コ ー プ ス・リ バ イ バ ー
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(おはよ、ぽやぽや娘。何かでスカート巻き込み捲り上げて無いよな?間違ってもあんなん見せびらかして歩くなよ)
(そんな事しないよ!やっぱり自分が信じられないのでもう一度確認しました…。堅ちゃんも学校行ってらっしゃい!今日実習だよね?怪我しない様に気をつけてください)
(なめんな了解。今夜電話する。またあとでな)
◇◇◇
「みょうじさん、おはよう…!今日も素敵です!あの、良かったら今日の放課後、俺と……って及川お前マジで俺の邪魔ばっかりすんな…ってあああみょうじさんっ…!そんなぁぁ…岩泉コラァァ」
「へっへーん。あっかんべーだ☆」
「おとといきやがれ」
朝練に参加する為、早めに登校してきたなまえと及川、岩泉の前に、同じく他の部活の朝練で早めに登校した男子生徒がシュババッと風を切りながら登場し、彼はなまえと如何しても御近付きなりたくなまえの前に緊張しながら片膝立ち、阿吽の護衛をガン無視し強行突破しようと命知らずの行動に出ては話し掛けるのだが…許すまいとする及川の☆がキラキラと降る舌出しを食らい思い切り邪魔され、怯むその間に岩泉が男子生徒を気にして慌てるなまえの肩を親密に抱きながら男子生徒に向かい一言放てば、スタスタ…と部室へ去っていく、と云うお約束が存在する。
◇◇◇
「ーーまたあの目障りな女、マネージャーでも無いくせに性懲りも無くバレー部の周りチョロチョロしてんの?ウッザ…。さっきあの女と廊下で擦れ違ってさー、如何にも朝練でしたって格好して馴れ馴れしくヘラヘラ挨拶してきたからバレない様にわざとぶつかってやったわー。きゃっ、とかいって転んでざまぁって感じ?ほんっと朝から見て気分悪かった!ちな、3年のあの女贔屓のクソ男達は何処行ったの?見当たらなくない?」
「おっはー。うっわマジ?怖ー。でもさー、みょうじさんって健気じゃない?見た目も透明感溢れる可愛癒し系で勉強も出来てお嬢様だけど、だからって絶対に偉ぶったりしないじゃん?寧ろ控えめだし誰にでも優しいしさー。あの子のあちゃー…な残念なトコは何処かぽやんぽやんてしてるとこじゃね?」
「おっはよーさん。ウケるよ、あの輩共は成敗されました。岩泉くんのあの言葉カッコ良くって痺れたなー!半分バレー部活、半分はみょうじさんの為なんだろうね…ごめん、アンタに悪いけど今回は私はスカッとしたよ!」
「それなー!しかも輩共、流石にあれは無いわな。みょうじさん集中攻撃だもん。…私も別にみょうじさん好きじゃ無いけどさすがに見兼ねて輩に私も一言言った時には、私の事なんか眼中に無い、なまえちゃんの身体を舐める様に眺めてるだけでも堪んねぇンだから、なんてキモ過ぎ対応されてさー。あれは流石に気の毒」
「ーーは?アイツ、チヤホヤされて勘違いしてるあざとい女のだけでしょ。徹も何であんなんに騙されるんかなー」
「…もうみょうじさんに強く当たり散らすのやめたげたら?及川くんにバレたらアンタの方がヤバくない?後はみょうじさんの家族からも目つけられたら困る、というか…ほらあの子、マジでお嬢様だし!」
「…てか、及川くんと付き合う条件の中に、みょうじさんの条件があるなんて超有名じゃん。アンタだって分かって付き合ってんでしょ?」
