コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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「うん、いいよ!ーーその日はね、堅ちゃんの好きな事、何でもしよ…?」
ごくり、と喉が鳴る。ならどうやって美味しく頂ーー違う違う違う勘違いするな俺、相手は天然女だ。すんなりOK貰えたのだから此方もすんなりと普段通りに行け、ヨシ(指差し確認)
「ーーじゃあ、水族館でも行くか。おまえの友達がいっぱい居るぞ」
「…うんっ、行きたい…!でも…私の好きな場所な気がするんだけど…」
「…いい。俺はなまえとの時間がもっと欲しいーー…その日だけ俺の彼女になって」
彼女、とポツリ…と一言呟いたなまえは、時間差で顔を真っ赤に染めた。彼女なんてなった事も無いから一体、何をしたら良いのか分からない…なまえは不安げに揺れる瞳で二口の目を見て視線を重ね合わせる。そんな不安な顔しなくても、なんて言われて続けられれば、只、なまえが隣に居てくれれば良いから、なんて頭を撫でられた。
「ーー別に…!ただ、誕生日なのに彼女が居ないから寂しいだけであって…!~~勘違いするなよその日だけだからなッ」
「…え?あ、うんっ、わかった!」
ハッ、とした二口は、あれ?なんか良く考えれば今の俺スゲー事言ってない…?と気付き、めちゃくちゃ焦りながら弁解していた。
◇◇◇
「わぁ…みてみて堅ちゃん!ふふっ、皆可愛いね」
「お前は燥ぐな。そんな慣れない格好して転んだらどうすんだよ」
「~~は、はい…」
二口の誕生日の日はタイミング良く学校が休みだった為、二口となまえは約束通り2人で水族館に来ていた。二口がつい心配してしまうなまえの本日のコーデは、男ウケを狙ったボディラインが強調するニットタイトミニワンピである。
ーー実は、友人達と洋服の話をしながらスマホで服を選んでいた際に、友人達から猛プッシュ!されたコーデであり、いつもふわふわ清楚系コーデななまえにとっては初めての洋服だった。やはりボディラインが強調されて胸の事が気になり友人にも言ってみたが「寧ろそれが良し!なまえは顔と身体とのギャップ感もあって凄く堪らないし絶対に可愛いよ♡ウチらも普通に着るし夏なんかもっと腕も臍も足も出すよ!せっかくなんだからなまえももっと色んな服を楽しもうよ!」と言われて、こくり、と頷き、なまえがいつもお願いしている御用達なる店にイメージと似ている服をお願いして手に入れたのだ。
「(…やっぱり私にはこの洋服似合わなかったのかな…?堅ちゃん何だか顔怖い気がする…)」
「(…あーークッソ、エッロい服着やがってマジで何考えてんだよコイツ…!)」
周りの人からも「あの子可愛すぎ…」だの「エロすぎ…堪ンねぇ…」だのチラチラ見られる事により強い警戒心から始まったデートの最初の方、水族館で魚を見るよりもなまえばっかり見て仕舞っていた二口は、今日のなまえのコーデを見て尚更、自身だって彼女のあちこちに触れたくて触れたくて仕方ない。あの夏休み明け、青根に啖呵切ったのは嘘じゃねぇからな、と確りと自身を戒めながらも、やっぱり可愛いなまえに対しては、水族館に誘った時に既に先手は打ってあるのだからーー手くらい繋いでも良いよな?いや彼氏彼女なら腕組みくらいは…考えれば考えれる程心臓の高鳴りが煩かったのは正直な男心もあった。まぁ先ずはなまえと思い出作りが何よりも優先、と気持ちを切り替え、なまえの手を自然に引き様々な魚や生き物に会いに行く。イルカショーで少しだけ水にかかって笑う彼女がキラキラして可愛くて、室内水槽で泳ぐ鮫にビックリして腕をきゅっ、と握ってくる彼女を護りたいし、小さな魚や海月と一緒にカメラに映る彼女が凄く愛おしい。
「はいっ、あーん」
「!?いや自分で食えるし…」
「でも私、今日は堅ちゃんの彼女だよね…?」
「ーーあーハイハイ1回だけな」
