも念願の青葉城西男子バレー部の新しいジャージが届き、女子バレー部の皆様の中に紛れてお着替えしてる際に、キャッ、キャッ、とあからさまなえっちな女子トークが聞こえては、流石のぽやんぽやんななまえでも遅らせながら理解して顔をポポポッと真っ赤にし無言でいると、部員の1人の女の子から話し掛けられ話題が振られ更にカァァッ、と頬を染め困惑した。
「え!何その初心な反応!めっちゃ可愛い…!」
「もしかして処女?」
問いかけに恥ずかしそうに、こくり、と頷けば驚きの声やら挙げ句の果てには「イヤイヤまさか!及川岩泉どーなってんのよ!こんな可愛い子前にしてまさか奴らは不能なの?」等の声も聞こえ、なまえは顔から湯気をあげながら「~~2人とも、選ぶ権利があるからっ」なんて言えば「尊い…!あんたはこのまま純潔で居なさい」と一斉に抱きしめられる中、なまえは以前、キスの件でも普段読む雑誌でも書いてある様に、この年齢になれば性行為を経験している子が増えてくるんだなぁ…自分もいつかするのかな…なんて想像は難しいがつい考えてしまう。さすれば自然と連動して、つい及川、二口と交わした深い口付けの思い出が鮮明に脳裏に浮かび上がっては、きゅぅん、とお腹の奥が熱くなり、急いでふるふる、と頭を振り消すのだった。
「新しいジャージすっごく似合ってるよ!ふふ、奴らと比べちゃえばサイズめちゃくちゃ小さいな~!」
「ーーあ、そう云えば及川は?いつの間にか見当たらないけど…」
「あっ、言わなくちゃいけなかった!あのね、徹くんは今病院に行ってるの…。私も部活少し出たら様子見てくる様に監督からもお願いされててね、なので私の帰りの着替えの事は気にしないで部室閉めちゃって大丈夫!よろしくお願いします」
「えー?及川が珍しいね!了解!」
「(おっと、そろそろ幼なじみ枠から及川の妻になるか?)」
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「大丈夫、軽い捻挫だよ。でも一応念の為にまたこの日来てくれる?最終的に確認したいから」
「分かりました。有難う御座います」
「ーー随分と賢い(太腿、膝、足首に重点を置いた)ストレッチと柔軟も加えて取り入れてるじゃない。うん、素晴らしいね。今回捻挫が軽く抑えられたのもこの日頃の積み重ねがあったからだと思うよ?今後も、今の君のスタイルのバレーを続けるなら引き続き忘れずに行うんだよ」
「ーー!」
詳しい説明を聞きホッと一安心したと思えば、自身と向かい合う医師の表情は窓から射し込む夕日でよく読み取れなかったが、寧ろ穏やかな声のトーンに集中出来たお陰か相手の心情は深く読み取れてーー柔らかい流れと共に全く滞りなく全身を濁り無き水がサラサラ…と巡る如く、そうか、とストンと納得すれば、自身の中でじゅわり、と湧き上がる或る人物に強く強く感謝する。尚且つ外に出た瞬間、迎えに来てくれて待って居た適時なその子の姿を見つけては、人目を気にせずつい早急に掻き抱くのだ。
「なまえ、迎えに来てくれたの?」
「うん…あの…人に見られたら恥ずかしいよ…」
「誰も見てなかったら良いの?ーーねぇ、今日ウチ泊まる?」
「えっ、急にご迷惑だよ!あの…足はどうだったの…?」
「ーーあ、そうだった。ウン、軽い捻挫だから大丈夫!後日また受診して終わりかな」
「良かった…!今から監督に電話するからちょっと待っててくれる?ーーひゃっ…!」
「ーー大丈夫。なまえは小さいから俺で隠れて周りからは見えにくいから安心して。それに俺、今怪我人だからたくさん甘えたいなー?イタタ☆」
「~~もぅっ」
及川は、ぱっ、と離れて行くなまえに対してさせるものかと華奢な身体に手を伸ばし自身の大きな胸やお腹の中にギュッ、と閉まい込む。顔を真っ赤にしながら監督への連絡事項業務を行うなまえが兎に角、可愛くて可愛くて仕方ない。此処が外じゃ無ければ絶対にチューしてたのに…っ!正直、足なんかより頭の方が重症かも。
◇◇◇
「~~全くもう!何もかもごめんね?徹、余りなまえちゃんに甘えちゃ駄目よ?」
「おば様、こちらこそ頻繁にお邪魔しちゃってごめんなさい…!ご迷惑では無いですか?」
「とんでもない!なまえちゃんの事は娘みたいに思ってるから♡岩泉さんのトコと取り合いよ~♡」