「ーーさっきからアンタらどっちの味方よ!?」
「はー?てか寧ろなんでそんなイライラしてるわけ?悪いけど傍から見てたら、みょうじさんに擦り寄ってんの寧ろ及川くんや岩泉くんだよね。みょうじさんみたいな華奢で小柄な子が、あんな身体デカい男×2を振り切れるわけなくない?出来たら映画かよって(笑)」
「あ、及川くんにアンタが居るようにさー、みょうじさんだって実は彼氏居るんじゃないの?男ほっとかないでしょ。マジ気にしなきゃいいじゃん」
「正直、及川ファンから言わせて貰えば、綺麗め美人のアンタに実は文句言いたいけど怖くって言えないんだろうねー?きゃはは」
「やめてよ。当たり前でしょ?他の女なんかその辺の石ころだっつーの」
「ーー言わせて貰うけど、バレー部はインハイだし及川くんの為を想うならみょうじさんに構うのやめといたら?如何なっても私達は庇いきれないよー?」
「はっ、余計なお世話。ひ弱だった徹の元カノ達と一緒にしないで!」
フンっ、と鼻息を荒くする及川の彼女は、友人である他数人の女生徒と化粧をしながら主になまえと及川の話題の会話をしていた。ーー最近、及川との連絡や対応が極端に減り納得いかない事もあり、自身とは寧ろ反対に常に及川の傍に居るなまえに怒りの矛先が少しずつ向いていく。兎に角、徐々になまえの存在が何かと気に食わなくなってきてバレない程度になまえに八つ当たりし、変に構う量が僅かながらも及川の彼女の中で生じ始めた。
◇◇◇
「なまえさんっ……俺達はいつもお世話して貰ってばかりだったのに~~ッ、ひぐっ…ほんっとうに申"し訳"な"かっ"た"ですぅ"っ……!グスッ…」
「矢巾くん…大丈夫だから…ね?もう泣かないで…んきゃっ!?」
「なまえさんはなんて慈悲深き天使…ッ!もう俺は産まれ変わってアナタを傷付ける輩に二度と恐れたりせず立ち向かうと誓いま………ぎゃっ!」
休み時間事に毎回、主将から始まって後輩が入れ替わり立ち代りなまえちゃんに近づくなぁ、と気にして見てたけど、相余って抱き締めるのは流石に駄ァ目、と言葉と雰囲気を発しながら矢巾の頭を掴んでは、独自の色気を半端なく漏れさせてなまえを庇って間に割り込んだ松川は、なまえを抱き締める矢巾をベリ、と引き剥がし彼のティッシュで涙を拭いてやり教室に帰らせた。
「ふふっ、ティッシュで優しく涙を拭いてあげるなんて一静くん優しいね」
「ーーなまえちゃんには到底適わないよ……今日は主将から後輩達まで代わる代わるごめんね。対応も大変だったよね?でもさ、皆のなまえちゃんに直接、許されなくても謝りたい、って気持ちは無下には出来なくてさ。しかも俺もそのウチの1人だし…」
「そんな…!私だって部内を振り回して迷惑掛けちゃって…ごめんなさい。…一静くんや貴大くんも、はじめちゃんと徹くんと同じチームで戦ってくれたんだよね?ありがとう、嬉しかったよ。…あっ、あとね!4人ともインハイで活躍できる、って主将から聞いたの!おめでとう!私も応援に行っても良い?」
ふわり、と心地よく優しい雰囲気で且つ自分の事よりもバレー部の事に強く重点を置き接するなまえと面する松川は、何だかじわり、と目に水膜が張った感覚に襲われ必死で堪えた。…なまえちゃんがマネージャーで傍に居てくれて、見守ってくれたら心強いのに、なんて喉まで出掛ったが、そんな事言える立場に無い。松川は言葉を飲み込み「…ウン。なまえちゃんが来てくれて応援してくれたら皆もっと頑張れるよ。」と放ち、なまえの頭を優しく撫でたのだった。