悪戯に可愛く笑うなまえに負けて、ぱくり、と差し出された食事を自身の口内へと含む。ゲッ、思ってたよりもむちゃくちゃ恥ずかしい…もう外ではやらない。そんな事柄から始まった昼食はイルカ可愛かった、とか、あの魚のぽやんとした顔はお前の顔にソックリだったぞ、とか、お揃いでイルカのモチーフの綺麗なキーホルダー買っちゃったね、何処につける?なんて話してはゆっくり過ごした。
ーーきっとデートって云うのは今抱いてる温かい気持ちになる事なんだろうな、と二口は素直に思うのだった。
◇◇◇
「ーーなまえ、今人少ないから一緒に写真撮ろうぜ。ほら、後ろのペンギンと一緒に」
「!うんっ…とりたいっ」
「俺が上手く撮るから俺にくっつけ。ーーもっとだよ」
ぎゅっ、と身体を密着させて、ぱしゃり、と撮ったからなまえは恥ずかしさの余りついとろり、とした表情で映る。二口は笑いながらなまえを揶揄うと、なまえは案の定恥ずかしがりながらそれは消してもう一回撮ろう?とお願いするなまえを無視して、大切に保管しスマホの待ち受けにする。
「ーーね、人きちゃ…ン…」
「大丈夫、キスだけだから…」
水族館の中は様々な理由により薄暗く、いつも混んでいるこの水族館に至っては今日は比較的空いており、且つ歩いてる時に思ったが確かに死角になるスペースが多い様にも思えた。二口となまえがある階のコーナーに足を踏み入れ様とした際(薄暗く隠れて居るのではっきりとは確認出来ないが)ある死角のスペースでカップルが二人の世界に入っていた。確かに周りを見渡せばこの階には誰も居ない。今の時間帯は先程、自身らも見たイルカショーがあり恐らく客はほぼそっちに引っ張られているのだろう。カップルは薄暗く静かで雰囲気もあり盛り上がっていて、二口となまえに全く気付かないで居た。
「(ーーハイハイ、ゴチソウサマ。)」
はぁ、と溜息を落とせば気にせずコーナーへ進む事にしなまえの細い腰に手を回して行くぞ、と足を進めカップルとは十分に距離をとった。無意識に腰に回した手をすりっ…と摩って仕舞えば、ひゅくん、となまえの身体が跳ねるので、二口は、え、あれ?いつもはこれくらいしてるよな…なんてなまえの顔を覗けば、なまえの顔は沸騰するんじゃないか、という程に真っ赤になって居たので二口は、あーナルホドネ、と察する。…確かにこの子にとっちゃアレは刺激は強いかも。
「…気になるなら違う場所に行く?」
「~~あっ…違うの…大丈夫…」
「(なまえの蕩け顔可愛い…)すっげーブスな顔してますけど」
「だ…だって…」
「!?」
ガタッ、と先程の死角スペースから大きな音がしてチラリと偶見えた男女双方の顔を見れば、なんと二口と同学年の生徒あった。いやマジか…彼奴らって確か付き合ってる相手男女共々全く違う相手じゃなかった…?って事は、俺は修羅場目撃しちゃった☆ってやつ?バレたらめんどくせェ…。
この部屋は出入口兼用になっており出るのならばカップルの前を再度通り過ぎ無ければならなかった。
「堅ちゃん…?どうしたの…?」
二口は、不思議そうな表情をし自然に上目遣いになるなまえを見て部屋の隅の奥に追いやった。しかもあの男子生徒は、特に自分が気に入った女には執拗い。万が一、なまえを奴の目に触れたら、と考えたら強い不快なる嫌悪感しか無い。再度彼処を通って帰るリスクよりも、此方が様子を窺いながら薄暗さに紛れて上手く退散する方が良い気がする。なまえには申し訳無いが自身に付き合って貰うしかない。
「ーーなまえ、声出すなよ」
なまえの身体を水槽の方へ向けて、二口はその小さな身体の背後に立ち護る(しか無い)傍から見たら二口が華奢ななまえに背後から被さる様に見えるのだがもうそこは許してして欲しい。誰が見たって可愛く、しかも艶めかしい服装であるなまえを絶対に奴の視界に入れるわけにはいかない。無意識に二口はなまえを自身のお腹へとグッと引き寄せた。
目の前のゴポゴポ…ッ、とした泡、ゆらゆらと揺れる水の流れ、金平糖の様な小さな魚達がきらきらと踊る姿を、大半は只、無言で見るしかない。ふわり、と擽るなまえの甘い香りに豊満な胸と小さな尻の綺麗なラインが薄暗さで更に艶めかしく密着により誘われ、自身の視界がまたチカッ、チカッ、としてくる。顎を擽るなまえの艶やかな髪の毛が気持ち良いーー
「(…クソッ…)」