「~~わかった、わかったから!お母ちゃんは早く部屋から出てってくんない?」
結局、あれからなまえは及川の家に頻繁にお邪魔しては受験生でもあるので一緒に勉強をしたり(治りかけである)怪我の具合を見たりと、及川の事をとことん甘やかしては世話をしていた。
「あのね…?おば様は優しく言ってくれたけど、やっぱりご迷惑になるから…徹くんの捻挫が治るまでだからね?」
「ーーウンウン、ソーダネ。あ、なまえ、此処の問2なんだけどさー」
「はいっ。どこーー」
及川が教科書の或る問題を指さした為、無意識になまえが身体をふにゅ、と密着させ覗かせると、何と隙を見てなまえの頬にチュッ、と唇を軽く触れると、ぴゃっ、と跳ねる姿が凄く可愛くて止めずに続ける。ちゅ、ちゅ、ちゅっ、と可愛く蕩ける顔全体に触れるだけのキスを降らせてやっと終え離したかと思えば、未だに続けられる隙を伺いながらペロッ、と舌舐りをする。
「~~も、恥ずかしい…!何でキスするの?ファンの女の子にもしてるの…?」
「え!そんな風に思ってたの?ヒドイな!俺はもうなまえだけにしかしないよ」
「(堅ちゃんと同じ…)っ!?徹くん…!」
「ーーいいじゃん。俺だけの胸でしょ?」
「~~私の…だからっ、触らないでっ…」
「えー?ドウシヨウカナ?」
恥ずかしさのあまり逃げる様に膝立ちになるなまえの細い腰にするり、と手を回して捕まえれば其の儘、豊満な胸元にぽふん、と顔を埋める。及川は二度美味しい思いをする男でもあり、やわこい、気持ちいい、可愛い、なんて本音をポンポン漏らし、スゥーーッとなまえの匂いを肺に取り込み堪能しながら、空いてる手は細い腰から小さなお尻へとツゥっ…となぞる様に移動させ、布越しにきゅっと軽く掴みながら撫でる。全く持ってけしからん。自分勝手にも程があるのだが然しながら及川の飛びっきり幸せな時間である。
「~~どこ触ってるの...!?」
「んー…!お尻はちっちゃくて胸はたわわに実っちゃって、あーもうむちゃくちゃ可愛い。ほんっと、今すぐ食べ尽くしちゃいたい」
「っ…やだっ…そんな事言わないで…!それに気にしてるのに…!」
「ウンウン、俺以外の奴に見せない様に常に気にしてね。俺がずっと大切に味わうからーー…誰にもあげないよ」
「~~っ、そんなに言うなら...徹くんはっ...えっち、した事無いんだよね?私以外の人に…見られて無いもんね...?私だけの徹くんだよね...?」
「ン"!?(ヒュッ)」
なまえの急な切り返しに(売り言葉に買い言葉に近い)及川は一瞬息と心臓が停止しては、あの可愛いなまえチャンのお口から急にドウシチャッタノ、俺は一体何を試されてるのかな?なんて上擦る声でなまえに接する。先程まで蕩ける程に甘い時間だった筈が一転しなまえから身体を離して視線を合うように座らせ、非常に焦る表情を如何にか正常に繕おうとする。なまえは、なまえで、やはり女子バレー部部室での話が心に引っかかっていて、周りの人達に置いて行かれて自分だけ処女である、と云う現実に少しだけ胸がチクリ、とはしていた。なまえだってお年頃な女の子である。やはり気にしない、なんて事は無い。なまえも自分都合ではあるが、私だけ置いて行かないでね、と云う縋る思いと(恋愛感情の有無は置いておいて)彼の事が心の底から大好きなので、他の女性としてるイメージをすれば、やっぱり嫌だな、なんて気持ちを抱きながら及川に言葉を宛てたのだった。綺麗なゼリーの様な瞳でじっ...と覗かれれば及川のアーモンドアイもタジタジ…とし、意を決した及川はなまえに嘘はつきたくないので模範解答を必死に頭の中で組み立て探す。普段であれば、女の子相手に平然と巧みな言葉や在り来りな言葉でヨシヨシして上手く接する事が出来るのに、なまえ相手だと能力が無効になる。及川が彼女と向き合う事は決して簡単な事では無いのだ。
オブラートに包みつつ刺激を抑え本当の事を言えばなまえは傷ついた顔をしていた。それでも心で彼女に向き合った最後の言葉は、今は好きな女の子としかしたくない、と云う主旨だった。ーー全く、なまえはズルいよね。ならば、さっきの「私だけの徹くんだよね…?」はまた前戯の時に言って貰おうかな?てか此処まで(言葉だけ切り取れば)煽って煽られての状況下で、なまえに手出さないで堪えてる俺、凄くない?