ーーー
ーー
ー
「ーーへ?なまえが期間限定でバレーボールのクラブチームに…?いやいやボールじゃなくてお前がぴよぴよコロコロ転がされるだけだろ」
「…堅ちゃんの意地悪…っ」
「ぷっ、冗談だって。…で、バレーやるの?」
「ううん、試合じゃなくてね?バレーボールに携わる為の基礎、ルールやスコアの付け方等をきちんと学びたいの。…ちゃんと勉強して確り学んだらバレー部のマネージャーになりたいな、って…」
今朝のメッセージの通りなまえと二口は電話していて、その会話の中でなまえは二口にある決断を伝える事になったのだ。其れは、きちんと期間を決めてその期間内でバレーに携わって知識やその他項目を確りと学び、それで居て自身が3年になった時点で入部届を提出し知識を得た状態でマネージャーになりたい、という熱意であった。勿論、今まで通り、バレー部のお手伝いには通うつもりらしい。
二口は、なまえは見た目はぽわわん、とする女の子だけども、実は頑固なのか言い分もこの子らしいな、とか、中々熱いモノを持ってるのかも、なんて思いながら、ふふっ、と微笑みながら柔らかい表情でなまえの話を聞いていた。
「なまえさー、意気込みは良いんだけど体力は大丈夫なのかよ?マネージャーだって体力要るんだぞ?お前すぐにバテそうじゃん」
「ぅぅ…実はそれが心配で…。なので、体力作りのお手伝いを幼なじみに頼んでみようと思って…」
「はぁ?2年なら人によっちゃインハイ時期だろ?その2人はなまえに構ってる時間あんの?」
「もちろん、大切な時期だから迷惑は掛けない様にするつもりで居るんだけど…。あのね、私の家ね、両親が仕事関係都合でお家をほぼ空けるから子供の頃から頻繁にお家に伺ってお世話になってるの。なので、その時に筋トレや柔軟や走り込みを一緒にやっても大丈夫かお願いしてみる…!」
「ふーん、そっか。女同士なら柔軟もやり易いし教え易いだろうから良いんじゃねぇの?」
「え…?あれ?言ってなかったっけ…?私の幼なじみ、男の子だよ。青葉城西のバレー部なの。」
「ーー!?」
二口の顔色が一瞬にしてガラリと変わる。男…?いや待て幼なじみが2人居てバレーボールしてるのは聞いたけど…男…か…確かにあの時、性別を質問はして答えは聞かなかった。てか頻繁に家遊びに行ってるって何?と、様々な混濁した強い感情がゴポゴポ…と音を立てて溢れそうで、今は通話中なのについ黙り込んでしまった。
「…もしもし…?堅ちゃん、どうしたの…?」
「ーーえ?あ、あぁ…いや?何でもない。まぁ、青城は強豪なんだからその人達に迷惑は掛けるなよな。俺らの先輩だって戦うの楽しみにしてるんだから…」
「うん、そうだよね。大切な時期だもんね」
「ーーなまえ」
「うん?」
部屋なんか行くな、会うなよ、と言いかかった瞬間に我に返った。ーーいやいやまてまて俺、落ち着け。なまえが別に男の部屋行こうが一緒に筋トレしようが何しようが俺には関係無い。何で俺が必死に止めようとしてんの?なまえの彼氏でも無いのに言う権利も無いーーん?いやだから何かオカシイって。なんなんだこのモヤモヤは俺超メンドくせェ…!マジなんなの…!