なまえと一緒の時間を共に過ごしたい、思い出を作りたい、もっと仲良くなりたいーー其れは偽りの無い本心である。なのに…なまえと居たら心も身体も味わった事の無い強い感に襲われて自身でも如何したら良いのか分からなくなる。ーー自分が自分じゃなくなりそうな程、余裕なんて全く無くなる。なまえに触りたい、なまえが可愛い、いや、愛おしい…?何なのこの女、魔性かよ…マジで俺自身がブチ壊れそう、と強く揺さぶられる。正直、その気になり欲に従って可能な限り自分のモノにしたい。でも誰よりもなまえを大切にしたい。何時だか、なまえに向かって、誰よりも可愛い、って言いながら抱き締めた思いは嘘偽りは無い。ーーもし、彼女の全てを抱く事が許される日が訪れるのならば、間違っても無理強いや惰性ではしたくない。ーーだから駄目だ、と理性を紡ぐ二口はギリッ…と掌を強く握る。
「(…早く此処から出ねぇと…取り返しがつかなくなる気がする…)」
チカッ、と揺れる視界や意識の中でも、同級生の気配を追い目で確認すれば、男女双方共にスペースから離れて部屋から離れて立ち去っていった事柄を確りと確認したのは覚えている。ーーもう平気だろう。ならばなまえから離れなくちゃ、離れ…離れろ…動け、動け俺…!ーー深海で、通常なら眠くなる様なオルゴールのBGMと荒くなる息遣い、そしてドクン、ドクン、と鳴る自身の心臓の音しか聞こえない。今、自身の命綱は目の前の人魚姫とキラキラと舞う小さな魚達だけ。
「…あのっ…」
「黙って」
「…っ、堅ちゃんの顔見ても良い…?何だか寂しいよ…」
「…なまえ…今はコッチ見るなジッとしてろ頼むから」
「でも…っ…」
「ーー…どうなっても知らねぇからな…!」
徐々に、はァっ…と吐息混じりになってきた二口の変わった様子と重なり合って、目の前の神秘的である水の流れを見つめ続けて吸い込まれそうになり不安になったなまえは、背後から抱き締められるだけでは足りなくて無意識に二口を望んでは彼の言葉に背いて身体をくるり、と半回転させれば、思い切り、ぎゅぅっ、と彼のお腹に手を回して抱き締めて密着した。
なまえの不安が抜けてホッ…としたのも束の間、代償としてか、無言の二口から数秒後には後頭部を抱える様に捕まれ顔をグッと上向きにされて、唇と唇を重ね合わせ深く貪られるのだ。
ごくり、と喉が鳴る。ならどうやって美味しく頂ーー違う違う違う勘違いするな俺、相手は天然女だ。すんなりOK貰えたのだから此方もすんなりと普段通りに行け、ヨシ(指差し確認)
「ーーじゃあ、水族館でも行くか。おまえの友達がいっぱい居るぞ」
「…うんっ、行きたい…!でも…私の好きな場所な気がするんだけど…」
「…いい。俺はなまえとの時間がもっと欲しいーー…その日だけ俺の彼女になって」
彼女、とポツリ…と一言呟いたなまえは、時間差で顔を真っ赤に染めた。彼女なんてなった事も無いから一体、何をしたら良いのか分からない…なまえは不安げに揺れる瞳で二口の目を見て視線を重ね合わせる。そんな不安な顔しなくても、なんて言われて続けられれば、只、なまえが隣に居てくれれば良いから、なんて頭を撫でられた。
「ーー別に…!ただ、誕生日なのに彼女が居ないから寂しいだけであって…!~~勘違いするなよその日だけだからなッ」
「…え?あ、うんっ、わかった!」
ハッ、とした二口は、あれ?なんか良く考えれば今の俺スゲー事言ってない…?と気付き、めちゃくちゃ焦りながら弁解していた。
◇◇◇
「わぁ…みてみて堅ちゃん!ふふっ、皆可愛いね」
「お前は燥ぐな。そんな慣れない格好して転んだらどうすんだよ」
「~~は、はい…」
二口の誕生日の日はタイミング良く学校が休みだった為、二口となまえは約束通り2人で水族館に来ていた。二口がつい心配してしまうなまえの本日のコーデは、男ウケを狙ったボディラインが強調するニットタイトミニワンピである。
ーー実は、友人達と洋服の話をしながらスマホで服を選んでいた際に、友人達から猛プッシュ!されたコーデであり、いつもふわふわ清楚系コーデななまえにとっては初めての洋服だった。やはりボディラインが強調されて胸の事が気になり友人にも言ってみたが「寧ろそれが良し!なまえは顔と身体とのギャップ感もあって凄く堪らないし絶対に可愛いよ♡ウチらも普通に着るし夏なんかもっと腕も臍も足も出すよ!せっかくなんだからなまえももっと色んな服を楽しもうよ!」と言われて、こくり、と頷き、なまえがいつもお願いしている御用達なる店にイメージと似ている服をお願いして手に入れたのだ。