◇◇◇
「練習試合組めたよ!相手は県ベスト4!青葉城西高校!」
「青城!?」
「おぉーっ!ベスト4!…ん?青葉城西…青葉城西!(ハッ)」
視点は変わり烏野高校のある放課後、顧問である武田が急いで駆け足で体育館に辿り着き部員達に急いで伝達する。
聞いた反応は個々により異なるがその中で烏野高校に入学した日向翔陽は、顧問より青葉城西と聞けば自身の一目惚れであるなまえの顔を思い浮かべ相余って歓喜の声を上げた。部活動により青城に出向くのでなまえに会える確証は無いのだが、然しながら自身がバレーを続けて懸命に力をつければ必ずまたなまえに会える!と信じている節があるのだ。理屈では無く本能であった。
又、なまえを想いながらある人物をも浮かべ難しい顔をする者がいる。練習試合が伝えられたその晩、その者ーー影山は主になまえと及川双方の顔を思い浮かべて居た。
「スミマセン…ッ田中さん、すみません!」
「お前は大丈夫なのかよ?今日試合はお前の働きに掛かってんだからな!」
そして後日、烏野高校は青葉城西との練習試合の為にバスを使って出向くのだが、日向は緊張の余り睡眠不足から体調不良でありバス内で田中のジャージに嘔吐して仕舞い、その強い緊張が伝達し他部員にも果たしてこれから大丈夫なのか?と不安が巡るが、取り敢えず無事に現地に到着する。
「あのっ…烏野高校男子バレー部の皆様ですか?この度は、わざわざ御足労頂いてありがとうございます…!私、マネージャーのみょうじ「ーー!!ふぁぁッ…!なまえさぁぁんっ…!!」
「!?(あの時の潔子さんのご友人…!)」
「なまえさん…!~~な"ッ!?日向ヴォゲェ!なまえさんに何してんだ!この御方を何方と心得てんだよ!?」
「~~わっ!えっ…翔ちゃん!?飛雄くんも...!2人共、烏野高校に入ったんだね…ふぎゅっ」
「覚えててくれたんですね…!はぁぁ…なまえさんはやっぱり凄いです…俺、なまえさんを抱き締めたら体調が回復…グェッ!?」
「~~さっさと離れろボケェ!!」
その場に居た菅原は何事かと驚く表情、自身のジャージに嘔吐され袋に纏めた田中は、3月の対伊達工との試合の際に見掛けた人だ、と驚く表情、日向にとってはまさかの恋焦がれていた相手との運命の再会、且つ覚えててくれた感激の余りなまえを強く抱き締めて、影山は脳裏を占めていた人物の一人と再会の感動に浸る時間は無く、なまえを気安く抱き締める日向に怒り心頭する。
「なまえちゃん、ごめんっ!一年生が失礼な事…」
「潔子ちゃん!(会いたかった!)~~翔ちゃんと飛雄くんだから気にしないで大丈夫だよ…!」
「なまえちゃん、本当にマネージャーになったんだね。ジャージ似合ってる」
「メッセージだと実感薄いもんね。ふふっ、ありがとう…精一杯、頑張る!マネージャーの心得があれば色々教えてね…!」
「ーーコラァ!オマエら煩い!みょうじさん、早速ウチのが騒がしくて…今日は宜しくね」
「!(えっと...この御方は、自己紹介の時に下の名前が本当に似合い過ぎて大地しか出てこない...!どうしよう...ええい黙ってるより失礼な事なんか無いよね)大地さん、本日はよろしくお願いしますっ...!」
「んン"ッ!?(カッチンコッチン)ウス…!」
「大地ー、大丈夫かー?いつの間にか抜け駆けして知り合い及び名前呼びなんてめちゃくちゃ羨ましいぞーズルいぞー」
「~~スガはやめなさい…ッ」
ーーー
ーー
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「準備は整えてありますので皆様は此の儘、体育館にお越しください。本日はどうぞよろしくお願い致します」
ギャーギャーと賑やかな中、バスから降りてきた武田と清水と澤村、そして初めまして、の部員達に、改めて丁寧に挨拶したなまえは、バス内の出来事を簡単に聞いては田中の持っていたジャージに手をやり洗濯し帰る頃に引き渡す、と申し出て、体育館までの道を口頭で説明した後、先ずはこの場で一度、失礼します。とぺこり、と挨拶し洗濯に向かったなまえを眺めては、一同ジィィィン…とし、なんと慈悲深き天使様、と強く感激するのだった。やっぱり青葉城西は凄い…!