「ーー俺もさ、今度付き合ってやるよ。筋トレや柔軟、ストレッチ…?」
「!?いいの?嬉しい…!なら今度は是非うちに来てくれる?この間、お邪魔して色々お世話になったから…」
「~~お前はそういうとこだよ…!ちゃんと分かってんのかよ…?」
「?」
だめだーこのぽやぽや娘。危機感も男女って事もすっかり頭から抜けてるわー。そんで今の俺のこんな真っ赤な面は恥ずかしくて見せられない。マジで電話で良かった、なんて二口は額に手を当て次いで、てか良く幼なじみ共はなまえを頻繁に目の前にして平然として居られるよな…なんて思ってしまう。
「(…あんなのは単なる気紛れだっただけ…)」
先日の唇同士を触れ合わせようとした際、あのなまえの反応を見たら初心だな、と直感で感じた。そしてなまえの彼氏の存在の影さえも見当たらない。幼なじみとやらの2人はなまえに対して女として興味が無い、若しくは相当なる想いで大切に愛でているかーー二口の心臓は、ギュゥッ…と締め付けられる様な不安なる不可解な感覚に強く襲われた。
(そんな事しないよ!やっぱり自分が信じられないのでもう一度確認しました…。堅ちゃんも学校行ってらっしゃい!今日実習だよね?怪我しない様に気をつけてください)
(なめんな了解。今夜電話する。またあとでな)
◇◇◇
「みょうじさん、おはよう…!今日も素敵です!あの、良かったら今日の放課後、俺と……って及川お前マジで俺の邪魔ばっかりすんな…ってあああみょうじさんっ…!そんなぁぁ…岩泉コラァァ」
「へっへーん。あっかんべーだ☆」
「おとといきやがれ」
朝練に参加する為、早めに登校してきたなまえと及川、岩泉の前に、同じく他の部活の朝練で早めに登校した男子生徒がシュババッと風を切りながら登場し、彼はなまえと如何しても御近付きなりたくなまえの前に緊張しながら片膝立ち、阿吽の護衛をガン無視し強行突破しようと命知らずの行動に出ては話し掛けるのだが…許すまいとする及川の☆がキラキラと降る舌出しを食らい思い切り邪魔され、怯むその間に岩泉が男子生徒を気にして慌てるなまえの肩を親密に抱きながら男子生徒に向かい一言放てば、スタスタ…と部室へ去っていく、と云うお約束が存在する。
◇◇◇
「ーーまたあの目障りな女、マネージャーでも無いくせに性懲りも無くバレー部の周りチョロチョロしてんの?ウッザ…。さっきあの女と廊下で擦れ違ってさー、如何にも朝練でしたって格好して馴れ馴れしくヘラヘラ挨拶してきたからバレない様にわざとぶつかってやったわー。きゃっ、とかいって転んでざまぁって感じ?ほんっと朝から見て気分悪かった!ちな、3年のあの女贔屓のクソ男達は何処行ったの?見当たらなくない?」
「おっはー。うっわマジ?怖ー。でもさー、みょうじさんって健気じゃない?見た目も透明感溢れる可愛癒し系で勉強も出来てお嬢様だけど、だからって絶対に偉ぶったりしないじゃん?寧ろ控えめだし誰にでも優しいしさー。あの子のあちゃー…な残念なトコは何処かぽやんぽやんてしてるとこじゃね?」
「おっはよーさん。ウケるよ、あの輩共は成敗されました。岩泉くんのあの言葉カッコ良くって痺れたなー!半分バレー部活、半分はみょうじさんの為なんだろうね…ごめん、アンタに悪いけど今回は私はスカッとしたよ!」
「それなー!しかも輩共、流石にあれは無いわな。みょうじさん集中攻撃だもん。…私も別にみょうじさん好きじゃ無いけどさすがに見兼ねて輩に私も一言言った時には、私の事なんか眼中に無い、なまえちゃんの身体を舐める様に眺めてるだけでも堪んねぇンだから、なんてキモ過ぎ対応されてさー。あれは流石に気の毒」
「ーーは?アイツ、チヤホヤされて勘違いしてるあざとい女のだけでしょ。徹も何であんなんに騙されるんかなー」
「…もうみょうじさんに強く当たり散らすのやめたげたら?及川くんにバレたらアンタの方がヤバくない?後はみょうじさんの家族からも目つけられたら困る、というか…ほらあの子、マジでお嬢様だし!」