「(…やっぱり私にはこの洋服似合わなかったのかな…?堅ちゃん何だか顔怖い気がする…)」
「(…あーークッソ、エッロい服着やがってマジで何考えてんだよコイツ…!)」
周りの人からも「あの子可愛すぎ…」だの「エロすぎ…堪ンねぇ…」だのチラチラ見られる事により強い警戒心から始まったデートの最初の方、水族館で魚を見るよりもなまえばっかり見て仕舞っていた二口は、今日のなまえのコーデを見て尚更、自身だって彼女のあちこちに触れたくて触れたくて仕方ない。あの夏休み明け、青根に啖呵切ったのは嘘じゃねぇからな、と確りと自身を戒めながらも、やっぱり可愛いなまえに対しては、水族館に誘った時に既に先手は打ってあるのだからーー手くらい繋いでも良いよな?いや彼氏彼女なら腕組みくらいは…考えれば考えれる程心臓の高鳴りが煩かったのは正直な男心もあった。まぁ先ずはなまえと思い出作りが何よりも優先、と気持ちを切り替え、なまえの手を自然に引き様々な魚や生き物に会いに行く。イルカショーで少しだけ水にかかって笑う彼女がキラキラして可愛くて、室内水槽で泳ぐ鮫にビックリして腕をきゅっ、と握ってくる彼女を護りたいし、小さな魚や海月と一緒にカメラに映る彼女が凄く愛おしい。
「はいっ、あーん」
「!?いや自分で食えるし…」
「でも私、今日は堅ちゃんの彼女だよね…?」
「ーーあーハイハイ1回だけな」
悪戯に可愛く笑うなまえに負けて、ぱくり、と差し出された食事を自身の口内へと含む。ゲッ、思ってたよりもむちゃくちゃ恥ずかしい…もう外ではやらない。そんな事柄から始まった昼食はイルカ可愛かった、とか、あの魚のぽやんとした顔はお前の顔にソックリだったぞ、とか、お揃いでイルカのモチーフの綺麗なキーホルダー買っちゃったね、何処につける?なんて話してはゆっくり過ごした。
ーーきっとデートって云うのは今抱いてる温かい気持ちになる事なんだろうな、と二口は素直に思うのだった。
◇◇◇
「ーーなまえ、今人少ないから一緒に写真撮ろうぜ。ほら、後ろのペンギンと一緒に」
「!うんっ…とりたいっ」
「俺が上手く撮るから俺にくっつけ。ーーもっとだよ」
ぎゅっ、と身体を密着させて、ぱしゃり、と撮ったからなまえは恥ずかしさの余りついとろり、とした表情で映る。二口は笑いながらなまえを揶揄うと、なまえは案の定恥ずかしがりながらそれは消してもう一回撮ろう?とお願いするなまえを無視して、大切に保管しスマホの待ち受けにする。
「ーーね、人きちゃ…ン…」
「大丈夫、キスだけだから…」
水族館の中は様々な理由により薄暗く、いつも混んでいるこの水族館に至っては今日は比較的空いており、且つ歩いてる時に思ったが確かに死角になるスペースが多い様にも思えた。二口となまえがある階のコーナーに足を踏み入れ様とした際(薄暗く隠れて居るのではっきりとは確認出来ないが)ある死角のスペースでカップルが二人の世界に入っていた。確かに周りを見渡せばこの階には誰も居ない。今の時間帯は先程、自身らも見たイルカショーがあり恐らく客はほぼそっちに引っ張られているのだろう。カップルは薄暗く静かで雰囲気もあり盛り上がっていて、二口となまえに全く気付かないで居た。
「(ーーハイハイ、ゴチソウサマ。)」
はぁ、と溜息を落とせば気にせずコーナーへ進む事にしなまえの細い腰に手を回して行くぞ、と足を進めカップルとは十分に距離をとった。無意識に腰に回した手をすりっ…と摩って仕舞えば、ひゅくん、となまえの身体が跳ねるので、二口は、え、あれ?いつもはこれくらいしてるよな…なんてなまえの顔を覗けば、なまえの顔は沸騰するんじゃないか、という程に真っ赤になって居たので二口は、あーナルホドネ、と察する。…確かにこの子にとっちゃアレは刺激は強いかも。
「…気になるなら違う場所に行く?」
「~~あっ…違うの…大丈夫…」