「…てか、及川くんと付き合う条件の中に、みょうじさんの条件があるなんて超有名じゃん。アンタだって分かって付き合ってんでしょ?」
「ーーさっきからアンタらどっちの味方よ!?」
「はー?てか寧ろなんでそんなイライラしてるわけ?悪いけど傍から見てたら、みょうじさんに擦り寄ってんの寧ろ及川くんや岩泉くんだよね。みょうじさんみたいな華奢で小柄な子が、あんな身体デカい男×2を振り切れるわけなくない?出来たら映画かよって(笑)」
「あ、及川くんにアンタが居るようにさー、みょうじさんだって実は彼氏居るんじゃないの?男ほっとかないでしょ。マジ気にしなきゃいいじゃん」
「正直、及川ファンから言わせて貰えば、綺麗め美人のアンタに実は文句言いたいけど怖くって言えないんだろうねー?きゃはは」
「やめてよ。当たり前でしょ?他の女なんかその辺の石ころだっつーの」
「ーー言わせて貰うけど、バレー部はインハイだし及川くんの為を想うならみょうじさんに構うのやめといたら?如何なっても私達は庇いきれないよー?」
「はっ、余計なお世話。ひ弱だった徹の元カノ達と一緒にしないで!」
フンっ、と鼻息を荒くする及川の彼女は、友人である他数人の女生徒と化粧をしながら主になまえと及川の話題の会話をしていた。ーー最近、及川との連絡や対応が極端に減り納得いかない事もあり、自身とは寧ろ反対に常に及川の傍に居るなまえに怒りの矛先が少しずつ向いていく。兎に角、徐々になまえの存在が何かと気に食わなくなってきてバレない程度になまえに八つ当たりし、変に構う量が僅かながらも及川の彼女の中で生じ始めた。
◇◇◇
「なまえさんっ……俺達はいつもお世話して貰ってばかりだったのに~~ッ、ひぐっ…ほんっとうに申"し訳"な"かっ"た"ですぅ"っ……!グスッ…」
「矢巾くん…大丈夫だから…ね?もう泣かないで…んきゃっ!?」
「なまえさんはなんて慈悲深き天使…ッ!もう俺は産まれ変わってアナタを傷付ける輩に二度と恐れたりせず立ち向かうと誓いま………ぎゃっ!」
休み時間事に毎回、主将から始まって後輩が入れ替わり立ち代りなまえちゃんに近づくなぁ、と気にして見てたけど、相余って抱き締めるのは流石に駄ァ目、と言葉と雰囲気を発しながら矢巾の頭を掴んでは、独自の色気を半端なく漏れさせてなまえを庇って間に割り込んだ松川は、なまえを抱き締める矢巾をベリ、と引き剥がし彼のティッシュで涙を拭いてやり教室に帰らせた。
「ふふっ、ティッシュで優しく涙を拭いてあげるなんて一静くん優しいね」
「ーーなまえちゃんには到底適わないよ……今日は主将から後輩達まで代わる代わるごめんね。対応も大変だったよね?でもさ、皆のなまえちゃんに直接、許されなくても謝りたい、って気持ちは無下には出来なくてさ。しかも俺もそのウチの1人だし…」
「そんな…!私だって部内を振り回して迷惑掛けちゃって…ごめんなさい。…一静くんや貴大くんも、はじめちゃんと徹くんと同じチームで戦ってくれたんだよね?ありがとう、嬉しかったよ。…あっ、あとね!4人ともインハイで活躍できる、って主将から聞いたの!おめでとう!私も応援に行っても良い?」
ふわり、と心地よく優しい雰囲気で且つ自分の事よりもバレー部の事に強く重点を置き接するなまえと面する松川は、何だかじわり、と目に水膜が張った感覚に襲われ必死で堪えた。…なまえちゃんがマネージャーで傍に居てくれて、見守ってくれたら心強いのに、なんて喉まで出掛ったが、そんな事言える立場に無い。松川は言葉を飲み込み「…ウン。なまえちゃんが来てくれて応援してくれたら皆もっと頑張れるよ。」と放ち、なまえの頭を優しく撫でたのだった。
ーーー
ーー
ー
「ーーへ?なまえが期間限定でバレーボールのクラブチームに…?いやいやボールじゃなくてお前がぴよぴよコロコロ転がされるだけだろ」
「…堅ちゃんの意地悪…っ」
「ぷっ、冗談だって。…で、バレーやるの?」
「ううん、試合じゃなくてね?バレーボールに携わる為の基礎、ルールやスコアの付け方等をきちんと学びたいの。…ちゃんと勉強して確り学んだらバレー部のマネージャーになりたいな、って…」
今朝のメッセージの通りなまえと二口は電話していて、その会話の中でなまえは二口にある決断を伝える事になったのだ。其れは、きちんと期間を決めてその期間内でバレーに携わって知識やその他項目を確りと学び、それで居て自身が3年になった時点で入部届を提出し知識を得た状態でマネージャーになりたい、という熱意であった。勿論、今まで通り、バレー部のお手伝いには通うつもりらしい。
二口は、なまえは見た目はぽわわん、とする女の子だけども、実は頑固なのか言い分もこの子らしいな、とか、中々熱いモノを持ってるのかも、なんて思いながら、ふふっ、と微笑みながら柔らかい表情でなまえの話を聞いていた。
「なまえさー、意気込みは良いんだけど体力は大丈夫なのかよ?マネージャーだって体力要るんだぞ?お前すぐにバテそうじゃん」
「ぅぅ…実はそれが心配で…。なので、体力作りのお手伝いを幼なじみに頼んでみようと思って…」
「はぁ?2年なら人によっちゃインハイ時期だろ?その2人はなまえに構ってる時間あんの?」
「もちろん、大切な時期だから迷惑は掛けない様にするつもりで居るんだけど…。あのね、私の家ね、両親が仕事関係都合でお家をほぼ空けるから子供の頃から頻繁にお家に伺ってお世話になってるの。なので、その時に筋トレや柔軟や走り込みを一緒にやっても大丈夫かお願いしてみる…!」
「ふーん、そっか。女同士なら柔軟もやり易いし教え易いだろうから良いんじゃねぇの?」
「え…?あれ?言ってなかったっけ…?私の幼なじみ、男の子だよ。青葉城西のバレー部なの。」
「ーー!?」
二口の顔色が一瞬にしてガラリと変わる。男…?いや待て幼なじみが2人居てバレーボールしてるのは聞いたけど…男…か…確かにあの時、性別を質問はして答えは聞かなかった。てか頻繁に家遊びに行ってるって何?と、様々な混濁した強い感情がゴポゴポ…と音を立てて溢れそうで、今は通話中なのについ黙り込んでしまった。
「…もしもし…?堅ちゃん、どうしたの…?」
「ーーえ?あ、あぁ…いや?何でもない。まぁ、青城は強豪なんだからその人達に迷惑は掛けるなよな。俺らの先輩だって戦うの楽しみにしてるんだから…」
「うん、そうだよね。大切な時期だもんね」
「ーーなまえ」
「うん?」
部屋なんか行くな、会うなよ、と言いかかった瞬間に我に返った。ーーいやいやまてまて俺、落ち着け。なまえが別に男の部屋行こうが一緒に筋トレしようが何しようが俺には関係無い。何で俺が必死に止めようとしてんの?なまえの彼氏でも無いのに言う権利も無いーーん?いやだから何かオカシイって。なんなんだこのモヤモヤは俺超メンドくせェ…!マジなんなの…!
「ーー俺もさ、今度付き合ってやるよ。筋トレや柔軟、ストレッチ…?」
「!?いいの?嬉しい…!なら今度は是非うちに来てくれる?この間、お邪魔して色々お世話になったから…」
「~~お前はそういうとこだよ…!ちゃんと分かってんのかよ…?」
「?」
だめだーこのぽやぽや娘。危機感も男女って事もすっかり頭から抜けてるわー。そんで今の俺のこんな真っ赤な面は恥ずかしくて見せられない。マジで電話で良かった、なんて二口は額に手を当て次いで、てか良く幼なじみ共はなまえを頻繁に目の前にして平然として居られるよな…なんて思ってしまう。
「(…あんなのは単なる気紛れだっただけ…)」
先日の唇同士を触れ合わせようとした際、あのなまえの反応を見たら初心だな、と直感で感じた。そしてなまえの彼氏の存在の影さえも見当たらない。幼なじみとやらの2人はなまえに対して女として興味が無い、若しくは相当なる想いで大切に愛でているかーー二口の心臓は、ギュゥッ…と締め付けられる様な不安なる不可解な感覚に強く襲われた。