「(なまえの蕩け顔可愛い…)すっげーブスな顔してますけど」
「だ…だって…」
「!?」
ガタッ、と先程の死角スペースから大きな音がしてチラリと偶見えた男女双方の顔を見れば、なんと二口と同学年の生徒あった。いやマジか…彼奴らって確か付き合ってる相手男女共々全く違う相手じゃなかった…?って事は、俺は修羅場目撃しちゃった☆ってやつ?バレたらめんどくせェ…。
この部屋は出入口兼用になっており出るのならばカップルの前を再度通り過ぎ無ければならなかった。
「堅ちゃん…?どうしたの…?」
二口は、不思議そうな表情をし自然に上目遣いになるなまえを見て部屋の隅の奥に追いやった。しかもあの男子生徒は、特に自分が気に入った女には執拗い。万が一、なまえを奴の目に触れたら、と考えたら強い不快なる嫌悪感しか無い。再度彼処を通って帰るリスクよりも、此方が様子を窺いながら薄暗さに紛れて上手く退散する方が良い気がする。なまえには申し訳無いが自身に付き合って貰うしかない。
「ーーなまえ、声出すなよ」
なまえの身体を水槽の方へ向けて、二口はその小さな身体の背後に立ち護る(しか無い)傍から見たら二口が華奢ななまえに背後から被さる様に見えるのだがもうそこは許してして欲しい。誰が見たって可愛く、しかも艶めかしい服装であるなまえを絶対に奴の視界に入れるわけにはいかない。無意識に二口はなまえを自身のお腹へとグッと引き寄せた。
目の前のゴポゴポ…ッ、とした泡、ゆらゆらと揺れる水の流れ、金平糖の様な小さな魚達がきらきらと踊る姿を、大半は只、無言で見るしかない。ふわり、と擽るなまえの甘い香りに豊満な胸と小さな尻の綺麗なラインが薄暗さで更に艶めかしく密着により誘われ、自身の視界がまたチカッ、チカッ、としてくる。顎を擽るなまえの艶やかな髪の毛が気持ち良いーー
「(…クソッ…)」
なまえと一緒の時間を共に過ごしたい、思い出を作りたい、もっと仲良くなりたいーー其れは偽りの無い本心である。なのに…なまえと居たら心も身体も味わった事の無い強い感に襲われて自身でも如何したら良いのか分からなくなる。ーー自分が自分じゃなくなりそうな程、余裕なんて全く無くなる。なまえに触りたい、なまえが可愛い、いや、愛おしい…?何なのこの女、魔性かよ…マジで俺自身がブチ壊れそう、と強く揺さぶられる。正直、その気になり欲に従って可能な限り自分のモノにしたい。でも誰よりもなまえを大切にしたい。何時だか、なまえに向かって、誰よりも可愛い、って言いながら抱き締めた思いは嘘偽りは無い。ーーもし、彼女の全てを抱く事が許される日が訪れるのならば、間違っても無理強いや惰性ではしたくない。ーーだから駄目だ、と理性を紡ぐ二口はギリッ…と掌を強く握る。
「(…早く此処から出ねぇと…取り返しがつかなくなる気がする…)」
チカッ、と揺れる視界や意識の中でも、同級生の気配を追い目で確認すれば、男女双方共にスペースから離れて部屋から離れて立ち去っていった事柄を確りと確認したのは覚えている。ーーもう平気だろう。ならばなまえから離れなくちゃ、離れ…離れろ…動け、動け俺…!ーー深海で、通常なら眠くなる様なオルゴールのBGMと荒くなる息遣い、そしてドクン、ドクン、と鳴る自身の心臓の音しか聞こえない。今、自身の命綱は目の前の人魚姫とキラキラと舞う小さな魚達だけ。
「…あのっ…」
「黙って」
「…っ、堅ちゃんの顔見ても良い…?何だか寂しいよ…」
「…なまえ…今はコッチ見るなジッとしてろ頼むから」
「でも…っ…」
「ーー…どうなっても知らねぇからな…!」
徐々に、はァっ…と吐息混じりになってきた二口の変わった様子と重なり合って、目の前の神秘的である水の流れを見つめ続けて吸い込まれそうになり不安になったなまえは、背後から抱き締められるだけでは足りなくて無意識に二口を望んでは彼の言葉に背いて身体をくるり、と半回転させれば、思い切り、ぎゅぅっ、と彼のお腹に手を回して抱き締めて密着した。
なまえの不安が抜けてホッ…としたのも束の間、代償としてか、無言の二口から数秒後には後頭部を抱える様に捕まれ顔をグッと上向きにされて、唇と唇を重ね合わせ深く貪られるのだ。